記憶を売る本屋さん
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#151 [我輩は匿名である]
「要くん…」

「俺、来週も待ってるよ!今日と同じ時間、ここで待ってるから!

今日は緊張して上手く喋れなかったけど、今度はもっといっぱい話そう!」

要は勢いが出てきたのか、言いたい事を言い切った。

晶も安心したように笑顔を見せる。

「うん!じゃあまた来週会おうね!」

そう言って、晶は大きく手を振る。

要も同じように振り返す。

そして、晶が帰っていくまで、ずっとそこでたたずんでいた。

⏰:10/03/24 11:07 📱:N08A3 🆔:vv1d3OC.


#152 [我輩は匿名である]
直人はじっと本を見つめながら、さっきの事を考えていた。

「…あいつが困って、そん時に俺が叫んだら、あいつも同じように叫ぶのか?」

晶を呼び止める時。晶に気持ちを伝える時。

直人が叫ぶと同時に、要も同じように叫ぶ。

若干の口調の違いもあるが、ほぼ変わらない。

直人は複雑な気持ちで本を閉じ、部屋を出る。

一気にいろんな事がなだれ込んできた1日だった。

⏰:10/03/24 11:08 📱:N08A3 🆔:vv1d3OC.


#153 [我輩は匿名である]
その気持ちは、月曜になっても晴れなかった。

直人は浮かない顔で学校への道を歩く。

うっとうしい事に、今日は雨。

「水無月くん」

誰かが話し掛けてきた。

どっかで聞いた声だな。

そう思って振り向くと、見た事がある女子がすぐ後ろに走ってきていた。

「おはよう」

「…えー…」

名前が出て来ない。

⏰:10/03/24 11:09 📱:N08A3 🆔:vv1d3OC.


#154 [我輩は匿名である]
「…ごめん、誰だっけ」

「大橋よ!

お!お!は!し!れ!な!」

「朝からうるせぇよ…」

耳元で大声で名乗られて、直人は煩わしそうに顔を背ける。

「水無月くん、嘘ついたでしょ」

「何の話?」

「あれ」

怜奈は前方を指さす。

彼らの20メートル程先を、薫と響子が一緒に歩いている。

⏰:10/03/24 11:10 📱:N08A3 🆔:vv1d3OC.


#155 [我輩は匿名である]
「(あらー…)」

「あの人、彼女でしょ」

ずけずけ聞いてくる怜奈を、直人は迷惑そうに見下ろす。

「何でそこまで聞くんだよ?お前、探偵?」

「探偵だったらもっと上手くやるわよ。

友達が好きみたいって、この間言ったでしょ?」

「友達思いなんだねぇ」

適当に返事をしながら、直人もちょっと気になって、前の2人の様子を伺う。

⏰:10/03/24 11:53 📱:N08A3 🆔:vv1d3OC.


#156 [我輩は匿名である]
「今日は眼鏡なんだね」

見られているとも知らずに、響子は薫に言う。

「雨の日は視力落ちるからな」

薫は珍しく、茶色いフレームの眼鏡をかけていた。

「目悪いの?」

「そこまで悪くないよ。0.8ぐらい。だからあんまり度も入ってない」

薫はそう言って、響子に眼鏡を貸す。

⏰:10/03/24 19:01 📱:N08A3 🆔:vv1d3OC.


#157 [我輩は匿名である]
響子は試しにそれをかけてみるが、合わないのか、すぐに薫に返した。

「きつい!」

「ははっ。香月は目良いんだな」

「1.2あるからね」

「へぇ、やるじゃん」

薫は眼鏡をかけ直しながら感心する。

⏰:10/03/24 19:02 📱:N08A3 🆔:vv1d3OC.


#158 [我輩は匿名である]
「…何かわかんねーけど、いちゃついてるみたいだな」

朝っぱらから見せ付けてくれる。

直人は呆れたようにあくびをする。

「…ふぅん…」

怜奈は何か考えるように、冷めた目で2人を見ている。

直人はそれに気付かなかった。

⏰:10/03/24 19:02 📱:N08A3 🆔:vv1d3OC.


#159 [我輩は匿名である]
「いつも一緒に来てんのか?」

直人の思いがけない問いに、焼きそばパンにかじりついたまま、薫は目を丸くする。

「はぎ?ほふげん(何?突然)」

「未来の彼女。今日一緒に来てただろ?」

「…はんげひっけんは?(何で知ってんだ?)」

「…何言ってるかは大体わかるけど、とりあえず飲み込んでから喋れ」

直人に言われて、薫は口に入っている分のパンを、適当に噛み砕いて飲み込む。

詰まりそうになったのか、その上から更にペットボトルのお茶を流し込む。

⏰:10/03/24 19:05 📱:N08A3 🆔:vv1d3OC.


#160 [我輩は匿名である]
「今日はたまたま、見つけたから一緒に来ただけ。大体何で知ってんだよ?」

「今日、俺達ちょっと後ろ歩いてたから」

「ちょっと待て、俺“達”って誰だ」

「大橋怜奈。何か横にいたから」

あいつか。薫も朝の直人同様、めんどくさそうな顔をする。

「…うっとうしいな…。お前は相手にしてねぇよ…」

「お前を好きなの、あいつの友達だぞ?」

直人は間違いを正すように言い直す。

「…どうだかな…」

薫は何か考えながら、ペットボトルを片手に、じっと怜奈を見ていた。

⏰:10/03/24 19:06 📱:N08A3 🆔:vv1d3OC.


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