僕と君【BL】
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#462 [郁。]
少し頬が緩むのがわかる。
同じこと思ってた、それだけなのにすごく嬉しくなった。
旬はあ、と声をあげたあとに新譜がどうのと言って一人でそそくさと帰ってしまった。
相変わらず慌ただしいなあと言いながら遥希と笑いあう。

「――‥歩、泣いた?」

「えっ、えと‥」

なんで気付くかなあ‥。
赤くなった瞼を擦りながら小さく頷くと遥希は俺の頭をもう一度くしゃっと掻いた。

⏰:11/10/11 07:25 📱:F03B 🆔:ZRbDdNcA


#463 [郁。]
俺はどこまでこの人に溺れるんだろう。
どこまで溺れたら、この好きは溢れるのをやめるんだろう。
遥希の横顔を見上げながら、そう思った。

「――‥あのね、遥希‥。俺、‥‥K大受けるの、やめようかなって‥、」

遥希はなんて思ったんだろうか。
気まぐれな俺の行動に嫌気はさしていないだろうか。

⏰:11/10/11 07:29 📱:F03B 🆔:ZRbDdNcA


#464 [郁。]
遥希を横目で見やると短く、んと返事をした。

「‥‥‥。」

沈黙を先に破ったのは俺からだった。

「‥っ、あの‥‥俺‥ちがうと、思ったんだ‥」

「‥ちがう?」

どうしよう、また泣き出しそうになって言葉がうまく出てこない。

⏰:11/10/12 07:17 📱:F03B 🆔:O5yVZ9HQ


#465 [郁。]
「‥っだか、ら‥‥っ」

だめだ。感情抜きでは話せない‥。

「歩、家いってもいい?」

遥希の急な問い掛けに うん、と返すと遥希は俺の手を握って引っ張って家まで歩いてくれた。
零れる涙を片手で擦りながら俯いたまま遥希の足を追い掛けた。

⏰:11/10/13 07:16 📱:F03B 🆔:vwHphlOI


#466 [郁。]
気付けば土手を抜けて見慣れた地面。

「‥歩、着いたよ。」

ずず、と鼻水を啜ってから家の門をあけた。
俺の家はただの一軒家。
大きくもなく小さくもない。
門を開けると一段だけ段差があって横開きのドア。
ドアを開こうとしたとき内側から誰かがドアを開く。

「いってきまー‥って、うわ!歩か‥びっくりさせないでよ〜」

⏰:11/10/13 07:20 📱:F03B 🆔:vwHphlOI


#467 [郁。]
俺の姉ちゃん。西野 加奈美(ニシノ カナミ)。
茶色いセミロングが薄化粧に妙に映える。

「って、何あんた泣いてんの?」

どこかへ行くところだったんだろう、言いながら俺の後ろに目をやる。

「あ、遥希くん!歩なんかあったの‥?」

⏰:11/10/13 07:25 📱:F03B 🆔:vwHphlOI


#468 [郁。]
姉ちゃんなりに心配してくれてるんだろう。
俺たちは姉弟の割に仲はいいほう、だと思う。
遥希は一人っ子だから、初めて姉ちゃんをみたときに羨ましいと言っていた。

「あ、加奈美さんこんにちは。ちょっと色々あって‥お邪魔していいですか?」

さすが遥希、しっかりしてるなあ‥。

「どーぞどーぞ!私、出掛けるから歩のことお願いね‥。下に母さんいるから。」

⏰:11/10/13 07:29 📱:F03B 🆔:vwHphlOI


#469 [郁。]
「わかりました。お邪魔します。」

遥希が頭を下げると姉ちゃんは出掛けてしまった。
母さんはちょうど夕食を作っている時間。

「‥ただいま。」

リビングに聞こえないくらいの声で言ったつもりが、おかえりーと母さんの声が返ってきた。
遥希との付き合いも短くはなくて、俺の家では結構人気者だったりする。

⏰:11/10/13 07:35 📱:F03B 🆔:vwHphlOI


#470 [郁。]
遥希がお邪魔しますと声を掛けると母さんがリアルのドアを開けた。

「遥希くんじゃない!いらっしゃい!」

「あ、お邪魔します。」

遥希はまたぺこりと頭を下げると、夕飯を食べていけだの言っている母さんの相手を始めた。
こうなると母さんはしつこい。
痺れを切らして俺が遥希の腕を引っ張ると、すみませんじゃあ夕飯いただいていきますと切り上げてくれた。

⏰:11/10/13 07:39 📱:F03B 🆔:vwHphlOI


#471 [郁。]
母さんがリビングに帰ったのを確認すると遥希はまた俺の手を握った。
そのまま階段を上がっていく。
遥希の部屋ほどシンプルではないけど、何かに執着することがない俺の部屋は意外に片付いていたりする。


遥希はベッドに俺を座らせて、向き合うかたちで手を握ったまましゃがみこんだ。
何かあったときは遥希はいつもこうする。
顔がちゃんと見えるように。

⏰:11/10/13 07:41 📱:F03B 🆔:vwHphlOI


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