記憶を売る本屋 2
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#561 [我輩は匿名である]
飛鳥は視線を落とす。
「……それでも、飛鳥はやっぱり水無月が好きなの?」
「……うん。隠しててごめん」
「ううん、私こそごめん。あんな言い方して。
…あと、ありがとう、話してくれて。ずっと気になってたんだ」
奏子はそう言ってにっこり笑う。
「これからは、いいライバルって事で」
「うん」
飛鳥も頷いて笑い返した。
:10/12/16 22:53
:N08A3
:Sg0X.jqw
#562 [我輩は匿名である]
HRの時間、直人は配られたスキー実習のしおりを見て顔を引きつらせる。
男女合わせて6人グループ。女子枠には飛鳥の名前がある。問題は男子枠が薫と良介。
「めんどくさい組み合わせになっちゃったねー」
他人事なのをいい事に、要が呆れたように言う。
「(なんでこうなるわけ…?)」
そう思いながら、薫に目をやると、案の定死んだように壁にもたれ掛かっている。
「でもまぁ、香月響子がいないだけマシじゃない?いたら絶対もめるよ」
「(まぁな…)」
「(………何も起きなきゃいいけど…でもまぁ……そろそろかな…)」
要は直人の中で、声を出さずに考えていた。
:10/12/16 22:54
:N08A3
:Sg0X.jqw
#563 [我輩は匿名である]
楽しみのようなそうでもないような気がしていると、あっという間に日が過ぎていった。
そして、待ちに待ったスキー実習初日。
「すげーっ!!俺飛行機乗るの初めてだ!!」
「俺もー!!」
リムジンバスに乗り、最寄りの空港に到着した直人たち。
今までに飛行機に乗ったことが無い直人と要は、そろって目を輝かせる。
「おい、何で1位なんだよ」
「お前こそ。いい加減諦めろ」
直人が空港の窓ガラスに張りついているのを尻目に、薫と良介は睨み合う。
:10/12/17 23:43
:N08A3
:RRRJrnkw
#564 [我輩は匿名である]
「飽きないねぇ、あの2人」
「うん…」
飛鳥を含めた女子3人が、呆れた目で良介達を見ている。
「次、4組8組ー!静かに搭乗しなさーい!」
引率の教師の支持に従って、直人達は搭乗を始める。
「響子、酔ったの治った?」
クラスメイト達が搭乗を始めたのを見て、グループの友人が響子に声をかける。
「うん、だいぶマシになった。行こ」
空港までのバスで車酔いをした響子は、まだ顔色が悪いまま飛行機に乗った。
:10/12/17 23:44
:N08A3
:RRRJrnkw
#565 [葵]
早く続き読みたい(`・ω・')
:10/12/21 06:36
:SH06A3
:☆☆☆
#566 [我輩は匿名である]
「あー飛行機楽しかった♪」
札幌空港に到着し、直人はすでに満足気な顔で外の雪景色を見つめる。
その隣では、薫はエチケット袋を片手にぐったりしている。
「弱っちいなぁ、やっぱり響子ちゃんには僕がふさわし」
「黙れ」
「酔ってる時ぐらい静かにしてろよ……ん?」
早く降りたそうに立ち上がった直人は、ある席に教師が何人か集まっているのを見つけた。
「何かあったのかな?」
「(みたいだな…)」
:10/12/25 10:00
:N08A3
:xWmSr4uA
#567 [我輩は匿名である]
要と言いながら見ていると、降りる番がきたらしく、薫達が立ち上がった。
少し気になったが、直人は何も言わずにそれに続いて飛行機を降りた。
空港を出ると、そこは本当に、見たこともないような雪景色。
同時に顔に寒さが突き刺さってくるが、興奮しているからか、あまり気にならない。
「おー、マジで北海道だな!早くスキーしてー」
そんな直人の隣では、酔っている薫に加えて、運動音痴の良介も暗い顔をしている。
「ずっと観光でいいのに…」
良介と同じ理由でため息を吐く飛鳥に、クラスメイトが「それスキー実習じゃないじゃん」と笑っている。
それぞれいろんな思いを抱きながら、観光地までのリムジンバスに乗り込んだ。
:10/12/25 10:01
:N08A3
:xWmSr4uA
#568 [我輩は匿名である]
観光地は小樽市周辺。
バスから降りて記念写真を撮った後は、集合時間まで自由行動だ。
「どこ行くのー?」
「とりあえず飯食おうぜ」
「月城くん食べれる?」
「酔い止め飲んだから大丈夫」
6人は地図を見ながら、どこで昼食を食べるか話し合う。
「北海道っつったらラーメンじゃね?」
「えー僕ラーメン昨日食べちゃったよ」
:10/12/25 10:01
:N08A3
:xWmSr4uA
#569 [我輩は匿名である]
「バッカじゃないの!?」
「嫌ならあんただけ違うの食べな」
「……わかったよー、ラーメンでいいよー…」
「んじゃ決定ー」
そう言って、直人達はラーメン屋に向かって歩きだした。
その後、みんなでワイワイしながらラーメンを食べた後、
小樽運河やオルゴール館等を見て回った。
集合時間が迫ってきていたため、直人達は駐車場へと引き替えしはじめる。
:10/12/25 10:01
:N08A3
:xWmSr4uA
#570 [我輩は匿名である]
「えー!」
急に、後ろを歩いていた4組の女子が声を上げた。
「What's!?びっくりするじゃないか!」
「インフルエンザ疑いが出たって!」
女子は携帯電話を見ながら言う。
時期は1月。インフルエンザ感染者が出てきてもおかしくはない。
「あーぁ。まぁ出るだろうとは思ってたけどな」
もしかして、飛行機で教師が集まっていたのは、その話だったのかもしれない。
「しかも響子だって!」
その一言に、薫と良介が驚いたように振り向く。
:10/12/25 10:02
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:xWmSr4uA
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