無題【BL】
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#108 [我輩は人間である]
フンと鼻を鳴らして千鶴は得意気に言う。
「じゃあ無理だ」
「は?」
「そんなんなら無理だ無理。やっぱ40に引き下げよう」
やっぱし50点はな…、とわざとらしく呟きながら額に手を当てる。両目を覆うように隠してチラリと指の隙間から千鶴を観察した。
さっきからコロコロと言葉が変わって動揺しているというより、大政から見下された感がさっきの言葉で強かったのか気にくわない反応を見せている。
黒目がこちらに向いた瞬間大政はかかったと確信した。
「50点で!!みくびんじゃねーぞコノヤロー」
まさか本当に引っかかるとは。
すぐにかかった目の前の獲物があっさりと捕まりすぎて、可笑しくて笑いを堪える大政であった。
:10/04/15 05:50
:S001
:☆☆☆
#109 [我輩は人間である]
「違う違う。ここ代入して、」
「……あ゛ーっ、もうっ」
リビングに千鶴の呻き声にも似た声が響いた。
まんまと大政の作戦にハマって五日目。
男二人、参考書や大政がまとめたノートを見ながら今は数学のお時間だ。
どんなに頭がクラクラして参考書に書いてあることが意味不明だったとしても、自分から話に乗ったので逃げ出すことは嫌だった。
売られた喧嘩は買うのが千鶴の考えで、逃げ出すなんてプライドが許さない。
喧嘩じゃ強いのに…、今にもパンクしそうな頭の中で千鶴は弱々しく呟いた。
:10/04/16 00:12
:S001
:☆☆☆
#110 [我輩は人間である]
この五日間で千鶴は数学が得意だと大政は気付いた。
因数分解なんかほんの一時間で公式を簡単に覚えるし、千鶴の父親から全く勉強ができないと聞いていたが思ったより手こずることはない。
本人も負けず嫌いなのか、詰まったりイライラし始めた時はちょいちょい挑発するような言葉をかけてやると、嫌嫌ながらもちゃんと問題に向き合っている。
この五日間で大政は千鶴をコントロールできるようになっていた。
警察沙汰も度々だと聞いていたがこれなら案外―――。
:10/04/16 01:43
:S001
:☆☆☆
#111 [我輩は匿名である]
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:10/04/16 02:01
:SH904i
:☆☆☆
#112 [我輩は人間である]
「おい、ここ教えろよ」
不機嫌丸出しな声で開いた参考書を大政に押し付けてシャーペンをカチカチと芯を新しく出す。
ぶっきらぼうな態度にも慣れたし何よりわからないところはちゃんと聞いてくる所がカワイイ奴だと思う。
ノートに数式を書いてポイントポイントを細かく言うと隣のヤンキーはふむふむと小刻みに顔を縦に動かした。
時計の針はもうすぐ9時を指そうとしていた。
:10/04/25 03:22
:S001
:☆☆☆
#113 [我輩は人間である]
「よし。あと練習5解いたら終わりにしよう」
「マジで?、ってまだまだじゃん」
千鶴は問題に取りかかりながら喜びを含んだ声を出した。
もうそんな時間かあ…とニヤニヤしながら連動して時計に目を向けるとまだ10時になっていない。
いつも切り上げるのが10時ちょい過ぎのペースなのが、突然1時間近く早まって嬉しいやらなんだか寂しいやら。
…………寂しい?
悪いなと大政は教材を鞄に詰め出した。
「明日には実家に帰らなきゃいけないんだ」
「は?何それ。散々無理矢理勉強押し付けといて自分の用は最優先ってか」
:10/04/25 03:36
:S001
:☆☆☆
#114 [我輩は人間である]
申し訳なさそうな顔を尻目、千鶴は言った。口が勝手に動いたとでも言うのだろうか、
「結局お前だってどうせ俺から逃げてくんだろ。そういう魂胆見え見えなんだよ」
あれよあれよと
「また明日か明後日になったら出ていって、ちゃっかりいなくなってくんだろ」
口が動いていく。
「さっさと出てけよ!先生!!」
自分でも驚くほどの口振りだ。
何を思ってこんなことを言ったのかもわからない。
一気に頭に血が昇っていくのがわかってその瞬間むしゃくしゃした気持ちが千鶴の中に込み上げた。
:10/04/25 04:38
:S001
:☆☆☆
#115 [我輩は人間である]
さっきまでとは一変して様子が違う千鶴に大政は目を丸くした。
出ていけと言われ出ていくのもなんだか気にかかる。しかし都合上出なくてはならない。
考えているうちに千鶴は自ら出ていってしまった。
一人部屋に残された大政は携帯を開いた。
:10/04/26 01:17
:S001
:☆☆☆
#116 [我輩は人間である]
勢いよく階段を下り路地へ出た。
イライラが足に出て早歩きになっている事に気付いて歩みを遅めた。
コンビニで甘い物でも買ってこのどうしようもないイライラを落ち着かせようと千鶴はコンビニへ足を進めた。
「おーー。千鶴じゃねぇか」
コンビニの入り口周辺でたむろってたのが遠くからでもわかった。出来れば顔を合わせたくないので引き返そうと今来た道に戻ろうとした瞬間、目が合った。
千鶴は苦虫を噛んだような面持ちで昔の仲間をもう一度視界に入れた。
:10/04/26 01:36
:S001
:☆☆☆
#117 [我輩は人間である]
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無視してそのまま歩くこともすぐに数人が千鶴を囲む。あの時大切だと思った仲間。今じゃ思い出したくもない他人。無理にでも肩を組んで千鶴を離さない。
「離せよ」
「うわ。友達になんて言いぐさだよ、千鶴ぅ〜」
リーダー格のわざとらしい言葉に周りの奴らは怪しく笑う。千鶴は眉を寄せた。もう一生顔を合わせたくない奴らとご対面なんて最悪だとしか言いようがない。このタチ悪い空気、相変わらずだ。
「ぱったり連絡なくなっちゃって寂しかったぜ?また一緒に青春しようよ」
「青春?笑っちまう。ま、確かに俺いい金ヅルだったし、お前らにはいい青春だったな」
「おい。口の聞き方に気を付けろよ」
「俺のおかげでいい思いできたわけだし。あん時はまさかこんな低レベルな青春ごっこに…っ」
付き合わされてるとはな。
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:10/07/20 02:14
:S001
:cszaspo.
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