君に告げる
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#41 [すー]
突然の誘いに目が見開く。
前みたいだった。
重なる姿を頭の中から取り払う。
「冗談よしてよ」
そう言って布団の中にもぐりこんだ。
冗談なのかそうじゃないのか、沙耶の無言のままパチリと電気が消える音がした。
:10/01/30 19:53
:F706i
:Lwi/9UUc
#42 [すー]
………――
だからなのかまた夢をみた。
夢の中の春姫はいつものように笑っていた。
『ねぇキスしようか?』
シンクロする。
あの日の春姫がつけていた甘ったるい香水の匂いや、誰もいない教室に埃が光に反射して彼女の顔が輝いてみえたこと。
校舎のどこかで誰かの声が響いてた。
笑っていた夢の中の春姫はいつの間にか無表情になっていて、また私の横を通りすぎていった。
:10/02/01 11:41
:F706i
:JQdT5zys
#43 [すー]
「待って」
「春代っ待って」
私の声に振り向く様子もない。
ふわふわした髪が強い風に吹かれた瞬間、春姫は桜の花びらのように散ってしまった。
「春代っ!?」
手を伸ばしても彼女の塵さえ掴めなかった。
:10/02/01 15:09
:F706i
:JQdT5zys
#44 [すー]
……―――
暗い、まだ暗い。
そんなことを思いながら目が覚めた。
まだ5時前だった。
顔に手をやると目尻のあたりの肌がザラザラしている。
泣いた?
泣いてしまうような夢だったろうか。
取りあえず顔を洗いに行かないと……笑われるか奇妙な目で見られてしまう。沙耶が布団にくるまっているのをチラリと見て部屋を出た。
:10/02/01 15:17
:F706i
:JQdT5zys
#45 [すー]
洗面所に向かうまで自分だけの足音が聞こえる。薄暗い廊下はいつもより長く感じた。
洗面所につき電気をつけ、鏡に映る自分の顔をみた。
両方の目から涙が乾き白い後が残っている。
見られなくて良かった。そう思いながら蛇口から出てくる冷たい水を顔につけた。
:10/02/01 15:27
:F706i
:JQdT5zys
#46 [すー]
「早いですね、三橋先輩」
いきなり自分以外の存在を知ると怖いもので、一瞬体が硬直した。
ゆっくりと顔を上げ鏡越しに声が聞こえたほうを見た。
濡れた髪が顔に張り付いて鬱陶しい。
ぽたぽたと滴が落ちる。
:10/02/01 15:40
:F706i
:JQdT5zys
#47 [すー]
そこには見慣れない子が立っていた。
髪はショートで目は細いがキリッとした顔つき。初対面だからとくに何も言うことがない。
「……そっちも早いね」
そう言うと相手がムッとした表情をしたのが分かった。
「何か用なの?」
:10/02/01 15:48
:F706i
:JQdT5zys
#48 [すー]
「……平気なんですか?」
そんな問いかけをするということは、また春姫の話だなとすぐに分かった。
「……平気だけど、名前なんていうの?」
「1年の豊川薫です…私はっ」
顔をタオルでふきながら今日の朝食は何にしようか考えた。
「桜田先輩が好きです」
:10/02/01 15:56
:F706i
:JQdT5zys
#49 [すー]
タオルをとって、豊川薫と名乗った子をちゃんと見ると、ここぞとばかりに話し始めた。
「すごく心配なんです、何も考えられないくらい。でも、どうして……三橋先輩は平気だと言うんですか?私は桜田先輩を…春姫をずっと見てきました、だから!」
握り拳を作りながら話す豊川をみていると、腹立たしい気持ちとともに呆れた気持ちが出てきた。
「愛の告白なら本人の前でしてくれない?」
「そんなんじゃありま…」
「豊川が春姫を大切に思ってることは分かったから……じゃあね」
:10/02/01 16:09
:F706i
:JQdT5zys
#50 [すー]
そう言ってその場を立ち去るが、背中をじっと見られているのが分かった。
「死んじゃったら愛の告白もできない……か」
ポソリといった言葉は豊川に聞こえることなく廊下に消えていった。
:10/02/01 16:14
:F706i
:JQdT5zys
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