無題【BL】
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#39 [我輩は人間である]

源治郎は入っていった隣人の玄関を見て立っている事しか出来なかった。
仕方なく自分も家へと戻る。

「ただいま帰りました」

ギシッ、ギィッ、と木製の我が家は悲鳴をあげるように音が鳴る。
いくらただいまと言っても返事がないので茶会か何かに行っているのだろうと玄関廊下の奥の襖を開けた。

「あ、お帰り」
「…なんで勝手に入って…」
「悟君と居たでしょ?声おっきいんだもん。ケンカ?」

襖を開けてすぐ目に入った源治郎の兄、荘二郎は椅子に座り源治郎に先程の事を尋ねる。足を組み直しながらラッキーと何かを思わせるような口ぶりで挑発的に微笑した。

⏰:10/01/22 18:30 📱:S001 🆔:☆☆☆


#40 [我輩は人間である]



>>38さん

>>1の感想板に返事を書きました。

⏰:10/01/22 18:41 📱:S001 🆔:☆☆☆


#41 [我輩は人間である]

「関係ないだろ。さっさと出ていってくれ」
「謝りに行かないの?悟君、今ならガード薄いかな?」

源治郎は黙り込んだまま荘二郎の言葉を無視しもう一度部屋から出ていって欲しいと告げる。
それに対し荘二郎は顔を上げ源治郎を見つめた。

「また勉強?疲れるな、お前。いいの?悟貰っても」
「貰うも何も興味ない、それに…」
「嘘」

⏰:10/01/30 22:10 📱:S001 🆔:☆☆☆


#42 [我輩は人間である]

あまりにも即答すぎて驚いた反面、どこか自分自身納得しているような気がして苛ついたその言葉を無視するように源治郎はいい加減にしろよと口調を早めた。
嘘呼ばわりは今日で二回目だ。俺は一回だって嘘をついたことはないのに。

「………………」

部屋を出ていった兄を尻目にやっと腰を下ろした。
さっきまでキャンキャンと小生意気な事を言う奴もいないし相性の悪い兄もいない。なのに落ち着かないのは―――…?

「全く…………やめだやめ」

源治郎はポソリと呟き鞄から数学の参考書を出した。

⏰:10/01/31 04:21 📱:S001 🆔:☆☆☆


#43 [我輩は人間である]


⏰:10/01/31 04:23 📱:S001 🆔:☆☆☆


#44 [我輩は人間である]

あの日から一切言葉を交わしていないのが二人の現状だった。朝は自然と駅まで一緒に歩いてた二人の風景も、もう一週間は見られていなかった。

当然お互い行き帰りの道は途中から同じ。家から出るタイミングが一緒な時も度々あった。もちろん帰るタイミングも。

悟は今日もかよと思いながら源治郎の後ろ姿を見て歩くスピードを遅めた。

いつまでこの気まずさが続くのだろう。本当は今すぐにでも駆け寄って肩に手を回して何でもいいから話がしたいのに。今じゃ早足で追い越す事も躊躇いがちだ。

⏰:10/01/31 04:43 📱:S001 🆔:☆☆☆


#45 [我輩は人間である]

話したい事は山ほどあるのに、そう出来ない状況に悟は退屈気味だった。
元は自分が悪いとわかっていてもそんな素直さ持ち合わせてない。
だから今だって声をかけられない。
少しでも気をまぎらわすように、すれ違う親子や宅配便、外の景色へと悟は視線を向けた。

それでも視界に入ってくる源治郎の背中をまぎらわすように。

「悟君」

源治郎とは少しトーンが上がった声で名前を呼ばれパッとその方向へと顔を向けた。

⏰:10/01/31 23:23 📱:S001 🆔:☆☆☆


#46 [我輩は人間である]

気が付けばもう源治郎の家の前まで歩いていたのかと思いハッとした。
目の前に源治郎がいて二人の間には少しぎこちなさを漂わせている。もう少しでぶつかるところを免れ悟は胸を撫で下ろした。

荘二郎はどっしりと建てられた渋みのある木製の門下から呑気な様子で歩み寄った。

「いつも源治郎がお世話になって。俺は相手に出来ないから助かるよ」
「あっ、ああ…いえ」

暗めの茶髪を風になびかせたプレイボーイを思わせる出で立ち。この兄弟の容姿は罪な事ではなかろうかと悟は後頭に手をやりながら久々に感じる。

⏰:10/01/31 23:38 📱:S001 🆔:☆☆☆


#47 [我輩は人間である]

気にくわなそうな顔をした弟を少し押し退けた。源治郎は道の真ん中に体を押されそのまま兄の姿を無表情に見つめた。そしてそんな二人を悟は見つめた。

どうしたんですか?と聞けるわけもなくただ黙って二人の様子を観察する事しか出来ない。

その視線に気まずさといたたまれなさで足を進めた。木戸に手をかけたところで何を今更と思ったが源治郎は自分部屋へと向かった。
兄弟の仲の悪さなんて悟は知ってるはずだ。小さい頃から俺たちの嫌悪感が抜けない間柄を見てきたのだから、別に一言嫌味を返してやってもいいのだけど。だけど視線が辛かった。

⏰:10/01/31 23:58 📱:S001 🆔:☆☆☆


#48 [我輩は人間である]

なんだか自分が負けているような気がしていたたまれない気持ちに思えてきたのかもしれない。
渋みの出た畳へ柄にもなく鞄を投げてコップの中の水を一気に喉へ流し込む。冷静さが戻ってきて、さっきの悟の顔が頭に浮かんだ。
さっきから一向に荘二郎が帰ってこないのが心配になって、何より悟が何かされてるんじゃないかと玄関戸を少し開けたが門下に二人の姿はもうなかった。

「……………」

脳裏に嫌な予感が浮かぶ。もしかしたら荘二郎が………いやいや兄でもそれは……。

⏰:10/02/03 02:24 📱:S001 🆔:☆☆☆


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