無題【BL】
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#1 [我輩は人間である]
:09/12/21 01:31
:S001
:☆☆☆
#2 [我輩は人間である]
【短編】
季節ピッタリラブレター
:09/12/21 10:50
:S001
:☆☆☆
#3 [我輩は人間である]
12月25日、今日はとくに寒い。
いつもの学校からの帰り道に所々霜がかかっている風景が、もう冬かと感じさせられる。
俺は首に緩く巻いてあるマフラーを口元を覆うように一部上げて歩き出した。
「寒っ」
天気予報のお姉ちゃんは午後は雪が降るとかなんとか言っていたから帰りはそうとう冷え込むとか今年のケーキはブッシュ・ド・ノエルかなとか思いながら誠の家へと歩くスピードを少し上げた。
:09/12/21 11:02
:S001
:☆☆☆
#4 [我輩は人間である]
インターホンを押してしばらくすると鍵が開く音が聞こえたので中に入った。
「お邪魔します」
「おっせーよ」
「うっせーな、部活が長引いたんだよ」
「コウ帰宅部でしょ」
「……………。先に行ってる」
「おう」
誠の部屋がある二階。
漫画がズラーッとある本棚に今日は布がかけてあり少し汚い男文字で『メリークリスマス!』と書かれてるのに少し笑った。
『マ』が『ア』に見えるのは俺の眼が悪いだろうか?
座布団の置かれたところに尻を付けあぐらをかいて座るも落ち着かなかった。
この匂い、部屋中に香る匂いは誠自身の香り。
:09/12/21 11:16
:S001
:☆☆☆
#5 [我輩は人間である]
俺はそっと通学カバンの中にあるプレゼントとカードを意味もなくチェックする。
今日こそ、その時だ。一ヶ月前の返事の時――――。
「おまたせ」
後ろからチョコレートケーキをワンホールの半分だけ持ってきて誠は上機嫌に入ってきた。
「なんで切ってんの」
「んだその目は。食えねぇだろ普通に」
ケーキの上にはお菓子のサンタやトナカイやチョコレートのプレートがぎゅうぎゅう詰めに乗っている。
「観賞用」
机を挟んで俺の正面に座った誠はなんだソレと少し笑いながらケーキを置いた。
:09/12/21 11:28
:S001
:☆☆☆
#6 [我輩は人間である]
ケーキ食べたさに早く食べようと渡されたフォークでふわふわのスポンジに刃を入れると
「あ、ストップストップ!」
「なんだよ………」
「挨拶くらい交わしてから食べようぜ?」
握られてる右手首が熱を帯びて熱くなった。ここらで俺はやっぱり今日言うことは自分自身に背いてない、間違えてない答えだと確信した。
ハッピーメリークリスマスとにこやかに優しい笑顔を俺に向け、俺が言うまで一向に放す気はなさそうなのでメリクリと省略して言ってやったら、よしと言って手首が解放された。
:09/12/21 20:58
:S001
:☆☆☆
#7 [我輩は人間である]
そういう対象として見てない時はよかったが今となればその笑顔も胸を高鳴らせる一つの表情だ。
まだ秋の気配が残っていた。
ちょうど俺たちが掃除当番で、黒板消し綺麗にしたらマックでも行こうって話をしてた。
窓を閉めようと窓に手をかければ肌寒い風が俺を通り抜けるように吹く。
そういえば…
「…今日奢れ」
「え?何いきなり命令口調」
「金がない」
「でも誘うんだ」
財布に小銭三つ四つ位しか入ってない事に気付いて金を無理に要求。誘った時はまだ千円一枚入ってると思ってたけど、昼に購買でパンを大量に買った記憶がすっぽり抜けていた。
「うっさいな、死ね」
「奢ります、奢ります。つかさ……………、」
誠は最終的には俺の我が侭に付き合ってくれる。俺も性格上素直になれないからそこは自覚してもっと柔らかく接しようと思ってたけど、我が侭言おうと悪態つこうと誠はそんな俺を甘やかす。そうなってくると俺もいつしかそんな誠に甘えてしまう。
:09/12/21 22:24
:S001
:☆☆☆
#8 [我輩は人間である]
なかなか聞こえてこない話の続きに俺は顔を向けた。
「つかさ…?」
続きを催促すると机を直しながら何やら躊躇いがちな表情をして誠も俺の方に顔を向けた。
その顔はどこか真剣そうでいつもとは違う雰囲気が俺たちの間に流れた気がした。
「………コウが好きだ」
「……………」
この空気はなんだろう。
躊躇った表情や少し頬が赤くなっているところが、友達としての告白ではないと悟らせた。
「バカな事言ってないで行くぞ」
「……………あはっ、ごめんごめん」
:09/12/21 23:13
:S001
:☆☆☆
#9 [我輩は人間である]
こうしてまた一つ、甘えて逃げた。誠から。
でも誠はやはり何も言わなくて、次の朝には今までと変わらず話したりした。昼も食べて、授業中もなんやかんや喋ったり普段と変わらない。次の日もそのまた次の日も。
俺はそれに混乱した。
逃げたのは自分なのに追いかけて欲しいなんていう我が侭が生まれて、マジな告白だった気がして、意識して……――――。
そうしていつの間にか恋をしていた。
後から出てきたフライドチキンやシチューに夢中になってケーキは余程食べてない。着く前まではケーキで頭がいっぱいだったがやはり次々に目を引くものが出てくるとついついそっちに手がいってしまう。
「ケーキ食わねえの?」
「食う。お腹休ませてるだけ。食うなよ、俺のなんだから」
:09/12/23 02:16
:S001
:☆☆☆
#10 [我輩は人間である]
「食べたら殺されるの知ってるから食べねえよ」
そう言いながら立ち上がり机の引き出しから洒落た袋を手にして俺に差し出す。
「今回は期待していいぞ!」
何故か自慢気な表情にハテナマークを浮かばせながら受け取った。
袋から出して丁寧にラッピングされた紙も我ながら無惨に破り取ると中から出てきたのはシルバープレートのキーホルダー。
「これだけ?」
「ヒドッ!まあまあこっち側見てみ」
俺の隣に座ってチェーンに繋がれたプレートをひっくり返すとローマ字で俺の名前が刻まれていた。
「世界に一つしかないって思えば少し感動しない?」
:09/12/23 02:40
:S001
:☆☆☆
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