記憶を売る本屋 2
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#181 [我輩は匿名である]
「おい!アメリカン!」
直人は良介の背中を叩く。
「……あぁ、君か」
「君って言うなって言っただろ」
直人は嫌そうに言い返す。
「それよりお前、球技大会では『バトルしようぜ』とか言ってこないのかよ?」
直人はニヤニヤしながら尋ねる。
それを聞いて、良介はギョッとする。
:10/05/14 11:48
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#182 [我輩は匿名である]
「い、いや…あんまり僕が勝ちすぎると、月城が可哀想だから…」
「そんな気遣いいらねぇって」
直人は良介と肩を組む。
「それともあれか?勝つ自信ないとか?」
その一言に、良介は顔をこわばらせる。
「まっさかなぁー?あんだけ薫を見下してたんだから、運動とか出来ないわけ、ないよなぁ〜?」
「あっ、ああ当たり前だろう!!」
良介は意地を張ったのか、言い返してきた。
「受けてたってやるさ!」
「直人、やめとけ」
:10/05/14 11:49
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#183 [我輩は匿名である]
2人の様子を見兼ねたのか、薫がやってきた。
「な、何だよ?」
「おい桐生、お前が出るのは野球か?ドッヂボールか?」
薫は直人の問いには答えず、良介に尋ねる。
「ド、ドッヂボールだけど…」
「え…」
良介の答えに、直人はきょとんとする。
「…競技が違うのに、どうやって戦うんだ?」
薫は不機嫌そうに直人を睨む。
:10/05/14 11:49
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#184 [我輩は匿名である]
「い、いいのかよ?僕を見返したいんじゃないのか?」
良介は少し不思議そうに言ってくる。
「見返すも何も、どうやって勝負するんだって言ってるんだ。
それに、別に弱点突いて勝ったって、面白くないだろ」
薫はあっさり答える。
「それに、例えそれで勝っても、お前納得しないだろ。
そうなったら余計にめんどくさいから、別にしなくていい。
だからさっさと帰れ」
薫は良介にそれだけ言い、背を向ける。
良介は何か言いたそうだったが、そのまま帰っていった。
:10/05/14 12:41
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#185 [我輩は匿名である]
それに見向きもせず、薫は直人に向き合う。
「お前もこんな事に頭を働かすな」
「だってよー」
直人は小さい子どものように頬を膨らませる。
「いいじゃん別に、ねぇ?」
奏子も直人の肩を持つ。
「お前には関係ないだろ」
「そんな言い方しなくていいじゃん」
「ちょっと、やめなよ2人とも」
ピリピリした空気になり始めた2人を、響子が間に入って止める。
:10/05/14 12:41
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#186 [我輩は匿名である]
「だって…」
「奏子、確かに私達関係ないし…」
飛鳥も困ったように奏子に声をかける。
しかし、奏子はムッとしたように飛鳥をにらみ、走って帰ってしまった。
「(…なんか、睨まれた…?)」
飛鳥は少し不安になる。
「…そんなに気を遣わなくても、あいつの事は気にしてないから」
薫はだいぶイライラしているのか、少しきつく直人に言う。
:10/05/14 12:42
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#187 [我輩は匿名である]
「…悪かったよ」
直人はうつむいたまま謝る。
「…もういいよ」
薫はそれだけ言って、黙って家に向かって歩きだす。
「…ごめんね、2人とも」
代わりに響子が直人達に謝って、薫と帰っていった。
直人と一緒に残された飛鳥は、気まずくなって、黙って直人を見る。
「…俺、そんな変な事したのかな?」
いまいち納得できていないのか、直人は首を傾げる。
:10/05/14 22:09
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#188 [我輩は匿名である]
「…他の人に突っ込まれたくない事なんじゃない?月城にとっては」
飛鳥は静かに直人に言う。
「自分でどうにかしたいっていうか、しなきゃいけないっていうか…。
あいつ結構頑固なとこありそうだし、この間負けた悔しさもあるだろうし…。
アレも鬱陶しい性格してるから、余計イライラしてるんじゃない?」
まるで薫の気持ちを見透かしているかのような飛鳥を、直人はぽかんとして見つめる。
「…よくわかるな、そこまで」
「予想だけどね。でも…何となくわかる気がして」
飛鳥は少し苦笑する。
:10/05/14 22:10
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#189 [我輩は匿名である]
「私でも、親の事とかで首突っ込まれすぎたら腹立つだろうし…」
「えっ?じゃあ俺…」
「いや、あんたは元気付けたりしてくれるだけだから怒ったりしないよ。
相談乗ってくれたりするから、むしろ感謝してるっていうか」
飛鳥は素直に直人に言う。
直人は少し照れて、顔を背ける。
:10/05/14 22:10
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#190 [我輩は匿名である]
「……難しいね、友達って」
さっきの奏子の顔を思い出して、飛鳥はぼそっと呟く。
「…お前も何かあったのか?」
「ん?…いや…」
飛鳥は首を振って、「帰ろ」と言って歩きだす。
直人は飛鳥の様子を気にしながら、一緒に帰っていった。
:10/05/14 22:11
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