■ Heartーfull〈ハート・フル〉■
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#32 [ひよこ。]
2・夢から覚めて
《ズキン‥ズキン‥》
あああ‥
頭が痛い‥
死にそう‥。
私はぱっと目を開けた。
「‥圭介。」
目の前には
無表情の圭介が
立っていた。
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#33 [ひよこ。]
どこか遠くを見ているようだ。
「圭介‥圭介‥!」
圭介は反応しない。
相変わらず、何処かを見ている。
その視線の先には
私は居ない。
私はここに居るよ‥?
私だけを見てほしいのに‥。
「圭介‥ほんとは‥
もう私のことなんて‥。」
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#34 [ひよこ。]
「‥‥‥。」
「‥‥私のこと
なんて‥。」
「‥‥‥。」
「‥好きじゃ‥
ないんでしょ?」
「そうだよ。」
圭介は、突然
はっきりとした
口調で答えた。
「‥‥!」
圭介は今、私を見ている。
無表情のまま、じっと。
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#35 [ひよこ。]
「俺、静が好きなんだ。」
「え!?」
気づくと圭介の隣には、
親友、
――静が立っている。
「あたしも、
圭介が好きなの。」
「‥‥静?
なんで‥っ!!
なんで言って
くれなかったの!?」
「何故?
何故言う必要があるの?」
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#36 [ひよこ。]
「だって‥。」
「彼はこころを
もう愛して
いないんだもの。
ただそれだけのことよ。」
「そんな‥っ!」
《ズキン‥!》
「‥痛っ!」
《ズキン‥ズキン‥》
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#37 [ひよこ。]
静と圭介は
黙って私に背を向け
歩き始めた。
「‥しず‥か‥。」
遠くなる‥
二人が遠くなる‥。
私はまた意識を失った。
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#38 [ひよこ。]
―――‥。
消毒液‥?
なにか独特な臭いがする。
私はゆっくりと
目を開けてみた。
「‥あれ?」
見渡すとそこは
病室だった。
「起きた?」
ベッドの脇には母が居た。
お花を花瓶に
活けてるようだ。
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#39 [ひよこ。]
「麻酔でずっと
眠っていたのよ。
あなた、三針を縫う
怪我だったんだから。」
「なんで‥?
私、もう自分は
死ぬんだって
思ったけど‥。」
母は手を止めて私を見た。
――刹那
異変が起こった。
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#40 [ひよこ。]
フィルターの越しのような
ぼんやりとした映像が、
私の脳に
流れ込んで来たのだ。
『こころーっ!
こころーっ!!』
これは母の声だ。
とても掠れているけど‥。
目の前には
担架に乗せられた私。
頭から、こめかみに
血がつたっている。
病院に到着したばかりのようだ。
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#41 [ひよこ。]
視界がぐらぐら揺れる。
私に触れようと伸している
母の手が見える。
すると隊員のような人が
視界に入る。
『奥さん
落ち着いてください!
大丈夫です!
列車には轢かれて
いません!
とにかく彼女に
触れないで!!』
隊員はこちらに
向かって
はなしかけているようだ。
〈あのとき‥
あなたの血を見たら‥
落ち着いてなんか
いられなかったわ‥。〉
:09/10/28 18:39
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