黒猫の唄。
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#120 [あんず]
やっぱりいつも、どこかに懐かしさを感じる。
リナさんに対しての、妬み等の感情なんて全くなかった。
…懐かしくて、切なかった。
自分は何が懐かしいの?
何が切ないの?
…なにを、思い出しているの………?
:09/10/03 17:59
:W61K
:e3a9V542
#121 [あんず]
ぼんやりとした昔の記憶
微かだけど、蘇ってきている記憶。
――――…春…
雨の中…――――。
結婚の約束…
温かな家庭を―――…。
ご主人様の思い出話が、頭の中で響く。
:09/10/03 20:09
:W61K
:e3a9V542
#122 [あんず]
ズキン、ズキン…
次第に強くなる頭の痛み
ふいに頭によぎる、
あの光景、あの言葉。
――私のことは、貴女が
1番わかるはずよ。
:09/10/04 18:48
:W61K
:AIo9yaMM
#123 [あんず]
今日の更新は
ここまでです(*´ω`)
もうラスト間近
なんですが…
只今かなり詰まっております(´;ω;`)
グタグタな展開が
続いてますが、
見て下さってる方
いらっしゃるでしょうか……´`_
とりあえず、
最後まで精一杯
頑張りますので、
是非見て下さいね!!
:09/10/04 22:36
:W61K
:AIo9yaMM
#124 [あんず]
:09/10/04 22:38
:W61K
:AIo9yaMM
#125 [あんず]
>>122その言葉を思い出したと同時に、ご主人様は頭を抱えて小さく笑った
それは辛そうに。
「…でもその約束が果たされることはなかったんだ。…これからも、ずっと。」
ズキンッッ!!
これまでにないくらい強い、頭痛が私を襲った。
:09/10/06 22:48
:W61K
:5nc4YL4s
#126 [あんず]
鋭い痛みに顔が歪む。
目に涙を浮かべながら、私はチラッと隣にいるご主人様の表情を伺った。
「………………っ!!」
ご主人様の表情を見た途端、サーッと涙が引いていく気がした。
思わず、目を見開いてしまう。
:09/10/06 22:56
:W61K
:5nc4YL4s
#127 [あんず]
ポタ、ポタとベッドのシーツに一粒の雫が滲む。
ご主人様の頬には、涙が伝っている。
…ご主人様の目には、涙が光っている。
ご主人様が、
泣いている。
:09/10/06 23:01
:W61K
:5nc4YL4s
#128 [あんず]
ご主人様は俯き、
声を震わせながら呟く。
「……リナは……
寒い真冬の日に、静かに眠ってしまった。
…僕を置いて、
逝ってしまったんだ。」
ご主人様を置いて…
寒い、真冬の日に………
リナさんは―――……。
:09/10/06 23:07
:W61K
:5nc4YL4s
#129 [あんず]
―――あ、れ……?
私の頭の中で、何かがパンッと弾けた気がする。
一気に頭の痛みが引き、開放感が心地よい。
でも心地よさと引き換えに、私は――――……。
全ての記憶を、
思い出してしまった。
:09/10/06 23:09
:W61K
:5nc4YL4s
#130 [あんず]
「…いやぁぁぁあっ!!」
私は頭を抱え、震えながら床にうずくまった。
突然の恐怖感に襲われ、鼓動が激しくなる。
:09/10/09 22:50
:W61K
:Zzmpi0Cc
#131 [あんず]
嘘だ、嘘だ。
私の1番最初の姿は黒猫だ、猫の“リア”だったんだ。
記憶はそこまでしかないはずなんだ。
でも…何故私はその前の記憶も覚えているの?
何故……人間の“リナ”だった記憶を思い出してしまったの?
:09/10/09 22:53
:W61K
:Zzmpi0Cc
#132 [あんず]
「リア!?どうかしたのか、どこか痛いのか!?」
うずくまり叫ぶの私を見て、ご主人様は慌てて駆け寄る。
そのご主人様の頬には、うっすらと涙の跡。
:09/10/11 01:03
:W61K
:B72hfaK2
#133 [あんず]
この涙の原因は、
全て、この私―――…。
「リア、リア!!」
目の前にいる彼は、
大好きなご主人様。
私を助けてくれた、
かけがえのない恩人。
そして昔の、愛しい恋人
世界でたった1人の、
心から愛した人。
:09/10/11 01:13
:W61K
:B72hfaK2
#134 [あんず]
ううん、
昔なんかじゃない。
今も愛しい恋人。
世界でたった1人の、
心から愛している人。
だから今も、
愛しくて堪らない。
抱き締めたくて、
堪らない。
:09/10/11 01:16
:W61K
:B72hfaK2
#135 [あんず]
私は堪えきれず、
彼を強く抱き締めた。
「…ヒロっ……。」
私の突然の行動にびっくりしたのか、ご主人様は大きく目を見開いた。
久しぶりに呼んだ、彼の名前。久しぶりに感じた、彼の体温。
懐かしくて、涙が溢れそうになった。
:09/10/11 01:20
:W61K
:B72hfaK2
#136 [あんず]
「…リ、ナ……?」
ご主人様はボーッとしながら、ポツリポツリと呟く。
そんなご主人様を見て、私は頷いて見せた。
嘘だろ、と言わんばかりに見開かれたご主人様の瞳からは、涙が溢れた。
:09/10/11 01:28
:W61K
:B72hfaK2
#137 [あんず]
背中に回された、
彼の大きな手。
強く抱き締められる温かさは、何一つ変わっていない。
昔の彼のまま。
「ずっと…、
会いたかった……っ
ずっと…………
待ってた…。」
震える声、肩。
強く私を抱き締める腕。
全てが愛しい。
:09/10/11 01:33
:W61K
:B72hfaK2
#138 [あんず]
「…………リナ、
おかえり。」
きっと私は、
この瞬間を待っていた。
ずっと、ずっと。
:09/10/11 01:34
:W61K
:B72hfaK2
#139 [あんず]
「うん…っ
遅くなってごめんね、
ただいま、ヒロ。」
ずっと会いたかった。
昔から、ずっと。
今でもこんなにも愛しい
今でも、ずっと。
:09/10/11 15:59
:W61K
:B72hfaK2
#140 [あんず]
私達はいつまでも強く抱き締め合った。
離れていた3年間の大きな穴を埋めるように。
確かめあうように。
時間も忘れて
ただただ抱き締め合った
時々聞こえる彼の鼻を啜る音すらも懐かしかった
:09/10/11 16:14
:W61K
:B72hfaK2
#141 [あんず]
「好き…っ
好きよ、ヒロ。
会いたくて、
堪らなかった。」
私は彼の肩に
顔を埋め、
愛の言葉を囁く。
彼はそんな私の頬を
温かい手で包み、
絶え間なく流れる
涙を拭ってくれた。
:09/11/04 20:57
:W61K
:jMTY8MgE
#142 [あんず]
「泣き虫。」
目を赤くしながら
そう言う彼。
「人のこと言えないよ」と言いたかったけど、
今は何も言わず、ただ彼を抱き締めていよう。
:09/11/04 21:43
:W61K
:jMTY8MgE
#143 [あんず]
少しでも、
少しでもいい。
彼の温もりを
感じていたいから。
少しでもいい、
彼の感覚を
頭に焼き付けたいから。
1秒でも長く、
彼の側にいたいから。
:09/11/04 22:26
:W61K
:jMTY8MgE
#144 [あんず]
ヒロ、ヒロ。
―――…ご主人様。
離れたくない。
出来ることなら、
ずっと側にいたい。
ずっと隣で、
貴方を見ていたい。
:09/11/04 22:31
:W61K
:jMTY8MgE
#145 [あんず]
でも…
それが無理なことくらい
その願いが
叶わないことくらい
私は
悲しいほど知っている。
:09/11/04 22:34
:W61K
:jMTY8MgE
#146 [あんず]
ヒロ、ヒロ。
ごめん、ごめんね。
私はきっと、
もう貴方と
一緒にいることは、
許されない。
:09/11/08 00:12
:W61K
:ebN.2vsw
#147 [あんず]
私は強く彼を
抱き締めていた腕を離す
未だに腕に残る、
彼の温もりを感じながら
ぶらん、と腕を
下に向けた。
「……リナ?」
:09/11/08 09:35
:W61K
:ebN.2vsw
#148 [あんず]
不思議そうに
彼は私を見つめる。
でも私は目を
合わせられなかった。
合わせたら、
再び彼の温かさを
求めてしまうから。
彼から、
離れる覚悟が
出来なくなるから。
:09/11/08 17:49
:W61K
:ebN.2vsw
#149 [あんず]
私は俯きながら、
ゆっくりと口を開く。
「ヒロ、これから言うことは全部本当のことだから…信じて、ね?」
そう言うと、
ヒロは「わかったよ」と優しく笑ってくれた。
表情はわからないけど、
声を聞けばわかるの。
彼の表情が。
:09/11/08 17:55
:W61K
:ebN.2vsw
#150 [あんず]
私はゆっくり、彼に今までのことを話した。
自分が黒猫の、“リア”だったこと。
泣いているご主人様を支えるために、人間になったこと。
リナに戻る前の、
全てを彼に話した。
彼は時々驚いた表情をしたけれど、それでも真剣に私の話を聞いてくれた
:09/11/08 17:58
:W61K
:ebN.2vsw
#151 [あんず]
「信じて、くれるの?」
信じて貰えないのは覚悟していたから、彼が本当に私の話を信じているのか不安だった。
でも彼は、
優しく目を細めながら
「リナの言うことを
信じない訳ないだろ?」
と、言ってくれたんだ。
:09/11/11 21:45
:W61K
:5Iykkk0E
#152 [あんず]
そんな彼の一言に、
私は思わず
涙が溢れそうになった。
「離れたくない」
という気持ちが更に強くなっていってしまった。
その願いが、
叶わないのは痛いくらいわかっているけれど。
:09/11/11 21:48
:W61K
:5Iykkk0E
#153 [あんず]
「ありがとう、ヒロ。
あともう1つ、信じて欲しい話があるの。」
「あぁ。」
優しく私の肩を抱きながら、微笑んでくれる彼が堪らなく愛しい。
このことを、本当は彼に話したくはなかった。
:09/11/11 21:52
:W61K
:5Iykkk0E
#154 [あんず]
私達の別れを、
信じて欲しくない。
言いたくなんかない。
でも、信じて貰わなきゃいけないから。
彼のためには、
話さなきゃいけないから
:09/11/11 21:55
:W61K
:5Iykkk0E
#155 [あんず]
私は1つ、
大きく深呼吸をして
彼を見つめる。
しっかり目を合わせ、
彼に微笑み掛けながら
ゆっくり口を開いた。
:09/11/11 22:04
:W61K
:5Iykkk0E
#156 [あんず]
「ヒロ、私ね…
もうヒロと一緒に
いることは出来ない。」
:09/11/11 22:45
:W61K
:5Iykkk0E
#157 [あんず]
そう私が告げた途端、
彼の表情が固まった。
「嘘だろ」と言わんばかりに見開かれた目。
嘘じゃない。
全ては紛れもない真実。
:09/11/11 22:48
:W61K
:5Iykkk0E
#158 [あんず]
もう生きることは
出来ないから…。
許されないから…。
「なんで、」
:09/11/11 22:52
:W61K
:5Iykkk0E
#159 [あんず]
彼がそう呟いた時、
私は再び俯いた。
目の奥が熱い。
あぁ、視界がぼやけて
何も見えないや。
:09/11/11 22:54
:W61K
:5Iykkk0E
#160 [あんず]
ポタリ、と
床に雫が落ちた。
この涙が
嘘ではないと言う証拠。
この涙が…
:09/11/11 22:55
:W61K
:5Iykkk0E
#161 [あんず]
別れの、合図。
:09/11/11 22:56
:W61K
:5Iykkk0E
#162 [あんず]
:09/11/11 22:58
:W61K
:5Iykkk0E
#163 [あんず]
:09/11/13 19:35
:W61K
:iCtg4F4w
#164 [あんず]
―――――…。
無言の時間が続く。
こんな時間が
無駄なのはわかってる。
けど話せない。
次の言葉が
思い付かないの。
:09/11/13 19:41
:W61K
:iCtg4F4w
#165 [あんず]
何て言っていいのか
わからない。
ただ絶え間なく、
涙は流れるだけ。
ポタリ、ポタリと
床に涙が落ちる。
視界はぼやけて
何もみえない。
頭に浮かぶのは、
「ずっと側にいたい」
という、1つの願い。
:09/11/13 19:46
:W61K
:iCtg4F4w
#166 [あんず]
無理なことを何度頭の中で願っただろうか。
何度祈っただろうか。
でも叶うことはない。
「…リナ、泣かないで。
どうしてなのか…
理由を知りたい。」
:09/11/13 19:51
:W61K
:iCtg4F4w
#167 [あんず]
上を見上げると、
強い眼差しで
私を見つめる彼の姿。
その姿を見て、
更に泣きそうになる私は
本当に泣き虫。
:09/11/13 19:52
:W61K
:iCtg4F4w
#168 [あんず]
「ヒロ、私は
1度死んだ人間…。
この世にはいない存在。
いてはいけない存在。
だから…
この世にはいられない。
ヒロの側には
いられないの…。」
:09/11/13 19:55
:W61K
:iCtg4F4w
#169 [あんず]
堪えきれない涙で
頬を濡らしながら、
私は答えた。
それを聞いた彼は
だんだん、ゆっくりと
下を向き始めた。
:09/11/13 19:59
:W61K
:iCtg4F4w
#170 [あんず]
「そっか…」と言う声が
乾いた笑いと共に
部屋に響く。
その声は酷く小さく
悲しいくらい、
弱かった。
「ヒロ、ごめんね…」
:09/11/13 20:04
:W61K
:iCtg4F4w
#171 [あんず]
弱い私は、
そう小さく呟いた。
すると彼は、俯いたまま私を抱き締めた。
「謝らないで。」
そう、呟きながら。
:09/11/13 20:07
:W61K
:iCtg4F4w
#172 [あんず]
「リナは悪くない。
謝ることないよ。
仕方ないんだ。
だから、謝らないで。
泣かないで。」
耳元で彼の
優しい声が響く。
少し低い、彼の声。
:09/11/13 20:14
:W61K
:iCtg4F4w
#173 [あんず]
「…っヒロ…」
私、本当に
貴方と離れたくない。
貴方の側にいたい。
無理なのはわかってる。
だからせめて…
:09/11/13 20:20
:W61K
:iCtg4F4w
#174 [あんず]
別れが来る、
その時まで
貴方の温もりを
感じていたい。
貴方の側にいたい。
:09/11/13 20:21
:W61K
:iCtg4F4w
#175 [あんず]
私は彼の胸に
顔を埋めた。
昔、これをするのが大好きで、いつもやってたなぁ…。
懐かしい。
:09/11/15 17:45
:W61K
:t4cgse.o
#176 [あんず]
「ヒロ、覚えてる?
私こうやってするのが
大好きだったこと。」
私は涙を堪えながら、
笑顔で彼を見上げた。
すると、
彼の悲しそうな顔は
一気に優しい笑顔に
変わったんだ。
:09/11/15 18:27
:W61K
:t4cgse.o
#177 [あんず]
「勿論覚えてる。
忘れてなんかいない。
忘れられる訳、ない。」
そう言った彼の笑顔に、私は酷く安心した。
ヒロ、
私も同じことを
想っていたよ。
私もずっと、この先も…
忘れられる訳ないよ。
:09/11/20 19:03
:W61K
:PovzlMio
#178 [あんず]
壁に掛かっている
時計を見ると、
早くも8時だった。
時というのは残酷で。
嫌でもどんどん
進んでいってしまうの。
:09/11/21 12:01
:W61K
:FBxQw/hE
#179 [あんず]
そろそろかな、
なんて思ってしまう。
彼と離れる恐怖と、
寂しさが私を襲う。
でももう十分。
十分過ぎるくらい、
私は幸せだった。
:09/11/21 20:33
:W61K
:FBxQw/hE
#180 [あんず]
貴方と過ごせた時間は、
長いようで
短かったけれど。
最期に貴方とこうして
時を過ごせたんだもん。
私は今とても…幸せ。
:09/11/21 20:37
:W61K
:FBxQw/hE
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