君に告げる
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#11 [すー]
「桜田さんが……事故でっ……今病院にいるんだって」
桜田
桜田春代
異性からも同性からも好かれていた同じクラスの人気者。名の通り彼女の雰囲気は春のような穏やかさがあった。ふわふわした髪、白い肌、ぽってりとした桜色の唇。なにより彼女は桜が好きだ。
だからみんなは彼女のことを「春姫」やら「春の乙女」やらくさい名前で呼んでいた。
そんな桜田春代が事故にあった。
みんなの人気者のあの子が………ふと桜田の席を見た。
:10/01/29 19:38
:F706i
:QwaWqOt6
#12 [すー]
いつもだったら
彼女の席の周りには男女関係なく人がいた。
今は誰もいない。
あるのは重い空気。
「……死んだの?」
私の答えに葉津は首を横に振った。まだ分からないようだが、葉津の顔は死を連想させるくらい暗かった。
:10/01/29 19:47
:F706i
:QwaWqOt6
#13 [すー]
「席について、出席とるから」
いきなり教室に入ってきたのは担任の佐藤先生ではなく副担の村山先生だった。あまり見ない村山先生の登場にみんなの空気が一瞬止まった。
淡々と出席を取っていく村山先生。
そして、桜田春代が事故にあったことをみんなに伝えた。やはりまだ生死については分からないのか村山先生は口を濁しながら、ホームルームを終わらせ教室を出て行った。
:10/01/29 20:01
:F706i
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#14 [すー]
ざわざわ
ざわざわ
教室はいつもよりうるさく、廊下はさらにざわめき、学校中が桜田春代の話題だった。
『あの春姫が…』
『笑顔が見れないのか』『なぜ春姫なんだ』
まだ死んだとは誰も言っていないのに、もはや桜田はいなくなってしまったように嘆き悲しまれていた。
:10/01/29 20:15
:F706i
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#15 [すー]
「瑠衣知ってた?」
今は昼休み。寮で同室の沙耶と一緒にお弁当を食べている。
知ってた?と言うのは桜田のことだろう。
「知ってたというか…葉津に教えてもらった」
「ふーん、今日も手紙入ってたんでしょ?」
手紙…そう言えば今日は手紙が3通入っていたのを思い出した。本当は思い出したくなかったのだか、沙耶にそう言われて大人しく鞄から手紙を取り出した。
:10/01/29 20:26
:F706i
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#16 [すー]
「今日は3通かー」
沙耶はニヤニヤしながら私を見た。そして呼んでごらんなよと目で言ってきた。
3枚の手紙はそれぞれの柄つきだった。
1つは動物の可愛らしいキャラクター
1つは桜の花びら
1つは一匹の黒猫
「もちろん春姫のから読むでしょ?」
ギクリと体が硬直した。今日の夢を思い出す。そういえばアイツは……
春代は闇に落ちていった。
:10/01/29 20:40
:F706i
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#17 [すー]
呼んで×
読んで○
「いつものように破り捨てる訳にはいかないもんね、最後かも知れないし読んであげなよ」
案外冷たいことを言うものだと思いながら、今まで自分がやってきたことを振り返ると、自分も冷たい奴だと思った。
「…破り捨ててたの知ってたの?」
「ゴミ箱みた」
悪趣味な奴。そう思いながらも、桜の花びらの手紙を開けた。
:10/01/29 20:52
:F706i
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#18 [すー]
三橋瑠衣さんへ
覚えていますか?
あなたが私に言ったことを。
忘れたと言うならもう一度だけ私を見て下さい。
私は覚えています。
ずっとあなたのことを忘れません。
気づいてください。
私はあなたのことを騙していないことを。
本当のことを。
あなたは分かっているはず。
いつでも待っています
桜田春代より
:10/01/29 21:04
:F706i
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#19 [すー]
毎回毎回、春代は私に手紙を書いて、毎回毎回私は読みもせずにそれを破り捨てていた。
春姫はそれを知っていたのだろうか。
「破り捨てるの?」
「………さぁ」
沙耶の問に私はため息をつきながらもう一度手紙を読んだ。
綺麗な字。
なんで朝に手紙を置いてまた外へ出たのだろうか。
:10/01/29 21:14
:F706i
:QwaWqOt6
#20 [すー]
今まで破り捨ててきた手紙にも同じことが書かれてたのだろうか。
「瑠衣は、まだあのこと怒ってるの?」
「あのことって何?」
あのこととは何か知っているけど、知らないふりをした。
それを知ってか、沙耶はため息をついて私をみた。
「可哀想な春姫」
:10/01/29 21:23
:F706i
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