記憶を売る本屋 2
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#442 [我輩は匿名である]
「何で俺が他の女の機嫌見に行かないといけねぇんだよ」
2人は小声で言い合う。
「ほらっ、あいつのお守りはお前の仕事だろ」
薫にシッシッと手を振られ、直人はムスッとしながら動き出す。
「よ、よぉ、神崎」
顔を引きつらせながら、直人が飛鳥に近づく。
「…あぁ、おはよ」
飛鳥は早くも疲れ果てた顔で挨拶を返す。
:10/06/29 16:57
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#443 [我輩は匿名である]
「おはよう」
様子を伺っていた薫の所に、響子がやってきた。
「おう」
「…飛鳥ちゃんは?」
同じように飛鳥を気にしている響子に、薫は一瞬きょとんとする。
「…今直人が偵察に行ってる」
薫は直人を指差す。
「あいつがどうかしたのか?」
「…実は…」
響子は薫の耳元で、昨日の話をしはじめた。
:10/06/29 16:58
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#444 [我輩は匿名である]
「元気ねぇじゃん」
そんな事も知らない直人は、少し緊張しながら尋ねる。
「そんな事ないけど」
飛鳥は笑って答える。
しかしその笑顔は弱々しく、目の下にはうっすらクマが出来ている。
「…本当か?クマ出来てるぞ?」
「大丈夫だって。いつも通り」
そう言われると、これ以上問い正すわけにもいかない。
:10/06/29 16:58
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#445 [我輩は匿名である]
「…そうか?まぁ、何か悩みあったら言えよ?」
「うん、ありがと」
飛鳥は小さく笑う。
困って、直人はフラフラと席を離れる。
「絶対大丈夫じゃないよ、あの子」
昨日の声が直人に言う。
直人はまた、立ち止まって周りを見回す。
「無駄だよ。お前に俺は見えない」
:10/07/10 10:13
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#446 [我輩は匿名である]
「ちっ」
声にあっさり言われて、直人は舌打ちする。
しかし、今声と話している暇はない。
さっさと薫の所へ戻り、椅子に座る。
「香月。いつ来たんだよ」
「ついさっき」
響子は笑って答え、「じゃあね」と教室に戻っていった。
:10/07/10 10:13
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#447 [我輩は匿名である]
「何しに来たんだ?あいつ」
「俺に“おはようのチュー”しに来ただけだよ」
「えぇっ!?こんな公共の場で堂々と…」
「冗談だって気付けよ!」
薫は冗談を言ったのを後悔したのか、少し赤面して言い返す。
直人は「何だよ冗談かよ」と、机に肘をつく。
「で、どうだった?」
:10/07/10 10:14
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#448 [我輩は匿名である]
「大丈夫って言われたけど、見るからに大丈夫じゃなさそうだ」
2人は深刻そうに話す。
「…あっ」
直人はひらめいた。
「安斎に聞いてくる!」
「えっ!?ちょっ…」
薫が止める間もなく、直人は教室を飛び出す。
「(おい…安斎は喧嘩相手だぞ…)」
事情を聞いた薫は、難しい顔でため息をついた。
:10/07/10 10:14
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#449 [我輩は匿名である]
「安斎ー」
直人は教室に入るなり呼び掛ける。
が、返事がくる前に奏子を見つけ、自分から走っていった。
「おはよ」
奏子はいつも通り笑って挨拶する。
「なあなあ、神崎が元気ないんだけど、お前何か知らない?」
直人は単刀直入に尋ねる。
すると、奏子は少し困ったように顔を背けた。
「……ちょっとね」
:10/07/10 10:15
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#450 [我輩は匿名である]
「(……やっぱり喧嘩かなんかしたんだな)」
奏子の反応を見て、直人は確信した。
「何だよー喧嘩か?仲良くしろよなー」
直人は面倒くさそうにポケットに手を入れる。
「女子だって喧嘩するんだよ!」
奏子はムスッとしたように言い返す。
「…つーか、何で喧嘩したんだよ?」
ちょっと勘がさえても、そこまでは頭が回らない直人。
:10/07/10 10:15
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#451 [我輩は匿名である]
何も気にする事なく、ずけずけと聞いていく。
「…女子の喧嘩の原因聞くか?」
「何だよ?いいじゃん、別に聞いたって」
直人はあっけらかんとした表情で答える。
「ちょっとは自分で考えてみな」
奏子は言いたくなさそうにそれだけ言って、そっぽを向いてしまった。
そう言われてしまうと仕方がない。
直人は「わかった」と言って出ていった。
:10/07/10 10:15
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