ピンクな気分。U
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#251 [のの子]
 
なんか俺‥こいつに振り回されただけ?

「なんか切ねぇー‥」

「ん?なになにっ?あっ彰君もアイス一口食べる?ほらっあーん♪」

ストロベリーのアイスをスプーンにとって俺の口の前で止める。

「‥‥‥‥‥‥。」

‥だからっ‥‥こういうのを普通にすんのがバカだって言ってんのにわかんねぇ奴だなぁ‥

「あれ‥あーんは?ストロベリー嫌い?」

「別に嫌いじゃ‥っ!!
「あはははっスキありー♪」

俺が口を開けるのを待ってたのか、俺の口の中にはストロベリーの香りが広がった。

⏰:09/11/20 19:57 📱:SH06A3 🆔:aiFLMgyA


#252 [のの子]
 
「急に口に入れんな!
「でも美味しいでしょ?」

聡美がニコニコ笑いながらまたあーんと俺の口にアイスを運んできた。

自然に俺も口を開ける。

「んっまぁ美味いけど〜‥これ間接キスじゃね?」

ピタッ

今度は自分の口にアイスを運んだ手がピタリと止まる。

「ちっ‥違うよ!」

「‥いや〜そうだろ。」

「違うもん!全然違うしねっ!」

「お前今まで食べてたスプーンで俺の口に入れただろうが!」

「うっ‥ち違うやつ使ったもんね!」
.

⏰:09/11/20 20:08 📱:SH06A3 🆔:aiFLMgyA


#253 [のの子]
 
顔を真っ赤にしてムキになる聡美を見て、つい俺もムキになる。

「じゃそのスプーンで今お前食ったよな?!それ俺が使ったやつだしっ。やっぱ間接キスじゃん。」

聡美の手にあるスプーンを指差してふんっと笑う。

「‥‥また彰君とキスしちゃったぁ。彰君の変態〜!」

聡美が顔を赤くしながらジタバタと足を鳴らす。

「誰が変態だっコラ。お前からやってきたんだろ?ってかアイス溶けますけど。」

アイスを見るとストロベリーのピンクの液体が揺れていた。
.

⏰:09/11/20 20:18 📱:SH06A3 🆔:aiFLMgyA


#254 [のの子]
 
「‥‥でもぉっ‥。」

チラッと俺を見つめる聡美に俺は笑う。

「ぷっ‥もったいない事すんなよ。ただの間接キスじゃん。」

聡美の髪をクシクシャと撫でるとほっぺを赤くした聡美がそうだけど、っと小さな声で呟いた。

「やっぱ彰君食べて?私もうごちそうさま‥」

「えぇっ‥なんかもろに嫌がられてんのもショックなんだけど。」

「嫌とかじゃなくってぇ‥はっ恥ずかしいの!もうっほら食べて食べてっ!」
.

⏰:09/11/20 20:32 📱:SH06A3 🆔:aiFLMgyA


#255 [のの子]
 
無理矢理アイスとスプーンを渡された俺を置いて歩き出す聡美。

「‥それ言われたらこっちも恥ずかしくなるっつーの。」

柔らかくなったアイスを口に運ぶ。

甘い‥

「ストロベリー好き?」

「ん‥まぁ好き。」

「私も好き。」

エヘヘッと笑う聡美を横に俺はアイスを食べる。

「ストロベリーの色とか甘酸っぱさって恋と似てません?」

何を言い出すんだ、こいつは‥

⏰:09/11/20 20:38 📱:SH06A3 🆔:aiFLMgyA


#256 [のの子]
 
「あぁ〜‥どうかねぇ。」

「そうだよぉ!」

「だってわかんねぇもん。俺男の子だしー。」

そんな事を言いながらあっという間にアイスを食べきった。

「男の子でも恋した事ぐらいあるでしょ?」

恋ねぇ...

真琴がいた時の事を思い出しそうになったけど恋とは掛け離れた哀しみ込み上げてきて頭から消す。

「‥恋ってどんなんか忘れたぁ。」

「なにそれぇ〜!恋っていうのはねぇ‥
「竜二としか付き合った事ないくせに偉そうにすんな。」
.

⏰:09/11/21 20:19 📱:SH06A3 🆔:YU5ZlOkM


#257 [のの子]
 
コツン、と頭を叩くと聡美はまたほっぺを赤くしてムスッとした。

「そりゃ私も教えてもらった言葉だけどぉ‥」

「なら余計に偉そうにすんなっつーの。」

どうせ変なロマンチストな女から聞いたんだろう。

「えぇ〜‥でもこれ聞いてすごいって思っちゃったよわたしっ!」

もう話したくてしょうがないって顔をして俺を見つめる聡美。

っ‥しょうがねぇなぁ。

「じゃ試しに言ってみ?」

俺がそう言うと聡美の表情が明るくな

「えっとね‥えっと〜」

⏰:09/11/21 20:40 📱:SH06A3 🆔:YU5ZlOkM


#258 [のの子]
『恋をすると二つの感情が生まれるの。

自分勝手な考えや相手に押し付けてしまう欲、

それを色で例えるなら
情熱的な赤。

それとは逆に相手の気持ちを想ったり、嫌われないよう自分を守ったりする思いやり、

それは色で言うと純粋な白。

この二つがそろって恋なんだって。

だから恋をすると‥‥』
.

⏰:09/11/21 20:42 📱:SH06A3 🆔:YU5ZlOkM


#259 [のの子]
 
「―‥ピンクな気分になる。』って‥なんかすごくないっ?私そうなんだって納得しちゃったもん!」

あははと笑う彼女を俺は立ち止まってじっと見つめる。

なんで‥

「あれ、彰君?」

俺を不思議そうに見つめるこいつは

‥誰だ?

なんでその言葉を

お前が知ってるんだよ。

お前は真琴じゃないだろ?

聡美だろ?

――――――ポロッ

聡美が話した言葉は、
真琴がいつか俺に教えてくれた言葉だった。

『ピンクな気分』
.

⏰:09/11/21 20:56 📱:SH06A3 🆔:YU5ZlOkM


#260 [のの子]
 
『えっ?』

『ねぇねぇ、ピンクな気分って知ってる?』

真琴が俺の横に座る。

『知らない。なにそれ?』

『ピンクな気分っていうのはぁ〜‥―――』

―――

『だからピンクな気分。わかる?』

『ふーん‥アンタが意外にロマンチストって事はわかった。』

バシッ

俺がクスクス笑うと真琴が頭を思いっ切り叩いてきた。

『アホ。』
.

⏰:09/11/22 19:55 📱:SH06A3 🆔:8iTaxRrU


#261 [のの子]
 
『いってぇー。真琴のバカ力ぁ!』

一瞬怒ったのかと思ったら真琴は笑っていた。

『私ね、こういうの好き。』

そういって真琴は俺の首に手を絡める

『‥俺を叩くのが?』

『違う。こうやってふざけ合いながら愛を深める事。』

『‥やっぱロマンチストだ。』
.

⏰:09/11/22 20:01 📱:SH06A3 🆔:8iTaxRrU


#262 [のの子]
 
『しかもロマンチストでSっ気もある。新たな発見‥』

俺も真琴の腰に手を回す。

『アンタまた殴られたいの?』

『でもこうやって愛を深めるのが好きなんだろ?』

真琴がムッとしたのを俺は目を閉じて気付いてないふりをする。

唇がゆっくり重なっても真琴が嫌がらない事が彼女の気持ちを表していてほっとした。

⏰:09/11/22 20:06 📱:SH06A3 🆔:8iTaxRrU


#263 [のの子]
 
『‥ねぇ、』

『ん?』

唇が離れたのが名残惜しくて俺はまだ真琴の唇を見つめる。

『私が今ピンクな気分なのわかる?』

真琴がニヤッと笑いながら俺にギュッとくっつく。

『ん〜‥わかるかも。』

『かもぉっ?』

『ぷっ‥わかるよ。俺も今そうだもん。』

そう言って笑いながら二人で何度もキスをした。
.

⏰:09/11/22 20:11 📱:SH06A3 🆔:8iTaxRrU


#264 [のの子]
―――――

一筋の涙が俺の頬を落ちていくのがわかった。

「彰君‥?」

聡美が困った顔で俺を見つめる。

「大丈夫っ?なんか私変な事言っちゃった‥?」

心配そうに聡美がまたスカートのポケットからハンカチを出して俺に渡す。

俺‥またこいつの前で泣いてる。

そんな事を考えながらハンカチをただ見つめた。
.

⏰:09/11/22 20:16 📱:SH06A3 🆔:8iTaxRrU


#265 [のの子]
 
「お前‥誰から聞いた?」

まだハンカチを差し出す聡美を見ずに俺は呟く。

「なにを?」

「さっきの話‥誰から聞いた?」

まだ流れる涙。

「誰って‥なんでそんな事聞くの?」

俺がハンカチを受け取らないとわかったのか聡美がハンカチをギュッと胸の前で握り締める。

「‥‥‥お前、真琴の‥」
.

⏰:09/11/22 20:22 📱:SH06A3 🆔:8iTaxRrU


#266 [のの子]
プァーーーーッ!

ビック!

トラックが俺達に向けて大きなクラクションを鳴らしてきた。

自然と道の端っこに行くとトラックは排気ガスを撒き散らして通り過ぎて行った。

「びっびっくりした‥」

「うん。」

聡美を見るとトラックに驚いたからか、それとも俺が恐かったのか‥

キュッと俺のTシャツを握って下唇を噛んでいた。

「‥大丈夫?」

「えっあっごめんね。大丈夫大丈夫っ。」

そういって手を離すと俯いて立ちすくむ姿に、俺の胸がチクッと痛む。
.

⏰:09/11/22 20:35 📱:SH06A3 🆔:8iTaxRrU


#267 [のの子]
 
「‥‥彰君、」

「なに?」

聡美が哀しみと寂しさがこもった弱い目で俺を見つめる。

それを見つめると、俺の胸はまたチクッ痛んだ。

「さっき『真琴』って言ったの‥?」

やっぱり‥

「‥‥そうだよ。」

聡美の表情と、聡美の口から真琴の名前が出た瞬間わかった。


こいつは真琴と繋がってる。
.

⏰:09/11/23 20:16 📱:SH06A3 🆔:RvSL46Yc


#268 [のの子]
聡美Side

彰君の口から真琴って言葉が出た瞬間、トラックのクラクションの音が響き渡った。

まるで聞くなって誰かが言ってるみたいに‥

でも、私にはトラックのクラクションより真琴って言葉の方に驚いてた。

ドクン ドクン ドクン


知ってる‥の?

彰君が‥まこ姉の事‥

なんで?

ドクン ドクン ドクン
.

⏰:09/11/23 20:25 📱:SH06A3 🆔:RvSL46Yc


#269 [のの子]
 
この人は‥誰から何を聞いてまこ姉を知っているの?

「ピンクな気分って真琴が言ってたんだろ?‥俺も前聞いた‥」

でも彼が口にするまこ姉の名前の呼び方は、優しかった。

「お前‥‥真琴の
「なんで彰君がまこ姉の事知ってるのっ?!」

私の目から涙が溢れ出す。

なんで?

なんで?
.

⏰:09/11/23 20:30 📱:SH06A3 🆔:RvSL46Yc


#270 [のの子]
 
神様っ‥なんで

竜二君が私の隣からいなくなって

彰君までいなくなるの?

「話したくないっ‥話したくないっ。」

きっと彼も全てを話せば私を軽蔑の目で見るんだろう。

【姉貴が死んでから話せるようになるとか気持ち悪ぃ‥】

【お姉ちゃんが死んだ瞬間笑ってたらしいよ?】

【恐〜い】
.

⏰:09/11/23 20:37 📱:SH06A3 🆔:RvSL46Yc


#271 [のの子]
 
違うよ

いっぱい泣いたもん

【事故ってあいつが殺したんじゃねぇの?】

【人殺し】

やめて  違う

【姉貴殺し】

【お前の姉貴、お前のせいで死んだよ】


やめてっ 違うってばぁ


.

⏰:09/11/23 20:40 📱:SH06A3 🆔:RvSL46Yc


#272 [のの子]
 
「やだっ‥話したくない。」

「聡美‥?」

私はボロボロ涙をこぼしながら彰君から後退りする。

「おいっちょ
「彰君にっ‥嫌われたくないの。だから話したくないっ!」

私はそこから逃げるように走り出す。


彰君は今までの人とは違うかもしれない。

彼を信用してないわけじゃない。

でももし彼もいなくなったら、そう思うと話せなかった。.

⏰:09/11/23 20:47 📱:SH06A3 🆔:RvSL46Yc


#273 [のの子]
 
ごめんね、彰君。

ごめんね、まこ姉‥

私は本当はこんなに弱くて

強くなれない自分が

大嫌い。

ミーンミンミーン
「ッハァ‥ハァハァ‥ッ‥もうっ‥誰もいなくならないで‥」

夏の太陽が当たらない日影に隠れて、蝉の音に掻き消されそうな小さな声で私は呟いた。

⏰:09/11/24 23:59 📱:SH06A3 🆔:BOqSlspM


#274 [のの子]
 
―――――
ザワザワ

夏休みの駅は学生達や家族連れが多くて賑やかだ。

私が端っこで座り込んでいても誰も気付いてないかのように通り過ぎる。




「‥さとちゃん?」

っ!

顔を上げると昇さんが笑っていた。
.

⏰:09/11/25 20:29 📱:SH06A3 🆔:cBOFVBZU


#275 [のの子]
 
「急に泣きながら電話きてびっくりしたよ〜。どしたの?」

ザワザワ

「‥静かな所行く?」

コクンッ

小さく頷くと昇さんの手に引っ張られ立ち上がる。

「ついておいで。」

昇さんの後にゆっくり着いていく。

一歩が重い。

.

⏰:09/11/25 20:34 📱:SH06A3 🆔:cBOFVBZU


#276 [のの子]
 
駅から少し歩いて裏道に入ると昇さんが小さな喫茶店に入っていった。

今時の喫茶店じゃなくて、昔からあるような古い喫茶店。

一瞬戸惑ったけど、私も黙ったまま喫茶店に入っていく。

カラーン

ドアについていたベルが鳴る。

「さとちゃん、こっち。」

昇さんはもうソファ席に座っていた。
.

⏰:09/11/25 20:42 📱:SH06A3 🆔:cBOFVBZU


#277 [のの子]
 
私もソファ席に着くと周りを見渡す。

意外にもアンティークの置物や絵がたくさんあってお洒落な喫茶店だった。


「ここ亮と二人でよく来るんだ。人に聞かれたら困る話とかしやすくてね‥あっ飲み物アイスティーでいい?」

「はい。」

確かに私達以外に人はサラリーマンの人がいるぐらいだ。
.

⏰:09/11/25 23:52 📱:SH06A3 🆔:cBOFVBZU


#278 [のの子]
 
「あっ湯上さん、アイスティー二つで。」

「‥かしこまりました。」

湯上と呼ばれた人はカウンターの奥で本を読んでいたのか、パタンッと本を閉じるとカチャカチャと動き出す。

私は喫茶店に流れるクラシックと湯上さんの丁寧な動きが見事に合っている気がしてじっと見つめていた。

「あの人ここのマスターなんだけどまだ32歳なんだ。無口だけど優しいんだよ。」

昇さんが優しく笑う。

「それにコーヒーと紅茶が美味しいのもここの店の魅力。」

⏰:09/11/26 00:03 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#279 [のの子]
 
「へぇ‥」

「お待たせしました。」

湯上さんはアイスティーを置くと私をチラッと見て

「彼女に似てますね‥」

「ん?あぁ、この子妹なんですよ。」

「どうりで‥ごゆっくり。」

そう言って湯上さんはカウンターの奥に入って行った。

「彼女ってまこ姉‥?」

「うん、俺らよりもとは真琴が常連だったんだよ。」

⏰:09/11/26 00:11 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#280 [のの子]
 
「‥知らなかった。」

「あいつここで一人考え事したり、勉強するのが好きでさ〜。俺らに教えるのもちょっと嫌がってた。」

ははっと笑う昇さんに私もつられてクスッと笑う。

「まぁそれよりも‥何があったか教えてごらんよ。」

黙ったままアイスティーを口にすると喉が渇いていたのか、ここのが特別なのか‥とっても美味しい事に少し心が和む。

⏰:09/11/26 09:11 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#281 [のの子]
 
「昇さん、」

「ん?」

「‥彰君、まこ姉の事知ってたんですね。」

昇さんは相変わらず優しい表情で笑っている。

「だから昇さんとも知り合いだったんですよね?」

私は昇さんの目を真っ直ぐ見れない。

「その話か‥うん、まぁそうだね。俺と真琴と、亮とかも知ってるよ。」

.

⏰:09/11/26 09:15 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#282 [のの子]
 
「‥なんでですか?いつから知り合いだったんですか?」

私は相変わらず昇さんの目を見れないのに、はっきりと質問する。

「ん〜‥それはちょっと言いにくいというか、少年から聞いてほしいんだけどなぁ。」

少年。
昇さんは彰君を時々少年って呼ぶ。

「彰君は私がまこ姉の妹だって知らなかったんです‥でも、たぶん今日‥気付いたと思います‥」

「そっか。」
.

⏰:09/11/26 09:20 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#283 [のの子]
 
「知られたくなかった?」

違う、と頭を左右にふって否定する。

「じゃ教えてあげれば良かったじゃん。真琴は自分の姉貴だって‥」

また私は左右に頭をふる。

「さとちゃ
「私っ‥私まだ恐いんです。話せるようになった時の‥周りの冷たい目や言葉がっ‥」

乗り越えたと思ってた。

全ての人じゃなくていい

私の気持ちをわかってくれる人が少しでもいてくれたらそれでいいんだって‥

でも、やっぱり人に冷たくされるのは辛くて恐い。
.

⏰:09/11/26 09:30 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#284 [のの子]
 
それが深い関係な分、恐くて仕方がない。

間違えれば、その人を失うのだから‥

「彰君を信じてない訳じゃなくって‥どうしても、失う恐さの方が勝つんですっ。」

「さとちゃん‥」

昇さんが複雑そうな目で私を見つめる。


「一人になりたくないっ‥」

そう呟くと一粒の涙が落ちていった。
.

⏰:09/11/26 09:39 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#285 [のの子]
 
ポロポロと落ちる涙を隠すように俯く。

「‥似てるなぁ。」

「えっ?」

顔を少し上げると昇さんは優しく笑っていた。

「さとちゃんと少年。そっくり。」

彰君と‥私が?

「俺から言えるのはね、さとちゃん‥あいつはさとちゃんの気持ちわかってくれると思うよ?もしかしたらさとちゃんの気持ちを1番理解できる奴かもしれない。」

昇さんはそう言いながら少し悲しげな目で私を見つめる。

⏰:09/11/26 20:25 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#286 [のの子]
 
「どうして‥ですか?」

涙を拭きながら昇さんを見つめる。

「二人の間には、同じ悲しみがあるから。」

「同じ悲しみって‥まこ姉?」

昇さんはアイスティーを一口飲むとソファーに寄り掛かる。

「‥あの当時さ、少年と真琴は付き合ってたんだよ。」

っ!

「えっ‥彰君と‥まこ姉がですが?」

「うん。詳しくはあいつから聞いてほしいんだけど‥」
.

⏰:09/11/26 20:31 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#287 [のの子]
 
「そんな二人がっ‥」

っ!

「あっでも‥彰君の元カノさんが‥交通事故で亡くなったって聞いた事が‥」

そんな‥

こんな偶然があっていいの?

彼を苦しめていた過去の鎖が私にも繋がっていた。


『お前真琴の‥‥』


彰君が真琴と優しく呼んだのは、愛していた彼女の呼び方だったんだ。
.

⏰:09/11/26 20:42 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#288 [のの子]
 
ドクン

「まるで運命だよね、二人が出会うなんて‥俺も少年とさとちゃんが知り合いだって知った時マジでゾクッときたもん。」

ドクン

「そんなっ私‥もう彰君と会えないですっ‥」

妹と知った今、もう私の後ろにまこ姉を見るだろう。

きっと今度私までも彼を苦しめる鎖になるんだ。


「‥彰とさとちゃんは本当そっくりだよ。二人だからこそわかり合える事もあると思う。」
.

⏰:09/11/26 20:48 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#289 [のの子]
 
「でもっ‥きっと苦しめ合うだけです。もう友達じゃいれません‥」

私は両手で顔を覆い隠す。

「‥お前らはいつまでそうしてんだよっ!」

ビクッ
静かな喫茶店内に昇さんの声が響く。

「死んだ真琴にいつまで気使ってんだっ!真琴が死んだのはもう過去なんだよっ。俺達は『今』を生きて進むしかないんだっ!」

昇さんが私の顔をグッと掴む。

「過去に捕われるなよ。今について考えて、未来を見ろ。」

⏰:09/11/26 21:00 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#290 [のの子]
 
「そうしなきゃ、真琴が可哀相だろう‥」



‥‥‥お姉ちゃん、

なんで死んじゃったの?

お姉ちゃんにも

未来があったでしょ?

どんな気持ちで

死んでいったの?

今の私達を見て

‥どう思ってる?


.

⏰:09/11/27 20:17 📱:SH06A3 🆔:gXf8stAU


#291 [のの子]
 

『二人揃ってバカじゃないのぉ?』


きっとムスッとしながら
笑うんだろうな。



まこ姉なら、きっと..




.

⏰:09/11/27 20:21 📱:SH06A3 🆔:gXf8stAU


#292 [のの子]
彰Side

「彰っ、こっち。」

声がした方を見ると、少し離れた所で亮さんが手を振っていた。

「亮さん、急にすみません。」

「別にいいよ。こっちこそ昇じゃなくて悪いけど‥なんか話があるんだろ?どっか行くか?」

「‥はい。」


――――

聡美が走っていくのを俺はただ見つめていた。

追いかけなかった。
.

⏰:09/11/27 20:26 📱:SH06A3 🆔:gXf8stAU


#293 [のの子]
 
追いかけても何を言えばいいか、何を聞けばいいか‥

わからなかった。

それに‥俺にはもう答えはわかってた。

その答え合わせは

無理矢理あいつにさせるよりも、もう前からわかってたはずの

『昇さん』に聞いた方が良いって思った。

.

⏰:09/11/27 20:29 📱:SH06A3 🆔:gXf8stAU


#294 [のの子]
 
あの人がすんなり話してくれるかはわからないけど‥


「とりあえず‥連絡とってみるかな。」

カチッ
携帯を開いて昇さんの番号を探す。

番号変わってないといいけど‥

ピッ ♪〜♪〜♪

携帯を持つ手が震える。

冷静を装う自分の中に取り乱している自分がいるのを感じる。

⏰:09/11/27 20:34 📱:SH06A3 🆔:gXf8stAU


#295 [のの子]
 
♪〜♪〜♪
‥出ねぇか。

「はーい。なんか用?」

耳から少し離した携帯から陽気な昇さんの声が漏れる。

「あっ昇さん!彰ですけど‥」

「知ってる。俺に電話してくるなんて何かあったんでしょー‥なに?」

昇さんからめんどくさそうなのが伝わってくる。

「あの‥実は聞きたい事があるんですけど、今日会えませんか?」

「やだ。」

‥‥イラッ
.

⏰:09/11/27 20:41 📱:SH06A3 🆔:gXf8stAU


#296 [のの子]
 
「いやっでも真剣な話なんですよ。お願いしますっ。」

「真剣な話ってなんだよ。」

「それはっ‥」

今言ったらこの人はぐらかして逃げるかも‥

そんな事が頭に浮かぶ。

「言わないなら会わない。」

ガキかよっ‥!

「‥‥聡美の事です。」


「はぁっ?さとちゃん?」
.

⏰:09/11/27 20:44 📱:SH06A3 🆔:gXf8stAU


#297 [のの子]
 
「ふーん‥わかった。じゃ時間と場所は俺が決めるから。」

「わかりました。」

「じゃまた連絡するわ。」

そういって切った電話から15分後、昇さんから来たメールは

――――――

やっぱ会えない。
代わりに亮が行く。

――――――

「はぁっ?‥んだよっ。」


そんなこんなで俺は今亮さんと会っている。

⏰:09/11/27 20:54 📱:SH06A3 🆔:gXf8stAU


#298 [のの子]
――――――

「なんか悪いな、昇指名だったのにさぁ。」

俺の横を歩きながらタバコを吸いはじめた亮さん。

まだタバコ吸ってんのか‥

「別に‥俺の知りたい事を亮さんが知ってるなら昇さんでも亮さんでも、どちらでもいいですから。」

「ふっ相変わらず生意気だな‥」

タバコを片手に笑う姿は俺から見てもかっこいい。

亮さんは昇さん率いるスノードロップのNo.2、つまり副総長だ。

正直、昇さんよりも冷静でしっかりしてる。

⏰:09/11/28 11:17 📱:SH06A3 🆔:ehzfiJGc


#299 [のの子]
 
髪は真っ黒で前髪の一カ所だけ金のメッシュを入れてるのが印象的。

―――

「そろそろなんだけど‥あっここでもいい?」

昇さんが指差したのは

「ここは‥?」

「昇ん家。あいつもいつか帰ってくるし、それまで俺が聞いてやるよ。」

そう言って取り出したのは銀色の鍵。

「合い鍵貰っちゃった♪」

笑いながら昇さんの部屋のドアに鍵をさす。

⏰:09/11/28 22:04 📱:SH06A3 🆔:ehzfiJGc


#300 [のの子]
 
×昇さんが指差したのは
○亮さんが指差したのは
.

⏰:09/11/28 22:23 📱:SH06A3 🆔:ehzfiJGc


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