ピンクな気分。U
最新 最初 🆕
#231 [のの子]
 
ぐっと込み上げてきた何かを押さえるように私は唇を噛む。

ガタンッ
「はぁ〜‥暑いね。っというか久しぶりだね。」

「そうだね。」

ドアの前に立ったまま動かない私に対して竜二君は自分の席に座った。

「聡美ちゃん、あの時はごめんね‥急にあんな事になっちゃって。」

聡美ちゃん

前は呼び捨てだったのに‥

前と変わらずに私に話しかけ、笑う彼でも以前とは違うと突き付けられてるようで胸が痛い。
.

⏰:09/11/17 15:28 📱:SH06A3 🆔:wt7S7trI


#232 [のの子]
 
「‥私なら大丈夫だよ。」

ニコッと笑う私。

ズキッ

蓋を閉めていたのか‥

忘れかけていたあの時の感情が、溢れ出ようと私の心臓をギュッと痛みつけた。

「‥そう、良かった。あとこれ、返そうと思って。」

この距離からでもわかる。

キラッと光るそれは、初めて会った日に竜二君に取られたピアス。

ズキッ

‥また心臓が痛い。
.

⏰:09/11/17 18:27 📱:SH06A3 🆔:wt7S7trI


#233 [のの子]
 
「それ‥‥」

「別れたのにお揃いの物持ってるの変だし、返すよ。」

さっきから笑顔の竜二君がはいっとピアスを私に向けてきた。

今‥別れたって言った?

「‥っ‥‥‥」

「聡美ちゃん?」


竜二君から終わりにしようって言われただけで、別れようとは言われてなかった。

だから『別れ』って言葉にそこまでピンときてなかったのかもしれない。
.

⏰:09/11/17 21:42 📱:SH06A3 🆔:wt7S7trI


#234 [のの子]
 
「私っ‥本当バカみたい‥」

心の中で呟いたはずの言葉が、小さな声になって漏れた。


私、まだどこかで期待してたんだ。

また戻れるって‥

でも彼の中ではもうしっかり私達の恋は終わっていた。

『別れたのに‥』

そうだよね。

私達は別れたんだ。

もう小さく光るピアスのような繋がりなんて必要ないんだね‥
.

⏰:09/11/17 21:54 📱:SH06A3 🆔:wt7S7trI


#235 [のの子]
 
でも大丈夫‥心の準備はできてたもん。

目にたまった涙がこぼれないように、こぼれても彼には見えないように‥

前髪を手で押さえて目元が見えないようにする。

「っ‥うん‥‥わざわざありがと。ごめんねっ‥」

それだけ言うと、今にも涙がこぼれそうで恐くて動けなくなる。

「‥本当私ってダメだよね‥本当にバカッ‥」

私は竜二君のように笑えない。

できないよ‥

「‥‥さと
「確かにお前はバカだ。」.

⏰:09/11/17 22:17 📱:SH06A3 🆔:wt7S7trI


#236 [のの子]
 
っ?
ガシッ

「ひぁっ‥‥」

後ろから私の目を隠すよう大きな腕が私に被さった。

「しかもバカなくせに短気で泣き虫でチビで‥」

チビは余計でしょ‥

「‥はぁっ全く手間が掛かってほっとけないバカ女だな、お前の元カノは。」

「っ‥またバカって言ったぁ‥」

大きな腕が被さった事で涙はこぼれたけど、泣き顔をみせる事も彼がどんな顔をするか見る事もない。

また助けられた‥

勝手にしろって言ってたくせに‥なんでいるの?

彰君‥
.

⏰:09/11/17 22:34 📱:SH06A3 🆔:wt7S7trI


#237 [のの子]
 
「なんで彰がいんの?」

竜二君の冷静な声が聞こえた。

‥彰君も竜二君もどんな顔をしているんだろ?

私は彰君の大きな腕に顔をうめるよう、ただじっとする。

「別に〜。生意気なこいつにお仕置きしに来ただけだよ。」

お仕置き?

「まさかお前がいるとは思わなかったけど‥まぁこいつ連れてくから。」

グッと引っ張られて私はモタモタしながら歩く。
.

⏰:09/11/18 00:56 📱:SH06A3 🆔:Ugr4bHZk


#238 [のの子]
 
前‥見えないや‥

大きな腕から少し離れ彰君を見上げると、彰君が私服で来ていた事に初めて気づいた。

「‥泣き虫。しっかり歩け。」

彼はそう一言言うと今度は私の肩を抱いてまた一歩ドアに向かう。


「ちょっと待って。」

竜二君が私達を呼び止める。

⏰:09/11/18 01:07 📱:SH06A3 🆔:Ugr4bHZk


#239 [のの子]
 
「聡美ちゃんこれ‥これを返すために今日来たんだ。受けとって?」

「なにそれ?ピアス?」

っ!

彰君が振り返って小さなピアスを睨む。

「あっ‥あれ私のなの。だから‥」

彰君の黒いTシャツ掴む。

「‥んだよっめんどくせぇな。竜二、投げて。」

「なんでお前は上から目線なんだよ‥ほらっ。」

キラッ

竜二君の手から離れたピアスが一瞬輝いて彰君の手の中に渡った。
.

⏰:09/11/18 22:18 📱:SH06A3 🆔:Ugr4bHZk


#240 [のの子]
 
「はいよ。」

「ありがと‥」

数ヶ月ぶりに私の手に戻ってきたピアスは変わらず輝いている。

でも、私の耳にはもう片割れのピアスはない。

竜二君と別れた日、どこかに落としたのかいつの間にかなくなってた。

このピアスも私と同じで一人ぼっちなんだ。

一人ぼっち‥‥
.

⏰:09/11/18 22:26 📱:SH06A3 🆔:Ugr4bHZk


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194