らららんらんらら
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#7 [ぴぃ]
「いいじゃないですか、わたしここのコーヒー好きなんですもん。それにこっちは呼ばれた側だし」
わざわざ足を運んだのだからコーヒーくらいごちそうになってもバチはあたらないでしょ。それに…
「先生わたしに隠してることあるでしょう」
わたしが呼ばれた原因はそこにある。河田先生の笑顔が引き攣ったことでこの予想が的中していることを確信した。
:10/03/19 21:41
:SH02A
:ZxHG/PDo
#8 [ぴぃ]
今なら怒らないかもしれないからとりあえず言ってみて、と笑顔で促す。
「やめてくれ、美人の笑顔ほど怖いものはない……。」
先生は目を反らして、代わりに1枚のプリントを押し付けてきた。読めということなのだろうと軽く目を通したが、その内容に絶句した。
プリントに書かれていたのは、明日行われる入学式での新入生案内係について。その案内係の欄には、しっかりと「相沢ゆい」と記入されていた。
:10/03/19 22:04
:SH02A
:ZxHG/PDo
#9 [ぴぃ]
「…河田せ
「ほんっっっとうにすまん!お前がこういう係やりたくないってのはわかってるんだけど。これ成績優秀者から選ばれるんだわ」
うん。やりたくない。理由は新入生からの目が痛いから。わざわざ目立ちに行くようなことは極力したくない。
「あ、ほらリコとかいいじゃないですか!成績も上位だし案内係とか向いてそう!」
同じクラスの神谷莉子とは、小学校からの大親友。…なんだけど、わたしとは正反対でかっこいい男の人が大好き。小柄で顔もかわいいから手におえない。
:10/03/19 22:37
:SH02A
:ZxHG/PDo
#10 [ぴぃ]
我ながら名案だと思ったのだが、河田先生は浮かない表情でわたしの持ったプリントを指さした。
「もちろん神谷も係に選ばれてるんだよ」
一縷の望みが断たれた。それはもうこの世の終わりのような顔をしていたのだろう、先生はとっておきのカステラを出してきてくれて、わたしにすすめてくれる。
「…こんなので機嫌治すほど子どもじゃありませんよ」
甘いカステラを一切れ頬張って少し優しい気持ちになれたわたしは、先生のために明日は頑張ってあげようと思った。
:10/03/19 23:05
:SH02A
:ZxHG/PDo
#11 [ぴぃ]
やっぱり間違いだった。
新入生でごった返している玄関でわたしはリコと新入生を誘導する。二人一組ということだったので、迷わずリコを選んだのだ。一人じゃなかったことがせめてもの救いだと思ったのだが、わたしとリコが一緒にいることで余計に新入生の目をひいてしまっていた。
「ゆいー?大丈夫?」
リコが心配そうに尋ねて来たときにはすでにわたしのテンションは底辺に達していた。
「無理。けど仕事は最後までやるから…」
リコはイケてる新入生をチェックするのに忙しいみたいで仕事が手についてないから、わたしがやらないと。
:10/03/20 03:56
:SH02A
:tScNu55g
#12 [ぴぃ]
新入生に冊子を手渡し、道を聞かれれば答える。わたしは男の人に興味はないけれど、根本的には世話やきなのだ。
それに、キラキラした後輩がこんなにもたくさんいるのは嬉しい。赤い顔で挨拶してきてくれる女の子なんか本当にかわいいと思う。
「みんな女の子ならいいのになー…」
「…それはわたしが困る」
玄関の混雑具合も収まったころ、時間はすでに8:45と入学式の15分前になっていた。
:10/03/20 18:48
:SH02A
:tScNu55g
#13 [ぴぃ]
「そろそろ体育館行っていいのかなぁ」
リコが一息つきながら言ったので、あとはわたしが見てるから先に行ってイイ男探してきな、と促した。
数分後、気がつけば他の係の人もいなくなっていて、急に静かになった玄関で気持ちのいい風を受けながら用意してあった椅子に座る。
ずっとそうしているわけにもいかないので、資料や備品を軽く片付けて体育館に向かうことにした。
―――ぶわっ
そのとき大きな風が吹いた。
:10/03/21 20:12
:SH02A
:nFfU3EwY
#14 [ぴぃ]
せっかく片付けた資料が風に吹かれて宙に舞う。そしてその資料の向こう側には、今までいなかったように思うが…1人の生徒が立っていた。
「あなたは…新入生かな」
見慣れない生徒だった。
色素の薄い髪と透けるような白い肌が印象的な、とても綺麗な男の子だった。
「この先が体育館よ。まあ、わたしも入るんだけど」
あのあと散らばった資料を拾うのを手伝ってもらい、もう時間になるからと一緒に体育館までやって来た。
:10/03/22 02:25
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:IHJ3loaE
#15 [ぴぃ]
はかなげで大人しそうな見た目の通り、この男の子は自分から進んで話して来るようなことはなかった。ここまでの道のりでわかったことは名前が美月奏(ミヅキカナデ)ということくらいだ。
初対面の人と2人きりになることは得意ではないが、美月くんのふわふわした印象はその不安を取り除いてくれた。
ほとんどが無言であっても、その静寂がなぜか心地好かった。こんなに珍しいことはない。
「それじゃあね、美月くん。また機会があれば会いましょう」
いつもなら男の子にそんなことを言うことはないのだが、このときはなぜか、思わず口から言葉がこぼれてしまった。
:10/03/22 02:46
:SH02A
:IHJ3loaE
#16 [ぴぃ]
「はい、相沢先輩」
初めて見た美月くんの笑顔は、今まで出会ったどの人の笑顔よりも美しく、そして切なかった。
入学式が終わり、係の仕事も終わったところでリコがしまりのない顔で近づいて来た。
「今年の新入生はなかなかだよぉー。見所ある子多数って感じ」
それはよかった。ああ、これからあの未来ある若者たちがリコの毒牙にかかるとは…嘆かわしい。まあ、わたしには全く関係がないのだけれど。
「ゆいもこれから忙しくなるよ。わたしに近づいて来た子たちの中にも結構いたよ、あの一緒にいた美人は誰ですかって」
予想はできていたけれど正直うんざりだ。特別な関係になりたいとか、そんな面倒臭いことを言ってこなければまだ相手もできるのだけれど。
:10/03/22 03:09
:SH02A
:IHJ3loaE
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