らららんらんらら
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#21 [ぴぃ]
看板の示す方に自然と足が向く。こんな道あったんだ、と自分の家の近所のはずなのに初めて気付いた。
たどり着いた先には、かわいいレトロなレンガ作りの小さなお店があった。間違いなく、このいい匂いはその中から漂って来ていた。
甘いものに目がないゆいは、条件反射のように何も考えずその扉を開けた。
それが今後の生活を左右するとは、夢にも思っていなかったから。
:10/03/31 22:29
:SH02A
:n24SNUqs
#22 [ぴぃ]
カランカランカラン。
「うわ…あ」
そこはゆいにとって夢のような場所だった。キラキラ光る色とりどりの宝石のようなマカロンやゼリー。楽しい形のクッキーに、見ているだけでよだれが出ちゃう夢のようなケーキの山。
しばらくうっとりとショーケースに見とれていたが、急に声を掛けられてふと我に返った。
「何になさいますか?」
:10/04/04 01:58
:SH02A
:lHn0isxo
#23 [ぴぃ]
「あ、わたしはまだ見てるだけで――」
声のした方を向き返事をしたのだけれど、それは途中で区切られてしまった。
驚いた、というのが本音だった。
「ああ、やっぱり。相沢先輩…でしたよね」
それはやはり消えてしまいそうなほど繊細な笑顔で澄んだ声で…
「美月、くん」
:10/04/04 02:06
:SH02A
:lHn0isxo
#24 [ぴぃ]
あれから数分後。
私は今お洒落に紅茶を飲みながら、店内奥にあるカフェでザッハトルテを食べている。
悔しいことに今まで食べたザッハトルテの中で一番好みだ。
「…それにしてもこのお店が美月くんのお家だなんて」
驚きの再会の後、自然な流れでケーキセットをすすめられ、この場所まで案内された。
:10/05/16 18:44
:SH02A
:2MvzU032
#25 [ぴぃ]
食べかけのケーキセットを前に、改めて店内を眺める。
見ているだけで幸せになれるようなかわいいインテリアに、淡い色で統一されたお洒落な内装。
ゆったりとした時間の流れる空間だった。
「父がパティシエで、母がインテリアコーディネーターなんですよ」
向かいの席に目を向けると、美月くんが腰をかけるところだった。
:10/05/16 19:44
:SH02A
:2MvzU032
#26 [ぴぃ]
「そうなんだ。素敵なご両親なのね」
心からそう思ったのだが、美月の表情はやはりどこか淋しそうで。
「母はほとんど仕事で家にいません。父も海外で暮らしていて…」
しまった、と思ったが遅かった。何も知らないことは人を傷つけることにつながる。
謝るのもおかしい気がして、そこからは無言で食べかけのケーキを食べた。
この場に相応しくない優しい甘さが口の中に広がった。
:10/05/16 21:03
:SH02A
:2MvzU032
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