ピンクな気分。U
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#1 [のの子]
 
ピンクな気分。の続きを書かせていただくのの子です

よろしくお願いします


↓ピンクな気分。
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9640/
 
.

⏰:09/09/30 21:13 📱:SH06A3 🆔:aFVkM0kY


#2 [ハナ]
キャァ---
頑張ってぇ

⏰:09/09/30 21:19 📱:SO903iTV 🆔:bPzlBQf2


#3 [のの子]
聡美Side

――――――

「聡美〜ご飯〜っ!」

「はぁいっ!今行く〜。」

はぁ‥

ため息をつくと私は携帯を握ったまま下に降りた。

テーブルに並んだ夜ご飯はそうめんとその他もろもろのおかず。

「いただきま〜す‥」

テレビのついたリビングは私が喋らなくても十分賑やかで、私はテーブルに置いた携帯をじっと見つめたままそうめんをすする。

桜姉がテレビを見て笑う声や、お母さんの声もどこか遠くに感じた。
.

⏰:09/10/02 20:51 📱:SH06A3 🆔:lcTBDkYw


#4 [のの子]
 
‥鳴らないなぁ。

「‥‥ってかご飯食べる時ぐらい彼氏の事忘れたら?」

ギクッ

桜姉がそうめんをお茶碗にとる。

「何〜?喧嘩でもしたの?」

お母さんまで話に入ってきた。

「ちっ違うよっ!ただ、メールがこないだけ‥」

「ってか本当に彼氏からのメール待ってたんだ。別になんかしてんじゃないのぉ?それかあんたが何かしたか。」
ズズッ

そうめんを食べながらまたテレビを見出す桜姉とは逆に私は箸を持つ手を置く。.

⏰:09/10/03 20:40 📱:SH06A3 🆔:DSuOOkNo


#5 [のの子]
 
「うわぁ、心当たりあんのぉ?」

うっ‥たっ確かに心当たりはあるよ。 そりゃもちろん明日の事でしょ。

やっぱ怒ってんだぁ〜‥
どうしよう。

「全く、連絡したの?」

お母さんが呆れた顔で言う。

「ん‥まだしてないけど‥でもウザがられるかもだし。」

「とりあえずしてみたら?しなきゃわかんないでしょうが。彼氏なんでしょ?」

「‥うん。」

ズルズル

いつもと同じそうめんがなかなか喉を通らない。

竜二君、何してんの?
.

⏰:09/10/03 20:52 📱:SH06A3 🆔:DSuOOkNo


#6 [のの子]
 
―――――
パタンッ

静かな部屋に戻るとすぐベッドに座る。

相変わらず携帯はならない。

「はぁ‥‥‥よしっ!」

もう覚え始めてきた竜二君の番号。いつもとは違うドキドキを胸にボタンを押す。

カチッ
♪〜♪〜♪

ってか出てくれなかったら泣くからねぇ‥

そんな事を心で叫びながら天井を見つめる。

⏰:09/10/05 00:14 📱:SH06A3 🆔:5ZBadnr2


#7 [のの子]
 
♪〜♪〜♪

うぅ‥やっぱ出な
ピッ
「‥はぃ‥?」

出たっ!

「あっ竜二君?あのっ聡美ですっ!あのね、あの〜‥連絡こないからそのっあのしっ心配でっ!心配でね、電話を‥したんですが。」

「‥うん‥ありがとぉ‥」

‥‥‥‥ん?

「竜二君、今大丈夫?」

「ん〜‥?何ぃ?」

‥‥‥‥なんか変っ!?

いつもと違ってなんか話し方違うよね?
.

⏰:09/10/05 22:42 📱:SH06A3 🆔:5ZBadnr2


#8 [のの子]
 
「ぇっと何してたの?」

「‥ん〜?‥なんかぁ寝てたみたい‥」

まさか‥寝ぼけてる?

「まだ眠い?」

「ん‥ちょっとだけ‥」

「じゃ電話切ろうか?」

「ん〜‥‥電話するぅ‥」

なんか‥
竜二君可愛いっ!!
.

⏰:09/10/05 22:52 📱:SH06A3 🆔:5ZBadnr2


#9 [のの子]
 
さっきまでの不安は消え去っていた。

竜二君て寝ぼけるとこんな風になるんだぁ♪

「ねぇ聡美ぃ‥?」

「あっなになに?」

「夏休みさぁ‥たくさん会おうねぇ‥?」

「うんっ♪」

「ねぇ聡美ぃ‥」

クスッ
「なぁに〜?」


「俺がもし別れようって言ったらどうする?」


.

⏰:09/10/05 23:00 📱:SH06A3 🆔:5ZBadnr2


#10 [ハナ]
頑張って下さいね

⏰:09/10/05 23:09 📱:SO903iTV 🆔:2D7.jBTM


#11 [髑髏-ドクロ-]

やだ(゚Д゚)←


楽しいです!
頑張ってください(^ω^)

⏰:09/10/06 00:01 📱:SH705i 🆔:F5IwqHw2


#12 [のの子]
ハナさん
髑髏-ドクロ-さん

ありがとうございます
新スレになって更新遅いですが楽しみに待っていて下さると嬉しいです

皆様へ。

いつも読んでくださってありがとうございます
実は今までの意見で感想スレを別にしてくださいやオーダーをしてみては?との声があったので勝手ながらオーダーをさせて頂きました


今後は感想などは感想板にお願いします
申し訳ありません

⏰:09/10/07 00:21 📱:SH06A3 🆔:S0wGLLD2


#13 [のの子]
 
ドクンッ

別れる?

笑ったままの口元‥
というか動けなくなった。
ドクン ドクン

「ねぇどうする‥?」


本当に寝ぼけてるの?
今更そんな疑問が浮かび上がる。

電話をする前に抱いていた不安がまた溢れ出す。

ドクンッ

「‥泣く‥‥かな‥」
.

⏰:09/10/07 00:43 📱:SH06A3 🆔:S0wGLLD2


#14 [のの子]
 
「泣いて泣いて‥空っぽになるよ、きっと‥」

まだ私の心臓は痛いくらい私を締め付ける。

怒ってるの?


「‥そっか。」

‥?

「っはぁ〜、なんか目覚めてきた。今何時?」

「えっ!〜っと8時ちょっと過ぎたとこだけど‥」

「8時か。よしっ今から会いに行くよ。」
.

⏰:09/10/07 11:03 📱:SH06A3 🆔:S0wGLLD2


#15 [のの子]
 
「えぇっ?!!!ちょちょちょっと待って!もう夜だし、今から来るとかっ‥」

「明日から夏休みなんだよ?大丈夫だよ。30分ぐらいで着くから。」

「でもぉっ!」

「じゃいつもの公園着いたら連絡するよ。後でね。」

プーップーッ

なんていう自分勝手‥

何よっもしもの話でも別れようとか言ったくせに。

私がどんだけ恐かったか知らないくせに。


‥‥だから会いに来てくれるの?
.

⏰:09/10/07 22:18 📱:SH06A3 🆔:S0wGLLD2


#16 [のの子]
 

‥‥‥‥‥‥バカ。

「もう化粧落としちゃったのにな‥」

そういいながら携帯の時間を見つめる。

30分後、彼に会える。

会いたい。

会いたい。

今すぐ会いたいよ。


バッ

立ち上がるとすぐクローゼットを開ける。

「何着よう‥」

.

⏰:09/10/07 22:22 📱:SH06A3 🆔:S0wGLLD2


#17 [のの子]
――――――

8:43

「はぁっはぁ‥」

「! 聡美っこっち。」

あっ‥

ベンチに座って手をあげたのは間違いなく竜二君だった。

「はぁっはぁ‥ごめんね、待った?」

「いや、大丈夫。俺こそ急にごめんね。」

「ん‥平気。」

なんかこうやって夜会うの初めてで‥ドキドキする。

もう7月半ばでも夜の風は蒸し暑さを少し和らげながら、私の髪を揺らす。
.

⏰:09/10/08 01:07 📱:SH06A3 🆔:RxX1q5SY


#18 [のの子]
 
黙り込む私を見つめて笑う竜二君。

「クスッ‥緊張してる?」

「‥ん、ちょっと‥」

だって本当に急だったからスッピンだし、服装だって結局ブラウスとショートパンツ。

制服以外で会うの初めてだったのにな‥

一方彼は髪もワックスつけてるし、服装もノースリーブにシャツを羽織って下はカーキ色のパンツとか履いちゃって‥‥

‥‥カッコイイ


なんか本当‥ドキドキする。

⏰:09/10/08 01:17 📱:SH06A3 🆔:RxX1q5SY


#19 [のの子]
 
あんな事言われた後だから余計なのかな。

「‥可愛い。」

そう言って竜二君は私の頭を撫でる。

キュンッ

髪の毛結ばなくて良かったぁ‥

そんな事を考えていると、竜二君が夜空を見上げる。

「冬もだけど夏も星がキレイだよねぇ。」

「そうだね。」

二人で見上げる夜空に星はたくさんあった。

でも今ここには私達だけしかいなくて‥

世界は狭く、広く感じた。.

⏰:09/10/09 14:28 📱:SH06A3 🆔:DZ30X4ks


#20 [のの子]
 
「竜二君‥‥」

「ん?」

「さっき、なんであんな事言ったの?」

「あんな事って‥もしもの話?」

そう、もしも別れようって言ったらの話。

「なんで言ったの?」

今の私の目に映るのは彼だけ。

「ん〜‥好きだから。」

竜二君は膝に頬杖をつきながら笑う。

⏰:09/10/09 17:39 📱:SH06A3 🆔:DZ30X4ks


#21 [のの子]
 
「好きだから、聡美の為ならなんでもするよ。」

笑いながらも私を見ないで何かを見つめる彼が、何を見てるか私もその先を見つめたけど、私には何も見えなかった。


「‥私も好きだよ。」

彼が何を見ているか何を思っているのかわからなくて、それしか言えなかった。


「せっかく会いにきたのに泣くなよ。泣き虫‥」

.

⏰:09/10/09 17:45 📱:SH06A3 🆔:DZ30X4ks


#22 [のの子]
 
「泣いてないもん‥」

私の目から零れた水を竜二君が温かい指でぬぐう。

『好きだから、聡美の為ならなんでもするよ』

なんでもの中にはきっと悲しい事も含まれている事が伝わってくる。

好きになる事はこんなにも温かく、冷たい。


「‥明日はどうするの?行くの?」

明日‥‥‥

「行かない。」
.

⏰:09/10/09 20:58 📱:SH06A3 🆔:DZ30X4ks


#23 [のの子]
 
「行かないの?彰きっと怒るよ?」

「別にいいもん‥」

そう言って私は竜二君にくっつく。

「行かない。」

行かないから

どこにも行かないから

離れないで‥

キュッとシャツの裾を掴む。

竜二君は笑いながら私の手を握るとコツンと肩が当たった。
.

⏰:09/10/09 21:06 📱:SH06A3 🆔:DZ30X4ks


#24 [のの子]
 
私いつからこんなに弱くなったんだろう?

少し前は一人でも大丈夫だったのに‥

私の身体はいつの間にこんなに竜二君に染まっていたんだろう‥

竜二君のくっついたままの肩が温かくなる。


「‥でも彰はたぶんずっと待つよ?聡美が来るまで‥」

ズキンッ

彰君‥‥
.

⏰:09/10/09 21:11 📱:SH06A3 🆔:DZ30X4ks


#25 [のの子]
 
彰君が私を待つ姿が頭に浮かぶ。

「‥行ってくれば?昼間も言ったけど俺なら大丈夫だからさ。」

「‥‥嫌じゃないの?」

ギュッと手に力を入れる。

「そりゃいい気分じゃないけど、大丈夫。」

力の入った手を竜二君の手が優しく包み込む。


『あの事』

それを知ってしまった私は、もう彰君をほっとけなくなってた。

私と似た彼は

一人ぼっちで

まだ俯いたまま‥
.

⏰:09/10/10 18:28 📱:SH06A3 🆔:7to.RVnE


#26 [のの子]
 
一度行ってみようと決めたけど、今更になって竜二君の気持ちや自分の愚かさを感じてきた。

私はずるい‥

竜二君の気持ちも彰君をも見て見ぬふりができない、ただの偽善者。


「間違ってないよ。」



「聡美は間違ってない。俺がついてるから大丈夫だよ。」
.

⏰:09/10/10 18:47 📱:SH06A3 🆔:7to.RVnE


#27 [のの子]
 
そういって彼が真っ直ぐ見つめていたのは
    私だった。


「本当に‥どこまで優しいの?竜二君は‥」

私が困ったように笑うと竜二君も笑った。



ありがとう
ごめんね

両方とも言えなかった。

知ってしまった罪悪感は
きっともう消せない。


.
「」

⏰:09/10/11 20:20 📱:SH06A3 🆔:gltkxid6


#28 [のの子]
竜二Side

次の日――――

チュンチュン チュン

どこにいるかわからない雀の声がうっすら聞こえる西岡家。


「あら、夏休み初日なのに早起きなんてどうしたの?」

「‥友達が来るから。」

キッチンで朝から何かを作っている母さんを横に俺は冷蔵庫を開ける。

「友達って彰君達?‥でもだからって早いんじゃないのぉ?まだ8時になるとこじゃない。」

ペットボトルの水をコップに注ぎながら俺は一瞬考える‥‥

「‥‥彼女もくる‥」
.

⏰:09/10/11 20:28 📱:SH06A3 🆔:gltkxid6


#29 [のの子]
 
「えっ‥‥」

母さんが固まったのを無視して水を一口飲む。

この匂い‥またケーキ作ってんのか。

「ちょっとあんた彼女いたのっ?!!」

母さんは俺の両肩を掴んで真っ直ぐと俺を見つめてきた。

肩痛い‥

「いたよ。悪い?」

「悪いわけないでしょ〜!まぁ言わないあんたは悪いけど‥そう〜‥彼女も来るのね。」

⏰:09/10/11 20:36 📱:SH06A3 🆔:gltkxid6


#30 [のの子]
 
「ならケーキ作っといて良かったぁ♪あっでも彰君達も来るんでしょう?じゃクッキーも作ろうかしら‥」

「彰と彼女しか来ないからケーキだけでいいよ。昼ぐらいに来るから。」

母さんがニコニコ‥いやニヤニヤと笑ってるのが嫌ですぐにソファに座った。

別に隠してたつもりはなかったし、今までそういう話題にならなかっただけだ。

まぁ今日、聡美が家に来るのはいいきっかけだったのかもしれない‥
.

⏰:09/10/11 20:45 📱:SH06A3 🆔:gltkxid6


#31 [のの子]
 
昨日の夜―――

「‥竜二君も来る?」

「えっ?」

「宿題やろうって言ってたし‥三人ならどう、かな?」

あぁ〜‥どうだろ。

「でも彰が許すか‥
「ダメ?」

あぁ〜これはまさか‥‥

世に言う『上目遣い』?

うん。
やっぱ聡美可愛い‥

「いいよ。」

――――――

⏰:09/10/11 20:55 📱:SH06A3 🆔:gltkxid6


#32 [のの子]
 
俺も男。単純でバカだ。

好きな子には弱い。

それにしても、あの潤目に上目遣いは

「反則だろ‥‥」

まぁ一応図書館でもしも彰と俺が喧嘩になった時の為に、俺の家に変更してもらった。

ってか彰来るかな?来なかったら聡美と二人か‥

そんな淡い期待を考えながら俺はまた水を一口飲んでテレビを見つめた。
.

⏰:09/10/11 21:05 📱:SH06A3 🆔:gltkxid6


#33 [のの子]
 
――――――
13:07
ピンポーン

「母さぁんっ!来たっぽいよー。」

「はぁい♪」

ガチャッ

俺が玄関のドアを開けると彰がイラついた顔で立っていた。

「よっ‥遅かったね?」

「こいつどうにかして。」

彰が後ろに指さすと、聡美が下を向いて立っていた。.

⏰:09/10/11 21:14 📱:SH06A3 🆔:gltkxid6


#34 [のの子]
 
その前にお前の面どうにかしろっつーの。

「あれ‥どうしたの?」

「あいつ緊張してんのかずっとあれでさぁ、10分も前にお前ん家着いてたのに固まってんの。いい加減暑いし俺が呼び鈴鳴らした。」

あぁ〜なるほど。

聡美は下を向いたままだったけど、お団子に結んでいるから耳が赤くなってるのがわかった。

昨日の夜、場所を俺ん家に決めた時もあんなんなったもんなぁ。

.

⏰:09/10/12 00:25 📱:SH06A3 🆔:pFmCBKXs


#35 [のの子]
 
一旦外に出て玄関のドアを閉める。

聡美は相変わらずモジモジとするように下をむいたまま‥

「いらっしゃい。そんな緊張しなくたって大丈夫だよ。」

そういって頭を撫でると

「あのっ!こっこれ良かったらどうぞっ!!」

グイッと差し出してきた袋の中にあったのは、母さんの大好きなあんみつ。

彰から聞いたのか‥
.

⏰:09/10/12 17:46 📱:SH06A3 🆔:pFmCBKXs


#36 [のの子]
 
チラッと彰を見るとイラついたまの顔で庭の花を見ていた。

何イラついてんだよ‥

でも聡美を見ると下唇を噛んで顔を赤くしてる姿が可愛くて笑いそうになった。

「ありがとう。入って。」

聡美の手を引いて家に入れる。

「ぉっお邪魔しま
「いらっしゃぁい♪♪」

.

⏰:09/10/12 20:55 📱:SH06A3 🆔:pFmCBKXs


#37 [のの子]
 
「彰君久しぶりねぇ♪あっどうも、竜二の母です〜。」

聡美の声を掻き消した母さんは玄関に立って俺達を待っていた、らしい。

ニコニコ笑いながら俺達を見つめている。

「あっあの私竜二君と同じクラスの二ノ宮聡美ですっ。今日はよろしくお願いします!」

よろしくって‥

びっくりしたのか聡美はさっきまでとは違ってカチカチになってお辞儀をする。

「まぁ‥竜二の彼女さんなのよね?」

ピクッ

「‥はい、すみません‥」
「いや謝んなくていいからっ。」

今度は顔を青くしてく聡美。
.

⏰:09/10/12 21:05 📱:SH06A3 🆔:pFmCBKXs


#38 [のの子]
 
「どうぞ上がってください♪お茶持ってくわね。」

「いや、俺持ってくよ。俺の部屋2階だから二人は先行ってて。」

聡美の頭をクシャッと撫でると母さんの後についてキッチンに向かう。

―――

「可愛い子じゃない♪お兄ちゃんはキレイ系がタイプだったけど竜二はあういう子がタイプなのかぁ。」

母さんがコップにお茶を注ぎながら笑う。

「はいはい。‥ったく、わざわざ部屋に来なくていいからね?」
.
母さんが

⏰:09/10/13 23:56 📱:SH06A3 🆔:l2T.nD7c


#39 [のの子]
 
「あとそれ聡美があんみつくれたから食べていいよ。」

「あんみつっ?やだ、誰から私の好きな物聞いたのかしら『聡美』ちゃ〜ん♪」

ふざける母さんを無視して2階に向かう。

カチャ

部屋のドアを開けるとふわぁっとカーテンがゆれた。

「ごめん、クーラーつけてなかった。」

「俺は平気。」

「私も大丈夫だよ。」
.

⏰:09/10/14 14:46 📱:SH06A3 🆔:6fxK8x6k


#40 [のの子]
 
「そっか。」


ミーンミーン ミーンミーン


‥‥何この空気。

気まずいような照れ臭いようなこの空気。


「えっと‥部屋、きれいだね。」

聡美がグルッと俺の部屋を見渡す。

「そう?でも午前中に一応掃除したからかな。」
.

⏰:09/10/14 15:04 📱:SH06A3 🆔:6fxK8x6k


#41 [のの子]
 
「でもきれい。」

ニコッと笑う聡美はさっきより顔色が良くなっていた。


「ってかおかしいだろ‥」

「「え?」」

彰が俺のベッドに座りながら俺達を睨む。

「え?じゃねぇしっ。なんで竜二がいて、しかも竜二の部屋で勉強しなきゃいけないんだよっ!」

完璧二人が良かったって言ってるようなもんだな。
.

⏰:09/10/14 20:21 📱:SH06A3 🆔:6fxK8x6k


#42 [のの子]
 
「そんな怒んないでよぉ。みんなで勉強できるんだしいいじゃん、あっきー‥」

聡美がグラスを手に弱々しい声で呟く。

「お前っ!あっきーって呼ぶなっ!」

「あっきー?」

俺がキョトンとすると聡美が笑い出した。

「ぷっ‥あっきーはあっきーだもんねぇ♪」

「てんめぇ〜‥この口はどうしたら黙んだよ?ん?」

冷たく笑いながら聡美のほっぺをつまむ彰。

痛いと騒ぐ聡美を見つめる瞳は 温かかった。
.

⏰:09/10/14 20:36 📱:SH06A3 🆔:6fxK8x6k


#43 [のの子]
 
確か祐輔があっきーって彰の事呼んでたっけ‥

ふざけ合う二人を見つめながら俺は冷静にまだ『あっきー』について考えていた。

あっきーの謎が解けてもまだふざけあう二人。


‥‥懐かしい。

昔、こんな光景を見た。

俺の前に彰と彼女がいて、笑い合う。

優しい時間だった。

居心地が良くて離したくなかった。
.

⏰:09/10/14 20:43 📱:SH06A3 🆔:6fxK8x6k


#44 [のの子]
 
でもそれは崩れ去ってしまった。

でも今、目の前の光景は

あの時とすごい似てて

また痛みが胸に突き刺さる。

カチャンッ!

っ!?

「ったく、さっさと宿題やって帰るからな。

彰がテーブルにぶつかった音にハッとする。
.

⏰:09/10/14 20:53 📱:SH06A3 🆔:6fxK8x6k


#45 [のの子]
 
‥俺の部屋に呼んだのは間違いだったかもしれない。

そんな事を今更思う。

「痛〜い‥」

つままれたほっぺを撫でる聡美。

「大丈夫?」

「うん。‥よしっそろそろ本当宿題やろっか。」

聡美が可愛らしいキャラクターの筆箱からピンクのシャーペンを出す。

「だね。」

俺も宿題のプリントを何枚か出すと、どれからやるか考える。
.

⏰:09/10/15 23:51 📱:SH06A3 🆔:V7nTYruk


#46 [のの子]
 
クラスの違う彰と宿題が少し違うのもあったけどだいたい同じだった。

とりあえず数学からやることになった。

計算問題のプリント2枚だけだっけど、3人でやれば早く終わるだろう。



自然と無言になる。

「これって‥‥どの公式だろ?えっと〜‥」

聡美以外は。
.

⏰:09/10/15 23:56 📱:SH06A3 🆔:V7nTYruk


#47 [のの子]
 
クスッ
いつもの独り言か。

お茶を飲むふりをしながら聡美を見ると、シャーペンを顎に当てて一生懸命考えている姿が可愛らしかった。

ついでに彰を見るとやっぱり呆れた目で聡美を見つめていた。

顔には『うるさい』って書いてあるのがわかる。

でもまたさっきと同じように優しく笑ってまたプリントに目を戻す。

その時彰と目があった。
.

⏰:09/10/16 00:05 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#48 [のの子]
 
“ バーカ ”

彰が口パクで俺に言ってきた。

“ お前もな ”

俺もベーッ舌を出す。

フンッと笑った彰はすぐにプリントに目を戻して計算を解きだした。

ミーンミーン ミーンミーン

相変わらず俺の部屋には聡美の小さな独り言と、外から聞こえるセミの声が響くだけ。

いつもはうるさく感じるセミの声も、なんでか今日は居心地が良く感じた。
.

⏰:09/10/16 00:15 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#49 [のの子]
彰side

コンコンッ
「竜二、ケーキ用意したから持ってって?」

するとすぐにドアの向こうからおばさんの階段を降りる足音が聞こえた。

「わっもう3時半過ぎてる!早いな〜‥」

聡美が携帯を見ていると竜二が立ち上がる。

「じゃ休憩にしよっか。ちょっと待ってて。」

そういって出ていくと、聡美はテーブルの上にあるプリントを片付け始めた。
.

⏰:09/10/16 09:06 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#50 [のの子]
 
プリントを整えながらチラッと俺を見ると、ほっぺを赤くする。

「‥何?」

俺は空になったグラスを見つめる。

「私、男の人の部屋って初めてなんだぁ‥だからすごい緊張してたんだけど、彰君がいてくれて良かった。」

照れるように笑う聡美がなんだか憎たらしく感じる。

「あっそー‥ってかお前マジで竜二が初の彼氏なの?」

今の御時世、高二にもなって初彼は珍しくないか?
.

⏰:09/10/16 20:00 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#51 [のの子]
 
「うん。」

またほっぺをを赤くする聡美が憎たらしい。

竜二が初めてって事はこいつ‥

「へぇ‥じゃ竜二とキスした?」

「ふぇっ??!なな何急にっ!」

ピンクだった頬がどんどん真っ赤になる。

「キス。したの?」

俺は頬杖をつきながら普通に聡美を見つめる。
.

⏰:09/10/16 20:12 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#52 [のの子]
 
「おっ教えるわけないじゃんっ!エッチ!」

フンッとそっぽを向く聡美。

ふ〜ん‥したんだ。
ってかこれぐらいでエッチはないだろ。

それに聡美の反応見てれば誰だってわかるし。

「じゃ一応もうキスは済ましたとして〜‥次は何すんのかねぇ?」

聡美がピクッとすると顔が段々俯いていく。

‥まだキスだけか。
.

⏰:09/10/16 20:17 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#53 [のの子]
 
でもこいつの初めては全部竜二なんだろうな‥

そんな目でそっぽを向いたままの聡美を見つめる。

イラッ

‥‥なんかムカつく。

キシッ

気づかれないようにゆっくりと聡美の後ろに近づいてく。

「初めては大事にしなね、聡美ちゃん?」

聡美の肩を掴み耳元で小さな低い声で呟く。

ビクッ!

「やっっ‥‥!」
.

⏰:09/10/16 20:25 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#54 [のの子]
 

チュッ‥‥‥‥


「‥っ!‥‥‥」

顔を真っ赤にしながら唇を隠す聡美とは逆に俺の唇は笑う。

「うわぁー‥何?セカンドキスは竜二じゃなくて俺が良かったの?」

俺と聡美の距離はもう30aもない。

「ちがっ!い今のは‥事故だもん。」

目をそらす聡美を俺は冷静な目で見つめる。

「事故って言ってもキスじゃん、今の。」
.

⏰:09/10/16 20:38 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#55 [のの子]
 
俺の声に驚いて振り返ってきた聡美の唇と俺の唇は、上手い具合に重なった。

「違う?」

聡美は混乱してるのか何も言い返してこない。

そんな聡美を見て俺は、今もまだ唇を隠す手を掴んでゆっくりおろす。

微かに震えている手には力なんてなかった。

「下に竜二いんのに他の男とキスするなんて‥最低な彼女。」

「そっそんな‥だって今のは‥」

涙目になる聡美。

別に泣かしたかったわけじゃないし、泣いてほしくもなかった。
.

⏰:09/10/16 20:49 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#56 [のの子]
 
俺の汚い手で汚すつもりもなかった。

ただ、竜二の色に染まっていくなら俺の手で汚してしまおう‥そんな考えが聡美を掴んだんだ。


「なんでっ‥こんなひどい事‥‥」

俺の目を見ない聡美。


「好きだから‥」



.

⏰:09/10/17 20:12 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#57 [のの子]
 


「‥‥えっ?」


聡美が俺の目を見つめた瞬間、聡美の目から涙がこぼれる。

ギシッ

竜二だろうか。階段をゆっくりと上って来る音が聞こえてきた。

それでもまだ見つめ合う俺達二人だけの時間は、もう終わる。

ギシッ

階段を上ってくる音はカウントダウン。

ギシッ
.

⏰:09/10/17 20:21 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#58 [のの子]
 

今日、本当に二人だけで会っていたらどうなっていたんだろう。

ふっと考える。


グイッ

これが最後だから‥

聡美の肩を引っ張り優しく抱きしめる。


「うそだよ。ごめん‥お前は竜二の彼女だ。」



「あきらくっ

.

⏰:09/10/17 20:24 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#59 [のの子]
 
ガチャッ

「お待たせ。」

竜二がケーキを持ってドアを開ける。

俺と聡美の距離はさっきまでと同じに戻っていた。

「ん〜‥何ケーキ?」

「今日はチーズケーキ。聡美チーズ大丈夫?」

「えっ‥あっうん、チーズケーキ大好き。」

そっか、と笑う竜二とは逆に聡美は目を伏せる。

バレたいのかよ、バカ‥


.

⏰:09/10/17 20:31 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#60 [のの子]
 
俺は平然を装うように聡美を無視した。

でも竜二が気づいてるのか気になって俺も自然と目を伏せた。

おばさんの手作りケーキを一口食べるとなんだか落ち着く。

やっぱ上手いなぁ‥


「なんかあった?」

「はっ‥何が?」

「二人‥なんか変だよ。」

竜二がチーズケーキを食べながら笑う。

その笑い方はまるで何もかもお見通しのような余裕さを感じた。

.

⏰:09/10/17 20:40 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#61 [のの子]
 
「別に何もないけど。」

俺はフォークの先を見つめて言う。

「そう。じゃ聡美は何かあった?」

「ぇっ‥」

聡美を見ないようにしていた俺もつい聡美に目がいく。

「何もないよ?それよりチーズケーキ美味しい。」

そう言って笑う聡美の目はいつも見たく笑えてない。

「‥‥ありがとう。母さん料理教室の先生なんだよ。」

「そうなんだ!すごぉい。」
.

⏰:09/10/17 20:48 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#62 [のの子]
 
竜二は笑いながらそんな事ないよ、と言うとケーキを口に運ぶ。

聡美も笑いながらケーキを食べる。

‥まるで仮面をかぶってるみたいだな。

今の二人を見てるとそうとしか見えなかった。


「俺さぁ‥」

この空間に耐えられなくなった。

聡美はピクッと肩を揺らすと俺をじっと見つめてきた。

竜二は目をふせたまま‥
.

⏰:09/10/21 14:22 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#63 [のの子]
 

「用事思い出したから帰るわ。」


まだチーズケーキが半分も残っているのが名残惜しかったけど、もう無理。

ここから逃げ出したい。

二人を見ていると、自分のした事の罪の重さが伝わってくる。

‥恐かった。

二人を傷つけた事も、失う事も、恐くて見てられなかったんだ。

バッグを手に俺は竜二の部屋を出る。
.

⏰:09/10/21 14:28 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#64 [のの子]
 
気持ちは焦るがゆっくり落ち着きながら階段を下りていく。

「あれっ彰君もう帰るの?」

キッチンにいたおばさんが顔をだしてきた。

「これから用事あって。久しぶりのおばさんのケーキ美味しかったですよ。」

そう笑うとおばさんもふふっと笑う。

「はいっこれ♪」

「なんすか、これ?」

おばさんがくれたのは小さな白い箱。

「チーズケーキ♪祐輔君の分もあるから家食べて?」.

⏰:09/10/21 14:34 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#65 [のの子]
 
「あぁ〜なんかすみません。」

「いいえ〜♪気をつけてね。」

おばさんに見送られながら俺は西岡家を出た。



「はぁ〜〜〜っ‥」

誰かん家の木でできた影に入ると壁に寄り掛かる。

あの重い空気。
あの仮面みたいな笑顔。

竜二‥感づいてる。

⏰:09/10/21 14:38 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#66 [のの子]
 
「ってかマジで何してんだよ、俺‥」

二人にイラついて
聡美にキスして
聡美に好きって言って


「俺が好きなのはあいつだって言ってんのに‥なんでっ‥‥なんでだよクソッ!!」

うずくまるように地面に座る。


なんで なんで

「なんでいなくなっちゃったんだよ、真琴‥」

.

⏰:09/10/21 14:43 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#67 [のの子]
聡美Side

「彰君‥本当に帰っちゃった。」

「うん。」

彰君を引き止める事も、さよならも言わないまま出てってしまった。

美味しいチーズケーキを半分も残して‥

さっきの事気にしてるのかな。

ってそりゃ気にしてもらわなきゃ納得行かない!

けど‥
.

⏰:09/10/21 19:01 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#68 [のの子]
 

『好きだから』

その言葉が今も私の胸を鳴らし続ける。

ドクン  ドクン

彰君の茶色い髪の毛が外の光で明るく見えたあの時、彼の言葉と瞳が私の何かを掴んだ。


ってコラコラッ!
何考えてんの私っ!!

私が好きなのは竜二君だもん。

竜二君だけだもんっ。
.

⏰:09/10/21 19:07 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#69 [のの子]
 
彰君を気にしちゃってるのはあの事があったからで、やましい気持ち一切ないんだからっ!
ぜった
「何考えてるの?」

「っっ!」

竜二君が私の手を掴んだ。

ビックリしたぁ。

「今何考えてたの?」

「えっ別に何も‥」

ギュッと掴んだ手はうっすら痛く感じる。

「本当かな?彰じゃない?今聡美のここにいるの。」

竜二君が頭を人差し指でコツコツと叩く。
.

⏰:09/10/21 19:12 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#70 [のの子]
 
「そっそんな事ない‥手‥痛いよ。離して?」

竜二君の言ってた事は半分以上は合ってる。

図星に近い。

でも私の中には竜二君だっているんだ。

「‥竜二君っ‥‥」

冷たい目で私を見つめる竜二君は黙ったまま手を離さない。

「この手を離したら彰ん所にでも行くの‥?」

ドクン ドクン
.

⏰:09/10/21 22:12 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#71 [のの子]
 
「俺を残して行くの?」

ドクン ドクン

竜二君の手にグッと力が入ると、私の心臓も捕まれたかのように締め付けられる。

痛っ‥

「行かないってばぁ‥」

俯いた私から涙がこぼれる。

こんなに‥

こんなに近くて私の手を握り締めているのに

私の隣にいた竜二君はいなくなっていく。

竜二君の目は今までで一番冷たくて悲しげで‥

もう私なんか見てない。


「俺、嘘つきは嫌い。」


.

⏰:09/10/21 22:28 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#72 [のの子]
竜二Side

守りたくて離したくなくて

しっかり掴んでいた手を

今、ここで俺から離すよ。

悲しくて辛くて苦しい。

でも君の為に。

彼の為に。

彼女の為に。

俺は大好きな君の前からいなくなる。
.

⏰:09/10/21 22:40 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#73 [のの子]
 
二人を守りたかったし

幸せになってほしかった。

ドアの前で聞いた彼の小さな言葉。

『好きだから』

その言葉を聞いてわかった。

二人を想うなら俺がいなくなればいいんだって‥

簡単な事だった。

こんな簡単な事なんで気付かなかったんだろう。

なんてね‥
本当は気づきたくなかったんだ。
.

⏰:09/10/21 22:49 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#74 [のの子]
 
わかってた。

わかってたんだけどどうしても離したくなかった。

あまりにも君が

愛くるしくて

愛しくて

‥本当に愛してた。


でも俺が手を離しても
君の手を彼がすぐ掴まえるよ。

大丈夫。
.

⏰:09/10/21 22:54 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#75 [のの子]
 

だから  



だから‥



‥‥‥‥だから



さよなら。




.

⏰:09/10/21 22:57 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#76 [のの子]
 

「俺、嘘つきは嫌い。」


うん。
こんな嘘ついて君を傷つける俺なんて大嫌い。


「っ!‥竜二くっ
「もういいから。もう終わりにしよう‥『聡美ちゃん』ばいばい。」


こんな俺を大嫌いになって。

忘れて。

幸せになって。

.

⏰:09/10/22 01:35 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#77 [のの子]
 
「やだ‥やだやだやだっ!なんで?なんで急にそん
「そこまで好きじゃなかった。冷めたの。わかる?」

俺は端に置いてあったプリントを手にとると、自分の分だけ抜く。

「はい。もう帰って。」

プリントを聡美に渡す。

「怒ってるの?謝るから‥だからっ‥」

俯いて涙を流す聡美はプリントをなかなか受け取ろうとしない。
.

⏰:09/10/22 10:59 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#78 [のの子]
 
今すぐ抱きしめて、その涙を止めたい衝動を押さえる。

「怒ってないよ?ただ俺ら終わりにしようって言ってんの。こういうのもう飽きたし、冷めた。」

クシャッ

聡美の手に無理矢理プリントを渡すと、プリントか聡美の心の音なのか‥潰されるような音が聞こえた。

「終わりって‥‥別れ‥るの‥?」

「そうだよ。」

「きっ昨日‥まであん‥な笑って‥笑ってたの、に?」
.

⏰:09/10/22 11:09 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#79 [のの子]
 
「そうだよ。」

「な‥んで‥‥っ‥‥」

ポロッと落ちた涙がプリントに染みを作る。

「恋愛ってこういうもんなんだよ。‥呆気ないもんなんだよ。」

大丈夫。

君なら大丈夫だから。

俺がいなくても大丈夫。
.

⏰:09/10/22 11:12 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#80 [のの子]
 
だから

「さよなら。」

聡美が立ち上がって俺の横を小走りで去っていく。

その姿がスローモーションに見えて、手を伸ばせばすぐ捕まえられる‥
そう思ったら振り返らずにはいられなかった。

バタンッ

でも目の前でドアが閉じると我にかえる。

ミーンミーン

うるさい蝉の声が部屋に響く。

⏰:09/10/22 19:32 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#81 [のの子]
 
「竜二っ?聡美ちゃん帰っちゃったけどいいの〜?」

母さんの声が下から聞こえたけど、俺は返事をしなかった。

「さ‥とみ‥」

今もまだドアを見つめたまま固まる俺。

これで良かったんだ。

これで、君も彼も

幸せに  幸せに‥

‥‥‥‥


「俺の手で‥幸せにしたかったなぁ‥」


ベッドに倒れこむようにねっころがる。

聡美、さよなら。
.

⏰:09/10/22 19:38 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#82 [のの子]
聡美Side

ドンッ

「‥‥いった‥っ‥」

こけた。

めっちゃ走ってたらこけました。

高2にもなってこけました。

高2になって初めての彼氏に振られました。

痛いです。

痛くて痛くて

涙が止まりません。
.

⏰:09/10/22 19:42 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#83 [のの子]
 
「‥‥っ‥なんで‥」

何これ

知らない

こんな気持ち知らない

悲しくて寂しくて辛くてムカついて‥‥痛い。


「痛い‥痛い痛い痛い痛いっ。」

もう立ち上がれない。

竜二君がいなきゃダメなのに‥

なんでっ なんで

.

⏰:09/10/22 19:45 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#84 [のの子]
 
 
「そこの君、どこが痛いのよ?」

っ?


ボロボロの私に声をかけてきたのは、金に近い髪の毛が似合うお兄さん。

あれ‥?どこかで見た事ある?

「ん?ほらっお兄さんに言ってみなさい。」

そう言って笑うとお兄さんのほっぺに笑窪ができた。

「っ?‥昇さん?」
.

⏰:09/10/22 22:23 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#85 [のの子]
 
「あれまっ‥俺の事知ってんの?」

道の真ん中で座り込んで首を傾げながら笑うお兄さんは、間違いなく昇さんだ。

「ん〜‥でも君誰だっけ?ってかメイクも落ちてるしボロボロだしわかんないっ!」

笑ってたかと思うとふんっとそっぽを向く自由な感じ‥

懐かしい。

「あっ‥私‥聡美です。『さとちゃん』です。」

自分で『さとちゃん』なんて言うのも恥ずかしい。

「さとちゃん‥?」
.

⏰:09/10/22 22:29 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#86 [のの子]
 
いつの間にか止まった涙の跡を拭ってちゃんと顔をあげる。

じっと昇さんは私を見る。



「‥‥えぇっっ!!あの『さとちゃん』っ?」

「はい‥お久しぶりです。」

覚えててくれた‥

「えっ全然わかんなかった!綺麗に‥いやっなんか凄まじくボロボロだね。」
.

⏰:09/10/22 22:32 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#87 [のの子]
 
「すみません‥」

身も心もボロボロです‥

苦笑いする私を見て昇さんは優しく笑う。

「‥でも元気そうで良かった。久しぶりだね。」

「はい。昇さんもお元気そうで‥」

二人にしかわからない優しくて寂しい空気が流れる。

スッと昇さんが右手を出す。

「おいで。そのままじゃ帰れないっしょ?」

「そんな‥久しぶりなのに悪いです。」
.

⏰:09/10/22 22:39 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#88 [のの子]
 
「いや‥久しぶりにあってこんなボロボロなさとちゃんほったらかすのも気が引けるし。それにさっきまで大声で泣いてたじゃん。」

ほっとけないよ、と私の手をとるとゆっくり立ち上がらせてくれた。

「まっそんな詳しくは聞かないから甘えなさいって。」

そう言って私の肩をしっかり掴んでくれた。


‥‥‥

‥‥‥‥‥


「‥昇さん‥ありがとうございます‥」

⏰:09/10/22 22:44 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#89 [のの子]
 
膝が擦りむけてうっすら血がでているのをじっと見つめながら、私は昇さんについていった。


――――――


「はいっじゃメットかぶってねぇ。」

連れて来られたのは駅近くの駐輪場。

目の前には大きな黒いバイク。

「このバイク‥懐かしい。」

「よく乗っけてたからねぇ。ってかさとちゃん乙女だし聞くけど‥マジで俺ん家でいい?」

真剣な目で私を見つめる昇さん。

「‥‥はい。」

「‥お兄さんも男だけど絶対何もしないから安心して。」

「‥ぷっ‥はい。」

.

⏰:09/10/22 22:55 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#90 [のの子]
 
「笑わなーい。」

私のメットをコツンと叩くと、昇さんは先に私を後ろに座らせた。

「じゃ出発しまぁす♪」

ブロロロロロッ

低いエンジン音が響くと、何人かの通行人がビクッとこっちを見てきた。

昇さんは気づいていないのか気にしないでバイクを走らせる。

「のっ昇さん‥まだ‥やってるんで‥すか?」

「えぇ〜?なぁに〜?」
.

⏰:09/10/22 23:10 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#91 [のの子]
 
風を切る音とエンジンの音で普通の声の大きさじゃ聞き取りづらいのをすっかり忘れていた。

「あっ‥えっと〜‥まだやってるんですかぁ?」

さっきまで泣いてたせいか、喉が痛いのを我慢して大きな声を出す。

「何を〜?」

昇さんは軽く私の方を見る。

「総長ですよぉ!」

「あははっうん、まだ現役でやってるー♪」

昇さんが笑うと襟足がくるっとはねて揺れる。
.

⏰:09/10/23 00:03 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#92 [のの子]
 
「でも俺これでも大学生〜♪」

「えっ!大学行ってるんですかっ?」

「うん。全く、本当学業と両立すんの大変だよねー。俺にはやっぱキツイわぁ。」

あははっと笑う昇さんに私もクスッと笑う。

「でも毎日充実しているよ。」

そう言った昇さんな背中からはどこか寂しげに見えた。

.

⏰:09/10/23 01:13 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#93 [のの子]
 
「私も‥もう高2になりましたっ。」

「高2ぃっ?!うわぁ‥なんか時間過ぎんのマジ早いねぇ。」

「‥はい。本当に‥」

それから二人共黙ったまま、生温い強い風の音とエンジンの音だけが響く。


――――――― 

「はぁい。到着っ!」

バイクが止まったのは小さな茶色いアパート。

メットを外そうとすると昇さんが外してくれた。

「あっごめん。お兄さんぶっちゃった。」

照れ笑いをしながらメットを置くと、私の手を握って一階の端から二番目の部屋に向かう。
.

⏰:09/10/23 01:33 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#94 [のの子]
 
前から一人暮らしだった昇さん。

「懐かしいです‥」

「また懐かしいって‥おばぁちゃんじゃないんだから。せめて心ん中で思ってくださぁい。」

ガチャ

ドアが開くと昇さんは先に私を中に入れてくれた。

「んじゃとりあえず風呂入ろっか。

中に入ると大学の教科書とプリントらしき物が重なっているのが見えた。

「どこの大学に行ってるんですか?」

「ん〜?‥灘崎大学。あいつが行きたがってたとこ。」

.

⏰:09/10/23 18:56 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#95 [のの子]
 
灘崎大学は、この辺じゃ良い所の大学だ。

「うわぁ‥すごい。」

「めちゃくちゃ頑張ったからねー。今の俺頭いいよぉ?」

ははっと笑う昇さんがクローゼットからTシャツとジャージを出してきた。

「ほれっ着替え。行ってきんしゃーい♪」

肩を押されてお風呂場に入ると、居間の方からテレビの音が聞こえてきた。


スルッ‥‥

服を脱いでから初めて鏡を見ると思っていたより擦りむいたり小さな痣があった。

⏰:09/10/23 19:04 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#96 [のの子]
 
それにしても

「本当ボロボロ‥」

鏡に映る私の目は赤いのに、目の回りやほっぺは所々化粧で黒くなっていた。

カチャ

シャーーッ

熱いシャワーで一気に浴室は湯気に包まれていく。

私はシャワーを頭から浴びる。

「 ‥‥‥‥‥‥ 」

擦りむいた所がチクチク痛む。
.

⏰:09/10/23 19:10 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#97 [のの子]
 



『冷めた』



『終わりにしよう』



『さよなら』




.

⏰:09/10/23 19:12 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#98 [のの子]
 

シャーーッ


「‥ッ‥‥‥ック‥‥嫌だぁ‥‥ッ‥」

膝を抱え込むように座りこむ。


『もし俺が別れようって言ったらどうする?』

『泣いて泣いて、空っぽになるよ』


…空っぽになる。

空っぽになっていくのを

感じる。
.

⏰:09/10/23 19:33 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#99 [のの子]
 

「‥りゅっじく‥ッ…‥」

シャーーッ

居間からのテレビの音とシャワーの音に隠れて私は泣きつづけた。


――――――

「おっ!お帰り〜。」

「あっお風呂ありがとうございました。」

.

⏰:09/10/23 19:54 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#100 [のの子]
 
結局メイクを落とすのにも時間がかかって1時間も入っていた。

「いいえ〜。ってかスッピンになるとやっぱさとちゃんだねぇ。」

「はははっ‥」

部屋にある時計に目をやるともう6時を過ぎているのに気づく。

「ちょっとゆっくりしてきな?バイクで送るし。」

「‥はい。」
.

⏰:09/10/23 22:39 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#101 [のの子]
 
今は一人にならない方がいいよ、そう言ってるように聞こえた。


「そういえば‥みなさんは元気ですか?」

「うんっ。でも馬鹿ばっかだけどねぇ。」

ニコニコと笑う昇さんは、この辺りを占める『スノードロップ』の総長だったりする。

「いや〜でも本当なんか不思議だねぇ。」

「‥?何がですか?」

「こうやって話してんの。前は話せなかったじゃん?」
.

⏰:09/10/24 01:07 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


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