ピンクな気分。U
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#651 [のの子]
「私もアイス買えば良かったぁ〜。あっ帰り道途中まで一緒だよね?せっかくだし一緒行こうよ。」
そう言って私の返答を確認しないでテクテクと歩きだす花嶋さんの後を私はゆっくりついていく。
「あっつ‥二ノちゃん宿題やった?」
私はアイスを口に入れながら首を振る。
「私も。私特に自由研究嫌いなんだよねぇ。研究って私ら学者じゃないっつーの。ね?」
私はまたニコッと笑う。
花嶋さんとは、三年生になってから同じクラスになった。
:10/05/11 23:38
:SH06A3
:SDZ/VAsU
#652 [のの子]
それまで話した事もなかったし、特に関わる事もないと思ってた。
でも、彼女は私に普通に話し掛けてきた。
花嶋さんは独特の雰囲気を持っていて、皆から好かれてもいるけど一人でも全然平気そうにしている。
だからなのかな?
私にも普通に話し掛けてくる。
否定でも哀れみの目でも見つめない彼女が、私は好き。
:10/05/11 23:45
:SH06A3
:SDZ/VAsU
#653 [のの子]
「じゃ私こっちだから。宿題頑張ろうねぇ〜。」
手を振る花嶋さんに私も手を振る。
『ばいばい』
音のない声で、私は花嶋さんの後ろ姿に呟いた。
他の人から見ればただの口パクにしか見えないだろう。
すると花嶋さんが振り返って笑いながら手を挙げた。
「ばいば〜い。」
.
:10/05/11 23:51
:SH06A3
:SDZ/VAsU
#654 [のの子]
えっ?私の声‥聞こえたの?
キョトンしながらも私も慌てて手を振った。
また一人歩く帰り道で考える。
あの時声は絶対出てなかった。
でも本当に私の声に反応したのかと思った‥
なんだったんだろう?ってただの偶然かな。
.
:10/05/11 23:57
:SH06A3
:SDZ/VAsU
#655 [のの子]
――――――――
そしてついにあの日がやってきた。
大切な人を失う日が‥‥
「聡美っそろそろ起きなって言ってんでしょ!」
その日は朝から蒸し暑くて、私はなかなか起きれないでいた。
「今日真琴と買い物行くんでしょ?真琴ならもう先出たよ。」
ガバッ!
なんでって顔をする私にお母さんは横目で
:10/05/12 00:02
:SH06A3
:fbiQYKBo
#656 [のの子]
「一時半に駅の改札前で待ち合わせだって。桜もその時間まで図書館行ってくるって行っちゃったからね。」
えぇ‥なんか私置いてけぼり。
欠伸をしながらノロノロと起き上がる。
時計を見るとまだ10時で、今の蒸し暑さからお昼頃には更に暑くなるんだと思ってため息をつく。
『ケーキ何のケーキにしたの?』
「普通のショートケーキ。」
『ご飯何にするの?』
「んー‥そうめん。」
『えぇーっ誕生日だよ?お祝いなんだよ?』
「じゃ冷し中華。」
.
:10/05/12 00:12
:SH06A3
:fbiQYKBo
#657 [のの子]
じゃ冷し中華の意味がわかんないんだけど‥
お母さんと二人でお昼ご飯を食べながらまこ姉の誕生日の話をしていた。
もうすぐ12時半になる。
そろそろ行かないと‥
『桜姉は図書館からそのまま行くのかな?』
「荷物あるし戻ってくるんじゃない?」
そっか。
この夏休みに桜姉は何回図書館に行ったんだろう。
勉強しやすいし、調べ物もできるからって毎週通うとこは桜姉の真面目さを表してる。
.
:10/05/12 22:13
:SH06A3
:fbiQYKBo
#658 [のの子]
ガチャッ
「ただいまぁ。」
あっ 桜姉だっ!
「はぁっ本当この暑さイライラする〜。聡美もう用意できてる?」
汗を拭きながら桜姉は冷蔵庫を開ける。
「ちょっと待ってね。なんか飲みたい。」
私は笑いながらバッグを手に持って桜姉を見つめる。
「桜、帰りにケーキ貰ってきてね。」
「ん〜、わかった。」
.
:10/05/12 22:18
:SH06A3
:fbiQYKBo
#659 [のの子]
この時、私達家族はまこ姉の誕生日を祝う夜を想像してたと思う。
蝋燭を吹き消すまこ姉に
おめでとうっと笑う私。
プレゼントを渡す桜姉を
優しく見つめるお父さんと
ケーキを五人分に分けるお母さん。
そんな今までと同じ誕生日のはずだった。
でも、違った
.
:10/05/12 22:23
:SH06A3
:fbiQYKBo
#660 [のの子]
私達が家を出ようと玄関に立った時、電話がなった。
♪〜♪〜♪〜♪〜
「お母さん、電話ぁ!」
「はいはい。」
お母さんが電話にでる。
「やばっ間に合うかな‥一応真琴にメールしとこっか。」
桜姉が私を見て苦笑いしながら、携帯を開く。
私はメールを打つ桜姉の横に立って、ふっとお母さんを見た。
‥‥‥? お母さん?
.
:10/05/12 22:29
:SH06A3
:fbiQYKBo
#661 [のの子]
お母さんは口を震わせながら真っ青な顔をしていた。
「ちょっちょっと待ってくださいっ!」
急に大きな声を出したから私と桜姉はビクッと肩を揺らす。
「そんなっ‥本当にうちの子なんですかっ?‥でもっ‥っ‥だっ大丈夫なんですよねっ?たいしたことないんですよねっ?」
私達は訳がわからずただお母さんを見つめる。
「そんなっ‥‥」
お母さんはそのまま電話を置くとただ呆然と立ち尽くす。
「なにっ?お母さん今の電話何かあったの?」
.
:10/05/12 22:37
:SH06A3
:fbiQYKBo
#662 [のの子]
桜姉が真剣な顔付きで少し大きな声で話す。
「‥‥真琴がっ‥なんであの子が‥‥」
そう言うとお母さんはボロボロと目から涙を流す。
「ちょっなんなの?真琴に何かあったのっ?」
桜姉は靴を脱いでお母さんに駆け寄る。
私もお母さんの取り乱した姿に驚きながらもその後を追いかける。
桜姉がお母さんの背中をさすると、
「っ‥あっ‥あの子‥事故った、みたいで‥っ‥重体‥でっ‥びょ病院に‥急いで来てくれっ、て‥」
お母さんは手で顔を覆いながら、小さく震える声を搾り出した。
:10/05/12 22:47
:SH06A3
:fbiQYKBo
#663 [のの子]
――――――――――
「真琴っ真琴はっ?」
「落ち着いてくださいっ。今からお話しま
「大丈夫ですよねっ?あの子大丈夫なんですよね?」
「ですからっ今からお話しするので落ち着いてくださいっ!」
取り乱すお母さんの肩をお医者さんが掴む。
「‥おいで。」
仕事場からかけつけたお父さんがお母さんの手をとって横に座らせる。
:10/05/12 23:03
:SH06A3
:fbiQYKBo
#664 [のの子]
桜姉と私は体を寄せ合ってただ泣いていた。
「‥娘さんですが、乗用車にひかれたらしく運ばれてきた時点で既に意識不明の重体でした。身体の外傷は擦り傷と肋骨や腕の骨折と命に関わるほどのものではなかったです。‥ですが娘さんは臓器の破裂、そして頭を強く打っています。」
「‥先生、はっきり言ってください。」
お父さんがしっかりとお母さんの肩を掴む。
.
:10/05/13 10:57
:SH06A3
:tVY7tLZs
#665 [のの子]
一瞬間を置くように、お医者さんが息を吐く。
「‥残念ですが、我々の精一杯の力でも娘さんの命を助けることは厳しいかと‥」
っっ!
そんなっ‥それって
泣き崩れかかるお母さんを、うぅっと唸るように涙を流すお父さんはしっかりと抱きしめる。
桜姉は私の手をグッと握って小さな悲鳴に近い声をあげた。
.
:10/05/13 11:09
:SH06A3
:tVY7tLZs
#666 [のの子]
まこ姉が死んじゃう?
そんなのウソ。
信じないよ‥
信じられるわけない。
今日一緒に買い物して
プレゼントを買って
みんなでまこ姉の17歳の
誕生日を祝うんだから‥
まこ姉、どこにいるの?
.
:10/05/13 11:12
:SH06A3
:tVY7tLZs
#667 [のの子]
私は立ち上がるとまこ姉がいるはずの病室へ走る。
「ぁっ‥聡美っ!」
桜姉が私を呼んだけど、誰も止めようとはしなかった。
ガラガラッ
ピッ ピッ ピッ
‥‥っ‥まこ姉‥‥
.
:10/05/13 22:41
:SH06A3
:tVY7tLZs
#668 [のの子]
そこには見るだけで痛々しいほどの包帯と点滴、呼吸機をつけたまこ姉がいた。
「真琴っ!!」
私の後からお母さん達も病室に入ってきた。
「こんなに‥っ‥真琴‥」
まこ姉の手を握ってお母さんはシーツに顔を埋める。
「ッ‥クッ‥嫌だ‥死んじゃ嫌だよっ真琴っ‥」
桜姉は反対の手を握って、起きてと言うばかりにまこ姉の手を揺らす。
.
:10/05/13 22:52
:SH06A3
:tVY7tLZs
#669 [のの子]
いつも強く自分の道を真っ直ぐに生きてるまこ姉は、私の憧れだった。
でも今傷だらけのまこ姉を見て、人の命のはかなさと弱さを思い知る。
そして自分の無力さにも‥
皆がまこ姉に泣きながら声をかけてるのに、私はただ泣く事しかできない。
まこ姉に伝えたい事はたくさんあるのに。
まこ姉死なないで
私もそう言いたかった‥
.
:10/05/14 11:14
:SH06A3
:EuBew5nc
#670 [のの子]
「‥っ‥‥あっ真琴?真琴っ!わかるっ?真琴っ!」
私達が病室に入ってから2時間が過ぎた頃、まこ姉がうっすらと目を開けた。
後からお医者さんから聞いた話だと、少しだけでも意識を取り戻した事は奇跡に近いらしい。
「真琴っお母さん!わかる?」
まこ姉はゆっくり瞳だけ動かして私達一人一人の顔を見つめる。
.
:10/05/14 11:18
:SH06A3
:EuBew5nc
#671 [のの子]
「真琴ここ病院だよ?わかるっ?」
その時私達はこのまままこ姉は助かるって思った。
でも、違うって事に私は一人早く気づく。
たぶんまこ姉自身が一番わかっていたんだと思う。
「真琴?なに?なんて言ってるの?」
まこ姉は唇を震わせながら口を微かに動かした。
.
:10/05/14 11:22
:SH06A3
:EuBew5nc
#672 [のの子]
「‥あ っ ‥ 」
そこにいる誰もがまこ姉の声を聞き取れず、その事がまた胸を苦しめる。
でもまこ姉はいつもと同じように笑った。
「‥ ‥ ね っ ‥」
っ!
その時、確かに一瞬まこ姉は私を見つめて笑った。
うん‥ うん
わかる。
わかるよ、私には。
.
:10/05/14 11:30
:SH06A3
:EuBew5nc
#673 [のの子]
まこ姉の言葉は‥ちゃんと私には伝わってるから。
「 ‥ っ‥かっ‥ 」
最後、一筋の涙を流してまこ姉はまた意識をなくした。
そして、
その後目が覚める事なく
まこ姉は
逝ってしまった‥
.
:10/05/14 11:38
:SH06A3
:EuBew5nc
#674 [のの子]
――――――――
ミーンミンミンミーン
「彰君、私ね‥まこ姉が死んじゃってから今みたいに話せるようになったの。‥やっぱり変に思う?」
俯きながら黙って聞いてくれてた彰君が顔をあげる。
.
:10/05/15 22:23
:SH06A3
:ryUNYQxE
#675 [のの子]
「思わないよ。むしろ今、お前とこうやって話せて良かったって思うし‥」
「そっか、ありがと‥それ結構嬉しいかも。」
私が照れながら笑うと、彰君も笑ってくれた。
「あのね‥私が話せるようになったの、まこ姉のおかげなの。」
私達は真っ直ぐ前を見つめる。
「私の声は‥まこ姉の最期の言葉を伝えるために、戻ってきたの。」
.
:10/05/15 22:36
:SH06A3
:ryUNYQxE
#676 [のの子]
ふわっと風が吹くと髪を揺らす。
「‥‥‥あいつの最期の言葉って?」
彰君はベンチに足をのせると体育座りをして自分の肩を掴んだ。
私は前を向きながら、まこ姉の顔と最期の言葉を思い浮かべる。
「『ありがとう、ごめんなさい』」
これを話した時のお母さん達は、悲しげに笑っていた。
:10/05/15 22:43
:SH06A3
:ryUNYQxE
#677 [のの子]
「『よろしくね』」
たぶんこれは私に言ったんだと思う。
最期の言葉を私にたくす、そんな意味があったんだろう。
そして
本当に
本当の‥
まこ姉の最期の言葉。
.
:10/05/15 22:45
:SH06A3
:ryUNYQxE
#678 [のの子]
「『バカ、愛してる』。
‥この言葉だけ、誰にたいしてなのかわからなかったんだ。バカなんて私達家族には言わないと思って。でも、今ならわかる‥」
彰君はギュッと肩を掴む手に力を入れる。
「この言葉は、まこ姉から彰君への最期の言葉だよ?」
私は優しく彰君の手に触れる。
彼の手は微かに震えてて、でも温かい。
.
:10/05/15 22:55
:SH06A3
:ryUNYQxE
#679 [のの子]
「っ‥違うかもだろ‥」
「そんな事ない。彰君からまこ姉の話聞いて確信持てたもん。」
彰君はまだ俯いたまま肩を掴む。
「まこ姉は最期もふざけ半分で『バカ』って言ったんだろうけど『愛してる』は、本当の気持ちを彰君に言ったんだよ。」
「‥っ‥‥でも‥」
「まこ姉らしい告白でしょ?そう思わない?」
.
:10/05/15 23:05
:SH06A3
:ryUNYQxE
#680 [のの子]
「‥‥っ‥‥でも‥俺は‥」
キュッと丸くなって黙り込む彰君は小さくて、子供のように感じた。
「彰君、もういいよ?‥もう自分を許してあげて?」
もういいよ。
まこ姉を死なせてしまったと思う自分。
助けられなかった自分。
生きている自分。
お願い‥もう彰君自身を、許してあげて。
.
:10/05/16 22:22
:SH06A3
:rNVBZsSE
#681 [のの子]
「まこ姉は死ぬ時ちゃんと死を受け入れてた‥」
だから最期の言葉が生まれたの。
「最期の言葉に憎しみも後悔もなかった。それどころか‥愛がこもってたって思う。」
一緒に生きてきた家族へ..
恋人の彰君へ..
「彰君‥彰君は生きて。今を精一杯生きてほしい‥生きてまた誰かを好きになって幸せになって?」
.
:10/05/16 22:31
:SH06A3
:rNVBZsSE
#682 [のの子]
「それでもまだ自分を責めるなら‥償って。」
まこ姉の人生の分
「心から好きになった人を幸せにしてあげて?」
まこ姉の夢を
「‥いつか結婚して、彰君がその人を幸せにするの。それがまこ姉の夢だったから。」
まこ姉が愛した彰君が叶えてあげてほしい‥
「それが償い‥だよ?」
.
:10/05/16 22:40
:SH06A3
:rNVBZsSE
#683 [のの子]
「‥ッ‥‥そんなのが‥償いかよ‥」
「うん‥」
「‥‥俺は‥本当に、真琴を愛してた。」
「うん、わかってる。」
「忘れられる訳ないっ‥」
「うん。」
.
:10/05/16 22:43
:SH06A3
:rNVBZsSE
#684 [のの子]
「‥っ‥‥忘れない‥‥」
ベンチの上に置いていた私の手に彰君の手が重なる。
「でも‥‥‥俺は‥前に進んで‥」
「いいよ‥進んでいいの。」
私は彰君の手をキュッと握る。
「 うん‥ 」
彰君がキュッと握り返すように力を入れた。
「‥ありがとう、聡美」
.
:10/05/16 22:52
:SH06A3
:rNVBZsSE
#685 [のの子]
私こそ、ありがとう‥
まこ姉を愛してくれて
私の隠していた過去を受け入れてくれて
彰君、ありがとう。
.
:10/05/16 23:08
:SH06A3
:rNVBZsSE
#686 [のの子]
彰Side
「‥‥クスッ‥‥」
「? 今笑った?」
「笑った。」
俺は笑いながら横にいる聡美を見つめる。
「‥なんで?」
聡美は困ったように笑いながら首を傾げる。
「ん、これ‥俺達ずっと手繋いでる。」
俺は聡美と繋いでる手をあげてまた笑う。
「あっ‥これは変な意味はなくってですねっ!」
顔を赤くして慌てて手を離す聡美。
‥真琴と似ているようで似てないな。
俺は聡美を見つめながらふっと思った。
:10/05/16 23:15
:SH06A3
:rNVBZsSE
#687 [のの子]
「っはぁ〜‥ってかまたお前の前で泣いちゃったし、最悪。ってか俺キモい。」
うげっと舌を出す。
「あははっ、でももういつもの彰君だね。」
そんな俺を見て笑う聡美。
あぁ‥やっぱり似てる。
笑った顔はどこか真琴と似ている気がした。
「よしっ!明日バーベキューだし帰ろっか!」
「うわ〜っ話終わったら即効帰るのかよ。薄情な奴〜‥」
横目で見つめた俺に聡美はほっぺを膨らます。
.
:10/05/19 20:57
:SH06A3
:CtT7/wcU
#688 [のの子]
「えぇ〜‥だって彰君大丈夫そうだし、それに私も泣いたから顔汚れてない?」
化粧を気にしてるのか目元を隠す聡美のほっぺには、涙の跡がうっすら残っていた。
やべっ俺も残ってるかも‥
俺は慌てて自分の頬をこする。
「それにバーベキュー楽しみなんだもんっ。」
そう言って目元から手を離して笑う聡美。
「‥お前目よりほっぺ。」
「へ?」
.
:10/05/19 21:04
:SH06A3
:CtT7/wcU
#689 [のの子]
「‥だからほっぺ。」
「ほっぺ?ほっぺってほっぺ?」
キョトンとしてほっぺを指差す聡美。
‥‥‥‥イラッ
「だぁかぁらぁっ!ほっぺに涙の跡ついてんだよ!」
「ちょっ!むぅわっんぅ〜!」
つい聡美のほっぺに手をやると勢いよくこする。
.
:10/05/20 19:07
:SH06A3
:5PfRElhM
#690 [のの子]
「‥ったく。」
ゴシゴシゴシッ
うっすら赤くなった頬をこする俺に対して聡美は目をつぶる。
ゴシゴシッ
‥ゴシッ
っつか俺何してんだ?
真琴の話でさっきまでお互いピーピー泣いてたくせに今じゃすっかり普通に聡美の頬触って‥それにこいつもこいつで何目つぶって黙ったまま俺のいいなりになってんだよっ!!
「ん、とれた?」
聡美が目を開けるとバチッと目が合った。
:10/05/20 19:22
:SH06A3
:5PfRElhM
#691 [のの子]
ドキッ
「んっあぁとれたっ!」
「そっか、ありがと。‥なんか彰君お兄ちゃんみたいだね。」
へへっと笑う聡美に俺は顔を赤くする。
「バッカじゃねぇの‥」
「あっまたバカって言ったぁ。」
ふんっとそっぽを向く聡美とは逆に俺はまた膝を抱え込んで丸くなる。
何考えてんだ、俺‥
「なぁ、俺がさ‥」
.
:10/05/20 19:29
:SH06A3
:5PfRElhM
#692 [のの子]
「なに?」
首を傾げながら聡美は横目で俺を見つめた。
「俺が、これから‥すぐに誰かを好きになったら‥どう思う?」
「えっすごい良い事だと思うよ?」
でも‥
「真琴の事もあったのに‥軽くね?」
真琴の事で周りの奴らにも迷惑かけたのに‥
コロッと変わるのは
そいつらにも
‥真琴にも
.
:10/05/20 19:37
:SH06A3
:5PfRElhM
#693 [のの子]
「軽いって彰君彼女二年もいなかったじゃん?」
‥‥‥そーだけどさっ!
「いや、でも‥罪悪感がでるんだよ。」
俺は遠くを見つめる。
頭に浮かぶのは‥
真琴の笑顔や
旬達の笑った顔に困った顔
竜二の悲しげな顔‥
.
:10/05/20 20:23
:SH06A3
:5PfRElhM
#694 [のの子]
「‥私は嬉しいって思うんだけどなぁ。」
っ!
俺は聡美に顔を向ける。
「なんで?」
聡美も俺を見つめて優しく笑う。
「だって彰君が前に進んだんだもん、嬉しいよ。それにすぐ好きな子できたら‥それってまこ姉が重荷になってないって事だから。」
嬉しそうに笑う聡美。
「だから早く好きな子作ってね♪」
そう言って聡美は立ち上がる。
:10/05/20 20:41
:SH06A3
:5PfRElhM
#695 [のの子]
「帰ろっか?」
「‥‥‥あぁ。」
聡美は相変わらず膝を抱えて座っていた俺に優しく笑って手を差し出した。
俺はゆっくりとその手を握る。
真琴、ありがとう。
俺を愛してくれて‥
聡美と出会わせてくれて
ありがとう。
これから俺は
自分と向き合って
前に進む。
.
:10/05/20 20:45
:SH06A3
:5PfRElhM
#696 [のの子]
俺は立ち上がって一歩踏み出した。
「明日楽しみだね。」
「だな。」
聡美と笑って歩きだす。
‥隣に真琴はいないけど
真っ直ぐ前を見て進むよ。
『―‥彰っ』
っ!
俺はさっきまでいたベンチを振り返る。
.
:10/05/20 20:49
:SH06A3
:5PfRElhM
#697 [のの子]
そこにはいるはずのない
『泣かしたらただじゃすまないからっ!』
「‥真琴‥?」
俺を睨みつける彼女。
『ぷっはは、バーカ。ありがとね。』
そう言って笑って手を振る彼女に俺は
「‥ありがとう。」
小さな声で呟く。
「あれっ彰くーん?」
先を歩いていた聡美が公園の入口辺りから俺に声をかけてきた。
.
:10/05/20 21:01
:SH06A3
:5PfRElhM
#698 [のの子]
「‥行ってきます。」
そう言って俺は彼女から目を離す。
『――‥二人とも幸せになんなさいよ。』
俺は力強くまた大きな一歩を踏み出す。
「どうかした?」
聡美が不思議そうにキョトンとする。
「いや‥なんでもない。」
俺が笑いながら歩くのを見て、聡美は相変わらず不思議そうにしていた。
.
:10/05/20 21:24
:SH06A3
:5PfRElhM
#699 [のの子]
聡美Side
――――――――
「ただいま。」
「お帰り〜。」
「お帰り〜♪聡美アイス買ってきたから食べていいよ。」
リビングに入るとアイスを食べながらテレビを見ていた桜姉とお母さんがいた。
「うん、ありがと‥」
私はそう言って冷蔵庫から麦茶をだす。
「あははっねぇ聡美の好きな芸人出てるよ?」
桜姉がテレビを指差しながら振り返る。
「あぁ‥うん、だね。」
私はコップに注がれる麦茶を見つめた。
.
:10/05/21 11:11
:SH06A3
:pqjogZqU
#700 [のの子]
「‥あれ、元気なくない?気持ち悪いの?」
桜姉が心配そうに私に声をかける。
「熱中症とかじゃないでしょうね?」
お母さんも私に顔を向ける。
ポロッ
「‥っ‥‥私っ‥」
麦茶の入ったコップに私の涙が落ちた。
:10/05/21 11:15
:SH06A3
:pqjogZqU
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