記憶を売る本屋さん
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#271 [我輩は匿名である]
よく見れば同じ色のリボン。同級生だったようだ。
しかし、今そんな事に構っている場合ではない。
「怪我してない?」
「怪我は大丈夫」
「そっか!ごめんな、ちゃんと気を付けるから!」
掻き集めて整頓したノートを手渡し、直人は急いで階段を駆け上がる。
「気を付けるって今言ったじゃない!」
女子はまた声をあげるが、もう直人には届かない。
:10/04/04 09:47
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#272 [我輩は匿名である]
「…ん?」
女子は曲がり角に何か落ちているのを見つけた。
青い携帯電話だ。
「…あっ!ちょっとー!ケータイ落としてるよー!!」
さっきの男子がぶつかった拍子に落としていったのだろう。
女子は声の限り階段に向かって叫ぶが、返事はない。
が、その代わり、「おーい、うるさいぞー」と女子の担任が降りてきた。
「あっ、先生!もうこれ重くて無理です!」
「はぁん?しょうがねーなぁ。こっからは俺が持って行くわ」
:10/04/04 09:48
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#273 [我輩は匿名である]
「やったぁ!じゃあ私、今から落とし物届けて来ます♪」
女子はノートの山を担任に預けて、直人のケータイを手に階段を上る。
:10/04/04 09:48
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#274 [我輩は匿名である]
一方、薫は息を切らして屋上への階段にたどり着いた。
「でも、あんた『もう会いたくない』ってメールしてたじゃん。
そんな奴が偉そうな口叩けんの?」
怜奈の声が聞こえてくる。
気付かれないように、しゃがんで角から踊り場の様子を伺う。
「(あの女…俺のケータイのメールまで見たのか…)」
響子は壁に押さえ付けられたまま黙る。
出ていくべきか、待つべきか。
周りにはもう他の生徒はいないようで、しんと静まり返っている。
:10/04/04 13:23
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#275 [我輩は匿名である]
「…確かに、そんなメールは送ったわ」
響子は口を開く。
「…でもそれは、月城くんと喧嘩したからでも、嫌いになったからでもない。
…月城くんの優しさが、怖くなったから」
響子は俯きながら言った。
薫は黙って響子の話を聞く。
「私の事をいつも心配してくれて、いつも笑っていてくれて…。
でも私は…きっと月城くんを好きになっちゃいけない。それに気付いてしまった。
だから『会えない』って言ったの。月城くんなら、私なんかよりもっといい人に出会えると思ったから」
:10/04/04 13:24
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#276 [我輩は匿名である]
響子の声が震えている。
『月城くんを好きになっちゃいけない』と言う事は、響子はまだ気付いていないようだ。
夢の中の男性が、今の薫だということに。
「(最後まで知ったんじゃなかったのか…?)」
薫は小さく首をひねる。
響子は“霜月今日子”が死ぬのを夢で見た。
本来ならば、そこで全てを知るはずだ。
だが、響子は薫の正体を知らない。
もしかしたら、彼女だけまだ続きが…?
:10/04/04 13:24
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#277 [我輩は匿名である]
「み…見つけた…」
薫の背後で直人の声がした。
薫は素早く、「静かに」とサインをする。
「も…何だよ…?」
直人は小声で文句を言いながら息を切らす。
「ちょっとー、ケータイー!」
おまけにさっきの女子まで上ってきた。
「しーっ!」
薫と直人は同時に女子を黙らせる。
:10/04/04 13:25
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#278 [我輩は匿名である]
「…何?」
女子は不満そうに、また眉間にしわを寄せる。
「…何かよくわかんないけどさぁ、じゃああんたはもう関係ないんじゃん。
だったら余計偉そうな事言えないね?
なのにごちゃごちゃ文句つけてきやがって…」
「文句つけてるのはそっちでしょ?好きなら好きだって直接言えばいいじゃない」
「言っても無駄なのよ、あんたがいる限りはね…!」
:10/04/04 13:25
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#279 [我輩は匿名である]
「えっ、何、これ修羅場!?」
「うるさいなぁ!俺だって知らねぇよ!つか何で付いて来たんだよ!?」
「だって…」
2人がこそこそ言い合っている間に、痺れを切らして薫が立ち上がる。
「いい加減にしろよ」
その場にいる全員が薫に目を向ける。
「俺この間言ったよなぁ?お前を好きになる事はないって。
それはキョウコがいようがいまいが関係ない。
俺が本気で愛するのは一生でただ1人、長谷部今日子だけだ!」
:10/04/04 13:25
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#280 [我輩は匿名である]
その言葉に響子はハッとする。
「長谷部今日子?あの子香月響子じゃなかった?」
「えっ?お前知ってんの?」
「だって隣のクラスで体育一緒だし」
女子は当たり前のように直人に言った。
「…何なのよ…あんた達…」
怜奈は低い声で言う。
「私よりも劣ってるくせに…調子こいてんじゃねーよ…。
あんたのせいよ…あんたさえいなかったら…!」
:10/04/04 13:26
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