記憶を売る本屋 2
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#31 [我輩は匿名である]
「…何だったんだ…?」

飛鳥と奏子は呆れ返る。

「…許さん……絶対後で殺す…!」

薫は息を荒くしてドアの方を睨む。

直人は、「また何かややこしい事になりそうだ」とため息をついた。

⏰:10/04/20 10:14 📱:N08A3 🆔:DuuM/8z6


#32 [我輩は匿名である]
帰り道。

薫はまたもや顔を引きつらせる。

目の前には、満面の笑みを浮かべた良介の姿。

「……お前…ケンカ売りに来たのか…?」

「まさか♪」

「つーか、お前誰?」

薫の代わりに直人が尋ねる。

横には呆れている飛鳥と、ちょっと楽しんでいる奏子。

響子は薫の後ろに身を隠している。

⏰:10/04/20 21:30 📱:N08A3 🆔:DuuM/8z6


#33 [我輩は匿名である]
「僕かい?僕は桐生良介。響子ちゃんのフィ」

「響子の婚約者は俺だ」

良介が言い切る前に、薫が言い張る。

「なぁ、お前何か、勘違いしてねぇか?」

「そんな事はないよ!愛する幼なじみの顔を、僕が忘れるはずがない!」

「幼なじみって、5歳までじゃない!」

薫の後ろから、響子が顔を出して言い返す。

「えっ?やっぱり幼なじみなの?」

奏子がぽかんとして尋ねる。

⏰:10/04/20 21:31 📱:N08A3 🆔:DuuM/8z6


#34 [我輩は匿名である]
「お、幼なじみだったのは覚えてるよ!?

でも、私は結婚の約束なんかしてないし、私の婚約者はこの月城薫ただ1人よ!」

響子が言うと、良介は「オーマイガッ!」と頭を抱えた。

「(効いた…)」

直人、奏子、飛鳥は呆然とそれを見つめる。

「(…何なんだ、こいつのテンション…)」

薫は「はぁ…」とため息をつく。

しかしその直後、薫の鼻先に、良介の人差し指が伸びてきた。

⏰:10/04/20 21:31 📱:N08A3 🆔:DuuM/8z6


#35 [我輩は匿名である]
「まぁいいよ!今のうちに好きなだけKissでもSexでもやればいい!

しかし!すぐにこの僕が響子ちゃんを取り戻すからなっ!

覚悟してろよ!つ、…つ…つ……?」

「月城薫だよ…」

怒鳴る元気も無くなって、薫は呆れながら言う。

良介はフン!と鼻息荒く、走って帰っていった。

「…お前みたいなわけわかんねぇ奴に言われなくても、キスでも何でもやってるよ…」

薫は頭を抱える。

⏰:10/04/20 21:32 📱:N08A3 🆔:DuuM/8z6


#36 [我輩は匿名である]
「…薫…」

少し横を向けば、響子が不安そうに薫を見上げている。

「…大丈夫だよ、そんな顔しなくても、あの変人の言う事は信じてないから」

薫は少し笑って、響子の頭を撫でる。

そして、5人は学校を出ようと歩きだす。

「…何か、英語の発音は良かったな」

「うん」

直人達も呆れたように話し合う。

⏰:10/04/21 17:37 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#37 [我輩は匿名である]
「あの子、帰国子女なのよ。アメリカから帰ってきたんだ…」

「帰国子女!?」

薫以外の3人は声を上げて驚く。

「なんか、お父さんの転勤で5歳の時にアメリカに……」

言いながら、響子は足を止める。

『りょーすけくん、いっちゃうの?』

『うん。あめりかだって』

響子はうっすら思い出してきた。

⏰:10/04/21 17:38 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#38 [我輩は匿名である]
『あめりか?がいこくだね!』

幼稚園児の響子は、良介がアメリカに発つ日に、家の前で見送っていた。

『げんきでねっ♪』

『うん!もしまたあえたら、ぼくと…』

良介が何か言ったが、ちょうど近所の犬が大声で吠えたため、響子は聞き取れなかった。

『ねっ!?』

良介が笑って言った。

それに、響子は適当に『うん!』と返事をしたのだたった。

⏰:10/04/21 17:38 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#39 [我輩は匿名である]
「…ああぁぁぁぁぁ〜………」

響子は頭を抱えて、その場に崩れ落ちる。

急に座り込んだ響子に、直人達は驚いて「うわぁ!?」と声を上げる。

「ど、どうした!?」

薫もびっくりして、響子の前にしゃがみこむ。

「…どうしよう…」

響子は頭を抱えたまま小声で言う。

「え?」

⏰:10/04/21 17:39 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#40 [我輩は匿名である]
「あの時、あの子『結婚しようね』って言ったのかなぁ…?

だったら…だったらどうしよう…」

響子は思い詰めて涙目になる。

「響子…?」

「薫…どうしよう…?私…あの時適当に『うん』って言っちゃった…。

何て言ったのか聞こえなかったけど、適当に返事しちゃったの…。

どうしよう…?私…嫌だよぉ……」

響子はしゃがんだまま、今にも泣きだしそうな顔をしている。

⏰:10/04/21 17:40 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


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