記憶を売る本屋 2
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#135 [我輩は匿名である]
「頑張ってね。また何かあったら、いつでも聞くから」

「うん、ありがとう」

飛鳥は悩みから吹っ切れたように笑い返す。

「(ただ、相手がちょっと手強いけどね)」

明るくなった飛鳥の表情を見ながら、響子は心の中で呟いた。

⏰:10/05/03 17:59 📱:N08A3 🆔:MyOPNZOQ


#136 [我輩は匿名である]
直人は眠そうな顔で、目の前にいる奏子を見つめる。

まだ時計は8時10分。

「早く来過ぎたかな」と思っていると、満面の笑顔の奏子がやってきたのだ。

「……何か用…?」

「あんたにお礼持ってきたの♪」

「お礼…?…俺なんかしたっけ…?」

直人は欠伸をしながら聞き返す。

「この間、おばあちゃんの荷物持ってくれたじゃん」

⏰:10/05/05 18:04 📱:N08A3 🆔:7fNci.3Y


#137 [我輩は匿名である]
「…………あーぁ!あれか!」

思い出すのに時間がかかったが、直人は「あぁ、そういえば手伝ったなぁ」と頷く。

「はい♪」

奏子は笑って、数枚のクッキーが入った可愛らしい袋を、直人の机に置いた。

「えっ、何これ?わざわざあのお姉…いや、ばあちゃん焼いてくれたのか?」

直人は思いもよらぬプレゼントに目を輝かせる。

「残念ながら、それ私が焼いたの」

奏子はちょっと自慢げに笑う。

「えっ?これお前が焼いたのか!?すげー!」

⏰:10/05/05 18:05 📱:N08A3 🆔:7fNci.3Y


#138 [我輩は匿名である]
直人は尊敬の眼差しを奏子に送る。

「…今食べても良いかなぁ?」

「いいじゃん、食べちゃいなよ」

「だよな!じゃあ頂きまーす」

直人は袋を開け、丸くて茶色いクッキーを口に放り込む。

ボリボリ言わせて噛んでいる直人を、奏子も少しドキドキして見つめる。

「………どう?」

「…ん!うまい!!」

直人は意外そうに言いながら、右手でOKサインを出す。

「やったー♪私、クッキーだけは得意なんだ〜」

⏰:10/05/05 18:05 📱:N08A3 🆔:7fNci.3Y


#139 [我輩は匿名である]
奏子も嬉しそうに笑う。

「へぇ!意外と料理とか出来るんだな、お前」

直人は言いながら、なぜかもう袋を閉じる。

「えっ?もう食べないの?」

「もったいないから、昼休みに食う!結構あるし、薫にもちょっとやろうと思って」

直人は満足そうに笑って、袋の口を紐で締め直して、大事そうに鞄に入れる。

「(1人で全部食べてほしかったのになぁ…)」

逆に、奏子は少し残念そうに直人の動作を見る。

「ところでさぁ、何でおばあちゃんの事、『お姉さん』って呼びかけたの?」

⏰:10/05/05 18:05 📱:N08A3 🆔:7fNci.3Y


#140 [我輩は匿名である]
「え?あぁ…」

言って良いものか、と、直人は目線をそらす。

「もしかして、おばあちゃんの事知ってるの?」

奏子は少し近づく。

「……いや、口が勝手に言っただけ…」

「本当に〜?」


直人は上手く誤魔化せず、しばらく悩んだ末、大きくため息を吐いた。

「…前世の俺が、会ったことがあるんだよ、多分」

そう白状するしかなかった。

⏰:10/05/05 18:06 📱:N08A3 🆔:7fNci.3Y


#141 [我輩は匿名である]
「そうなの!?なんかすごい!」

奏子は楽しそうに声を上げる。

「じゃあ、おばあちゃんが言ってた道案内したのって、やっぱあんたなの?」

「…まぁな…」

「そうなんだぁ!あんた、意外と優しいとこあるよね」

「そ、そうかぁ?」

褒められると調子に乗る直人は、照れるように笑う。

「でもなんか、飛鳥も知ってそうだったよね、おばあちゃんの事」

奏子は笑顔で話を続ける。

「…いや、あいつは多分会ったことないぞ。俺があのばあちゃんからの話を聞かせただけで」

⏰:10/05/05 18:06 📱:N08A3 🆔:7fNci.3Y


#142 [我輩は匿名である]
「おばあちゃん、あんたに何か言ったの?」

「だから、俺じゃなくて、前世の俺」

直人はそこに念を押す。

「何か言ったって、この間のあれだぞ?友達作りたいなら、壁を作るなって話。

あれを伝えてやろうと思ってたんだけどさ、なかなか…」

「伝えてやるって、飛鳥に?」

「前世のあいつに」

直人はしつこく、『前世の』にアクセントをつける。

奏子は驚きつつ、「やっぱりな」と思った。

「じゃあ、水無月と飛鳥って、前世から知り合いだったんだ?」

⏰:10/05/05 18:06 📱:N08A3 🆔:7fNci.3Y


#143 [我輩は匿名である]
「…まぁ…そうだな、知り合いだな」

言ってみれば恋人同士か、最低でも友達以上恋人未満ってところだろう。

しかし、そこまで説明するのはめんどくさい。

「…ん?じゃあ、飛鳥も本もらってたりすんの?」

奏子は首をかしげる。

「なんか、もらったって言ってた気がするけど?」

直人はめんどくさくなってきて、言い方が適当になってきた。

「そうなんだ!なんかすごいねー!じゃあ…」

⏰:10/05/05 18:07 📱:N08A3 🆔:7fNci.3Y


#144 [我輩は匿名である]
「おはよう」

いつの間にか、8時15分を過ぎていて、飛鳥がやってきた。

「よぉ」

「あっ、飛鳥に渡すものがあるの!」

奏子は立ち上がって、さっき直人にあげたクッキーを差し出す。

「クッキーだ」

「この間、おばあちゃん助けてくれたでしょ?そのお礼♪」

「えっ?いいよ、荷物運んだだけだし、お礼なんか…」

飛鳥は両手を左右に振る。

⏰:10/05/05 18:07 📱:N08A3 🆔:7fNci.3Y


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