記憶を売る本屋さん
最新 最初 🆕
#469 [我輩は匿名である]
「(でも喧嘩しなければ、俺も死なないで済んだだろ…)」

という事は、勘違いされたのがダメだったのか。

「『もう誰も信じない』…信じない…信じ“られ”なくなった…?

誰も信じられない……誰も……。

ん?誰かがどっかで同じ事…」

言っていた。

直人は両手で頭を抱え、「あー」とうなり声を上げる。

⏰:10/04/10 09:40 📱:N08A3 🆔:4t4VPhl2


#470 [我輩は匿名である]
薫?いや、薫は誰かを信じなくなった事はない。

響子?彼女は寧ろ本気で(薫を)信じ続ける方だ。

奏子?…あいつは自殺とかする性格じゃないだろ。

怜奈?…あいつは死んでくれても別に構わない。

「…全員違う…としたら…?」

直人は首が痛くなるほど両方に振りまくる。

『あんた、人間不信になった事ない?』

ふと、誰かがそう言った時の事を思い出す。

⏰:10/04/10 09:41 📱:N08A3 🆔:4t4VPhl2


#471 [我輩は匿名である]
「…!」

直人はハッと顔を上げる。

「…金髪女…?」

そうだ。この間会った時、やつれた顔でそう言っていた。

『誰とも話したくない』と。

直人はとっさに、机から本を取って開く。

「(あれはいつだった…?結構最近だったはず…。

最後に会ったのは、病院に見舞いに行って、薫に追い返された日…)」

直人は考えながら、今度はカレンダーに目を向ける。

⏰:10/04/10 09:42 📱:N08A3 🆔:4t4VPhl2


#472 [我輩は匿名である]
「(あいつらが階段から落ちたのは、この間の金曜日…。

その次の日だから…5月17日…!)」

直人はそれに近い日にちのページを見る。

事の始まりは、5月5日だ。

この日に要が女性を道案内し、晶が勘違いして怒った。

「(…待てよ…あいつ、この次の日、休みじゃなかったか…?)」

最近飛鳥はよく学校を休んでいるため、はっきりは覚えていない。

しかし、それが確か始まったのが、この日らへんだった気がする。

⏰:10/04/10 09:42 📱:N08A3 🆔:4t4VPhl2


#473 [我輩は匿名である]
「(もしあいつが、薫たちみたいに自分と前世を重ね合わせていたとしたら…)」

直人は本を見ながら、再び頭を抱え直す。

目を閉じ、今までの会話を思い起こす。

「(…あいつには友達がいない…。いつも1人…。

『なんで他の人と接するのが苦手か、その理由を知りたい』…。

なんかそんな事言ってたよな…。だから本を読んでた…。

『死にたくなったら死ねばいい』…そんな事も…)」

言っていた。『そんなの人の勝手』とも。

直人の表情が曇る。

⏰:10/04/10 09:42 📱:N08A3 🆔:4t4VPhl2


#474 [我輩は匿名である]
「(…次は…階段で喋った日だ…。

あの時は……そうだ、家にいても楽しくないって話だ。

『誰も私を見てくれない』…。でも俺とはなぜかシカトせずに喋る…)」

頭を抱える手に、自然と力が入る。

「(…晶も最初、家出っぽい感じだったな…。

『帰りたくないから、ここにいる。誰も心配してない』…。

一緒じゃねぇかよ…何もかも…!)」

直人はなぜか悔しくなって、大きくため息をつく。

⏰:10/04/10 09:43 📱:N08A3 🆔:4t4VPhl2


#475 [我輩は匿名である]
これならきっと、飛鳥は晶に自分を重ね、のめり込んでいったと、十分考えられる。

だから、要と晶が会わなくなった頃から、飛鳥は休みがちになったのかもしれない。

精神的に不安定になるのも、無理はない。

2人が仲が良かった頃は、怜奈に目を付けられた薫を気遣う余裕もあった。

しかし、5月5日以降、ずっと元気がなかった。

『人間不信になった』といい話も、要に裏切られたと思っていたと考えれば、全て辻褄が合う。


「(…やっぱりそうだ…。多分、あいつが…神崎が晶だ…!)」

直人はうつむいたまま、両手で顔を覆う。

⏰:10/04/10 09:43 📱:N08A3 🆔:4t4VPhl2


#476 [我輩は匿名である]
どうして今まで、ここまで深く考えなかったのか。

こうやって考えれば、すぐに飛鳥が晶だと気付けたのに。

直人は後悔した。

しばらく、そのままの体勢でうなだれる。

そして、何かを決意し、本を開いた。

「……あー…こっちの本じゃなかったのか…」

直人は本を閉じてベッドの枕元に放り投げ、代わりに携帯電話を手に取る。

こんな朝から電話するのも悪いと思ったが、それどころではない。

⏰:10/04/10 09:44 📱:N08A3 🆔:4t4VPhl2


#477 [我輩は匿名である]
「(…薫…出てくれよ…)」

直人は携帯電話を耳に当て、祈るように目を閉じる。
しかし、何度呼び出し音が鳴っても出ない。

「(…晶が死ぬのは…今日か明日か…どっちかだったよな…)」

直人は諦めて電話を切る。

本当に同じ事を繰り返すなら、晶は…飛鳥はきっと、再びビルから飛び降りる。

しかし、それがどのビルだったのかわからない。

しかも今の時代、高い建物はあちこちにある。

⏰:10/04/10 09:44 📱:N08A3 🆔:4t4VPhl2


#478 [我輩は匿名である]
直人はいてもたってもあられなくなって、部屋を出ようとノブに手を当てる。

が、直人はドアを開ける前に、制服姿の自分を見つめた。

「…制服でうろうろして、警察とかに見つかったりしたらめんどくせぇな…」

直人はぶつぶつ言いながら、タンスを開け、適当に服を出す。

Tシャツに薄い上着を羽織り、ジーンズに履きかえる。

仕上げに、適当に鞄をぶら下げる。

「…これで大丈夫だな」

直人は今度こそ部屋を出て、玄関に向かう。

⏰:10/04/10 09:45 📱:N08A3 🆔:4t4VPhl2


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194