記憶を売る本屋さん
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#191 [我輩は匿名である]
直人はそう言った後、「ん?」と首を傾げる。

「あいつ、『友達が薫を好き』って言ってたけど」

「そんなの嘘に決まってんじゃん。それ信じ込んでたの?」

飛鳥は呆れている。

言われてみればそうだ。いくら友達思いだといっても、熱心に身辺調査しすぎだ。

「(自分が好きだったのかよ、あいつ…)」

「…とりあえず、あいつには気をつけなよ」

飛鳥はそう言って、教室に向かう。

「あ、ありがとな」

直人は飛鳥に礼を言う。

飛鳥は少し黙って、「別に」とだけ言って教室に入っていった。

⏰:10/03/29 17:22 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#192 [我輩は匿名である]
「やっぱりな」

「知ってたのかよ!?」

「話聞いてたら大体わかるだろ。俺の事が好きっていうの、友達じゃなくて本人だって事ぐらい」

薫は知っていたらしい。

直人はショックで箸を持つ手を止める。

「俺…どんだけバカなんだ…?」

「さぁ?まぁ勉強になったんだからいいじゃん」

薫は笑っているが、少ししてから真顔に戻った。

⏰:10/03/29 17:23 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#193 [我輩は匿名である]
「そういえば、あいつ伝言があるって言ってたけど…」

「聞いたよ、今日委員会があるって。めんどくせぇ…。先帰っといて」

「あぁ、同じ委員会だっけ?頑張れ♪

「からかうな!」

満面の笑みでからかう直人に、薫は怖い顔で言い返した。

⏰:10/03/29 17:23 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#194 [我輩は匿名である]
放課後。

薫は時間どおりに、風紀委員会に出席していた。

隣には怜奈が座っている。

「…俺の事、いろいろ直人に聞きまくってるらしいな」

周りに聞こえないような声で、薫は怜奈に言う。

「そこまで聞きまくってないよ?朝いつもいないから、どこに行ってるんだろうなぁって」

「悪いけど、俺の事諦めてくれる?大橋と付き合う気はないし、俺には」

「好きな子がいる、でしょ?」

怜奈は少し笑って薫を見る。

⏰:10/03/29 20:30 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#195 [我輩は匿名である]
薫は黙って見返す。

「でも、あの子じゃなくて私に目が行く事があるかも」

「残念だけどそれはない」

「そんなにあの子の事好きなの?」

そう聞かれて、薫は黙る。

そんな一言で済まされる気持ちではない。

「あの子普通の子じゃない。背も大きくないし、胸も私より小さい。スタイルだって」

「俺はそういう事には興味ない」

薫はきっぱりと言い張る。

⏰:10/03/29 20:30 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#196 [我輩は匿名である]
まぁ、そう言っても薫も男なので、全く興味がないわけでもないが。

「俺には、あいつを守る義務がある」

「義務?何それ」

怜奈は笑う。少しバカにしたように。

「お前みたいな軽そうな奴にはわからないよ」

薫はイラついたように言い捨てる。

「…ふぅん、つまんないの」

怜奈も同じようにして、それ以上何も話さなかった。

⏰:10/03/29 20:31 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#197 [我輩は匿名である]
「あ」

下駄箱で、直人はたまたま響子を見つけた。

響子は1人で帰るようだ。

「なぁ」

何となく、直人は響子に声をかける。

「……あ、もしかして月城くんの友達?」

「そうそう、俺、水無月直人。よろしく」

「私は香月響子。こちらこそよろしく」

響子はにこっと笑いかける。

⏰:10/03/29 20:32 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#198 [我輩は匿名である]
「薫、委員会でさ。良かったら一緒に帰ってもいい?」

「うん、一緒に帰ろ」

響子は快く頷いてくれた。

直人と響子は並んで学校を出る。

「水無月くんって、いつから月城くんと仲良いの?」

「俺達は、幼稚園入る前から仲良いよ」

「そんなに前から?」

「親同士が仲良いからなぁ。よくどっちかの家に行って遊んだりしてたから」

「へぇー。じゃあ、幼なじみなんだね」

⏰:10/03/29 20:33 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#199 [我輩は匿名である]
「まぁな」

直人は「へへっ」と笑う。

「香月の家ってどこ?」

「結構近いみたい。月城くんのマンションの前の道をまっすぐ行って、

突き当たりを右に曲がってまたまっすぐ行けば着くよ」

「…薫のマンションの前の道って、突き当たりまで結構距離ないか?」

前に薫と、マンションからそのつきあたりの壁まで競争した事があった。

確か、直人の方が早くて、18秒だった。

50m走で7秒台だから、100m以上あると考えられる。

⏰:10/03/29 20:33 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#200 [我輩は匿名である]
「(そこからまたまっすぐ行くって事は…近いって言えるのか…?)」

「水無月くん?」

考え込んでいると、響子が気にして話し掛けてきた。

「へ?」

「どうしたの?」

「いや、何もない」

どうでもいい事を考えていたため、直人は慌てて断る。

だからあの雨の日、一緒に来ていたのか。

直人はやっと納得した。

⏰:10/03/29 20:34 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


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