記憶を売る本屋さん
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#71 [我輩は匿名である]
目の前に広がっていたのは、木の木目のようなものだった。

なんだこれ。直人はつまらなそうに呟く。

「石川さん、昨日あんだけ泣いてたけど、大丈夫だったかなぁ…」

要が小さく独り言を言う。

視線が木目から窓に移る。
木目はどうやら、要の部屋の天井だったらしい。

細い三日月が見えた。もう夜のようだ。

「今度、行ってみようかな」

「どこに」

直人が思わず言った瞬間、周りが真っ暗になった。

⏰:10/03/23 13:37 📱:N08A3 🆔:0nKseeu.


#72 [我輩は匿名である]
「もう終わりかよ!」

直人は大声で突っ込んで、その勢いで立ち上がる。

授業中だった事も忘れて。

クラスメイトが一斉にこっちを向く。

「…2回目の授業から爆睡とは、良い度胸だなぁ?水無月直人」

先生の顔が引きつっている。

クラスメイト達が笑いだす。

「…は…はは…。す、すいません…」

直人は無理やり笑って誤魔化して、静かに椅子に座った。

あの本は授業中に読むものではない。

直人はため息をついて、気付かれないように教科書の下に本を滑り込ませた。

⏰:10/03/23 13:37 📱:N08A3 🆔:0nKseeu.


#73 [我輩は匿名である]
昼休みになってもまだ、薫は笑いをこらえていた。

生物が終わってからずっとこうだ。

直人もいい加減腹が立ってきた。

「お前、いい加減にしろよ」

「無理無理。お前の顔見る度に思い出して仕方ねぇよ」

この野郎…。殴りたくなってきた。

「で?今日のタイムスリップはどうだった?」

ナメようにニヤつきながら、薫は直人に尋ねる。

「どうもこうもねーよ!見てみろよこれ!!」

他の目を気にせずに騒ぎながら、本を開いて見せてみる。

⏰:10/03/23 13:38 📱:N08A3 🆔:0nKseeu.


#74 [我輩は匿名である]
4月12日 今日は何もなかった。
長月要は昨日の石川晶の様子が心配らしく、
会いに行ってみようかと考えていた。


「こんだけだぜ!?」

「わかったから、もうちょっと静かに喋れ。

他の奴に気付かれたらめんどくさいだろ」

⏰:10/03/23 13:39 📱:N08A3 🆔:0nKseeu.


#75 [我輩は匿名である]
確かにそうだ。

直人はちょっとムスッとして頷く。

「…この、長月要ってのは?」

「タイムスリップしたら、必ずこいつの身体の中に入り込む。

で、俺はそっから見てるだけで、何も出来ねぇんだよ。」

「ふぅん…」

薫は本を見つめながら、何かを考えている。

「何で長月要なんだろうな?」

ふと、薫が言った。

⏰:10/03/23 13:40 📱:N08A3 🆔:0nKseeu.


#76 [我輩は匿名である]
「へ?」

「いやぁ…何で入り込むのが、その長月要って奴の身体なのかって」

「…あぁ…」

今まで考えた事はなかった。

「誰だ?」とか「何でタイムスリップ?」とか思った事はあっても、

何故その先がいつも彼の中なのか?

薫に言われて初めて疑問に思った。

「何だ、今まで考えた事なかったのか?」

「うん…。そうだな、何でいつもあいつの中なんだろ?」

直人は腕を組んで考える。

⏰:10/03/23 14:03 📱:PC 🆔:pMFPl9Gs


#77 [我輩は匿名である]
「まぁ、とりあえず食べようぜ」

薫は話を変えて、机の上に弁当箱を出した。

直人も「そうだな」と、弁当箱を出す。

「ところで、お前委員会どうするんだ?」

「委員会?」

卵焼きを口に頬張りながら、直人は聞き返す。

「今日の6時間目のホームルームで、委員会決めるって、

今日先生言ってただろ」

「マジで…」

何せ今日の朝礼の時間は上の空だった直人は、

そんな話全く聞いていなかった。

⏰:10/03/23 14:04 📱:PC 🆔:pMFPl9Gs


#78 [我輩は匿名である]
「か、薫は?」

「風紀委員」

「即答かよ」

確かに、規則等をきっちり守る薫にはぴったりだ。

「めんどくせぇなぁ…。俺は後半でいいや」

「言うと思った」

基本めんどくさがりな直人に、薫は笑った。

⏰:10/03/23 14:09 📱:PC 🆔:pMFPl9Gs


#79 [我輩は匿名である]
家に帰って、直人はまた、自分の部屋で本と睨めっこしていた。

今日考えていた事。1日に何回タイムスリップできるのか。

それを実行する時がきた。

ベッドの上で、ふぅっと息をつく。

「…せぇの!!」

変に掛け声を出しながら、素早く本を開く。

・・・・・・。

何も起こらない。

「…ちぇっ、やっぱダメか」

ちょっとドキドキして損した。直人はふてくされたように寝転んだ。

⏰:10/03/23 14:15 📱:PC 🆔:pMFPl9Gs


#80 [我輩は匿名である]
次の日。土曜日である今日、直人は朝からパソコンにへばりついていた。

すでに午前中に本を開いて、昨日と同様何もなかったことに落胆し、ネットで調べてみる事にしたのだ。

『都市伝説 本』で調べると、すぐに多くのサイトがヒットした。

中でも『都市伝説ネット』なるサイトがあり、直人はそれをクリックする。

そんな名前なのだから、きっといろんな情報が載っているに違いない。

「…ビンゴ」

縦に並べられた数多くの都市伝説の中に、『読むと死ぬ!?呪いの本』という項目があった。

内容を見てみると、直人が今まで、耳にたこができるほど聞いてきた噂話が最初に載せられていた。

その下には、情報交換をするための掲示板が用意されている。

直人は掲示板の入り口をクリックする。

⏰:10/03/23 14:27 📱:PC 🆔:pMFPl9Gs


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