太陽と夏の空
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#355 [ラビ]
達矢「…あ…」
俺は、ボストンを積もうとしたとき、手に握られた紙袋に気が付いた。
…ヒロキ…。
お前も一緒にバスに乗るよな?
俺はボストンだけ積んだあと、
紙袋を丁寧に抱きかかえてバスに乗り込んだ。
:06/09/10 20:44
:W32SA
:hksmURtU
#356 [ラビ]
俺が座る座席の隣には淳平がいた。
淳平「おっす」
達矢「おっす」
俺は挨拶を返して座席に座る。
淳平「なんだ?それ?」
早速、淳平は紙袋を指差して聞いてきた。
達矢「…ヒロキだよ」
俺は堂々と答えた。
:06/09/10 20:49
:W32SA
:hksmURtU
#357 [ラビ]
淳平「ヒロキ?!」
淳平は目を見開いて驚いていた。
…まぁ普通は驚くだろう。無理もない。
恐る恐る紙袋をのぞこうとする淳平に
俺は紙袋を開いて見せた。
…少し土がついていて、使い古したような茶色のグローブ。
…甲子園のマウンドを踏みしめることを楽しみにしていたであろう、黒いスパイク。
:06/09/10 20:55
:W32SA
:hksmURtU
#358 [ラビ]
…少し色がハゲてきた帽子。
そして…
愛川高校のユニフォーム。
背中に輝く番号は
『1』
紛れもない、ヒロキの番号。
:06/09/10 21:02
:W32SA
:hksmURtU
#359 [ラビ]
淳平はそれを見て表情を少し曇らせた。
…淳平も俺と同じで
ヒロキがこのユニフォームを着てマウンドに立てなかったのが
悔しくて仕方がないんだろう…。
達矢「なぁ、ヒロキも連れてってやっていいよな?」
俺は黙ってユニフォームを見つめる淳平に問いかけた。
:06/09/10 21:18
:W32SA
:hksmURtU
#360 [ラビ]
淳平「当たり前だろ!!」
淳平はバスの中であるのを忘れて叫んだ。
淳平「あ…コホン。」
淳平は我にかえって恥ずかしそうにしていた。
淳平「ヒロキは俺達のキャプテンだぜ。キャプテン不在で試合が出来るかよ」
:06/09/10 21:47
:W32SA
:hksmURtU
#361 [ラビ]
淳平は当たり前のことのように言ってくれた。
達矢「ありがとう…。」
俺達はそれ以上の会話をせず、バスの中で寝た。
…甲子園は
もう目の前だ。
:06/09/10 22:16
:W32SA
:hksmURtU
#362 [ラビ]
「もう着くから起きろよー!!」
監督の声で目が覚める。
長かった旅路の果てに…
見えるのは甲子園球場。
「うわぁ〜!!」
「すげぇー!!」
バスの中は興奮と感動でいっぱいだ。
達矢「…すげぇ…」
俺も感動してそれ以上の言葉は出なかった。
:06/09/10 22:20
:W32SA
:hksmURtU
#363 [ラビ]
長い間ずっと夢見ていた甲子園。
その甲子園が、すぐ目の前にある。
淳平「今年はテレビを通さないで生で見れるんだな」
隣で淳平がつぶやく。
達矢「そうだな…。」
バスは甲子園の近くに止まり、部員はバスを降りる。
とりあえず、球場内を見学するようだ。
:06/09/10 22:28
:W32SA
:hksmURtU
#364 [ラビ]
「うぉぉぉ!!!」
球場の中に入ると、興奮は倍以上だ。
なんと言っても広い。
俺は球場を見ただけで涙が出そうなくらい感動した。
ガサッ
俺はとっさに一緒に持ってきた紙袋を思い出した。
:06/09/10 22:34
:W32SA
:hksmURtU
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