僕と君【BL】
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#457 [郁。]
何も言わない俺に構わず小夜子先生は言葉を繋いでいった。
「ああ、やりたいこともできない人生なんて‥って悲観的になったことも少なくはなくて。でも、この道に進んだからこそ歩くんや旬くんに出逢えて、今こうして婚約もしてるわけだから、私の進んだ道はこれでよかったんだと思うわ。やりたいことなんて、本当に小さなきっかけでいいの。私は子供が好きだった、だからこの道もみえたの。」
:11/10/06 07:30
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:rao//AYE
#458 [郁。]
「‥歩くんも、ちゃんと見つけられるといいわね。」
そう言って俯いたままの俺の頭を撫でた。
嬉しいのか、自分の考えが情けなくなったのかはわからないけど、俺の瞳からは涙が溢れた。
窓の外に目をやると愛しい人の姿がうつる。
――‥ああ、俺ちゃんとしなきゃ。
遥希が大事だから、だからこそ‥応援してあげなくちゃ。
:11/10/06 07:35
:F03B
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#459 [郁。]
「小夜子先生、ありがと‥うございました。俺、わかった気がします。なんとなくだけど、」
そこまで言うと小夜子先生は人差し指でシーとしてみせた。
「続き、大事なことよね?私に言うことじゃないわ。ね?」
そう言って優しい微笑みが返ってくる。
また目頭がカーっと熱くなる。
――――――‥‥俺もいつか。
:11/10/07 07:27
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:8yzoEDFI
#460 [郁。]
そのあと泣き止むまで少し時間がかかって、辺りはすっかりオレンジ色に染まっていた。
園の庭に小夜子先生と顔を覗かせると二人の笑顔が“おかえり“と一緒にとんできた。
「――‥ただいま!」
小夜子先生に改めて礼を告げて東雲幼稚園をあとにした。
:11/10/07 07:31
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:8yzoEDFI
#461 [郁。]
「何はなしてたのー?」
土手の際を歩きながら旬がこちらに顔を向ける。
「んー‥大事なこと。」
「まさかっ小夜子先生に不倫相手立候補したとか‥っ!?」
アホか、と言い出しそうになったとこで遥希が俺の頭をくしゃっと掻いて呆れ気味に言う。
「アホか。」
:11/10/10 07:19
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:3znEg.pk
#462 [郁。]
少し頬が緩むのがわかる。
同じこと思ってた、それだけなのにすごく嬉しくなった。
旬はあ、と声をあげたあとに新譜がどうのと言って一人でそそくさと帰ってしまった。
相変わらず慌ただしいなあと言いながら遥希と笑いあう。
「――‥歩、泣いた?」
「えっ、えと‥」
なんで気付くかなあ‥。
赤くなった瞼を擦りながら小さく頷くと遥希は俺の頭をもう一度くしゃっと掻いた。
:11/10/11 07:25
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:ZRbDdNcA
#463 [郁。]
俺はどこまでこの人に溺れるんだろう。
どこまで溺れたら、この好きは溢れるのをやめるんだろう。
遥希の横顔を見上げながら、そう思った。
「――‥あのね、遥希‥。俺、‥‥K大受けるの、やめようかなって‥、」
遥希はなんて思ったんだろうか。
気まぐれな俺の行動に嫌気はさしていないだろうか。
:11/10/11 07:29
:F03B
:ZRbDdNcA
#464 [郁。]
遥希を横目で見やると短く、んと返事をした。
「‥‥‥。」
沈黙を先に破ったのは俺からだった。
「‥っ、あの‥‥俺‥ちがうと、思ったんだ‥」
「‥ちがう?」
どうしよう、また泣き出しそうになって言葉がうまく出てこない。
:11/10/12 07:17
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:O5yVZ9HQ
#465 [郁。]
「‥っだか、ら‥‥っ」
だめだ。感情抜きでは話せない‥。
「歩、家いってもいい?」
遥希の急な問い掛けに うん、と返すと遥希は俺の手を握って引っ張って家まで歩いてくれた。
零れる涙を片手で擦りながら俯いたまま遥希の足を追い掛けた。
:11/10/13 07:16
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:vwHphlOI
#466 [郁。]
気付けば土手を抜けて見慣れた地面。
「‥歩、着いたよ。」
ずず、と鼻水を啜ってから家の門をあけた。
俺の家はただの一軒家。
大きくもなく小さくもない。
門を開けると一段だけ段差があって横開きのドア。
ドアを開こうとしたとき内側から誰かがドアを開く。
「いってきまー‥って、うわ!歩か‥びっくりさせないでよ〜」
:11/10/13 07:20
:F03B
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