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#9 [コウ]
Title:2−1=2 (始)  

それは突然なる出来事で、目
を閉じる前に勝手に視界に飛
び込んできた。彼女と知らな
い男が、楽しげに歩いて行く
その姿。なんて残酷な光景だ
ろう。端から見れば微笑まし
い恋人に見えるその構図。僕
にとっては残虐な地獄絵図に
しか見えない。君から別れを
告げられて九ヶ月。君の気持
ちは既に僕にないと知って九
ヶ月。          

改めて思い知らされた。彼女
はもう、新しい道を歩んでい
ること。僕はまだ彼女のいな
い道に地縛霊の様に取り残さ
れていること。      

⏰:10/02/02 08:51 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


#10 [コウ]
Title:2−1=2 (中)  

僕もいい加減、進まなくちゃ
いけないのだろうか。曖昧な
感情をぶら下げたまま、次の
日僕は彼女に会いに行った。





「昨日の、彼氏?」    

僕の言葉にはにかみ笑いを浮
かべながら彼女は頷いた。僕
の、心にもない「おめでとう
」に、彼女は幸せそうに「あ
りがとう」を呟いた。ぐちゃ
ぐちゃどろどろ、なんだこの
気持ち悪い感情は。    

⏰:10/02/02 08:57 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


#11 [コウ]
Title:2−1=2 (中の2)  

昨日までは不確定だった想い
が、幸せそうな彼女を前にひ
とつに固まりはじめる。嫉妬
、絶望、憎悪。愛とは呼べな
いどす黒い何か。僕が幸せに
してやれば、こんな感情知ら
ずに済んだのだろうか。  

「幸せ?」        

「うん」         

相変わらず、彼女は目を細め
て笑う。そんな癖を思い出し
ながら僕はふたつの感情にと
り憑かれた。彼女が幸せにな
った。それは何より僕の願い
であり、喜びだ。けれど……

⏰:10/02/02 09:05 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


#12 [コウ]
Title:2−1=2 (中の3)

「貴方も、幸せになって」 

僕を置いて消えた彼女を恨む
気持ち。彼女はさよならと僕
に背を向ける。その動作があ
の日と重なる。長い髪が風に
流れ、スローモーションの様
にゆっくり彼女が歩き出す。

「待って」        

あの日、掴めずにいた肩を強
く引く。         



⏰:10/02/02 09:16 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


#13 [コウ]
Title:2−1=2 (終) 

僕の動きも、彼女につられて
ゆっくりと流れる。    

「    」       

彼女の口が何かを叫ぶ。僕の
耳には届かない。     
僕の手はゆっくりと、けれど
確実に。         



白い首筋を握り締めていた。





2−1=2
(何も消えちゃいない。残っ
たのは、動かない彼女と

けない僕)



-end-

⏰:10/02/02 09:16 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


#14 [コウ]
Title:原動力は君 (1)  

「先生、この前頼んだテスト
前の学習プリントどうなった
んですか?」       

「はいはい」       

「いや、はいはいじゃなくて


私はわざとらしく大きな溜息
を吐き、目の前の茶髪混じり
の頭を見つめる。パソコンば
っかり眺めて、私の話をまと
もに聞いてくれやしない。 

「いい加減にしろよこの堕教
師」           

「教師を馬鹿にすんじゃねぇ
!」           

⏰:10/02/02 12:40 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


#15 [コウ]
Title:原動力は君 (2) 

「教師を馬鹿にしたんじゃあ
りません。アンタを馬鹿にし
たんです」        

振り向いた顔にバシッとファ
イルでツッコミを入れてやれ
ば、顔面にクリーンヒット。
声にならない叫びを上げて、
先生はデスクに伏せる。あ、
しまった逆効果。     

「いやぁ、ね……わかってる
よ」

「わかってるなら作れ、出せ
、勉強させろ」      

⏰:10/02/02 12:44 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


#16 [コウ]
Title:原動力は君 (3) 

「これがお前の歪んだ愛のカ
タチ「何がわかったの!?い
い加減にしろ変態オヤジ!」

胸倉掴んでこれでもかという
くらい揺らすと、やっと重い
腰を上げた。       

「ったく、優秀な生徒会長様
が暴言暴力たぁ世の中腐って
んな」          

「アンタが教師できる世の中
だからな。腐ってんな。いい
からさっさとプリント下さい
」            

⏰:10/02/02 12:48 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


#17 [コウ]
Title:原動力は君 (4) 

皮肉をぶつけ合いながら、私
達は資料室に入る。先生はど
こやったっけなー、なんてぼ
やきながら探し始めた。  

「先生、どんなプリントなん
ですか?」        

私も探そうかと尋ねたが、先
生はいやいやと首を振った。
ぽん、と頭に温かい手が置か
れる。          

⏰:10/02/02 12:52 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


#18 [コウ]
Title:原動力は君 (終) 

「暇なら、先生の背中でも見
つめてなさい」      

「馬鹿か」        

チッと舌打ちをして近くの椅
子に座る。私の髪を乱暴にわ
しゃわしゃと撫でた彼は満足
げに笑い、再び資料を探しは
じめた。         





原動力は君
(お前のためなら先生、がん
ばっちゃうぞー)(何でもいい
から早く見つけて)



-end-

⏰:10/02/02 12:56 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


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