無題【BL】
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#41 [我輩は人間である]
「関係ないだろ。さっさと出ていってくれ」
「謝りに行かないの?悟君、今ならガード薄いかな?」
源治郎は黙り込んだまま荘二郎の言葉を無視しもう一度部屋から出ていって欲しいと告げる。
それに対し荘二郎は顔を上げ源治郎を見つめた。
「また勉強?疲れるな、お前。いいの?悟貰っても」
「貰うも何も興味ない、それに…」
「嘘」
:10/01/30 22:10
:S001
:☆☆☆
#42 [我輩は人間である]
あまりにも即答すぎて驚いた反面、どこか自分自身納得しているような気がして苛ついたその言葉を無視するように源治郎はいい加減にしろよと口調を早めた。
嘘呼ばわりは今日で二回目だ。俺は一回だって嘘をついたことはないのに。
「………………」
部屋を出ていった兄を尻目にやっと腰を下ろした。
さっきまでキャンキャンと小生意気な事を言う奴もいないし相性の悪い兄もいない。なのに落ち着かないのは―――…?
「全く…………やめだやめ」
源治郎はポソリと呟き鞄から数学の参考書を出した。
:10/01/31 04:21
:S001
:☆☆☆
#43 [我輩は人間である]
2
:10/01/31 04:23
:S001
:☆☆☆
#44 [我輩は人間である]
あの日から一切言葉を交わしていないのが二人の現状だった。朝は自然と駅まで一緒に歩いてた二人の風景も、もう一週間は見られていなかった。
当然お互い行き帰りの道は途中から同じ。家から出るタイミングが一緒な時も度々あった。もちろん帰るタイミングも。
悟は今日もかよと思いながら源治郎の後ろ姿を見て歩くスピードを遅めた。
いつまでこの気まずさが続くのだろう。本当は今すぐにでも駆け寄って肩に手を回して何でもいいから話がしたいのに。今じゃ早足で追い越す事も躊躇いがちだ。
:10/01/31 04:43
:S001
:☆☆☆
#45 [我輩は人間である]
話したい事は山ほどあるのに、そう出来ない状況に悟は退屈気味だった。
元は自分が悪いとわかっていてもそんな素直さ持ち合わせてない。
だから今だって声をかけられない。
少しでも気をまぎらわすように、すれ違う親子や宅配便、外の景色へと悟は視線を向けた。
それでも視界に入ってくる源治郎の背中をまぎらわすように。
「悟君」
源治郎とは少しトーンが上がった声で名前を呼ばれパッとその方向へと顔を向けた。
:10/01/31 23:23
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:☆☆☆
#46 [我輩は人間である]
気が付けばもう源治郎の家の前まで歩いていたのかと思いハッとした。
目の前に源治郎がいて二人の間には少しぎこちなさを漂わせている。もう少しでぶつかるところを免れ悟は胸を撫で下ろした。
荘二郎はどっしりと建てられた渋みのある木製の門下から呑気な様子で歩み寄った。
「いつも源治郎がお世話になって。俺は相手に出来ないから助かるよ」
「あっ、ああ…いえ」
暗めの茶髪を風になびかせたプレイボーイを思わせる出で立ち。この兄弟の容姿は罪な事ではなかろうかと悟は後頭に手をやりながら久々に感じる。
:10/01/31 23:38
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#47 [我輩は人間である]
気にくわなそうな顔をした弟を少し押し退けた。源治郎は道の真ん中に体を押されそのまま兄の姿を無表情に見つめた。そしてそんな二人を悟は見つめた。
どうしたんですか?と聞けるわけもなくただ黙って二人の様子を観察する事しか出来ない。
その視線に気まずさといたたまれなさで足を進めた。木戸に手をかけたところで何を今更と思ったが源治郎は自分部屋へと向かった。
兄弟の仲の悪さなんて悟は知ってるはずだ。小さい頃から俺たちの嫌悪感が抜けない間柄を見てきたのだから、別に一言嫌味を返してやってもいいのだけど。だけど視線が辛かった。
:10/01/31 23:58
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#48 [我輩は人間である]
なんだか自分が負けているような気がしていたたまれない気持ちに思えてきたのかもしれない。
渋みの出た畳へ柄にもなく鞄を投げてコップの中の水を一気に喉へ流し込む。冷静さが戻ってきて、さっきの悟の顔が頭に浮かんだ。
さっきから一向に荘二郎が帰ってこないのが心配になって、何より悟が何かされてるんじゃないかと玄関戸を少し開けたが門下に二人の姿はもうなかった。
「……………」
脳裏に嫌な予感が浮かぶ。もしかしたら荘二郎が………いやいや兄でもそれは……。
:10/02/03 02:24
:S001
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#49 [我輩は人間である]
夏の暑さから、胸騒ぎが更に膨張してきて今にも破裂しそうである。
もしかして…と二人がいるであろう家をじっと見つめた。今行くべきだと直感が伝えているにも関わらず、なかなか踏み出せない自分と闘いながら。
:10/03/11 20:49
:S001
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#50 [我輩は人間である]
半ば強制的に家へ入ってきた荘二郎を少し怪訝に思いながらもリビングに招き入れた。
ソファーに座ってもらって二人分の麦茶を入れる。机に置く。
「………」
「どうぞ」
「ありがとう」
「いえ、暑いッスね〜…」
「そうだけど、なんで立ちっぱなし? こっち座りなよ」
クスクスと笑われて苦笑いで返しながら、ポンと一回叩かれた荘二郎の隣へと悟は腰を降ろした。
「源治郎んとこ行かないんですか? きっとアイツ荘二郎さんに構って欲しいと思いますよ…?」
「いいんだよ。ほっとけば。それより悟君に話があってね」
話?と悟は首を傾けた。
カランと麦茶の中で小さくなった氷が音を立てた。荘二郎はコップを手に、うんと軽く頷く。
:10/03/11 21:03
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