Traumerei‐トロイメライ‐
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#17 [moeco◆eedZl7e0Rw]
悠太は黒木に近づき、ベッドに乗って顔を覗き込んだ。


「クロキさん起きないかなー」

「ちょ……ユータ君!」


あわてて谷川は悠太を抱えてベッドから下ろした。


とたんに悠太は不機嫌そうに口をとがらせて谷川を睨んだ。


「ベッドに乗っちゃダメでしょーユータ君。失礼よ」


悠太はきょとんとしていたが、しばらくするとニヤニヤと笑いながら谷川を見上げた。

⏰:10/03/31 23:23 📱:N03A 🆔:MBZotWpg


#18 [moeco◆eedZl7e0Rw]
「ぼくは勝手にチューしようとするほーが失礼だと思うなー」


谷川は目にも止まらぬ速さで悠太の両肩を鷹のように力強くがっしり掴んだ。



や、ヤバイ。

まさかバレたなんてぇ……!


スーッと背中に嫌な汗が伝った。

「やっぱり見てたのね……」

「誰にも言わないからそのかわり……」

⏰:10/03/31 23:25 📱:N03A 🆔:MBZotWpg


#19 [moeco◆eedZl7e0Rw]
谷川はいったいどんな恐ろしい交換条件がでるかと固唾をのんだ。

悠太は指を二本、谷川に向けて立ててみせた。


「アイス二本買ってね!」




谷川は無表情のまま病室の隅に行くと、……壁に向かって渾身のガッツポーズをした。

⏰:10/03/31 23:26 📱:N03A 🆔:MBZotWpg


#20 [moeco◆eedZl7e0Rw]
よし、よし、よぉぉし!


しょせんはお子さま!

かわいいもんよー。
あードキドキしたー。


もしオッパイ揉ませてとか体重教えてとか言いだしたらどーしようかと思った……!



谷川は内心のほくそ笑みを隠しながら悠太と指切りをした。

⏰:10/03/31 23:27 📱:N03A 🆔:MBZotWpg


#21 [moeco◆eedZl7e0Rw]
「あ……いけない、昼休み終わっちゃう……。ユータ君、一緒に病室戻ろうか」

「うんっ」


二人は黒木の病室をあとにして廊下を歩き出したが、ふと谷川が足を止めた。


「どーしたの?」

⏰:10/04/01 12:08 📱:N03A 🆔:XtlM9Yjo


#22 [moeco◆eedZl7e0Rw]
「黒木さんとこの窓閉め忘れてたぁ……。雨が降ったら大変だから、……ごめんなさい、ちょっと閉めてくるね」

「タニタニってほんっとドジだなー。フチョーさんに叱られてばっかりだもんねー」


悪態をつきながらも悠太は谷川のあとをついていく。


谷川は小さく笑った。


「んもー、止めてよね」

⏰:10/04/01 14:22 📱:N03A 🆔:XtlM9Yjo


#23 [ゆっちゃん]
すごくおもしろいです
頑張って下さい

⏰:10/04/01 15:46 📱:D705i 🆔:mmq1ec2g


#24 [moeco◆eedZl7e0Rw]
ドアをスライドさせて中に入ろうとしたとたん、二人の顔からぴたりと表情が消えた。


それは――

信じられない光景だった。





黒木が立っていたのだ。


ベッドの近くにあった点滴バーをつかみもたれかかって、ずるずるとこちらへ歩んできていた。

息が激しく、いつ倒れてもおかしくない足取りで。

⏰:10/04/01 17:15 📱:N03A 🆔:XtlM9Yjo


#25 [moeco◆eedZl7e0Rw]
「う……動いてる……クロキさんが……わぁぁ」


悠太がへなへなと座り込んだ。



あまりの驚きに我を忘れていた谷川は、あわてて黒木にかけよった。


谷川に支えられると、黒木は力尽きしなだれてきた。



「黒木さん!」


こんな奇跡が……。


ああ、神様!

⏰:10/04/01 17:16 📱:N03A 🆔:XtlM9Yjo


#26 [moeco◆eedZl7e0Rw]
「……ユータ君っ、急いでナースステーションに行って看護師さん連れてきてっ! お願い!」


「わ、わかった!」


悠太は弾けるようにかけだした。


黒木の息がますます荒くなる。

胸を押さえていた。



「胸が痛いですか?」


谷川が黒木を寝かせようとしたときだった。

⏰:10/04/01 17:18 📱:N03A 🆔:XtlM9Yjo


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