■ Heartーfull〈ハート・フル〉■
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#52 [ひよこ。]
3・静かな時間
静と友達になったのは、
小学5年生のころ。
静はあの頃地味で
あだ名は
『めがねちゃん』と
呼ばれクラスの子達に
からかわれていた。
今や学校で噂されるほどの
美人になったから、
想像もつかないけど‥。
:09/10/29 00:45
:SH705i2
:HgnAkqrw
#53 [ひよこ。]
「今日もめがねちゃん
読書してる〜。」
「暗っ!」
『めがねちゃん』は
いつも昼休みに
黙々と読書をしていた。
誰とも遊ばないし
口数も少ないし、
ある意味目立つ
存在だったみたい。
「めがねちゃんって?」
同じクラスに
なったその時、
私は初めて彼女の存在
に気づいた。
:09/10/29 00:47
:SH705i2
:HgnAkqrw
#54 [ひよこ。]
「えっ!
こころちゃん
知らないのー?」
生徒人数が多いとはいえ、
めがねちゃんを
知らないのは
珍しかったらしい。
「うん。」
「藤沢静のことだよー!」
:09/10/29 00:48
:SH705i2
:HgnAkqrw
#55 [ひよこ。]
「ふーん?」
「ふーん?って‥
もうっ!聞いておいて
どうでもいいっていう返事
しないでよー!」
「あはは。」
私はその時静のこと、ただ
なんか変わった子
程度に思っていた。
そんなある日
静とたまたま席が隣になった。
:09/10/29 00:50
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:HgnAkqrw
#56 [ひよこ。]
「よろしくねー。」
「‥‥‥。」
静は黙々と
本を読んでいる。
「えっと、‥静ちゃん。」
「‥え。」
静は初めて
私の方を向いて、
少し驚いた表情をした。
「ごめん!違った?」
「いいえ‥、あってる‥。」
:09/10/29 00:53
:SH705i2
:HgnAkqrw
#57 [ひよこ。]
「?」
「こちらこそ‥
よろしくね‥。」
「うん!」
『初めてちゃんと
自分の名前を
呼んでもらえた気がして、
嬉しかったわ。』
後から聞いたことだけど、
その時のことを
このように笑って
話してくれた。
それからは、
私達はよく
お喋りするようになり
だんだん親友と
呼べるような
仲になっていった。
:09/10/29 00:55
:SH705i2
:HgnAkqrw
#58 [ひよこ。]
「あ、その本
私も持ってる。
おもしろいよねっ。」
「‥本当に?
‥これ映画化
されるんだよ‥。」
「そうなのっ。
また一緒に見に
行こうよ!」
「うん‥!」
小学校を卒業する頃には、
静は最初より
ずいぶん明るくなって
『めがねちゃん』と
呼ぶ子はもう誰も、
いなくなっていた。
:09/10/29 00:57
:SH705i2
:HgnAkqrw
#59 [ひよこ。]
それから
ずっと同じ学校で、
ずっと親友。
たまに何考えてるのか
分からなくて不安になる
時もあるけど‥。
静といる時間、
私は‥好きだよ。
:09/10/29 00:58
:SH705i2
:HgnAkqrw
#60 [ひよこ。]
――‥。
「あたし、こころが
ホームから
落ちたって聞いて‥
心配だったから
学校帰りに寄ったの。」
「圭介から聞いたの?」
「え?‥そうだけど。」
同じクラスだから
喋るの当たり前だよね‥。
:09/10/29 00:59
:SH705i2
:HgnAkqrw
#61 [ひよこ。]
あーもう嫌だなぁ。
あの夢のせいだよ‥
私、疑心暗鬼
になってる‥。
「大丈夫なの?」
「‥うん、もちろん。」
「そっか。よかった。
こころの元気な顔見れて、
安心したわ。」
ほら、いつもの静じゃん。
私ったら
何考えてたんだろ‥。
:09/10/29 01:00
:SH705i2
:HgnAkqrw
#62 [ひよこ。]
「あれ‥?
静、今日どうして
眼鏡かけてるの?」
「ああ、これ?
コンタクト、
無くしちゃったのよ。」
「えー
使い捨てじゃないから
値段高いんでしょ?
それ。」
:09/10/29 01:02
:SH705i2
:HgnAkqrw
#63 [ひよこ。]
「ふふっ。
そう言って圭介くんも
今日一緒になって
ずっと探して
くれたんだけど、
どうしても
見つからなくって‥。」
「圭介が‥?」
「‥‥?」
:09/10/29 01:03
:SH705i2
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#64 [ひよこ。]
なんで‥?
なんで圭介が‥
他の子に
優しくするのよ‥。
私には、優しく
してくれないのに‥。
「‥そうゆうの‥
やめてよ‥。」
思わず口から零れた言葉。
だめ‥止まらなくなる‥。
:09/10/29 01:04
:SH705i2
:HgnAkqrw
#65 [ひよこ。]
「‥‥え。」
「静、今私達
上手くいってないの
知ってるよね‥?」
静は悪くない。
私、分かってるのに‥。
「こころ‥。」
胸の中の不安が‥
溢れ出して‥。
「盗らないでよ‥
気安く圭介に‥
近づかないでよ‥!!」
冷たい言葉に
変わってしまう‥。
:09/10/29 01:05
:SH705i2
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#66 [ひよこ。]
「‥ごめ‥
無神経だった‥。」
静は、
悲しそうな顔をした。
「‥‥っ!」
私は病室から抜けだし
走り出した。
‥最低!
私、最低!
それから
階段を走って降りた。
まだ自分の傷が
完治していない
ということを忘れて。
:09/10/29 01:07
:SH705i2
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#67 [ひよこ。]
激しく頭痛がして、
ふらふらになりながら
一階の待合室まで来た。
すると、
少し気が落ち着いてきた。
馬鹿‥あたしが病室を
抜け出して
どうするのよ‥。
静に謝らなくちゃ‥。
「はぁぁ‥。」
私はその場に
へたり込んだ。
すると、
:09/10/29 01:08
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#68 [ひよこ。]
《ドンッ》
「うわっっ!」
「きゃっ!」
誰かが私の足に
躓いたみたい。
見ると松葉杖の、
―同年代だろうか―男が、
床に倒れ込んでいた。
「危ねぇだろ!
何処に座ってんだ!!」
「ごっ‥
ごめんなさい!!」
:09/10/29 01:09
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#69 [ひよこ。]
その時二人の目が合った。
〈やべっ‥タイプ‥。〉
「!?」
脳に直接響くような声‥
これ‥母の時と同じ‥!
「いや、いい‥
キツく言って悪ぃ‥。」
「いえ、
こちらのほうが‥。」
しばらく沈黙のまま、
お互いを
見つめ合っていた。
:09/10/29 01:10
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#70 [ひよこ。]
〈うっわ‥
どうやって連絡先
聞こうか‥。
つーか‥
いきなり聞くのは
さすがにマズいか‥。〉
もしかしてこれ‥
この人が考えてること?
げ‥幻聴とかじゃ‥。
:09/10/29 01:11
:SH705i2
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#71 [ひよこ。]
「あの‥君‥」
「櫻井様ー櫻井様ー。」
彼の言葉は
ナースの声で遮られた。
「‥ちっ。」
彼は舌打ちして
立ち上がった。
《チャリン‥》
その時彼は
何かを落としていったが
気づかずに足早に
去って行った。
:09/10/29 01:13
:SH705i2
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#72 [ひよこ。]
‥もしかして私‥
人の心が覗けるように
なったの‥?
彼の落とした
ネックレスを握り締め、
私はしばらく立つことが
できなかった‥。
:09/10/29 01:14
:SH705i2
:HgnAkqrw
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