記憶を売る本屋 2
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#600 [我輩は匿名である]
「……誰と喋ってるんだ?あいつ」
「…ほっといてやって」
気味が悪そうに直人を見ている良介に、薫はため息を吐く。
「薫…」
直人は泣きそうな顔で振り向く。
「何だよ」
「DS忘れた…」
「知るかよ…」
そんな顔をされても、どうしようもない。薫は苦笑いして答える。
:10/12/31 22:27
:N08A3
:4teKfjfM
#601 [我輩は匿名である]
「…俺ちょっと出てくる!」
直人は悔しそうに吐き捨てて、さっさと部屋を出た。
「………相変わらずおかしな奴だな」
「お前よりはマシだと思う」
「何!?そういう事は僕に負けてから言えよな!」
「で、何するんだ?」
:10/12/31 22:27
:N08A3
:4teKfjfM
#602 [我輩は匿名である]
「あーぁ…俺もやりたかったな…」
部屋の中の様子をドア越しに伺いながら、直人はがっくりと肩を落とす。
「何してんの?」
背後から声をかけられて、直人は暗い顔で振り向く。
そこにいたのは、奏子だった。
「あぁ…安斎か…」
「閉め出されちゃった?」
奏子はからかうように笑う。
:10/12/31 22:28
:N08A3
:4teKfjfM
#603 [我輩は匿名である]
「違ぇよ!お前は?」
「あたし?あたしは散歩♪暇だしね。あんたも来る?」
「はぁ…、そうだな…俺も暇だし、ブラブラすっかな」
直人は奏子と一緒に、ホテル内を散歩する事にした。
散歩といっても、違うフロアしか無いのだが。
「あ、先生ー」
途中、直人のクラスの担任を見つけた。
「おぉ、水無月」
「スキー出来ないんですかー?俺楽しみにしてるんですけど」
:11/01/02 18:55
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:HkuEKuJ6
#604 [我輩は匿名である]
「あたしもー!」
「ちょっと治まってきたから、午後からやりますかって話だぞ。
じゃないと俺たちも暇だからなぁ」
どっちかというと体育会系の彼も、暇を持て余しているのだろう。
「よっしゃあ!先生あざーっす」
「あんまり騒ぐなよー」
「はーい」
笑って返事をして、2人はまたどこかに足を進める。
しかし、ホテル内しか歩けないため、やはりすぐに飽きてきてしまった。
:11/01/02 18:55
:N08A3
:HkuEKuJ6
#605 [我輩は匿名である]
「飽きてきたな」
「水無月って飽きっぽそうだもんね。そろそろ戻ろっか?」
「だな」
2人の部屋があるのは、今いる所のもう1つ上のフロア。
直人達はまたぼちぼち歩いて、自分達のフロアに戻ることにした。
「……水無月ってさ」
廊下を歩きながら、奏子がおずおずと口を開く。
「ん?」
:11/01/02 18:56
:N08A3
:HkuEKuJ6
#606 [我輩は匿名である]
「……好きな子とかいるの?」
「…は?」
思わぬ質問に、直人はきょとんとする。
が、奏子の表情はいつになく真面目だ。
「え…何でいきなり…?」
「…ちょっと、気になってさ。…で、いるの?いないの?」
「いや…」
直人の脳裏に、一瞬飛鳥の顔がよぎる。
しかし、奏子に問い詰められ、とっさにこう答えてしまった。
:11/01/02 18:57
:N08A3
:HkuEKuJ6
#607 [我輩は匿名である]
「いないけど…」
その答えに、奏子も少し目を丸くする。
「本当に?」
「あぁ、まぁ…」
直人はどうすればいいのかわからず、適当に頷く。
「…じゃあ、さ」
奏子は直人から目を逸らす。
「……あたしと、付き合ってよ」
「………へ?」
:11/01/02 18:58
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:HkuEKuJ6
#608 [我輩は匿名である]
何かの冗談だろう。直人は思った。
「え…本気?」
「当たり前じゃん!こんな事冗談で言う!?」
奏子は恥ずかしそうに顔を赤らめる。
それを見て、直人もようやく実感がわいた。
告白されたんだ、俺。
:11/01/02 18:58
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:HkuEKuJ6
#609 [我輩は匿名である]
「えっ、ちょっ、俺!?そんな…」
直人は動揺し、おろおろする。
それを見て、つられて奏子も焦りだした。
「まっ、まぁすぐ答えてもらえると思ってないし!考えといてよ!ね?」
「あ、あぁ…」
2人はお互い目を合わせずに、自分達の部屋に戻った。
:11/01/02 18:59
:N08A3
:HkuEKuJ6
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