ピンクな気分。U
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#301 [のの子]
初めて昇さん家に来た‥
カチャ
「ようこそ昇ん家へ〜。暑いしクーラーつけようぜぇ。」
ズカズカと部屋に入っていく亮さんに続けて、俺は遠慮がちに入っていく。
「何か飲む?」
「えっ?えっと‥」
「烏龍茶かコーラどっちがいい?」
「じゃ烏龍茶で。」
亮さんは手慣れた手つきで冷蔵庫やグラスを取り出す。
:09/11/28 22:35
:SH06A3
:ehzfiJGc
#302 [のの子]
「座れば?」
烏龍茶を手に亮さんが窓の近くに座った。
「ども‥」
俺は亮さんと向かい合うように座る。
「それで?話って何?」
亮さんが俺をじっと見つめる。
ドクン
「‥亮さんは二ノ宮聡美って知ってますか?」
俺も真っ直ぐ亮さんを見つめる。
:09/11/28 23:35
:SH06A3
:ehzfiJGc
#303 [のの子]
「‥知ってるよ。」
亮さんがテーブルに肘をつく。
「そいつ俺の友達なんです。前に昇さんとも駅前で会って‥」
「あぁ聞いた聞いた。なんかさとちゃんを昇から守ったらしいじゃん?」
クスクス笑う亮さんとは逆に俺の頭にあったのは
『さとちゃん』
昇さんも同じ呼び方だった‥
「聡美とはいつから知り合いなんですか?」
.
:09/11/28 23:44
:SH06A3
:ehzfiJGc
#304 [のの子]
ドクン
「いつって‥二年ぐらい前かな。確かお前と同じ時期ぐらいに初めて会った。」
灰皿のない昇さんの部屋に、亮さんが吸っているタバコの煙が溶け込んでいく。
ドクン
「あのっ‥聡美って‥」
「なに?」
「いや‥あの‥‥あいつは真琴の‥妹、ですか?」
「はっ?」
ストレートにぶつけた俺の質問に驚くこの人は、どう返してくる気だろう。
:09/11/29 20:14
:SH06A3
:OcAJemLI
#305 [のの子]
俺はじっと亮さんを見つめながら、頭では聡美の泣き顔を思い出していた。
聡美
お前は一体
誰なんだ?
「そうだけど‥知らなかったのか?真琴は三姉妹の真ん中で、さとちゃんは末っ子だよ。」
‥‥やっぱり‥
亮さんのタバコの煙が揺れて見えた。
:09/11/29 20:18
:SH06A3
:OcAJemLI
#306 [のの子]
「やっぱり‥真琴の妹だったのかよ‥」
俺はうなだれるように頭をかかえる。
「妹ってのがなんか関係あんの‥?」
「‥真琴のですよ?俺のせいで死んだ真琴の妹だなんてっ‥もう会えない。」
「なんで?」
「だからっ!‥俺のせいであいつは
「お前まだそんな事思ってんのかよ。めんどくさい男だな。」
「‥‥‥‥‥っ」
.
:09/11/29 20:24
:SH06A3
:OcAJemLI
#307 [のの子]
下を向く目から涙が落ちる。
「なんで泣いてんの?‥真琴が死んだから?それとも聡美が真琴の妹だったからか?」
「‥そうですよっ。」
聡美‥ごめん。
真琴は俺のせいで死んだんだよ。
お前の姉貴は俺が殺したんだ‥
「いや、違う。」
「えっ‥?」
顔を上げると亮さんがタバコを持っている手で俺を指差していた。
:09/11/29 20:30
:SH06A3
:OcAJemLI
#308 [のの子]
「お前が泣いてんのは真琴とか妹とかじゃない。」
窓から入る光で亮さんの髪が明るく見えた。
「未来が見えなくなったからだろ?やっと真琴から解放されると思ってたのに‥」
未来‥解放‥?
「違うっ‥俺はそんな事思ってない。」
「違わない。」
「そんな事ないっ!俺は真琴をずっと
「彰、お前さとちゃんに惚れてんだろ?」
ドクン
.
:09/11/29 20:36
:SH06A3
:OcAJemLI
#309 [のの子]
「‥‥‥‥はっ?」
「お前が今泣いてんのは、さとちゃんを好きになる事は許されない事だって思ったからだよ。」
何を言ってんだ‥
俺が聡美に惚れてる?
「いや‥マジで意味わかんないですからっ有り得ませんよ。」
「有り得ないってなんで?」
亮さんは窓を少し開けてベランダにあるビールの空き缶にタバコを捨てた。
「もうこの世にいない奴を愛し続けるって事よりかは有り得ると思うけど?」
っ!
「お前さとちゃんに全部話してみろ。」
.
:09/11/29 20:46
:SH06A3
:OcAJemLI
#310 [のの子]
「全部って‥‥」
「真琴と付き合ってた事も、事故の事も全部だよ。」
ドクン
そんな
全部を知ったら‥
「嫌です‥話したくない。」
「話せ。」
「嫌です。」
.
:09/11/29 21:06
:SH06A3
:OcAJemLI
#311 [のの子]
「なんで?」
さっきから『なんで?』と何回も聞いてくる亮さんに少し苛立ちを感じながら、俺は小さく息を吐く。
「それは、話したらきっと‥あいつが傷つくから‥」
「さとちゃんが傷つくからねぇ。それも違うな。」
煙を吐きながらふっとバカにしたように笑う。
「またっすか‥」
「お前は彼女に嫌われたくないんだよ。自分が傷つくのが恐いんだけだ。」
.
:09/11/30 11:32
:SH06A3
:/tiISVew
#312 [のの子]
‥っ
いつの間にか二本目のタバコを気持ち良さそうに吸っている亮さんを睨む。
「なんだよ?‥俺はその方が嬉しいけど。昇もお前と会った日笑って話してたよ、お前がさとちゃんを守ってたって‥生意気とも言ってたけど。」
亮さんから目を離して俺はまた俯く。
「‥昇さんは俺をいつも子供扱いしてますからね。今でも少年って呼ぶし。」
「でも、合ってると思うよ。お前は二年前から変わってない。ガキのまんまだ。」
「‥は?どこがっすか?」.
:09/11/30 18:54
:SH06A3
:/tiISVew
#313 [のの子]
「昔のお前は普通の中坊のマセガキだったよ。でも今のお前は間違った自分を貫いて、周りを見ようとしない。」
間違った自分‥
「それは‥真琴を思い続ける事が間違ってるって言うんですか?」
「お前の気持ちの持ち方が間違ってるって言ってるんだよ。」
優しい口調でもはっきり言う亮さんは、やっぱり冷静に俺を見つめているんだろう。
俺の迷いがある言葉よりも、亮さんの言葉は一つ一つが胸につきささる。
:09/11/30 22:41
:SH06A3
:/tiISVew
#314 [のの子]
「ムキになって他人の言葉も聞かずに見つめない‥そういうとこがガキなんだよ。」
「ムキになんてっ‥」
「彰、お前が真琴の事をすげぇ好きだったのはわかってる。でもな、今のお前の気持ちはまるで―――」
亮さんの言葉がまた一つ、俺の胸に刺さった。
俺は真琴がただ好きで、愛してた。
俺を好きだと言ってくれた真琴がいなくなっても
俺は真琴を想い続けるって決めたんだ。
真琴だけを‥
なのに、その気持ちは
「――まるで呪いだ。」
.
:09/11/30 22:50
:SH06A3
:/tiISVew
#315 [のの子]
ドクン
呪い‥‥
この気持ちが‥?
ドクン
「お前は真琴を思い続ける事で自分に呪いをかけてるようなもんだろ。それが償いだって‥」
ドクン
「‥でももうやめてやれよ。そんなんじゃ真琴が可哀相だ‥」
なんで‥
だって真琴を想い続けないと
想い続けないと
‥‥‥‥‥どうなる?
もう真琴はいない。
.
:09/11/30 23:01
:SH06A3
:/tiISVew
#316 [のの子]
ガチャ
「えっうわっ臭っ!!なんでこんなっ‥ってはぁ?!なんで君達いんのっ?」
っ!
「昇お帰り〜。」
「あっ俺の部屋でタバコ吸わないでってあんな頼んだのになんで吸ってんのー。最悪だしー!」
「ごめん、ごめん。」
昇さんが帰ってきた事で重い空気が一瞬で消える。
でも俺の胸に生まれた靄は今だ晴れない。
「おいっ少年、お前も何勝手に上がってんのー!」
「ぇっ‥あぁすみません。」
:09/11/30 23:11
:SH06A3
:/tiISVew
#317 [のの子]
「二人とも泥棒って言われてもおかしくないんだからねー。」
昇さんはプンプン怒りながらクーラーを止めると窓をガラッと開けた。
「ったく、節電にご協力くださーい。」
「はーい。」
亮さんがタバコを持った手を挙げると昇さんがタバコを奪い取る。
「禁煙にもご協力ください。」
「はいはい‥」
.
:09/11/30 23:15
:SH06A3
:/tiISVew
#318 [のの子]
ってか亮さん合い鍵勝手に作ってたのか‥?
「はぁっ‥で、亮に話聞いてもらったのか?」
昇さんが亮さんの隣に座る。
「まだお説教中だよな。」
ははっと笑う亮さんに俺は苦笑いを浮かべる。
「お説教中ねぇ‥話ってさとちゃんの事だったよな?」
「はい‥」
.
:09/11/30 23:21
:SH06A3
:/tiISVew
#319 [のの子]
「‥さっきまでさとちゃんに会ってたんだよね。」
「えっ?!」
昇さんの予想外な言葉に驚く俺と違って亮さんはシスコン、とクスクス笑っている。
「はっきり言う‥俺はお前よりさとちゃんをとった。ごめんね。」
昇さんもヘラッと笑う。
「いやっなんで聡美と‥」
「お前と同じだよ。真琴の事‥さとちゃんから話聞いたからだいたいの事はわかってる。」
:09/11/30 23:29
:SH06A3
:/tiISVew
#320 [のの子]
「彰、お前はさとちゃんとゆっくり話してみろ。」
「えっ‥‥」
さっき亮さんにも言われた言葉を昇さんも口にした。
「俺もそう言ったんだけど嫌だとさ。」
亮さんがそう口にすると昇さんが俺を見つめて笑い出した。
「ぷっはははっ‥やっぱ似てんだよ、お前ら。」
「?似てるって何が‥」
「お前とさとちゃんだよ。」
:09/11/30 23:37
:SH06A3
:/tiISVew
#321 [のの子]
「さとちゃんもお前と会うの嫌だって言ってたわ。」
笑いながら昇さんが言う。
会いたくないって‥
「だったら‥やっぱ会えないでしょ。」
「でもさとちゃんは最後笑ってたぞ〜?お前と会ってみるとも言ってた。」
「えっあいつが?」
ドクン
.
:09/12/01 18:52
:SH06A3
:bkrs4aZk
#322 [のの子]
さっきまで俺の苦しめていた心臓がまた鳴り響く。
「なんで‥あんな泣いて‥嫌がってたのに‥」
「そこは直接さとちゃんに聞け。それで?‥お前はどうする?」
ドクン
「俺は‥‥でも‥」
「会ってちゃんと話したいかどうか。それだけ考えてみ?」
亮さんがテーブルに肘をついて俺を見つめる。
:09/12/01 18:57
:SH06A3
:bkrs4aZk
#323 [のの子]
‥全部を話せばきっとあいつは傷ついて、俺の前からいなくなる。
話せば‥俺もあいつの前からいなくなる。
結局ハッピーエンドなんて有り得ない。
でも、あいつは
俺なんかと会ってみたいって言ってて‥
俺は
.
:09/12/01 20:18
:SH06A3
:bkrs4aZk
#324 [のの子]
聡美Side
「桃ちゃん家泊まり行くのいつだったっけ?」
「明後日だよ〜。」
「ふーん‥それにしては準備が早いし、荷物も多いんじゃない?」
ギクッ
桜姉が買ったばかりの洋服を手に笑う。
「ただのお泊りじゃなさそうねぇ。」
「たっただのお泊りだよ。」
バッと洋服を取り替えす。
:09/12/01 23:50
:SH06A3
:bkrs4aZk
#325 [のの子]
「うそっ!あんた本当は彼氏ん家泊まりに行く気じゃないの?それとも一泊旅行とか?白状しなさいっ!」
桜姉が仁王立ちで私を睨む。
「違うもんっ‥」
私は小旅行用のバッグを胸に小さくなる。
「最近様子もおかしいし、帰り遅くなったり‥それに昨日彼氏か知らないけどコソコソ隠れて電話してたの知ってんだからねっ?」
う"っ‥
桜姉は昔からしっかりして真面目だった。長女って事もあって責任感も強いみたい‥
「私はただ心配なの‥わかるでしょ?」
.
:09/12/01 23:59
:SH06A3
:bkrs4aZk
#326 [のの子]
桜姉とは違ってまこ姉は好きなように生きる性格だった。
そんなまこ姉が死んでからは、桜姉は時々異常に私の事を心配するときがある。
たぶんまこ姉を守れなかった分、私を守ろうとしてるんだと思う‥
「‥‥学校の友達とバーベキューに行くの。もちろん桃も一緒に‥」
私はこのまま嘘をつけないと思って正直に話した。
.
:09/12/02 00:06
:SH06A3
:YRw8MBn2
#327 [のの子]
「やっぱり〜‥桃ちゃん以外は誰?」
「だから友達だよ。名前まで言わないといけない?」
私がムスッとすると桜姉はため息をついて
「一回嘘ついてるんだから仕方がないでしょ。言いなさい。彼氏も一緒なの?」
‥これじゃお母さんじゃない。いや、刑事?
それに彼氏彼氏って‥
「名前まで言いたくない。それに私彼氏なんていないもんっ!」
「はぁっ?」
.
:09/12/02 14:41
:SH06A3
:YRw8MBn2
#328 [のの子]
「いないって‥もしかして別れたのっ?」
桜姉が驚いた顔で私の横に座る。
「‥そっそうだよっ?私フラれたのっ。」
「えぇっ?!フラれたって‥じゃ最近様子おかしかったのは別れたから?」
「そうかもねっ‥それに昨日の電話は友達っ。もういいでしょ?明後日の用意しなきゃなんだからぁ。」
フンッとそっぽを向くと桜姉は気まずそうに立ち上がって
「他にもイイ男いるし、気にしない方がいいよ‥?」.
:09/12/02 22:11
:SH06A3
:YRw8MBn2
#329 [のの子]
ボソッと呟くと私の部屋から出て行った。
「‥‥はぁ〜っバレちゃったか。‥まぁいいや。」
竜二君と別れた事は、あれから色々あったしわざわざ言わなかった。
それに彼氏っていっても家族は竜二君とは会った事ないしね。
明後日のバーベキューの用意って言っても一泊だし、特に荷物もなく、あっという間に終わった。
「さて、これからどうしようかな‥」
.
:09/12/02 22:18
:SH06A3
:YRw8MBn2
#330 [のの子]
時計を見るとまだ4時を過ぎたばかりだった。
ふっと昨日の事を思い出す。
―――――
♪〜♪〜♪〜
「聡美〜携帯鳴ってるよぉ!電話じゃないの?」
「んーっ今行く〜!」
タッタッタッタッ
階段を小走りで下りると私の着信音が聞こえてきた。
「はいはいっ誰ですか〜‥」
そんな事を言いながら手に取った携帯は相変わらず鳴りつづける。
パカッ
携帯を開くと相手の名前が写る。
:09/12/02 22:32
:SH06A3
:YRw8MBn2
#331 [のの子]
『彰君』
ドキッ
私の心臓は彼を待ってたかのように、反応良く鳴った。
彰君から逃げるように去った昨日から、彰君とまこ姉の事ばかり考えてた。
二人はいつ、どんな出会いをして付き合ったのか‥
まこ姉は彼のどこを好きになって、彼はまこ姉のどこを好きになったのか
そして彼はまこ姉を失ってからどんな気持ちで生きてきたのか
そんな事ばっかり‥
.
:09/12/03 21:55
:SH06A3
:XjexLDiI
#332 [のの子]
でもそんな気持ちが会って話したいって気持ちに繋がってた。
♪〜♪〜
「ふぅ‥よしっ。」
ピッ
一息吐くと私は携帯を耳にあてる。
「もしもしっ。」
「オッス、俺だけど‥」
「うんっ‥どうしたの?」
どうしたの?って聞いたけど、だいたいわかってる。
たぶん昨日の事‥
.
:09/12/03 22:03
:SH06A3
:XjexLDiI
#333 [のの子]
「あぁ〜‥あのさぁ俺昨日昇さんと会ったんだよね。」
「えっ昇さんとっ?!」
つい大きな声をだしてしまって慌てて口をふさぐ。
ちょっ昨日って私も会ったんだけど〜‥!
桜姉が私の口から男の人の名前が出たからか、チラチラとこっちを気にしてるのがわかってサッと部屋に向かう。
:09/12/03 22:16
:SH06A3
:XjexLDiI
#334 [のの子]
パタン
「どうかした?」
「あっううんっ、なんでもない。ごめんね。えっと昇さんに会って何か聞いたの?」
急いで部屋に入るとベッドに座る。
「‥‥会いたい。」
ドキッ
「えっ?」
「会って話したいんだ‥お前と。」
.
:09/12/03 22:22
:SH06A3
:XjexLDiI
#335 [のの子]
昇さんから私について何か聞いたのかも知れない。
でも、私達が会って話したい事は決して宿題の事や夏休みの事なんかじゃなくて
まこ姉の事なんだろう。
「‥うん。私もそう思ってたんだ。彰にね、話したい事も聞きたい事もあるから。」
「俺も話さなきゃいけない事がある。」
断る理由なんてない。
結局私達はバーベキューの前日、つまり明日会う事になった。
.
:09/12/03 22:27
:SH06A3
:XjexLDiI
#336 [のの子]
バーベキュー中気まずいのは嫌だから前日に会おうっていう彰君からの提案。
そう言ったものの
「‥でも、全部話してお前に嫌われたらバーベキュー行かないから。ってか会わない。」
そんな弱気な彼を私は笑った。
「嫌いにならないと思うよ?せっかくできた夏休みの暇つぶしの相手がいなくなっちゃ困るもん。」
「ふっ‥ムカつく奴。」
――――――
.
:09/12/03 22:36
:SH06A3
:XjexLDiI
#337 [のの子]
カチッカチッ
時計の針がまた一つ進む。
彰君と会うのは明日‥
彼の口から何を聞けるんだろう?
逆に私の過去は受け入れてもらえるのかな?
「気持ち悪がられたりして‥ははっ‥」
力無く笑う。
でも、彰君も今同じ気持ちのはず。
私達は話さなきゃいけない。
過去の自分のためにも
未来の自分のためにも‥
:09/12/05 15:48
:SH06A3
:VgxOVG4c
#338 [のの子]
竜二Side
「なぁ、それどうすんの?」
「‥‥別に‥‥‥」
はぁっ、さっきからずっとこれだもんな。
彰が急に俺の家に来てからもうすぐ30分たつ。
急に昔の写真を見たいとか言って卒アルやら色々出してずっとそれを見ている。
何も話さず、何かを探してる訳でもなく‥ただ見ているだけ。
「‥なんかあったの?」
「‥‥お前はさ‥‥」
.
:09/12/05 15:58
:SH06A3
:VgxOVG4c
#339 [のの子]
「この時の事‥覚えてるか?」
彰は中学の卒アルの1ページを指差して話し出す。
「ん、どれ?」
彰が指を差していたページには、中二の頃の俺達とクラスメイトの数人がいた。
「あぁこれ。林間だろ?」
「うん‥まぁ。お前この時の事覚えてるか?」
この時?
.
:09/12/05 20:54
:SH06A3
:VgxOVG4c
#340 [のの子]
「いや‥なんでだったかな?確か他のクラスの奴と喧嘩したんじゃなかったっけ?」
「そう‥お前が最初に手出してさ、俺まで巻き添いにされたんだよ。」
彰は懐かしそうに卒アルを見つめて笑う。
俺もつられて笑う。
「‥でもさ、全部をはっきり覚えてるわけじゃない。こうやって過去は曖昧になってくんだよな‥」
彰は静かに卒アルを閉じると俺を見つめる。
「真琴もそうなってく。だろ?」
.
:09/12/05 23:24
:SH06A3
:VgxOVG4c
#341 [のの子]
ドクンッ
彰の口から彼女の名前を聞くのは久しぶりで‥彰の中で何か変わったのが伝わってきた。
「‥お前本当に聡美の事はもういいの?」
ドクンッ
聡美の名前もまた俺の心臓をうるさくする言葉だ。
「俺がフッたのにどうして?」
じんわりと手に汗を感じて俺は無意識に自分の服を掴む。
「別に‥ただお前と聡美が付き合ってたのももう過去だなぁって思って。」
.
:09/12/05 23:34
:SH06A3
:VgxOVG4c
#342 [のの子]
過去か‥
確かに俺と聡美は付き合ってたのは、もう過去だ。
「そう言われると‥なんだか寂しいね。」
俺がふっと笑うと、彰は卒アル以外に散らばった写真の中から一枚を手にとる。
「たぶん‥『今の俺』は、ちゃんと『今』と『未来』を見つめてる。」
彰は弱々しく笑うと
「真琴もやっぱ寂しいって思うかな?」
.
:09/12/06 20:17
:SH06A3
:y8Fyvyos
#343 [のの子]
彰が見つめる一枚の写真は、俺と彰と‥彼女が笑っている写真だった。
「まぁ明日にははっきりするはずだし‥そろそろ帰るかな。」
彰が写真をテーブルに飛ばす。
「‥明日なんかあんの?」
「お前の元カノとデートすんの。あいつに慰めてもらうわ。」
いつものムカつく顔に戻った彰を俺は睨む。
「へぇ‥この前といい、いつの間にそんな仲良くなったんだかね。」
.
:09/12/06 20:25
:SH06A3
:y8Fyvyos
#344 [のの子]
「そんな拗ねんなよ。ってかお前の思惑通りの展開だろ?」
っ!
「‥‥は?」
俺は更に彰を睨む。
「お前本当は聡美の事好きなのに別れたんだろ?」
「意味わかんねぇ。」
彰は余裕な表情で俺を見つめる。
「別れたのは俺と聡美を近づけさせるためとか?」
「なんでそんな事
「お前全部知ってたろ?」
.
:09/12/06 20:34
:SH06A3
:y8Fyvyos
#345 [のの子]
ドクンッ
こいつ‥まさか
「全部知ってて聡美に近づいたのか?」
ドクンッ
「聡美が真琴の妹だって‥お前いつから気づいてたんだよ。」
っ!!
彰は怒る訳でも悲しむ訳でもなく、ただ俺を見つめる。
「‥彰は勘が鋭いなぁ。それに俺が思ってたより早い展開だよ。」
俺は睨むのを止めてテーブルに頬杖をつく。
.
:09/12/06 20:42
:SH06A3
:y8Fyvyos
#346 [のの子]
「やっぱお前の思惑通りか‥」
彰がため息をしながら笑う。
「‥妹だって言うのは結構前から知ってた。でも聡美ちゃんと別れた事には関係ないよ。」
俺はさっきテーブルに飛ばされた写真を手にとる。
「もうちょっと時間かかると思ったんだけどなぁ。バレちゃったか‥聡美ちゃんも知ってんの?」
「さぁ‥もう知ってるかもだし、まだ知らねぇかも。」
彰の曖昧な返事に俺は笑うしかできなかった。
.
:09/12/08 09:11
:SH06A3
:oaTP4wws
#347 [のの子]
「妹って事言わなかったの怒ってる?」
「別に‥お前なりに言わなかった理由もあるんだろうし。」
「そう。それは有り難いね。」
彰は立ち上がると大きく伸びをする。
「はぁっ‥別にどうこうってないけどさ、お前には感謝するよ。」
「感謝って?」
俺は写真に写った幼さが残る中三の頃の自分を見つめる。
.
:09/12/08 09:24
:SH06A3
:oaTP4wws
#348 [のの子]
「明日どうなるかわかんねぇけど、とりあえず俺は『今』をちゃんと生きてる。」
「うん。」
「それは‥たぶん聡美のおかげだから。」
「そう‥で?」
「まぁお前と聡美が別れる事で、俺に微かにチャンスをができた。」
チャンス‥
過去の鎖から解放されるチャンス。
鍵は‥聡美か。
.
:09/12/08 09:35
:SH06A3
:oaTP4wws
#349 [のの子]
「俺は別に真琴の事から解放されたいって思ってるわけじゃない。ただ‥確かめたいって思った。」
俺はこうなるのを望んでた。
「俺の為だけじゃなくて‥周りの奴らとか、真琴の為にも確かめたいんだよね。自分の気持ち‥」
彰をここまで変えてくれたのは聡美で、
「だから、俺は明日聡美に全部話す。」
彰のため、
聡美のため、
‥真琴のため、
いや 自分のために
.
:09/12/08 20:16
:SH06A3
:oaTP4wws
#350 [のの子]
どこかでそう思って今までやってきた。
「うん‥お前達なら大丈夫だよ。」
二人なら大丈夫。
二人なら‥
俺は一人で大丈夫だから。
.
:09/12/08 20:19
:SH06A3
:oaTP4wws
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