Ding ding dong -the story of mc Nyron-
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#1 [匿名]
俺は、地位も名声も金もなかった。
だから幸せにできない女もいた。
HIPHOPの「ひ」の字も知らなかったが、今ではこうして何万人もの前でラップをしている。
これは
この成功を影で支えてくれた女と、夢に突き進んだ俺の物語。
栄光の鐘は鳴る。
「Ding ding dong!」
:09/08/26 15:38
:D905i
:☆☆☆
#2 [匿名]
HIPHOPに出逢ってからもう10年。22歳の誕生日を迎えた。
『キングギドラ』
俺の人生を変えたラップグループ。ストレートな歌詞とラップ独特のポテンシャルにヤラレた俺は、それから10年、ブラックミュージックばかり聞いてきた。
数年はただのリスナーだった俺だが、自分でラップがしたい!と、いつの日か古臭いマイクを握っていた。
:09/08/26 15:46
:D905i
:☆☆☆
#3 [匿名]
土曜の夜には、小さなハコ(クラブ)で少数の観客相手にラップを披露する。もちろんギャラなど無く、逆にライブ料を取られるほどだ。
その為、朝はガソリンスタンドのアルバイト、夜は工事現場の交通整理、と働き詰めの毎日。
そんな俺にも愛しい彼女はいる。
夏樹(ナツキ)だ。夢見がちな俺に、何も言わず付き添ってくれている優しい女。
コイツを幸せにする為にも、このマイクで勝ち上がる!それが俺の夢だ。
:09/08/26 15:52
:D905i
:☆☆☆
#4 [み]
HIPHOP大好きです

がんばってください

:09/08/28 09:01
:F905i
:☆☆☆
#5 [匿名]
「ごめんな夏樹…夢見てばっかな俺で…」
「んーん、隆彦なら大丈夫!きっと夢かなえれるよ☆」
俯いた俺の頬をフワッと撫でて、夏樹は言う。
ボロアパートで、しかも電気もガスも止められてしまう事さえあるこんな生活に、夏樹は我慢してるだろう。
そんな仕草一つ見せず、俺の夢を応援してくれているコイツが本当に愛しい。
夏樹の笑顔だけが、俺の支えだと思う。
:09/08/28 14:48
:D905i
:☆☆☆
#6 [匿名]
俺は22歳。同年代の友達は皆、社会人だったり大学生だったりと安定した生活を送ってる。
なのに俺は……と自己嫌悪さえ覚えてしまう。
「夢に向かって頑張ってる隆彦はスゴイよ!確かに、人が敷いたレールから脱線して走るのは大変だし、辛いと思う。でもそんな逆風だって跳ね返しちゃうほどの力を隆彦は持ってると思うよ!」
こんなにいい女一人幸せにできず、何が"彼氏"だよ。
:09/08/28 14:59
:D905i
:☆☆☆
#7 [匿名]
そんな中、ある話が舞い込んできた。free style battle(フリースタイルバトル)だ。
フリースタイルバトルとは、平たく言えば、即興ラップでスキルを競うもの。事前にリリック(歌詞)を練っていくんじゃなく、その場で言葉を繋げてラップを作るという高度な技術を必要とするバトルだ。
このイベントで名をあげるラッパーも多い。
その大会が約一ヶ月後、東京のクラブ"ベントレー"であるというのだ。
この話を持ってきたのは、夏樹だった。
:09/08/28 15:13
:D905i
:☆☆☆
#8 [匿名]
「これに出場して優勝すれば、隆彦の夢にグゥゥンと近付くんじゃない!?」
夏樹はパンフレットを持ちニコニコしている。
「そうだな、でも予選が…二週間後だろ?俺フリースタイルはあんまり得意じゃねーし。」
「得意とかじゃなくて、これはチャンスじゃん!チャンスは掴まなきゃ!」
いつも前向きな夏樹。付き合い始めて三年、こんな性格の夏樹に何度励まされただろう。
:09/08/28 19:36
:D905i
:☆☆☆
#9 [匿名]
「うーん…」
この大会は、各県での予選を勝ち残った猛者達が争うバトル。俺の中で「どうせ負けるに決まってる」という考えがあった。
「苦手なら練習すればいいじゃん。まだ予選まで二週間もあるんだから!」
「…でも東京だろ?東京まで行く金もないし…」
「お金なんてどうにでもなるよ!夢への一歩なんだよ?踏み出さなきゃずーっと今のまんま、小さなクラブでしか歌えないよ!」
:09/08/28 19:45
:D905i
:☆☆☆
#10 [匿名]
「なんだよその言い方…。小さなクラブで悪かったな!もう黙っとけよお前!」
お決まりの逆ギレ。最低なのは分かってるけど、逃げ癖のついた俺はこうするしかない訳で…
「…ごめん、イヤな言い方したね…。でもあたし、これは本当大きなチャンスだと思う。頑張ってみようよ!」
「………」
俺は全てから逃げてきた。学校・家庭・社会。これだけは逃げないと思った夢"ラップ"からも逃げようとする。
:09/08/28 19:52
:D905i
:☆☆☆
#11 [匿名]
こんな俺のままでいい訳がないのは分かっているんだけど、「前に進んでみて、もし失敗したら」と考えると、怖くて現状維持でいいやと考えてしまうんだ。
もっといいやり方があるんじゃないか、と楽な逃げ道を探す癖が完全についてしまってる。
「ゆっくり考えてみたらいいよ、この大会が隆彦にとって良い話なのか悪い話なのかをね。」
「……うん。さっきは怒鳴ってごめんな。」
「んーん、あたしもイヤな言い方しちゃったから…ごめん。」
:09/08/28 23:17
:D905i
:☆☆☆
#12 [匿名]
「明日バイトで朝早いから今日はもう先寝るわ。」
「うん、おやすみ♪」
「おやすみ。」
俺は布団に入った。
俺と夏樹はかれこれ二年半、このワンルームボロアパートで同棲を続けている。
夏樹にも夢はある。ダンサーになる事だ。幼い頃からダンスを続けていて、今は地元の女友達3人で結成したダンスクルー『セクティー』のリーダーとして積極的にダンスバトルや大会に出場している。
:09/08/28 23:25
:D905i
:☆☆☆
#13 [匿名]
そもそも俺と夏樹の出会いもダンスを通してだった。
俺がいつもライブをしている地元の小さなハコ、クラブ"B-8"で夏樹率いるセクティーが踊っているのを見て俺が一目惚れしたんだ。
それから話し掛けて〜…今って訳。
なんだかんだで夢に進む2人。俺は夏樹を応援してるし、夏樹も俺を応援してくれてる。支え合って良い関係を築けてると思う。
:09/08/28 23:37
:D905i
:☆☆☆
#14 [我輩は匿名である]
AK-69めっちゃ好き

:09/08/29 00:23
:SH906i
:☆☆☆
#15 [匿名]
>>14ネタバレしちゃいましたね(/_;)笑
ラストでAK-69が出てくる予定だったのに先に言われちゃ…

ラスト変えるかな(;^-')
コメントどうもです♪
:09/08/29 01:36
:D905i
:☆☆☆
#16 [匿名]
似たような夢を追ってる俺達だけど、決定的な違いが一つある。先に何度も言った、チャンスを掴む勇気があるかないか、だ。
夏樹は大会やイベントがあれば、すぐさま出場の手続きに行き、積極的にチャンスを掴もうとする。
対して俺は、このフリースタイルバトルの出場一つにしても迷っている。前に進むのを恐れ、同じ場所で足踏みをしたまま動かないでいる。
俺はなんてダサいヤツなんだ。
自分と夏樹を比べては、ため息が出た。
:09/08/29 01:47
:D905i
:☆☆☆
#17 [匿名]
「隆彦、朝だよーっ!」
夏樹の手が俺の二の腕を叩いた。ぼやける目をこすりながら俺は起き上がる。
「おはよう♪今日ガソリンスタンドでしょ?もう7時だよ。」
「ん…あぁ…ありがと。」
「朝ご飯できてるから一緒食べよっ」
朝、夏樹は必ず俺より先に起きる。決して俺が亭主関白という訳ではないが、必ず起きてる。
そして必ず朝食が出来上がってる。
:09/08/29 01:55
:D905i
:☆☆☆
#18 [匿名]
分かってる。全ては俺の為にしてくれているんだ。
昔夏樹が言ってた。
「1日は朝ご飯で決まる」
優しい女だ。でも、長く一緒にいると感謝の気持ちさえもあまり感じなくなる。
食事と用意を済ませ、家を出る。
「今日も1日頑張ってね!」
「うん、行ってきまーす。」
キーレスすらついてない古い軽自動車に乗りガソリンスタンドへ向かう。
:09/08/29 02:04
:D905i
:☆☆☆
#19 [我輩は匿名である]
ごめんなさい

でもFANなら題名見て分かるよ〜

頑張って

:09/08/29 07:31
:SH906i
:☆☆☆
#20 [匿名]
『50CENT』を大音量で流しながらの運転は嫌いじゃなかった。車内は自分一人の空間になれるから、大声で歌ったりできるし。
「50CENTはドラッグディーラーからラップで勝ち上がったんだよな……やっぱアメリカはスゲェよ。」
車で10分、バイト先のガソリンスタンドに着いた。車にも結構興味がある俺にとってこのバイトはなかなか楽しい。
午後、一台の外車が来た。
『キャデラック・エスカレード』
俺が長年憧れてる車だ。
:09/08/29 08:53
:D905i
:☆☆☆
#21 [匿名]
その風格、存在感、全てから感じ取れる高級さは、まさにPIMP(金持ち)の車と言える。
洗車をしにきたのか、手洗いコーナーに入っていく。どんなヤツが乗っているのか気になった。
20代後半だろうか、ドルガバのポロシャツを着こなした男が運転席から出てきた。
金持ちでもない若いヤツが頑張って大型セダンに乗ってるのとは訳が違う。
成功者…。そのオーラを身に纏っていた。
:09/08/29 09:01
:D905i
:☆☆☆
#22 [匿名]
俺はその"成功者"に話し掛けてみる事にした。
「いらっしゃいませ!エスカレードかっこいいっすね!」
「ははは、俺も憧れて買ったんだよ!」
気さくに返事をくれた。『余裕』というのか。
「俺もいつかエスカレード乗りたいんですけど、金が無くて乗れないんすよー。どうやったら乗れるようになれるんすかねー。」
「頑張れば誰だって乗れるよ!君はまだ若そうだし、今から何だってなれる。」
:09/08/29 09:09
:D905i
:☆☆☆
#23 [匿名]
「そんなもんすか…。」
「でも"それ"になるにはコツがあってね。それは"継続する"って事なんだよ。」
「……継続?」
ハッキリ言って、そこまで聞いてない。でもこの人は語り出したら止まらないクチのようだ。
「君には夢がある?」
「…そりゃあ…はい、あります。」
「その夢ってどんな?」
:09/08/29 09:13
:D905i
:☆☆☆
#24 [匿名]
「いや、そんなの恥ずかしくて言えないっすよ!」
「…自分の夢を恥ずかしがっちゃダメだよ。まず夢に自信を持たなきゃ!」
「……そうですね。」
「まぁそれはいいんだけど、その夢を叶えるには"継続"がコツになるんだ。諦めずに前進する事を継続すれば、必ず夢に近付いていける。諦めてしまえば、そこで全てがジ・エンド!ってね。」
夏樹と似たような事を言ってる。確かにそれが正解かもしれないけど…。
:09/08/29 09:23
:D905i
:☆☆☆
#25 [匿名]
「継続って…意外と難しいっすよね。」
「そうかな?考え方を変えれば、継続するだけで夢を叶えれるんだよ。簡単じゃん。」
「…はあ」
「あっ、なんか語っちゃってゴメンね!とりあえず今はこの仕事を頑張って!」
そう言うと彼はトランクを開けた。
俺が何気なくフロントガラスを見ると、助手席にいる女性と目が合った。
:09/08/29 09:28
:D905i
:☆☆☆
#26 [匿名]
その女性は、まるで虫けらを見るような目で俺を見下ろしている。
エスカレードの高い位置の助手席から、薄汚いスタンドの制服を着て地面を歩く俺を…。
俺はパッと目をそらした。
悔しい。悔しくて悔しくてたまらない!
この男性は、あの女性を幸せにしてやれてるんだろう。俺は…夏樹に迷惑をかけてばっかりだ。
全て金が幸せとは思わないけど、金が無ければ幸せを語る暇もないんだ。
:09/08/29 09:39
:D905i
:☆☆☆
#27 [匿名]
トイレに駆け込んだ俺は、思いっきり壁を殴った。悔しさで痛みなんか感じない。
自然と涙が出る。
助手席から見下ろしていた、あの目が頭から離れない。
『クソッ!クソッ!!』
しばらくすると、感情は落ち着いてきた。
:09/08/29 09:43
:D905i
:☆☆☆
#28 [匿名]
あの助手席に夏樹を乗せてやりたい。
「いや、絶対乗せてやる!」
俺はトイレを出て、もう一度エスカレードの前を通り助手席を睨んだ。
女性は相変わらずの目で俺を見下ろす。
『フン…今の内にそうやってのさばってろ。俺はぜってぇお前らを超えるビッグになってやるからな!』
俺の拳は力強く握られていた。
:09/08/29 09:50
:D905i
:☆☆☆
#29 [匿名]
バイトが終わり、家に帰ると夏樹はいなかった。
『そういえば夕方からダンスの練習とか言ってたな…』
冷蔵庫を開けると朝ご飯の残りが入ってたから、それを食べる事に。
何気なくCDをかけ、足でリズムを取る。
テーブルに置いてあったフリースタイルバトルのポスターを手に取り、内容をじっくり見る。
県予選は13日後、クラブ"ザッツ"。自宅からそう遠くない場所だ。
:09/08/29 10:14
:D905i
:☆☆☆
#30 [匿名]
その予選を勝ち上がれば、約一ヶ月後、東京のクラブ"ベントレー"で本大会だ。
エントリー費15000円。優勝賞金300万円。準優勝賞金100万円。1000人以上の観客を予想…
まさに夢の舞台。こんな話から俺は昨日逃げようとしたのか。
フッと頭をよぎる、あの目。
「虫けらだって空を飛べるんだぜ。」
俺はいつも愛用しているライム帳(ライムとは韻の事。韻、つまり母音の似た語句を並べて歌う事によりラップが完成する)を開いた。
:09/08/29 10:26
:D905i
:☆☆☆
#31 [
]
ヒップホップ大好きです

頑張ってください
:09/08/30 07:15
:N905i
:☆☆☆
#32 [匿名]
コメントありがとうございます(^-^)v
:09/09/01 12:11
:D905i
:☆☆☆
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