太陽と夏の空
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#201 [ラビ]
達矢「はぁ〜。めんどくせぇなぁ…。」
ブツブツと文句を言いながら部室の前に立った。
部室のドアに手をかけ、開けようとしたとき…
「…だよな!」
と声が聞こえてきた。
…何だ?
俺は少し気になったので様子をうかがうことにした。
:06/09/04 18:39 :W32SA :ycqhNSgc
#202 [ラビ]
「達矢ってさ、スゴいピッチャーの才能あるよなぁ!」
「だって小学校のときアイツのこと知らない奴いないってほど有名でスゴかったんだろ?」
「らしいよな!なんでエースじゃないんだろうな。まぁショートもカナリ上手いけど。」
「やっぱヒロキがいるからじゃねぇ?ヒロキも小学校の時からスゴいって有名だったしたさぁ」
:06/09/04 18:43 :W32SA :ycqhNSgc
#203 [ラビ]
「でもそんなに差なんてないと思のになぁ」
「だよな。」
ドアの前で立ち聞きの俺。
ずっと昔にもこんなようなことしてた気がするなぁ〜なんて思いながら
もういいか。ヒロキ待ってるし。
そう思ってドアノブを回そうとした次の瞬間…
:06/09/04 19:40 :W32SA :ycqhNSgc
#204 [ラビ]
「ヒロキがいなかったら完璧達矢がエースだったのにな」
…え?
今何て言った?
俺はドアノブから手を離し、一歩後ずさりした。
そしてまた、ずっと昔に同じようなことを言われた気がした。
「よっしゃー帰るかぁ」
俺はハッと我にかえった。
:06/09/04 19:44 :W32SA :ycqhNSgc
#205 [ラビ]
ここで顔を合わせたら気まずい…。
とっさに俺は部室の裏にまわって身を隠した。
…ガチャ。
スタスタスタ…
:06/09/04 19:46 :W32SA :ycqhNSgc
#206 [ラビ]
シーン…
部室には誰もいなくなったようだった。
…はぁ〜…。
俺はひとつため息をついて表のほうに戻り、部室へ入った。
達矢「あ、あったあった」
忘れ物の鍵を取るとすぐに部室を出た。
:06/09/04 19:49 :W32SA :ycqhNSgc
#207 [ラビ]
“ヒロキがいなかったら完璧達矢がエースだったのにな”
…さっきの言葉が頭から離れない。
達矢「…るせぇ…」
俺は拳を握り、昔言われた言葉も思い出した。
“宮本がいなかったら坂本は…”
達矢「そんなの…昔から言われてる…。“ヒロキがいなかったら”…?ざけんな…」
:06/09/04 19:55 :W32SA :ycqhNSgc
#208 [ラビ]
俺はフェンスを一発殴り、ちくしょうと小さくぼやいた。
「…達矢?」
俺はハッとして顔をあげた。
そこには心配そうにヒロキが立っていた。
きっと俺がなかなか戻ってこないから様子を見に来たんだろう。
:06/09/04 19:58 :W32SA :ycqhNSgc
#209 [ラビ]
ヒロキ「どうしたんだよ?…鍵…あったか?」
達矢「あぁ…。待たせて悪ぃな☆」
俺はヒロキに心配をかけるまいと明るく振る舞った。
ヒロキ「大丈夫か…?」
達矢「大丈夫だけど?☆どした?(笑)」
ヒロキ「いや、ならいいんだけどさ…」
達矢「帰ろーぜ☆」
ヒロキ「おう」
:06/09/04 20:03 :W32SA :ycqhNSgc
#210 [ラビ]
俺達は自転車に乗り、途中までの道のりを一緒に帰った。
達矢「じゃぁな☆」
ヒロキ「また明日ぁ☆」
いつもの交差点で別れをつげる。
達矢「はぁ…。」
俺はまたため息をついた。
ヒロキ…。
親友のお前にも、この悩みだけは言えねぇや…。
そうして今日も…一日が終わった。
:06/09/04 20:10 :W32SA :ycqhNSgc
#211 [ラビ]
ちょっと休憩しまぁす(・・A;)読み返してみると納得出来ない文章がチラホラ…。すみません…(T_T)
:06/09/04 20:21 :W32SA :ycqhNSgc
#212 [ラビ]
夏の暑さも本格的になり、連日セミの鳴き声が響く。
…カキーン…
「レフトレフトぉ!!」
ズサァッ…
…カキーン…
「走れ走れー!!」
ズサァッ…
「よし、オッケーだぁ!次!」
…カキーン…
:06/09/04 22:07 :W32SA :ycqhNSgc
#213 [ラビ]
愛川高校のグランドは
いつものようににぎやかだ。
…カキーン…
ボールがバットに当たる金属音。
パシッ
ボールをグローブでキャッチする音。
ズサァッ…
選手たちが白球を追い、飛込んで着地するときの土の音。
まさに、夏の青春だ。
:06/09/04 22:14 :W32SA :ycqhNSgc
#214 [ラビ]
この夏は、俺達にとって一生で一番大切な夏。
大きな夢の舞台
“甲子園”
その夢を
叶えるときがきたんだ。
夢が叶うときって…
どんな感じなんだろうな…
:06/09/04 22:16 :W32SA :ycqhNSgc
#215 [ラビ]
【6章―甲子園】
ワァァァァァァァ…
響き渡る歓声。
球場は満員。
それもそのハズ…。
この試合は
甲子園がかかった決勝戦だから。
:06/09/04 22:41 :W32SA :ycqhNSgc
#216 [ラビ]
愛川高校 対 白石学園
どちらも一歩も許さない大接戦。
俺はこの日、ショートを守っていた。
そして…迎えた最終回。
1点のリードを守る愛川。
それを追い掛ける白石。
この回を抑えれば
俺達の甲子園が決まる。
:06/09/05 07:07 :W32SA :pFuM3zxU
#217 [カズ]
続きが気になるからアゲアゲ
:06/09/05 10:03 :W41CA :v1yl.75k
#218 [ラビ]
カズさん~いつもありがとうございますュ書きますy~
:06/09/05 13:16 :W32SA :pFuM3zxU
#219 [ラビ]
2アウト。
いよいよ…最後の一人だ。
2ストライク
2ボール
一気に鼓動が高鳴る。
ヒロキが振りかぶって…
投げた。
:06/09/05 13:19 :W32SA :pFuM3zxU
#220 [ラビ]
…スパーン!!
「ストライク!バッターアウト!!」
―試合終了。
ワァァァァァァァ…
会場が破れんばかりの大きな歓声。
俺達は白石をやぶり、
甲子園を決めた。
:06/09/05 13:23 :W32SA :pFuM3zxU
#221 [カズ]
甲子園だやった
:06/09/05 13:57 :W41CA :v1yl.75k
#222 [ラビ]
文章ヘタで伝わってるか不安なんで一応言っておきます(>_<)
現在→過去→現在の順番で書いていますので、甲子園を決めたところは一番最初の>>1-4と同じ場面ということになります。
過去の所が長すぎてワケわからなくなってる人がいるかもしれないですね↓↓これから書くのは現在になるので、見捨てないで見てて下さいね(;_;)(笑)
:06/09/05 14:59 :W32SA :pFuM3zxU
#223 [ラビ]
↑のアンカーミスりました(|| ゜Д゜)
>>1-4:06/09/05 15:01 :W32SA :pFuM3zxU
#224 [ラビ]
【7章―光と悪夢】
甲子園を決めた俺達は
学校ではヒーローだった。
地元中の新聞のネタになり、
監督のところにはよく記者が訪れていた。
なんせ10年ぶりの甲子園。
昔、日本中を沸かせた強豪が復活したのだ。
:06/09/05 15:10 :W32SA :pFuM3zxU
#225 [ラビ]
ヒロキ「なんか…プレッシャーだよな。」
苦笑いでヒロキは言った。
達矢「新聞の記事の1面飾るような奴が何ビビってんだよ」
…どこの新聞を開いても
宮本宮本宮本宮本宮本…。
デカデカと写真まで載り、もはや地元でヒロキの名前と顔を知らない奴はいないだろう。
:06/09/05 15:17 :W32SA :pFuM3zxU
#226 [ラビ]
ヒロキ「バカ、それもプレッシャーなんだろうが!(笑)」
俺達はハハハッと笑い、贅沢な悩みだな、と俺は言った。
達矢「もうすぐあの土を踏めるぜ」
ヒロキ「あぁ…。やっと夢が叶うな」
あの土が踏めるということは
球児であれば誰しもが羨ましがること。
俺達が長年見続けてきた夢は
この夏、やっと開花する。
:06/09/05 15:22 :W32SA :pFuM3zxU
#227 [ラビ]
そして…俺はある決心をしていた。
達矢「なぁヒロキ…」
ヒロキ「ん?」
達矢「お前を…日本一のピッチャーにしてやるよ。」
ここまで来たらヒロキにはとことん上にいって欲しい…。
甲子園で優勝したら…
ヒロキは高校で日本一の投手となるだろう。
:06/09/05 15:29 :W32SA :pFuM3zxU
#228 [ラビ]
ヒロキには、それに値する力もある。
不可能じゃないハズだ。
俺はニヤッと笑ってヒロキを見上げた。
するとヒロキはプッと笑って俺に言った。
ヒロキ「じゃあオレはお前を日本一のショートにしてやんなきゃな!」
:06/09/05 15:32 :W32SA :pFuM3zxU
#229 [ラビ]
ヒロキもまた俺を見てニヤッと笑った。
達矢「約束だぜ?」
ヒロキ「おう!!」
また俺達はハハハッと笑って、今度は空を見上げた。
青くてキレイな空…。
この空は甲子園まで続いていて、この空の下でプレーするんだ。
「最高だな…」
俺はボソっとつぶやいた。
:06/09/05 15:50 :W32SA :pFuM3zxU
#230 [ラビ]
ヒロキ「なぁ達矢…?」
達矢「あ?」
ヒロキ「中学ん時の…約束覚えてる?」
達矢「約束?」
ヒロキ「一緒に愛川行こうって言ってくれた時のさ…」
達矢「あぁ…」
俺はすぐに思い出した。
:06/09/05 16:04 :W32SA :pFuM3zxU
#231 [ラビ]
中学の時、ヒロキと監督に呼ばれ、高校の話をされた時
俺達は笑って約束したんだ。
『甲子園行こうぜ』
また俺達の声がそろった。
ヒロキは笑って
「あの時の約束…守れて良かった…」
と言った。
:06/09/05 16:16 :W32SA :pFuM3zxU
#232 [ラビ]
俺はそんなヒロキをパシっと叩いてこう言った。
達矢「バーカ。まだ終わってねぇだろ?新しい“約束”」
ヒロキは、“あ、そうか”と笑い
「日本一にならないとな」
と言った。
…そうだよヒロキ。
まだ約束は果たされてねぇよ。
:06/09/05 16:24 :W32SA :pFuM3zxU
#233 [ラビ]
達矢「さーて、練習行くかぁ〜」
ヒロキ「おいっ待てよ!(笑)」
…もうすぐ甲子園。
この夏の間に
俺達は甲子園出場という希望の光を見た。
その光はまぶしくて、明るい。
でもこの時の俺は…
あんな悪夢を見るなんて
思いもしなかったんだ。
:06/09/05 16:33 :W32SA :pFuM3zxU
#234 [我輩は匿名である]
続きが気になるからアゲアゲ
:06/09/05 16:56 :W41CA :v1yl.75k
#235 [ラビ]
カズさんまたまたアゲありがとうございますュ
では…参りますy(笑)
:06/09/05 17:50 :W32SA :pFuM3zxU
#236 [ラビ]
学校は夏休みに入り、3年生にとっては高校生活最後の夏休みだ。
さっさを進路を考えて動き出す奴。
部活から解放され、毎日のように遊びまくる奴。
いろいろいる。
けど、俺達はどちらもない。
もうすぐ…
夏の甲子園が始まる。
:06/09/05 17:54 :W32SA :pFuM3zxU
#237 [ラビ]
甲子園まであと4日…。
練習も“全国”を意識して、ピリピリとした空気が流れていた。
「おい!そこ違うだろ?!」
監督のゲキがとぶ。
選手もみんな必死にボールに喰らい付く。
特に3年生は最後だから
誰もがベンチ入りを目指して必死にアピール。
…周り全てが敵だ。
:06/09/05 18:04 :W32SA :pFuM3zxU
#238 [ラビ]
そんなこともあって
チームはまとまりを失っていった。
誰も会話がない。
ベンチ入りするかしないか瀬戸際の3年生は
いつもベンチ入りをしている後輩に冷たく当たる。
その後輩が何をするのも無視。
俺とヒロキは、後輩達をかばう毎日だった。
:06/09/05 18:08 :W32SA :pFuM3zxU
#239 [ラビ]
達矢「悪いな…。ホントはそうゆう奴じゃないんだけど…。今ピリピリしてんだよ。ホントごめんな。」
俺は後輩に頭を下げる。
「いいっすよ。ピリピリする気持ちわかりますから。それに達矢先輩が頭下げないでください…」
幸い、後輩達はみんなイイ奴で、こっちの状況もわかってくれていた。
:06/09/05 18:12 :W32SA :pFuM3zxU
#240 [ラビ]
ヒロキ「甲子園までに間に合うかな…」
達矢「大丈夫だろ。もうちょっとしたらおさまるさ。」
ヒロキ「そうかな…」
ヒロキは最近悩んでいるようだった。
たぶん、チームのまとまりが失われてきているのは
キャプテンである自分のせいだと思ってるんだろう。
:06/09/05 18:24 :W32SA :pFuM3zxU
#241 [ラビ]
達矢「大丈夫。お前のせいなんかじゃねぇよ」
俺はそう言ってヒロキの肩を叩いた。
ヒロキ「…ありがとう。オレ…達矢がいてくれてホントに良かったよ☆」
ヒロキは笑って言った。
…俺も、ヒロキがいたからここまで野球が続けられたんだ。
:06/09/05 18:38 :W32SA :pFuM3zxU
#242 [ラビ]
達矢「親友だろ?☆」
俺もヒロキには感謝しきれないくらい感謝してる。
今はヒロキに元気になって欲しかった。
ヒロキ「サンキュ☆」
達矢「よっしゃ!帰ろうぜ☆」
:06/09/05 18:49 :W32SA :pFuM3zxU
#243 [ラビ]
今日もまた1日が終わる。
「じゃあな☆」
俺達はいつもの交差点で別れた。
ヒロキは元気を取り戻しているようだった。
:06/09/05 18:51 :W32SA :pFuM3zxU
#244 [ラビ]
俺は家に帰り、カレンダーにつけられた赤い印を見つけた。
甲子園まであと3日。
もう目の前だ。
甲子園を考えると、緊張と興奮で毎日眠れないほどだった。
食事を済ませ、風呂に入り、ベッドの中にもぐりこむ。
…早く甲子園でプレーがしてぇな…。
今日もそんなことを考えながら眠りについた。
:06/09/05 19:02 :W32SA :pFuM3zxU
#245 [ラビ]
次の日の朝。
いつもと何も変わらない朝だった。
達矢「ふぁぁぁぁあ…眠ぃ…」
あくびをしながら着替えを済ませ、部屋を出ようとした時…
「達矢ー!!達矢ぁー!!」
と母さんの声が聞こえた。
:06/09/05 19:06 :W32SA :pFuM3zxU
#246 [ラビ]
達矢「起きてるー!!」
そう言い返して部屋を出た。
階段を降りると、母さんが慌ててとんできた。
「達矢っ!!早く車に乗って!!」
母さんの慌てように俺も驚いた。
達矢「なっなしたんだよ!?」
:06/09/05 19:09 :W32SA :pFuM3zxU
#247 [ラビ]
母さん「いいからっ!!」
俺は言われるままに車に乗る。
…一体…何の騒だ…??
しばらく車は走り続け…
そうして着いた場所は…
…病院。
:06/09/05 19:12 :W32SA :pFuM3zxU
#248 [ラビ]
…ゾクッ
俺は寒気がした。
この嫌な感じ…
前にもあった…。
…そうだ…
父さんのときだ…。
:06/09/05 19:13 :W32SA :pFuM3zxU
#249 [ラビ]
車から降りると急いで病院の中に入った。
無我夢中で走る。
そして…ある病室の前に案内された。
病室のドアに手を伸ばす…。
…あぁ…この感じ…。
父さんのときと一緒だ…。
俺は頭が真っ白で、何も考えられなかった。
:06/09/05 19:18 :W32SA :pFuM3zxU
#250 [ラビ]
このドアの向こうで何が起こっているのかはわからない…。
だが、良くないことであるのは確かだ。
…俺の手が震えてきた。
…嫌だ…。
開けたくない…。
真っ白な頭の中で
考えることはそれだけ。
:06/09/05 19:23 :W32SA :pFuM3zxU
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