黒猫の唄。
最新 最初 🆕
#160 [あんず]
 


ポタリ、と
床に雫が落ちた。


この涙が
嘘ではないと言う証拠。



この涙が…


 

⏰:09/11/11 22:55 📱:W61K 🆔:5Iykkk0E


#161 [あんず]
 





別れの、合図。





 

⏰:09/11/11 22:56 📱:W61K 🆔:5Iykkk0E


#162 [あんず]


今日の更新は
ここまでになります。

いよいよ最終に
近付いてきました!!

見て下さる方、
いらっしゃいますのでしょうか…(´;ω;`)

もしいらっしゃれば、
一言でもいいので
感想待ってます∩^ω^∩x

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4514/

⏰:09/11/11 22:58 📱:W61K 🆔:5Iykkk0E


#163 [あんず]



3.最後の願い



⏰:09/11/13 19:35 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#164 [あんず]
 


―――――…。


無言の時間が続く。

こんな時間が
無駄なのはわかってる。
けど話せない。



次の言葉が
思い付かないの。


 

⏰:09/11/13 19:41 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#165 [あんず]
 

何て言っていいのか
わからない。


ただ絶え間なく、
涙は流れるだけ。


ポタリ、ポタリと
床に涙が落ちる。
視界はぼやけて
何もみえない。



頭に浮かぶのは、
「ずっと側にいたい」
という、1つの願い。

 

⏰:09/11/13 19:46 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#166 [あんず]
 

無理なことを何度頭の中で願っただろうか。
何度祈っただろうか。


でも叶うことはない。



「…リナ、泣かないで。
どうしてなのか…
理由を知りたい。」


 

⏰:09/11/13 19:51 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#167 [あんず]
 

上を見上げると、


強い眼差しで
私を見つめる彼の姿。


その姿を見て、
更に泣きそうになる私は

本当に泣き虫。


 

⏰:09/11/13 19:52 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#168 [あんず]
 


「ヒロ、私は
1度死んだ人間…。
この世にはいない存在。
いてはいけない存在。


だから…
この世にはいられない。

ヒロの側には
いられないの…。」


 

⏰:09/11/13 19:55 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#169 [あんず]
 

堪えきれない涙で
頬を濡らしながら、
私は答えた。



それを聞いた彼は
だんだん、ゆっくりと
下を向き始めた。


 

⏰:09/11/13 19:59 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#170 [あんず]
 

「そっか…」と言う声が
乾いた笑いと共に
部屋に響く。


その声は酷く小さく
悲しいくらい、
弱かった。



「ヒロ、ごめんね…」

 

⏰:09/11/13 20:04 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#171 [あんず]
 

弱い私は、
そう小さく呟いた。


すると彼は、俯いたまま私を抱き締めた。


「謝らないで。」


そう、呟きながら。


 

⏰:09/11/13 20:07 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#172 [あんず]
 


「リナは悪くない。
謝ることないよ。
仕方ないんだ。

だから、謝らないで。
泣かないで。」


耳元で彼の
優しい声が響く。
少し低い、彼の声。


 

⏰:09/11/13 20:14 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#173 [あんず]
 

「…っヒロ…」


私、本当に
貴方と離れたくない。
貴方の側にいたい。


無理なのはわかってる。
だからせめて…


 

⏰:09/11/13 20:20 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#174 [あんず]
 


別れが来る、

その時まで



貴方の温もりを
感じていたい。

貴方の側にいたい。


 

⏰:09/11/13 20:21 📱:W61K 🆔:iCtg4F4w


#175 [あんず]
 

私は彼の胸に
顔を埋めた。

昔、これをするのが大好きで、いつもやってたなぁ…。



懐かしい。


 

⏰:09/11/15 17:45 📱:W61K 🆔:t4cgse.o


#176 [あんず]
 

「ヒロ、覚えてる?
私こうやってするのが
大好きだったこと。」


私は涙を堪えながら、
笑顔で彼を見上げた。

すると、
彼の悲しそうな顔は
一気に優しい笑顔に
変わったんだ。


 

⏰:09/11/15 18:27 📱:W61K 🆔:t4cgse.o


#177 [あんず]
 

「勿論覚えてる。
忘れてなんかいない。
忘れられる訳、ない。」

そう言った彼の笑顔に、私は酷く安心した。

ヒロ、
私も同じことを
想っていたよ。


私もずっと、この先も…

忘れられる訳ないよ。

 

⏰:09/11/20 19:03 📱:W61K 🆔:PovzlMio


#178 [あんず]
 

壁に掛かっている
時計を見ると、
早くも8時だった。


時というのは残酷で。

嫌でもどんどん
進んでいってしまうの。


 

⏰:09/11/21 12:01 📱:W61K 🆔:FBxQw/hE


#179 [あんず]
 

そろそろかな、
なんて思ってしまう。

彼と離れる恐怖と、
寂しさが私を襲う。


でももう十分。

十分過ぎるくらい、
私は幸せだった。


 

⏰:09/11/21 20:33 📱:W61K 🆔:FBxQw/hE


#180 [あんず]
 

貴方と過ごせた時間は、
長いようで
短かったけれど。


最期に貴方とこうして
時を過ごせたんだもん。



私は今とても…幸せ。


 

⏰:09/11/21 20:37 📱:W61K 🆔:FBxQw/hE


#181 [あんず]
 

私は強く、強く
彼を抱き締めた。



時間はもうない。

だから最期まで、
貴方を感じたい。


 

⏰:09/11/21 20:56 📱:W61K 🆔:FBxQw/hE


#182 [あんず]
 


カチッ、と
時計の針が1つ動く。


それと同時に


「リナ…ッ…!?」


という、動揺した
彼の声が耳に入った。


 

⏰:09/11/21 20:58 📱:W61K 🆔:FBxQw/hE


#183 [あんず]
 

彼を見上げると、
涙ぐむ彼の姿。


そんな彼の視線を追うと
自分の体が目に入った。



見えたのは

透けた、自分。


 

⏰:09/11/21 21:08 📱:W61K 🆔:FBxQw/hE


#184 [あんず]
 


あぁ、透けてる。


それくらいしか、
感じなかった。
驚きもしなかった。


でも、
やっぱり寂しさは
消えてくれない。


 

⏰:09/11/21 21:16 📱:W61K 🆔:FBxQw/hE


#185 [あんず]
 

離れてしまう寂しさは、いつまでも私を取り巻いている。

寂しさが
消えることは、
この先きっとない。


でも大丈夫だよね。

だって寂しさを
忘れるくらい、
幸せなんだから。


 

⏰:09/11/21 21:26 📱:W61K 🆔:FBxQw/hE


#186 [あんず]
 

私は彼の涙を拭う。
「そんな顔しないで、
もっと笑って?」
と彼に伝えながら。


すると彼は


私に優しく、
   キスをした。


 

⏰:09/11/21 21:31 📱:W61K 🆔:FBxQw/hE


#187 [あんず]
 

柔らかくて、
温かい彼の唇。

久々のキス。
大好きな、彼とのキス。


ほんの一瞬だったけど、一気に懐かしさが込み上げてきた。


 

⏰:09/11/21 21:38 📱:W61K 🆔:FBxQw/hE


#188 [あんず]
 

再び強く、
彼を抱き締める。


離れぬように、
離さぬように。


不思議ね、
私、泣き虫なのに…
今は涙すら出てこない。


 

⏰:09/11/24 23:02 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#189 [あんず]
 

寧ろ、今の私の表情は、
笑顔で溢れてる。

こんなに笑ったのは、
いつぶりだろう?


そんなことを
考えてるうちに、
時間はどんどん
進んでいる。


私の身体も、
とうとう彼の感覚を
感じなくなってしまった

 

⏰:09/11/24 23:05 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#190 [あんず]
 

温かさが
感じられない。
一瞬、怖くなった。
貴方に触れられない
恐怖が頭を駆け巡った。


でもね、今は
時間も、何もかも
考えたくない。


貴方と過ごしてる
この時を、感じたい。

 

⏰:09/11/24 23:07 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#191 [あんず]
 

「リナ、」

彼はまだ感覚がある、
私の頬を手で包んだ。

いつもと変わらない、
温かい大きな手。


貴方のこの手が大好き。
優しくて、安心できる
大好きな場所。

 

⏰:09/11/24 23:11 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#192 [あんず]
 

彼は私を見つめて、
優しくそっと微笑んだ。

そしていつもの
優しい声で、彼は



「あぁ、リアの瞳は
相変わらず綺麗だね。」

と笑ったんだ。

 

⏰:09/11/24 23:14 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#193 [あんず]
 

久々に聞いた、
リアと言う名前。
私が一度歩んだ、
黒猫の人生。


久々に聞いた、
彼の口癖。
いつも私を見るたび、
そう言ってたよね。


ご主人様……。

 

⏰:09/11/24 23:16 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#194 [あんず]
 


自分の身体はもう、ほとんど消えてしまっていた


別れの時がもう
目の前まで来ている。


でもね、もう
何も怖くないよ。


 

⏰:09/11/24 23:19 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#195 [あんず]
 


だって、
きっといつか……




貴方にまた、
逢える気がするから。


 

⏰:09/11/24 23:20 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#196 [あんず]
 


そして私は、
最期の言葉を紡ぐ。


溢れるような笑顔で、

彼への感謝の言葉を、
彼への愛の言葉を。


 

⏰:09/11/24 23:22 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#197 [あんず]
 


「ヒロ…ッ、ご主人様…


ありがとう、
私を愛してくれて。


私に愛を教えてくれて、
ありがとう…。」

 

⏰:09/11/24 23:24 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#198 [あんず]
 


「愛してる、
この先も、ずっと…




ヒロ、ご主人様。




また、どこかで――…」


 

⏰:09/11/24 23:26 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#199 [あんず]
 



“またどこかで逢おう”



そう伝える途中に、
私は彼の目の前から
姿を消した。


 

⏰:09/11/24 23:29 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#200 [あんず]
 


途中だけど…
貴方には伝わったよね?

貴方には届いたよね?



ねぇ、ヒロ。

どんな形でもいい。


私、また貴方に逢いたい

 

⏰:09/11/24 23:32 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#201 [あんず]
 


神様、

私の最後の願いを
聞いて下さい。



いつでも、
どんな形でもいいです。


どうか、どうか
また彼に逢わせて下さい


 

⏰:09/11/24 23:35 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#202 [あんず]
 


欲を言えば…






ずっと、ずっと

彼の側に
いさせて下さい。


 

⏰:09/11/24 23:36 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#203 [あんず]



5. Last song



⏰:09/11/24 23:40 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#204 [あんず]
 


「うわぁー!!
お父さん見てみて、
星いーっぱい!!」


「おぉ、本当だなぁ。

――…ユナは本当に、
星空が好きだね。」


にこっと笑うお父さんの上に跨がり、肩車をしてもらう。肩車をすると星に触れそうで、ぐんっと思いきり手を伸ばす。


 

⏰:09/11/24 23:52 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#205 [あんず]
 

「んんん〜っ、
届かないよぉ、お父さん大きくなって!!」


そう言うと、
お父さんはハハッと少し困ったようにに笑った。


「ユナ…星はな、すぐに
届くような物じゃない。
でかくなっても届かないくらい星は遠いんだ。」


 

⏰:09/11/24 23:56 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#206 [あんず]
 


「…じゃあ、
星に触れないのー?」


「ううん、違う。
ユナがこれから
たーくさん年をとって、
おばあさんになって、
そして星になるとき…

きっと星に触れるよ。」


 

⏰:09/11/24 23:59 📱:W61K 🆔:KrymBNm2


#207 [あんず]
 

そう言ったお父さんは
ずっと空を見つめていた

私も一緒に空を見る。

空の星は
キラキラ綺麗で…


いつか絶対、
触ってやると心から
誓ったんだ。


 

⏰:09/11/25 00:01 📱:W61K 🆔:fWOlF0LQ


#208 [あんず]
 

暫くして、
公園のベンチに
座っていたお父さんは
ゆっくり立ち上がった。


「よし、ユナ帰るか。
お母さんがご飯作って
待ってるぞ。」


丁度お腹が減る時間。

自分もぴょんっと
ベンチから降りて、
先に歩いてるお父さんに向かって走っていった。

 

⏰:09/11/25 00:05 📱:W61K 🆔:fWOlF0LQ


#209 [あんず]
 

小さな足で地面を蹴り、やっとたどり着いたお父さんの手を握る。


そして家に帰るため、
信号が青になるのを
待っている時。




真っ黒の猫が、
私の目に入った。


 

⏰:09/11/25 00:11 📱:W61K 🆔:fWOlF0LQ


#210 [あんず]
 

「あっ、猫ー…」


軽快なリズムで
歩く黒猫を見て、
私は堪らずその姿を追う


途中、お父さんの
声が聞こえたけど、
それも無視して
その黒猫を追った。


 

⏰:09/11/25 00:13 📱:W61K 🆔:fWOlF0LQ


#211 [あんず]
 

「猫さんっ、待って!!」


走って走って走って。
そしてやっと黒猫の
隣まで追い付いた時。


ドンッ、と
私は何かにぶつかった。


 

⏰:09/11/25 00:16 📱:W61K 🆔:fWOlF0LQ


#212 [あんず]
 

「痛い……。」


額を何かにぶつけ、
手で痛い所を押さえる。


痛さを堪えて
ぎゅっと瞑っていた
目を少し開くと、


目の前には、

茶色い髪の男の子が
立っていた。


 

⏰:09/11/25 00:22 📱:W61K 🆔:fWOlF0LQ


#213 [あんず]
 

その男の子は、
額を押さえている。

一緒だぁ、なんて
少し感動を覚えながら
ボーッとただその男の子を見つめていた。


「あっ、ごめん!!
おでこ痛い!?」


するとさっきまで
何も言わず立っていた男の子は、突然あたふたと動き始めたんだ。

 

⏰:09/11/25 00:29 📱:W61K 🆔:fWOlF0LQ


#214 [あんず]
 

そんな姿が面白くて、
私は思わず
口元が緩んでしまった。


「えへへっ
ユナ、大丈夫だよ!!」

そう言いながら、
男の子に額を見せる。

すると男の子は、
安心したかのように柔らかく微笑んだ。

 

⏰:09/11/25 00:32 📱:W61K 🆔:fWOlF0LQ


#215 [あんず]
 


凄く、凄く優しく。

そして凄く懐かしい。


そんな、彼の笑顔。

その笑顔につられて、
私まで微笑む。


なんだろう…
とても心が温かい。

 

⏰:09/11/28 07:41 📱:W61K 🆔:b99CU1No


#216 [あんず]
 

どうして懐かしいの?
そんな疑問が
頭に浮かんだ。

「この人と私は、
いつか会ったことが
あるのかな…」
なんて思い、記憶を
覚えてる限り辿る。


でも、この人との
記憶なんて、

1つもなかった。

 

⏰:09/11/29 17:30 📱:W61K 🆔:bLhx7oT.


#217 [あんず]
 

「あの…お兄ちゃん、
名前何て言うの?」

名前を聞いたら、
思い出せるかも知れない

そんな淡い期待を胸に、私は名前を尋ねた。


すると彼は
「僕の名前はヒロト!!
ヒロでいいよ。」
と、笑顔で答えたんだ。

 

⏰:09/11/29 18:58 📱:W61K 🆔:bLhx7oT.


#218 [あんず]
 

ヒロ…くん。

彼の名前を聞いた途端、
胸がドクンと高鳴った。

“ヒロト”と言う名前は
やっぱり記憶の中でどんなに探しても、見当たらなかった。

淡い期待も
あっさりと裏切られた。


けれど―――…。


 

⏰:09/11/30 18:40 📱:W61K 🆔:ACyroCOI


#219 [あんず]
 

なんでだろう、



彼の名前を聞くと…




愛しくて、
堪らないんだ。


 

⏰:09/11/30 18:41 📱:W61K 🆔:ACyroCOI


#220 [あんず]
 

とても、とても
幸せな気持ちになれる。
とても安心出来る。


不思議だね…。

私達、
今日会ったばかりなのに

なんだかずっと昔から、
一緒にいる気がする。


 

⏰:09/11/30 18:45 📱:W61K 🆔:ACyroCOI


#221 [あんず]
 



「ユナー、行くぞー。」

そんなことを考えてる途中に、遠くから私を呼ぶ声が聞こえた。
…お父さんだ。


もう時間なんだ、なんて寂しい気持ちを堪え、

「はーいっ!!」
と、私は大きく返事をして、彼に目を向けた。


 

⏰:09/11/30 18:53 📱:W61K 🆔:ACyroCOI


#222 [あんず]
 

「ヒロくん、
私もう帰んなきゃ…。」

「そっか、…じゃあ僕もそろそろ帰るね。」


彼は微笑みながら答える


ヒロくんと…、
また会えるのだろうか。
…離れたくない。

そんな感情が、
私の胸を痛めた。


 

⏰:09/11/30 21:43 📱:W61K 🆔:ACyroCOI


#223 [あんず]
 

彼はゆっくりと
私に背を向けた。
その背中は近いはずなのに、凄く遠く見える。



また、ヒロくんに
     逢いたい。



「…ヒロくん、
また、逢えるよね?
いつかまた…
一緒にお話出来るよね?」


 

⏰:09/11/30 21:47 📱:W61K 🆔:ACyroCOI


#224 [あんず]
 

私は彼の服の裾を
掴み、俯いた。

“また彼に逢いたい”
と言う気持ちが大きくて堪らなかった。


我が儘かもしれない。
理由もわかんない。
けど、またヒロくんに逢いたいんだ。


 

⏰:09/12/04 23:12 📱:W61K 🆔:rfEg6w7U


#225 [あんず]
 


すると、

固く目を閉じ、
俯いていた私の頭に



微かだけれど、

とても温かい何かを
感じたんだ。


 

⏰:09/12/04 23:14 📱:W61K 🆔:rfEg6w7U


#226 [あんず]
 

温かい。


見上げると、
いつの間にか振り向き
微笑む彼の姿。

そして彼の右手は
私の頭の上にあった。



「――――…っ!!」


 

⏰:09/12/04 23:16 📱:W61K 🆔:rfEg6w7U


#227 [あんず]
 


胸が、締め付けられた。
嬉しくて、切なくて。
――――愛しくて。


彼は優しく
私の頭を撫でたあと、
再び私に背を向け、
ゆっくりと歩き始めた。


 

⏰:09/12/05 20:55 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#228 [あんず]
 

彼は私の問いかけに、
答えなかった。


でもね、
私には伝わったよ。
しっかりと、
……伝わったの。



「また逢える」って。


 

⏰:09/12/05 21:13 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#229 [あんず]
 


言葉にしなくても、
ちゃんと伝わる
貴方と私。



“またどこかで逢おう”



不意に私の頭に
その言葉が浮かんだ。

その言葉は、
不思議なくらい
懐かしく感じた。


 

⏰:09/12/05 21:40 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#230 [あんず]
 

懐かしい、
覚えのある言葉。


これは、
私、ユナがヒロくんに
対して想った言葉なのか




それとも――――…。


 

⏰:09/12/05 21:44 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#231 [あんず]
 

いつの間にか
遠く小さくなる彼の姿。

そんな彼を見届けて、
私は待っているお父さんの元へ向かう。

走ってる途中、私の
目の前に広がる星空。


冬の星空が、
切ないくらい綺麗だった


 

⏰:09/12/05 21:49 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#232 [あんず]
 


まるで星空の中を
駆け抜けるかのように、
私は空を
見つめながら走った。


夢中で走ってると、
「ユナ、」と言うお父さんの声が聞こえた。

少し上を見上げると

「前を向いて走らないと、危ないだろ?」
と微笑む、
お父さんがいた。


 

⏰:09/12/05 21:53 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#233 [あんず]
 


「ほら、お母さんが
ご飯作って待ってるぞ。
もう帰ろう?」


私の手を握り、
家に向かい歩き始めるお父さん。
私の歩幅に合わせて、
ゆっくりと歩いてくれる


「お父さんっ
今度またお星様、
捕まえに来ようね!!」

 

⏰:09/12/05 21:59 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#234 [あんず]
 


そう言うと、お父さんは優しく微笑んだ。


また、
お星様を捕まえに来て。

また、
ヒロくんに逢いに行って
お話をして、
笑いあって……。


 

⏰:09/12/05 22:07 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#235 [あんず]
 


そんな幸せなことを思い描いていると、いつの間にか目の前には自分の家。


「遅かったね、
ご飯出来たわよ。」
と笑うお母さんが、
玄関で私達を待っていた


「ただいまっ!!」


 

⏰:09/12/05 22:16 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#236 [あんず]
 

私は家に入るとき、
最後にもう一度だけ
綺麗な星空を見上げた。


キラキラと、
優しく輝くお星様。


すると、

私の目には
一際綺麗に輝く星が
映ったんだ。


 

⏰:09/12/05 22:19 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#237 [あんず]
 


あまりの綺麗さに
目が、離せない。


ただ目を見開きながら、
星空を見上げてると



お父さんでも
お母さんでもない、

少し低く優しい声が
耳を掠めた。


 

⏰:09/12/05 22:38 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#238 [あんず]




「リナ…。



やっとまた、


君に逢えた……。」



⏰:09/12/05 22:49 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#239 [あんず]
 


「え………?」


その声は、
綺麗な星空の中で
静かに響いた。


「ユナ?どうしたの、
早くおいで。」


そう言うお母さんの方を振り返り、「はい」と1つ返事をした。

そしてもう一度、
ゆっくり空を見上げ…。


 

⏰:09/12/05 22:54 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#240 [あんず]
 


「待ってたよ、
貴方にまた逢える日を」

と、呟いたんだ。
誰にも聞こえないくらい小さな声で。


でもきっと、
貴方には届くはず。

あの星に、届くはず。


 

⏰:09/12/05 22:57 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#241 [あんず]
 

私はその星に
一回微笑みかけ、
玄関のドアを閉めた。
家の中は、
外と違って温かかった。


あの声が、
誰なのかはわかんない。

でもあの声の人は、
私を探してくれた。


 

⏰:09/12/05 23:00 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#242 [あんず]
 

私の発した言葉は、
本能的に言ってしまったのかも知れない。
私の意志で言った訳ではないのかも知れない。


でもその言葉には、

感謝の気持ち、
喜びの気持ち、

そして、
愛しさの気持ち。


それが、含まれていることは私もわかったんだ。


 

⏰:09/12/05 23:05 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#243 [あんず]
 


あの声の人と私が、
関係あるのは
間違いない…よね?


間違いないなら、


ありがとう。


私を見つけてくれて
ありがとう……。


 

⏰:09/12/05 23:10 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#244 [あんず]
 


――――

それから私は、
変わらない時を過ごし
眠りについた。



その眠りは浅く、

静かに私を
夢の世界へと
連れて行ってくれた。


 

⏰:09/12/05 23:19 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#245 [あんず]
 

夢の中の光景は、
鮮やかな花畑。

色とりどりの花の中で、
柔らかくなびく黒髪。

ブルーの瞳をした
女性の隣には、
蜂蜜色の髪をした男性が微笑んでいた。



懐かしい、夢の光景。
幸せな、記憶。


 

⏰:09/12/05 23:24 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#246 [あんず]
 


その女性も、男性と同じく微笑んでいた。
瞳いっぱいに、
涙を浮かべながら。


そしてその二人は、
優しく、強く
抱き締めあっている。

女性は、頬に
涙が伝っていた。


 

⏰:09/12/05 23:26 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#247 [あんず]
 

そんな二人からは、
幸せそうな会話さえも
聞こえてくる。


「会いたかった…」
「好き、好きよ。」
「おかえり…」
「……っただいま」


聞き覚えのある会話。
再会の時を、
心から喜んでる二人に、
懐かしさを感じた…。


 

⏰:09/12/05 23:34 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#248 [あんず]
 


その日の夢は、

こんなに幸せな夢を
見たことがないくらい、
幸せな夢だった。



朝だって、
いつも通り目覚めても、


その夢のことは、
鮮明に覚えていた。


 

⏰:09/12/05 23:38 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#249 [あんず]
 


……今日。
星を捕まえに行って、

ヒロくんに
会いに行こう。
そして、
今日の夢を話そう。


こんな夢を見れたのも、
ずっと前から…

ヒロくんのおかげだから


 

⏰:09/12/05 23:44 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#250 [あんず]
 


ヒロくん…。
ヒロ、ご主人様。


私は様々な視点で
貴方に出逢って来たね。



黒猫だったり…
恋人だったり…
偶然会ったり…


 

⏰:09/12/05 23:46 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#251 [あんず]
 


でもね、
どんな視点からでも
貴方は優しくて、
温かくて…
私を幸せにしてくれた。


変わらない優しさで、
変わらない温かさで、
変わらない愛情で。


私を、
幸せにしてくれる。


 

⏰:09/12/05 23:49 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#252 [あんず]
 


ご主人様は


私をいつも
優しく撫でてくれた…。

その大きな手は、
いつも私を安心させて
くれていた。


あの温かさは、
いつまでも……
忘れられないよ。


 

⏰:09/12/05 23:51 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#253 [あんず]
 

ヒロは、

いつまでも
私を想っててくれた…
いつも私を
優しく抱き締めてくれた


最期の時の笑顔は
凄く貴方らしかったね。

貴方の隣は、
私の居場所でした。


 

⏰:09/12/05 23:56 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#254 [あんず]
 


そしてヒロくん、


貴方は出逢ったばかりなのにすぐ私を幸せにしてくれた。



懐かしいと感じたのも、
ヒロくんには
ヒロ…ご主人様の面影が残っているからなんだね


 

⏰:09/12/05 23:58 📱:W61K 🆔:4uM4GwxA


#255 [あんず]
 


これから、
また幸せな時を
過ごそうね。


今度は…ずっと一緒に。


私はこれから
貴方と手を取り合って
生きていきたいです


 

⏰:09/12/06 00:00 📱:W61K 🆔:MNpwuoaE


#256 [あんず]
 


そして神様…


こんな素敵な人を、
私に出逢わせてくれて
本当にありがとう



願いを……
叶えてくれてありがとう


 

⏰:09/12/06 00:04 📱:W61K 🆔:MNpwuoaE


#257 [あんず]
 


ご主人様、ヒロ。


私を幸せにしてくれて
本当にありがとう。


ヒロくん。

これから、
二人で歩いて行こうね


 

⏰:09/12/06 00:07 📱:W61K 🆔:MNpwuoaE


#258 [あんず]
 


一緒に喜んで

一緒に泣いて

一緒に笑って。



同じ時を過ごして、

手を繋ぎながら…



 

⏰:09/12/06 00:14 📱:W61K 🆔:MNpwuoaE


#259 [あんず]




そしてまた、





幸せな夢の続きを…



⏰:09/12/06 00:15 📱:W61K 🆔:MNpwuoaE


#260 [あんず]




黒猫の唄。





― E N D ―



⏰:09/12/06 00:19 📱:W61K 🆔:MNpwuoaE


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194