記憶を売る本屋さん
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#267 [我輩は匿名である]
怜奈は響子の態度に苛立ち、腕を掴んで壁にたたきつける。

「…調子にのんなよ」

怜奈は顔を近づけ、響子を睨み付ける。

「彼女でもないくせに…気取ってんじゃねぇよ」

「バカじゃないの?」

響子もまた、怜奈をにらみ返して言う。

「こんな事して呼び出して、文句言って怖がらせて手を引かせようと思ったんでしょ?

そこまでしないと私に勝てないって分かってるから。違う?」

「何…!?」

⏰:10/04/04 09:45 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


#268 [我輩は匿名である]
「月城くんは、あんたみたいな子は相手にしないわよ。

月城くんに手を出す事は、私が許さないから!」

響子はきっぱりと言い放った。


「おいっ!待てよ薫!!」

直人は必死で薫を追う。

いつの間に俺より足が速くなったんだ。

そう思いながら曲がり角を曲がろうとすると、ノートの山を抱えた女子が出てきた。

⏰:10/04/04 09:46 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


#269 [我輩は匿名である]
「うわっ…」

止まり切れず、そのままぶつかってしまった。

直人は思いっきり尻餅をつき、女子もノートをばらまきながら、同様に尻餅をつく。

「いったぁ〜…」

「いててて……あ」

直人はハッと立ち上がり、女子に駆け寄る。

「すいません!大丈夫ですか?」

「大丈夫なわけないでしょ!?」

肩までしかない短い髪の女子は、直人に怒鳴る。

⏰:10/04/04 09:46 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


#270 [我輩は匿名である]
「廊下は走るなって小学校で習わなかった!?あんた何歳よ!?」

「ご、ごめんなさいっ!」

あまりの剣幕に、直人はひたすら謝り、ノートを拾う。

「…ん?」

女子の顔に、何となく見覚えがある気がする。

直人は思い出そうと、手を止めて女子を見つめる。

「…何か用?」

視線を感じて、女子が尋ねてくる。

「えっ…いや…」

直人はサッと視線を反らし、またノートを拾う。

⏰:10/04/04 09:46 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


#271 [我輩は匿名である]
よく見れば同じ色のリボン。同級生だったようだ。

しかし、今そんな事に構っている場合ではない。

「怪我してない?」

「怪我は大丈夫」

「そっか!ごめんな、ちゃんと気を付けるから!」

掻き集めて整頓したノートを手渡し、直人は急いで階段を駆け上がる。

「気を付けるって今言ったじゃない!」

女子はまた声をあげるが、もう直人には届かない。

⏰:10/04/04 09:47 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


#272 [我輩は匿名である]
「…ん?」

女子は曲がり角に何か落ちているのを見つけた。

青い携帯電話だ。

「…あっ!ちょっとー!ケータイ落としてるよー!!」

さっきの男子がぶつかった拍子に落としていったのだろう。

女子は声の限り階段に向かって叫ぶが、返事はない。

が、その代わり、「おーい、うるさいぞー」と女子の担任が降りてきた。

「あっ、先生!もうこれ重くて無理です!」

「はぁん?しょうがねーなぁ。こっからは俺が持って行くわ」

⏰:10/04/04 09:48 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


#273 [我輩は匿名である]
「やったぁ!じゃあ私、今から落とし物届けて来ます♪」

女子はノートの山を担任に預けて、直人のケータイを手に階段を上る。

⏰:10/04/04 09:48 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


#274 [我輩は匿名である]
一方、薫は息を切らして屋上への階段にたどり着いた。

「でも、あんた『もう会いたくない』ってメールしてたじゃん。

そんな奴が偉そうな口叩けんの?」

怜奈の声が聞こえてくる。

気付かれないように、しゃがんで角から踊り場の様子を伺う。

「(あの女…俺のケータイのメールまで見たのか…)」

響子は壁に押さえ付けられたまま黙る。

出ていくべきか、待つべきか。

周りにはもう他の生徒はいないようで、しんと静まり返っている。

⏰:10/04/04 13:23 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


#275 [我輩は匿名である]
「…確かに、そんなメールは送ったわ」

響子は口を開く。

「…でもそれは、月城くんと喧嘩したからでも、嫌いになったからでもない。

…月城くんの優しさが、怖くなったから」

響子は俯きながら言った。

薫は黙って響子の話を聞く。

「私の事をいつも心配してくれて、いつも笑っていてくれて…。

でも私は…きっと月城くんを好きになっちゃいけない。それに気付いてしまった。

だから『会えない』って言ったの。月城くんなら、私なんかよりもっといい人に出会えると思ったから」

⏰:10/04/04 13:24 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


#276 [我輩は匿名である]
響子の声が震えている。

『月城くんを好きになっちゃいけない』と言う事は、響子はまだ気付いていないようだ。

夢の中の男性が、今の薫だということに。

「(最後まで知ったんじゃなかったのか…?)」

薫は小さく首をひねる。

響子は“霜月今日子”が死ぬのを夢で見た。

本来ならば、そこで全てを知るはずだ。

だが、響子は薫の正体を知らない。

もしかしたら、彼女だけまだ続きが…?

⏰:10/04/04 13:24 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


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