記憶を売る本屋さん
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#555 [我輩は匿名である]
飛鳥はため息を吐きながら、両手で髪をかきあげた。

「…ま、そんだけ友達の大事さわかってるんなら、大丈夫なんじゃね?

俺達の学年で女子150人ぐらいいるんだし、いい奴みつかるよ、多分」

平然と言う直人を、飛鳥は横目で見つめる。

「……あんた、何でそんな前向きなの?」

そう言われて、直人は「さぁ〜?」と首をかしげる。

「要がそうだったからじゃない?能天気と言うか何と言うか…」

「あー、あんたそんな感じだね。バカっていうかなんというか」

「はぁ?」

⏰:10/04/13 19:47 📱:N08A3 🆔:Zq6n1SuI


#556 [我輩は匿名である]
「何よ。バカはバカでしょ?」

「お前に言われたくねぇよ」

「ま、横にいる子が頭良いし、運動も出来そうだし、イケメンだもんね。仕方ないか」

「黙ってれば調子に乗りやがって!」

直人は飛鳥に食って掛かる。

「だって本当の事じゃん!!」

飛鳥は言いながら、逃げるように走りだす。

⏰:10/04/13 19:47 📱:N08A3 🆔:Zq6n1SuI


#557 [我輩は匿名である]
「(あ)」

飛鳥の背中を見て、直人はやっと理解した。

「(オレンジの猫って……プーマの柄の事だったのか…)」

直人は1人、「なるほどね」と呟く。

そして、「待てよこの野郎!」と叫んで、飛鳥の背中を追い掛けていった。

⏰:10/04/13 19:49 📱:N08A3 🆔:Zq6n1SuI


#558 [我輩は匿名である]
その日他に何があったかは、直人はほとんど覚えていない。

帰りが遅かった事で母親にこっぴどく説教されたが、その内容も全く頭に入らなかったし、

どうなったのか薫に報告するのも、すっかり忘れていた。

晶が…飛鳥が無事だった事だけで、頭がいっぱいだった。

直人はベッドの上でじっと、あの本を見つめる。

この本をもらってから、まだ1ヶ月ちょっとしか経っていない。

しかし、もう何ヵ月も経っているような、変な感じがする。

「(薫は、2年以上読んでたんだよな…。よくやるな…あいつも)」

直人はそんな事を考えながら、ベッドに寝転ぶ。

そしてそのまま眠ってしまった。

⏰:10/04/13 19:49 📱:N08A3 🆔:Zq6n1SuI


#559 [我輩は匿名である]
しかし次の日、飛鳥は学校に来ていなかった。

右手のひらに包帯を巻いてきた直人は不思議に思い、担任の所に行ってみる。

「なぁ先生。神崎は?」

「あぁ、神崎は体調不良らしいぞ。でも今日はちゃんと自分で電話してきたな。

昨日までは、…なんかわかんないけど。

水無月、お前神崎と仲良いのか?」

「は?あ、まぁ…」

直人は頷く。

⏰:10/04/14 11:30 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#560 [我輩は匿名である]
「ほー。じゃあ大丈夫だな」

「何が?」

「いやぁ、やっぱ友達いないと楽しくないだろ?

それでちょっと不登校気味になったのかなぁと思ってたんだけどな」

担任は明るく笑う。

直人は「その通りだったんだけどな」と思いながら笑い返した。

⏰:10/04/14 11:31 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#561 [我輩は匿名である]
その放課後、直人は薫の家に行った。

「どうだった?」

部屋に入るなり、薫は直人に尋ねる。

「うん、大丈夫。多分立ち直ったと思う」

「その手はどうしたんだ?」
薫は直人の左手を見る。

「ああ…これは…あいつを止めるのに、ちょっとな」

「ふうん…、大丈夫なのか?」

「大丈夫大丈夫。オカンが大げさに巻いてるだけ」

直人は平気そうにパタパタと手を振ってみせる。

⏰:10/04/14 11:31 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#562 [我輩は匿名である]
「…あいつも、もう2度とあんな事しないと思うし、一件落着だな」

疲れたようにため息を吐く直人を見ながら、薫は小さく笑う。

「あーぁ、俺も暇だし、学校行きてぇなぁー」

「来れば?」

「無理だろ。歩くだけでも痛いのに」

「そんなに痛いのか?」

「痛いに決まってるだろ。これ取れるのに最低でも2ヶ月ぐらいかかるんだぞ?」

「そんなかかんの!?」

⏰:10/04/14 11:33 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#563 [我輩は匿名である]
「らしいぞ。今痛み止め飲んでるからましだけど、切れたらかなり痛いからな」

「えー…」

「まぁ明日また病院行くから、その時にどう言われるかだな。

痛みが引いて、腕上げなくていいなら学校行けるだろうけど」

「そうなのか…」

⏰:10/04/14 11:34 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


#564 [我輩は匿名である]
直人はそこまで重症だとは思っていなかったため、ぽかんとする。

「ま、ゆっくり休めよな。俺もまた来てやるからよ」

直人は「よっこらしょ」と立ち上がる。

「あぁ。また何かあったら言って来い」

薫は空いている右手を上げる。

直人も「じゃあな」と手を振り、薫の家を出た。

「(2ヶ月か…大変だなぁ、あいつも…)」

直人は少しつまらなそうに家まで歩く。

少し違うが、今までの平凡な日常が戻ってきている気がした。

⏰:10/04/14 11:34 📱:N08A3 🆔:OramDDpE


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