僕と君【BL】
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#466 [郁。]
気付けば土手を抜けて見慣れた地面。
「‥歩、着いたよ。」
ずず、と鼻水を啜ってから家の門をあけた。
俺の家はただの一軒家。
大きくもなく小さくもない。
門を開けると一段だけ段差があって横開きのドア。
ドアを開こうとしたとき内側から誰かがドアを開く。
「いってきまー‥って、うわ!歩か‥びっくりさせないでよ〜」
:11/10/13 07:20
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#467 [郁。]
俺の姉ちゃん。西野 加奈美(ニシノ カナミ)。
茶色いセミロングが薄化粧に妙に映える。
「って、何あんた泣いてんの?」
どこかへ行くところだったんだろう、言いながら俺の後ろに目をやる。
「あ、遥希くん!歩なんかあったの‥?」
:11/10/13 07:25
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#468 [郁。]
姉ちゃんなりに心配してくれてるんだろう。
俺たちは姉弟の割に仲はいいほう、だと思う。
遥希は一人っ子だから、初めて姉ちゃんをみたときに羨ましいと言っていた。
「あ、加奈美さんこんにちは。ちょっと色々あって‥お邪魔していいですか?」
さすが遥希、しっかりしてるなあ‥。
「どーぞどーぞ!私、出掛けるから歩のことお願いね‥。下に母さんいるから。」
:11/10/13 07:29
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#469 [郁。]
「わかりました。お邪魔します。」
遥希が頭を下げると姉ちゃんは出掛けてしまった。
母さんはちょうど夕食を作っている時間。
「‥ただいま。」
リビングに聞こえないくらいの声で言ったつもりが、おかえりーと母さんの声が返ってきた。
遥希との付き合いも短くはなくて、俺の家では結構人気者だったりする。
:11/10/13 07:35
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#470 [郁。]
遥希がお邪魔しますと声を掛けると母さんがリアルのドアを開けた。
「遥希くんじゃない!いらっしゃい!」
「あ、お邪魔します。」
遥希はまたぺこりと頭を下げると、夕飯を食べていけだの言っている母さんの相手を始めた。
こうなると母さんはしつこい。
痺れを切らして俺が遥希の腕を引っ張ると、すみませんじゃあ夕飯いただいていきますと切り上げてくれた。
:11/10/13 07:39
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#471 [郁。]
母さんがリビングに帰ったのを確認すると遥希はまた俺の手を握った。
そのまま階段を上がっていく。
遥希の部屋ほどシンプルではないけど、何かに執着することがない俺の部屋は意外に片付いていたりする。
遥希はベッドに俺を座らせて、向き合うかたちで手を握ったまましゃがみこんだ。
何かあったときは遥希はいつもこうする。
顔がちゃんと見えるように。
:11/10/13 07:41
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#472 [郁。]
ちら、と遥希に視線を合わせると心配したような、泣きそうな遥希と目が合う。
それがまた愛おしくって、止まった涙が溢れてくる。
すると、遥希は俺の隣に腰を掛けて背中を同じリズムでさすってくれた。
「‥っあの、ね‥‥」
泣き声で、ゆっくり言葉を繋げていく。
うまく繋がらないのは自分でもわかっていた。
:11/10/13 07:44
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#473 [郁。]
>>470訂正
×母さんはリアルの
○母さんはリビングの
です、すみません;;
:11/10/13 07:46
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#474 [郁。]
「遥希のこ、とが‥っ大事だか‥‥ら、‥っ」
うん、とそれしか言わない遥希。
でも今はそれがちょうどよかった。
「‥ゆめ、諦めて‥ほしくなくて‥‥っ」
俺が同じ大学を受けると決めて、遥希は海外の学校を諦めていた。
英会話講師という遥希の夢に近付くには現地で学ぶのが一番いいこと、誰もがわかってた。
:11/10/13 12:27
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#475 [郁。]
俺が離れたくないだけで、邪魔してしまっていること。
それを謝ってから、俺は俺の道をきちんと考えて進むことを時間をかけて遥希に伝えていく。
――…俺は遥希に留学してほしい、と頼んだ。
簡単に会えなくなるのはわかってた。
連絡すら、まともにとれなくなるであろうことも。
何年かかるのかも、わからない。
でも、遥希の夢を俺のせいで壊したくなかった。
:11/10/13 12:30
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