記憶を売る本屋さん
最新 最初 🆕
#561 [我輩は匿名である]
その放課後、直人は薫の家に行った。

「どうだった?」

部屋に入るなり、薫は直人に尋ねる。

「うん、大丈夫。多分立ち直ったと思う」

「その手はどうしたんだ?」
薫は直人の左手を見る。

「ああ…これは…あいつを止めるのに、ちょっとな」

「ふうん…、大丈夫なのか?」

「大丈夫大丈夫。オカンが大げさに巻いてるだけ」

直人は平気そうにパタパタと手を振ってみせる。

⏰:10/04/14 11:31 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#562 [我輩は匿名である]
「…あいつも、もう2度とあんな事しないと思うし、一件落着だな」

疲れたようにため息を吐く直人を見ながら、薫は小さく笑う。

「あーぁ、俺も暇だし、学校行きてぇなぁー」

「来れば?」

「無理だろ。歩くだけでも痛いのに」

「そんなに痛いのか?」

「痛いに決まってるだろ。これ取れるのに最低でも2ヶ月ぐらいかかるんだぞ?」

「そんなかかんの!?」

⏰:10/04/14 11:33 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#563 [我輩は匿名である]
「らしいぞ。今痛み止め飲んでるからましだけど、切れたらかなり痛いからな」

「えー…」

「まぁ明日また病院行くから、その時にどう言われるかだな。

痛みが引いて、腕上げなくていいなら学校行けるだろうけど」

「そうなのか…」

⏰:10/04/14 11:34 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#564 [我輩は匿名である]
直人はそこまで重症だとは思っていなかったため、ぽかんとする。

「ま、ゆっくり休めよな。俺もまた来てやるからよ」

直人は「よっこらしょ」と立ち上がる。

「あぁ。また何かあったら言って来い」

薫は空いている右手を上げる。

直人も「じゃあな」と手を振り、薫の家を出た。

「(2ヶ月か…大変だなぁ、あいつも…)」

直人は少しつまらなそうに家まで歩く。

少し違うが、今までの平凡な日常が戻ってきている気がした。

⏰:10/04/14 11:34 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#565 [我輩は匿名である]
…のだが。

次の日、直人を含むクラスメイト全員が、ただ目を丸くしていた。

その視線の先には、茶色い頭で、スカートの丈もきちんと戻した飛鳥の姿。

「…お前…どしたの?その髪の毛」

直人に聞かれて、飛鳥はだいぶ恥ずかしそうに髪を触る。

「染めたんだよ、見たらわかるだろ」

「じゃなくて!金は?無かったんじゃなかったのかよ?」

「親にもらった」

「はぁ…?」

直人はただきょとんとする。

⏰:10/04/14 21:41 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#566 [我輩は匿名である]
「だって、弟だけ小遣いもらって、私には無かったんだよ?

どー考えたって不公平だろ。だから、昨日もらったの、今までの分」

飛鳥は当然の事のように言いながら、自分の席に座る。

「…いくらもらったんだよ?」

「5万」

「一気に!?」

「だから、今までの分だっつっただろ」

飛鳥は言いながら、まだ髪を気にしている。

⏰:10/04/14 21:41 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#567 [我輩は匿名である]
「………変、かな?」

「…いや、今の方が絶対良いと思うけど。ヤンキーみたいだったし」

「ヤンキーって言うな!」

「どー見てもヤンキーだろ!」

「っさいなぁ!」

2人は大きな声で言い合う。

「…ま、いいんじゃねーの?今は普通に見えるし」

「…じゃあ、いい」

2人は目立っているのに気付いたのか、急に大人しくなった。

⏰:10/04/14 21:42 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#568 [我輩は匿名である]
「…そういえば、あんたの相棒は?休み?」

「はぁ?何をいまさら…」

直人はそう言いかけてやめる。

薫達が怪我をした時は、飛鳥は本の内容でそれどころではなかったのだ。

「…あー、ちょっといろいろあってな。ほぼ絶対安静って感じ」

「…何かよくわかんないけど、大変だったって事だね」

飛鳥は言いながらため息を吐く。

⏰:10/04/14 21:42 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#569 [我輩は匿名である]
「水無月くーん」

呼ばれて振り向くと、響子と奏子がいた。

「おぅ、おはよ」

「おはよう…ん?」

2人は「誰?」と言うように飛鳥を見る。

「あぁ…こいつは…」

直人はまた、何か言いかけて、ふと考えた。

「(これ、友達候補にしてもいいのか?

でも、安斎はともかく、香月とは被害者加害者の関係だし…)」

⏰:10/04/14 21:43 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#570 [我輩は匿名である]
「あ、もしかして神崎さん?」

直人が考えている間に、響子が飛鳥に話し掛けた。

直人はぎょっとしつつ、黙って様子を見る。

「へ?そ、そうだけど…」

いきなり言われて、飛鳥も目を丸くする。

「何で私の事…」

「それは…」

響子は「何て言おうか」と考える。

⏰:10/04/14 21:43 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194