記憶を売る本屋 2
最新 最初 🆕
#480 [我輩は匿名である]
「えー迷惑な話」

「そんな事言われたって困るよ!」

『迷惑』と言われてショックだったのか、直人の中で要が叫ぶ。

「でも、何でそんな事になってるんだ?」

「えっ?俺だけ!?お前なってないの!?」

「なってない。響子も何も言ってないし、お前だけじゃないのか?」

「えーもう意味わかんねぇ…」

直人は椅子の背もたれにもたれて天井を見上げた。

⏰:10/10/24 22:23 📱:N08A3 🆔:F3jbXIQM


#481 [我輩は匿名である]
放課後、飛鳥はボーッと、自分の席で黄昏ていた。

「神崎、帰んねぇのか?」

直人は鞄を肩から掛けながら話し掛ける。

「うん…もうちょっとボケーッとしてから帰る」

飛鳥は相変わらず、元気ない笑顔で答える。

それを見て、直人は真顔で何かを考える。

「………何で悩んでるのかわかんねぇけどさ」

少しして、直人は口を開いた。

「いつまでも悩んでるとしんどくないか?」

⏰:10/10/25 18:11 📱:N08A3 🆔:B2OZUzic


#482 [我輩は匿名である]
「…んー、まぁ、疲れるね」

飛鳥は苦笑して答える。

「じゃあさ、何かに熱中して、ちょっと間悩み事忘れたら?」

そう言われて、飛鳥はきょとんとする。

「…え?」

「いや…ずーっと悩んでると、そのうち欝になりそうな気がしてさ。

だから、たまには何かで気分転換しろよ」

直人にしてはまともなアドバイス。

飛鳥は意外そうな目で直人を見上げている。

⏰:10/10/25 18:12 📱:N08A3 🆔:B2OZUzic


#483 [我輩は匿名である]
要も何も言わない。

「…そうだね」

少しして、飛鳥は小さく笑った。

「そうしてみるよ。ありがと」

「おう」

ちょっと元気になったような彼女の笑顔を見て、直人もニッと笑い返した。

⏰:10/10/25 18:12 📱:N08A3 🆔:B2OZUzic


#484 [我輩は匿名である]
「(…どうしよう…)」

一方、奏子も悩んでいた。
どうしてあそこまで言ってしまったんだろう、と。

確かに、飛鳥が黙って直人と会っていたのには苛立った。

お守りをあげていたのにも、正直腹が立った。

しかし、飛鳥が陰でコソコソやるような性格でない事は、奏子も知っている。

「(…飛鳥の話も、聞いてあげれば良かったな…)」

帰りながら、奏子は小さくため息を吐く。

腹が立つあまり、昼食も一緒にとらなくなってしまった。

⏰:10/10/27 19:08 📱:N08A3 🆔:EbC01sZ6


#485 [我輩は匿名である]
バイト先でも一言も口を利いていない。

飛鳥にも悪いところはあるが、その分、飛鳥は余計に気にしているだろう。

自分から謝るべきかどうか、奏子は悩みながら1人帰った。

その後、飛鳥は何故か、授業が終わるとすぐに学校に帰るようになった。

直人は理由を聞きたい気もしたが、今は聞かないようにしていた。

彼女なりに考え、悩みをコントロールしているのだろう。そう思ったからだ。

⏰:10/10/27 19:08 📱:N08A3 🆔:EbC01sZ6


#486 [我輩は匿名である]
ある日。

「ん?」

休み時間、飛鳥が薫と話している。

最近良く見る光景。

仲良くない事はないのだが、2人きりで話しているのは、最近まで見たことはなかった。

「何してるんだろうな」

要も不思議そうにしている。

直人は首をかしげ、話し掛けに行くか考える。

⏰:10/10/27 19:09 📱:N08A3 🆔:EbC01sZ6


#487 [我輩は匿名である]
するとちょうどよく、8組に響子がやって来た。

「香月香月!」

響子が薫の所に行く前に、直人は響子の元に走る。

「水無月くん」

「ちょっと聞きたい事があるんだけど!」

「ん?」

響子はきょとんとしている。

「神崎と薫が最近やけに仲良いんだけど、何か知らねぇか?」

腕を組んで直人は尋ねる。

⏰:10/10/27 19:09 📱:N08A3 🆔:EbC01sZ6


#488 [我輩は匿名である]
響子はそれを聞いて、少し考え込んだ。

「………知ってるけど…」

「えっ、マジで!教えて」

「んー、やだ」

響子はにっこり笑って答えた。

「はぁー!?」

「だって今言わない方が、後で水無月くんきっと喜ぶよ?」

「そうなのか?」

何かのどっきりの計画でもしているのか。

⏰:10/10/27 19:09 📱:N08A3 🆔:EbC01sZ6


#489 [我輩は匿名である]
「もしかして、俺の為のなんか…!?」

「別に水無月くんの為じゃないけどね」

嬉しそうにガッツポーズする直人に、響子がバッサリ否定する。

「ちっ…」と、直人は悔しそうに舌打ちする。

「まぁ浮気じゃないから、気にしなくて良いわよ」

それは想像つくのだが、何なのかは全くわからない。

しかし、響子いわく「直人も喜ぶ」事らしいので、

直人はそれがわかる時まで待つ事にした。

⏰:10/10/27 19:10 📱:N08A3 🆔:EbC01sZ6


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194