記憶を売る本屋さん
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#241 [我輩は匿名である]
次の日曜日も、何故か晶は待ち合わせ場所に来なかった。
要は気になって、晶の住む施設まで行ってみる。
忘れているのだろうか?
それとも、先週会わなかったため、今週は約束していない事になっているのだろうか?
確かにそれはあるかも知れないが、何も言わずに来なくなるのはおかしい。
直人は要の中で、必死に頭を働かせる。
もしかしたら、他に好きな男でも?
しかし、彼女は「私には要くんしかいないから」と言っていた。
まぁ時が流れれば変わる事もあるわけだが。
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#242 [我輩は匿名である]
でも、ちょっとひねくれてはいても、普通の純粋な女の子である。
そんなにコロコロと気が変わるような子ではない。
少なくとも直人はそう信じている。
直人がそうだという事は、きっと要も同じであるだろうが。
あれこれ考えている間に、目の前には施設の門が迫っていた。
要はふうっと、息を吐く。
「…あ」
晶はちょうど、門の近くで花壇の花に水をやっていた。
「何だよ、普通にいるじゃねぇか」
直人は少しムッとした。
:10/04/01 19:55
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#243 [我輩は匿名である]
要は少し重い足取りで晶に近づく。
「…晶ちゃん」
要は彼女にギリギリ聞こえるような声で呼ぶ。
晶は少しキョロついてから、要に気が付いた。
「来ないから、何かあったのかと思って」
要はちょっと苦笑する。
しかし、晶は何も言わない。
それどころか、顔を背けてどこかへ走り去ってしまった。
:10/04/01 19:55
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#244 [我輩は匿名である]
要も直人も、わけがわからずきょとんとする。
「…何だよ?今の…」
何だかわからないが、怒っているような態度。
しかし、2人とも心当たりは全くない。
そのため、直人は逆に腹が立ってきた。
「おい、あんな女ほっといて帰ろうぜ」
直人が言うのと同時に、要は踵を返す。
2人とも納得がいかないまま、とぼとぼと家路に着いた。
:10/04/01 19:56
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#245 [我輩は匿名である]
元の世界に戻っても、直人のイライラは収まらない。
すぐに本を閉じて、文を読む気にすらならない。
「何なんだよ…この間来れないって言ったの、あっちだろ…」
直人はぶつぶつ言いながら寝転ぶ。
だからめんどくさい女は嫌なんだ。そう思いながら目を閉じた。
:10/04/01 19:57
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#246 [我輩は匿名である]
1日ボーッとした日が続く。
薫と何を話したのかもあまり覚えていないほど。
飛鳥も今週は出席していたが、直人と同じようにボーッとしては、放課後すぐに学校を出ていた。
直人は何となく、それも気になっていたが、何もしないまま、気付けばもう金曜日だった。
運悪く、今日は直人と怜奈が日直だ。
余計にため息が出る。
しかも今日は体育。教室の鍵締めという面倒な仕事がある。
:10/04/01 20:16
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#247 [我輩は匿名である]
「はぁ…」
直人は大きくため息を吐く。
「鍵締めめんどくせー、とか思ってんでしょ」
怜奈に言われて、直人はハッと、彼女の方を向く。
「べっ、別にそんな…!」
「いいよ?男子の教室の鍵も閉めてあげても」
「…へ?」
直人はぽかんとする。
「女子の方が着替え長いからね。まとめて閉めてあげてもいいよって言ってんの。
いやなら別にいいけど」
:10/04/01 20:16
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#248 [我輩は匿名である]
「いや!是非閉めてくれ!助かる!」
『意外といい奴かも』と、直人は怜奈に手を合わせる。
その拍子に、薫が珍しく席に着いているのが見えた。
まだ朝礼まで10分あるというのに。
直人は立ち上がり、薫の席に行く。
「おい、どうしたんだよ?今日は晴れてるぞ?」
ボーッとしていた薫は、声をかけられて顔を上げる。
「…あぁ…ちょっとな…」
本を持つ者がみんなボーッとしている。
:10/04/01 20:17
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#249 [我輩は匿名である]
直人は何かおかしいと感じた。
「喧嘩でもしたか?」
「いや…キョウコがちょっと体調悪いみたいでな…」
「…キョウコぉ?」
とうとう呼び捨てになったか。直人はにやつく。
「休んでんのか?」
「いや、来てるけど」
「じゃあ会いに行けばいいじゃん。昨日も普通に会ってただろ?」
「…昨日と今日じゃ状況が違うんだよ」
:10/04/01 20:17
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#250 [我輩は匿名である]
薫は思い詰めたように言った。
直人はますます首をかしげる。
そして、ハッとした。
「手ぇ出しちゃったか!」
「出してない!!」
薫は鬼のような顔で言い返す。
が、すぐに暗い顔に戻ってしまった。
「…出してないけど…」
薫がこんな顔をするのはほとんど見た事がない。
直人は困って頭を掻く。
:10/04/01 20:17
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