記憶を売る本屋さん
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#37 [我輩は匿名である]
著者です。パソコン付けるのめんどくさいので、ケータイから失礼します。
>>36さん
ありがとうございます


今からまたちょっと進めます


:10/03/22 22:25
:N08A3
:d1RCppyk
#38 [我輩は匿名である]
結局、タイムスリップの事は薫には話せなかった。
それどころか、薫にはあの本の話し自体しない方がいいかもしれない、とさえ思った。
制服のままベッドに寝転んで、直人は本を見つめる。
なぜ薫と見た時は何も起きなかったのだろう?
直人は起き上がり、あぐらをかく。
そして、何気なく開いてみた。
「えっ!?」
昨日と同じように、直人はあのまばゆい光に包まれた。
:10/03/22 22:27
:N08A3
:d1RCppyk
#39 [我輩は匿名である]
「なんでぇーっ!?」
そう言った時には、すでに声が出なくなっていた。
気付けば、後ろの方でチャイムが鳴り、周りは下校中らしい生徒で溢れていた。
「実力試験、どうだった?」
隣にいた友人らしい男子が話しかけてくる。
「全然だめ。勉強しておけば良かったなぁ…」
この声は長月要だ。直人はすぐに気付いた。
「また来たのかよ!?」
覚悟が出来ていなかった直人は、呆然とする。
しかしまぁ、勝手に元に戻れるのならと考えると、昨日よりは気が楽だ。
:10/03/22 22:28
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:d1RCppyk
#40 [我輩は匿名である]
「あ!」
要と直人が声を上げたのは、同時だった。
視線の先には、制服姿で1人で歩く石川晶がいた。
「ちょっと知り合い見つけたから、先帰ってて」
「へ?あぁ…」
要は「ごめんな」と手を合わせて、走りだす。
「石川さん!」
要の声に、晶は振り向く。
要を見て、憂うつそうな顔がパッと明るくなる。
「長月くん!」
「今帰り?」
「うん、ちょっとブラブラしてから帰ろうかと思って」
:10/03/22 22:29
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#41 [我輩は匿名である]
やっぱり真っすぐは帰らないんだな。直人はちょっと笑う。
「そっかぁ。送って行こうか?」
「でも…、逆方向じゃない?」
「いいよ、今日何も予定ないし」
「そう?…じゃあ、送ってもらおうかな」
晶はにっこりと笑う。
昨日は暗い表情や不機嫌な表情が多かったため、今日初めて、可愛らしい彼女を見た気がする。
「ここから何分ぐらい?」
「んー、15分ぐらいかな?遠くもないけど、近くもない」
「じゃあまぁ近い方じゃない?30分ぐらいかかるのかと思ってた」
:10/03/22 22:36
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#42 [我輩は匿名である]
「高校はここから歩くとしんどいけどね」
「電車で通ってるのか」
「うん。今日は施設に近い駅の1つ手前で降りて散歩してたの」
「散歩っていっても、何もないよな、この辺」
「そうだね。まぁ、施設に帰っても何も楽しい事ないから」
晶は苦笑する。
「本当に嫌いなんだな」
直人は話を聞いていて思った。
施設の中にはきっと、心を許せる友達が
いないのかもしれない。
「その…施設の中に、同い年の子はいるの?」
:10/03/22 22:38
:N08A3
:d1RCppyk
#43 [我輩は匿名である]
「1人だけね。ほら、昨日あの人が言ってたでしょ?
『私が急にいなくなった』って言ってたっていう女」
「あぁ、言ってたね。嫌いなのか?」
「嫌い。大っ嫌い」
晶の表情が曇る。
「いっつも私の後ろにくっついてくるの。誰かの反感を買って喧嘩になっても、
いつも私の後ろに隠れて、私が解決しないといけない。迷惑もいいところよ」
「そりゃ迷惑だな。本人には注意しないの?」
「したら必ず泣き出すの。しかもみんなの前でね。
特に施設では、いつも私が悪いみたいに怒られて…もううんざり」
:10/03/22 22:39
:N08A3
:d1RCppyk
#44 [我輩は匿名である]
晶は道端に落ちていた石ころを蹴り飛ばす。
不満そうに話す晶を見つめ、要は黙っている。
「…あぁ、ごめんね、暗い話になっちゃったね」
「いいよ、愚痴たまってるんだろ?聞くよ、俺」
要の言葉に、晶は一瞬黙り、小さく笑った。
「長月くん、優しいね」
「そうか?普通じゃない?」
「優しいよ。私だったら、他の人の愚痴なんか聞き流すしか出来ない」
晶は1度話を切って、数メートル歩いてから再度口を開いた。
「…親に捨てられなければ、こんなひねくれた子供にはならなかったのかな」
晶は淋しそうな表情で言う。
:10/03/22 22:41
:N08A3
:d1RCppyk
#45 [我輩は匿名である]
「そんなの関係ないよ」
要は答える。
「親がいてもいなくても、ひねくれてる奴はひねくれてる。
それに、石川さんはひねくれてない」
「よく言った」。直人は要と同じ気持ちだった。
要よりはひねくれているが、
これくらいひねくれている方が、女は可愛いだろう、と。
「…ありがとう」
晶は少し下を向いて、要に礼を言った。
:10/03/22 22:42
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:d1RCppyk
#46 [我輩は匿名である]
「今でいうツンデレだな」
直人は変に冷静になって、そんな事を考える。
この環境に慣れてきたらしい。
「あっ、晶ちゃーん」
後方で聞こえた声に、晶はハッと動きを止めた。
要が振り向くと、晶と同じ制服を来た少女がこちらを見ている。
「…誰?」
「来て!」
「へ!?」
晶は要の手を掴んで走りだした。
視界がガクガク揺れる。
:10/03/22 22:43
:N08A3
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