記憶を売る本屋さん
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#244 [我輩は匿名である]
要も直人も、わけがわからずきょとんとする。
「…何だよ?今の…」
何だかわからないが、怒っているような態度。
しかし、2人とも心当たりは全くない。
そのため、直人は逆に腹が立ってきた。
「おい、あんな女ほっといて帰ろうぜ」
直人が言うのと同時に、要は踵を返す。
2人とも納得がいかないまま、とぼとぼと家路に着いた。
:10/04/01 19:56
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#245 [我輩は匿名である]
元の世界に戻っても、直人のイライラは収まらない。
すぐに本を閉じて、文を読む気にすらならない。
「何なんだよ…この間来れないって言ったの、あっちだろ…」
直人はぶつぶつ言いながら寝転ぶ。
だからめんどくさい女は嫌なんだ。そう思いながら目を閉じた。
:10/04/01 19:57
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#246 [我輩は匿名である]
1日ボーッとした日が続く。
薫と何を話したのかもあまり覚えていないほど。
飛鳥も今週は出席していたが、直人と同じようにボーッとしては、放課後すぐに学校を出ていた。
直人は何となく、それも気になっていたが、何もしないまま、気付けばもう金曜日だった。
運悪く、今日は直人と怜奈が日直だ。
余計にため息が出る。
しかも今日は体育。教室の鍵締めという面倒な仕事がある。
:10/04/01 20:16
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#247 [我輩は匿名である]
「はぁ…」
直人は大きくため息を吐く。
「鍵締めめんどくせー、とか思ってんでしょ」
怜奈に言われて、直人はハッと、彼女の方を向く。
「べっ、別にそんな…!」
「いいよ?男子の教室の鍵も閉めてあげても」
「…へ?」
直人はぽかんとする。
「女子の方が着替え長いからね。まとめて閉めてあげてもいいよって言ってんの。
いやなら別にいいけど」
:10/04/01 20:16
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#248 [我輩は匿名である]
「いや!是非閉めてくれ!助かる!」
『意外といい奴かも』と、直人は怜奈に手を合わせる。
その拍子に、薫が珍しく席に着いているのが見えた。
まだ朝礼まで10分あるというのに。
直人は立ち上がり、薫の席に行く。
「おい、どうしたんだよ?今日は晴れてるぞ?」
ボーッとしていた薫は、声をかけられて顔を上げる。
「…あぁ…ちょっとな…」
本を持つ者がみんなボーッとしている。
:10/04/01 20:17
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#249 [我輩は匿名である]
直人は何かおかしいと感じた。
「喧嘩でもしたか?」
「いや…キョウコがちょっと体調悪いみたいでな…」
「…キョウコぉ?」
とうとう呼び捨てになったか。直人はにやつく。
「休んでんのか?」
「いや、来てるけど」
「じゃあ会いに行けばいいじゃん。昨日も普通に会ってただろ?」
「…昨日と今日じゃ状況が違うんだよ」
:10/04/01 20:17
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#250 [我輩は匿名である]
薫は思い詰めたように言った。
直人はますます首をかしげる。
そして、ハッとした。
「手ぇ出しちゃったか!」
「出してない!!」
薫は鬼のような顔で言い返す。
が、すぐに暗い顔に戻ってしまった。
「…出してないけど…」
薫がこんな顔をするのはほとんど見た事がない。
直人は困って頭を掻く。
:10/04/01 20:17
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#251 [我輩は匿名である]
「…俺もさ、今晶ともめてんだよね」
薫は目だけをこっちに向ける。
「もめてるって言うか、勝手にあっちが腹立ててるだけだけど」
直人はムスッとして言う。
「…俺は別にもめてるわけでもないけどさ…」
薫は答えるように話しだす。
「…キョウコも、本を持ってるような感じで」
「持ってる“ような”って何だよ」
直人はすかさず突っ込む。
「持ってはないけど、それと同じ力があるって言うか」
:10/04/01 20:18
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#252 [我輩は匿名である]
「へぇ…なんかすごいな、それ」
「まぁ…な。…お前…」
薫が何か言おうとした時、運悪くもチャイムが鳴った。
「何だよも〜…」
「また後で話すよ」
薫はフッと小さく笑った。
:10/04/01 20:18
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#253 [我輩は匿名である]
3時間目の体育の時間。
さっきまで晴れていた空が曇り、雨が降りだしたため、体育館でバスケットボールだ。
同じチームに配属された2人は、コートの外に座って自分たちの試合の時間を待つ。
「…お前、本で自分が入り込んでしまう人間が誰なのか、知ってるか?」
薫はぼそっと、直人に尋ねる。
直人はボールを片手に黙り込む。
「……“前世”だって、何かで見た事あるけど…」
本当かどうか…。直人は下を向く。
「何だ、知ってたのか」
薫の言葉に、直人は顔を上げる。
:10/04/01 23:29
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