黒猫の唄。
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#127 [あんず]
ポタ、ポタとベッドのシーツに一粒の雫が滲む。
ご主人様の頬には、涙が伝っている。
…ご主人様の目には、涙が光っている。
ご主人様が、
泣いている。
:09/10/06 23:01
:W61K
:5nc4YL4s
#128 [あんず]
ご主人様は俯き、
声を震わせながら呟く。
「……リナは……
寒い真冬の日に、静かに眠ってしまった。
…僕を置いて、
逝ってしまったんだ。」
ご主人様を置いて…
寒い、真冬の日に………
リナさんは―――……。
:09/10/06 23:07
:W61K
:5nc4YL4s
#129 [あんず]
―――あ、れ……?
私の頭の中で、何かがパンッと弾けた気がする。
一気に頭の痛みが引き、開放感が心地よい。
でも心地よさと引き換えに、私は――――……。
全ての記憶を、
思い出してしまった。
:09/10/06 23:09
:W61K
:5nc4YL4s
#130 [あんず]
「…いやぁぁぁあっ!!」
私は頭を抱え、震えながら床にうずくまった。
突然の恐怖感に襲われ、鼓動が激しくなる。
:09/10/09 22:50
:W61K
:Zzmpi0Cc
#131 [あんず]
嘘だ、嘘だ。
私の1番最初の姿は黒猫だ、猫の“リア”だったんだ。
記憶はそこまでしかないはずなんだ。
でも…何故私はその前の記憶も覚えているの?
何故……人間の“リナ”だった記憶を思い出してしまったの?
:09/10/09 22:53
:W61K
:Zzmpi0Cc
#132 [あんず]
「リア!?どうかしたのか、どこか痛いのか!?」
うずくまり叫ぶの私を見て、ご主人様は慌てて駆け寄る。
そのご主人様の頬には、うっすらと涙の跡。
:09/10/11 01:03
:W61K
:B72hfaK2
#133 [あんず]
この涙の原因は、
全て、この私―――…。
「リア、リア!!」
目の前にいる彼は、
大好きなご主人様。
私を助けてくれた、
かけがえのない恩人。
そして昔の、愛しい恋人
世界でたった1人の、
心から愛した人。
:09/10/11 01:13
:W61K
:B72hfaK2
#134 [あんず]
ううん、
昔なんかじゃない。
今も愛しい恋人。
世界でたった1人の、
心から愛している人。
だから今も、
愛しくて堪らない。
抱き締めたくて、
堪らない。
:09/10/11 01:16
:W61K
:B72hfaK2
#135 [あんず]
私は堪えきれず、
彼を強く抱き締めた。
「…ヒロっ……。」
私の突然の行動にびっくりしたのか、ご主人様は大きく目を見開いた。
久しぶりに呼んだ、彼の名前。久しぶりに感じた、彼の体温。
懐かしくて、涙が溢れそうになった。
:09/10/11 01:20
:W61K
:B72hfaK2
#136 [あんず]
「…リ、ナ……?」
ご主人様はボーッとしながら、ポツリポツリと呟く。
そんなご主人様を見て、私は頷いて見せた。
嘘だろ、と言わんばかりに見開かれたご主人様の瞳からは、涙が溢れた。
:09/10/11 01:28
:W61K
:B72hfaK2
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