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#31 [亜夢]
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黒いパーカーを頭に被って大きめのサングラスに見慣れないノーセット。 全身真っ黒なのに、シルバーアクセと真っ赤な派手な鞄で、お洒落にコーディネートされている。

「あれっ…あむむ☆ 可愛い子ふたりで何やってんの〜?」

そんな響皐月は相変わらずアタシをあむむ、とか不思議な呼び方をする。

「皐月サン、そんなにCIELのお姉さんと仲良くしたらエース怒るのもわかりますよっ!!!」

ケラケラ笑う後輩たち。

わけのわかってないアリサ。

ここから消えたいアタシ。

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⏰:10/05/18 03:43 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#32 [亜夢]
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「なに?…ナンパされてんの?この状況って。」

あっけらかん〜としながら裕也が分厚いショップ袋を両手に握りしめて帰ってきた。 な、ナイスタイミング!!!

「俺CIELの常連なんですよ。」

前々から裕也にはいってある。

どスケベ女たらしホスト響皐月がうちの店の常連サンだってことは。

「ああ、例のホストさんかあ。 噂はいろいろ亜夢から聞いてますよ。」^^

にっこり笑う裕也。

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⏰:10/05/18 03:46 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#33 [亜夢]
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「すいませんけど、僕の大事な子…あんまり遊んであげないでくださいね☆」

にこりと再び微笑む裕也。

その言い方って【アタシ、裕也の彼女でえす♪】になってないか!!!?

それも迷惑!!!

「大丈夫ですよ!!! 手は出さないんで♪」

丁寧に微笑んで会釈すると、手を軽くふって響皐月たちは去っていった。

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⏰:10/05/18 03:50 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#34 [亜夢]
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アタシ、妙に…響皐月がアタシと裕也が付き合ってるって思ってないかとか気にしてる。

裕也が言った言葉を、撤回して【うちら付き合ってないですよ?】なんていいそうにもなった。

なんなんだアタシ。

今日は月曜日。

シフトでは明日から4日連勤だ。

「次会ったらどんな顔しよ…」

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⏰:10/05/18 03:52 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#35 [亜夢]
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火曜の授業は、なんだかいつもより長く感じた。

「たぶん―…響皐月のことが気になってるからだ。」

っっっ!!!

「アリサ〜…アタシの気持ちを勝手にナレーションしないでよう…」///

「でも合ってるデショ?」

クスリと意地悪に笑うアリサ。

「も〜…」

丁度タイミングよく鳴ったチャイムで、裕也は背伸びをして起きる。 全く気楽なやつだ。

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⏰:10/05/18 04:00 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#36 [亜夢]
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8時に出勤。

シャツに黒いパンツ。 長い髪の毛をバレッタでまとめて、アタシは腰に黒いながめのエプロンをまく。 これがCIELのユニホーム。

そんな堅苦しいものはないけれど。

「店長おはようございます☆」

うん、おはようとマスターは言った。 このほんわかした雰囲気が好きなお客さんはかなり多い。

この店はリピーターが週に何回もくるくらい、ゆったりすごせるバーだ。

居心地がいいくせに、やたらいいムードが漂うこじゃれたバーだ。

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⏰:10/05/18 04:05 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#37 [亜夢]
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珍しくギムレットがバーのところに置かれてある。

これを飲むとしたらうちのお客さんでは、何かの社長さんをしている村上さんだけだ。

「昨日村上サン来てたんですね!!!」

ううん、と首を横に振るマスター。

「昨日皐月クンがひとりで、ギムレット飲みにきてたんだよ。」

響皐月がギムレット?

「彼の癖を教えてあげようか、亜夢ちゃん。」

え?

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⏰:10/05/18 04:09 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#38 [亜夢]
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「彼はね…スコッチをロックで飲むでしょう?」

ひとりで来るときは、確かにそれ以外飲んでるのを見かけない。

「彼、少し悩んだり、照れくさかったりすると…アイスをね、…こうやって人差し指でカラカラ回す癖があるんだよね。」

あ、そういえば…

「あとはね、気分が病んでたりすると…ギムレットを飲むんだよ。 彼って意外と繊細でね…」

まえに信用してた後輩をかわいがっててお金を貸したら飛ばれたことがあったらしくて、真剣にへこんでたとき、ギムレットを片手にマスターとお話してたんだって。

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⏰:10/05/18 04:13 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#39 [亜夢]
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「あとひとつあるけど…聞きたい?」

うん、と縦に首を振る。

「皐月クンはね…亜夢チャンがいるときに絶対ギムレットは飲まないんだよ。 と、違う言い方をすれば、…彼は僕に君が休みか電話してくるんだ。 やすみですよ、というとギムレットを頼んで…人生や恋愛について話したりしてくるんだよ。」

にっこり優しく微笑むマスター。

「でもそれって、アタシがいたら邪魔だから確認なんじゃないですか?」

アハハと軽く笑ってマスターは首を横にふった。

「亜夢チャンもまだまだだね。 …彼が君の存在を気にしてるからだよ。」

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⏰:10/05/18 04:18 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#40 [亜夢]
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「〜…だからそれってアタシに話を聞かれたくないからですよね?」

「うん、それはそうだよ。 だって君について話してるんだから。」

え?

「それは皐月クンも、君に言えるなら僕に相談したりしないだろうね。」

どういう意味?

カランカラン♪

「左渡さんいらっしゃい。」

焼酎ボトルを素早く出して、おしぼりをお客さんの手にそっとかけてあげる。

でも―…さっきのマスターが言ったことがすごく胸にひっかかる。

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⏰:10/05/18 04:21 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#41 [亜夢]
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4連勤最後の日。

週2のアルバイトの子が月曜と土曜固定出勤なので、アタシは何かがない限り、火・水・木・金にCIELにいる。

―…結局、響皐月は来ない。

12時過ぎたときだった。

カランカラン♪

「やっほお―い☆」

裕也とアリサがふたりでカウンターに腰かける。 このふたりはアタシが仲良くさせたんだが、ふたりで飲みにいくほど仲がいい。

「今日も飲むぞお♪…とマスター!!! あれ食べたいっ!!!」

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⏰:10/05/18 04:26 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#42 [亜夢]
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いつも裕也とアリサは、マスター特製のオムレツをたべたがる。 確かに美味しい。 本当に毎回食べるたびにおいしくなる。

「亜夢、アタシはね〜…カルアミルクくださあい。」

ふたりは自由に飲んで食べて、ダーツして遊んでる。 アタシはそれをみてただ笑ってるだけ。

と、

カランカラン♪

金曜の12時なのに珍しく響皐月がひとりでやってきた。

「あれっ…」

響皐月はアタシをみて目を丸くする。

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⏰:10/05/18 04:29 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#43 [亜夢]
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「響サン、何飲まれます?」

なんでアタシをみて驚いたのかは知らないけれど…なんだか不愉快だ。

「えとギム〜…じゃなくて、いつもの…」

いつものとはスコッチ。

ギムレットて今言いそうになったってことは何かに悩んでるんだな?ふうん〜…

裏方からオムレツを持ったマスターがでてきて裕也とアリサに渡した。

「また何かほしかったら言ってね。」

もちろん響皐月は裕也とアリサをみて、あれ?て顔を作る。

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⏰:10/05/18 04:32 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#44 [亜夢]
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「おまえの彼氏と友達じゃん…」

やっぱり勘違いしてた。

「あれ、アタシの幼なじみと親友。 どっちも長いつきあいのおともだちです〜…彼氏なんか出来た試しがないって前言ったじゃないですか。」

アタシが呆れながらそういうとスコッチをコースターの上に置いた。

「やあ、皐月クンおはよう。」

「マスター!!! あいついないってい〜〜〜〜〜」

ごにょごにょと内緒話をするふたりを背にしてアタシも裕也とアリサのオムレツに便乗しておいた。

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⏰:10/05/18 04:36 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#45 [亜夢]
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「そろそろ皐月クンもはっきりしたほうがいいんじゃないかな、と思ってね。 君も子供ではないんだし。 あんな子を野放しにしておくと、後悔するよ。」

とマスターの声がはっきり聞こえた瞬間、

カランカラン♪

「亜夢チャン―…」

中谷サンが店にひとりではいってくると、響皐月と裕也&アリサの間にひとりで座る。

「赤ワインですか?」

「ああ、頼むよ。」

胸に針金がささったみたいに凄く痛む。

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⏰:10/05/18 04:39 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#46 [亜夢]
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新しいボトルをあけて、それを中谷サンにそそぐ。

「亜夢チャン…ごめんね。 僕は君を傷つけたよね? 言い訳に聞こえるかもしれないが、きいてくれるかい?」

それは中谷サンがお嫁サンとうまくいってないこと、アタシをみると元気をもらえること、―…淡々と語られた。

「僕はたぶん、君にこうして会えるから、頑張れるんだよ。」

嘘つき。

大人はやっぱり嘘ばっかりなんだよ。

「ありがとうございます」

アタシは何の感情もいれずにその言葉だけを伝えた。 アタシが中谷サンに対するあこがれはとっくに消えてた。

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⏰:10/05/18 05:10 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#47 [亜夢]
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そうこうしてるうちに、数十分すると中谷サンはチェックをして帰った。 アタシの態度でもわかったんだろう。

アタシって、まだまだ浅はかだなあ…と改めて思った。

「亜夢。」

へ?

思わず方向が違うとも裕也たちのほうをみる。 ふたりはふたりで、キャッキャ言いながら遊んでる。

てことは…

「亜夢って呼ばないから違和感…かな?」

ロックグラスを片手に苦笑いする響皐月。

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⏰:10/05/18 05:23 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#48 [亜夢]
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「亜夢、俺と今度デートしない?」

ロックグラスの中にはいったアイスを見ながら響皐月は言った。

「いやですよ。 変なことされそうですもん。」

アタシは苦笑しながらそう答える。

響皐月は子犬が耳を下げるときみたいな顔を作る。 両肘をテーブルにつけてアイスをただ、じいっと見つめる。


「…べ、別にいいですけど。 甘いもの御馳走してくれるなら…」

「まじ?やった☆ 俺もさ〜甘いもの大好きなんだよね〜特にね―…」

カランカラン♪

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⏰:10/05/18 05:27 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#49 [亜夢]
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「やっぱりココにいたの、皐月…」

胸元がセクシーに開いた服をきたお姉さんが響皐月の隣に座ると顎を肩に乗せる。

「こんなお子様騙しちゃかわいそうでしょう?」

と耳元で言うわりに、声がでかい。 わざとアタシの耳にはいるように話している。

「あむむはイイ子だから…俺の悪い誘いにはのってくれないよ。 からかってるだけだもん♪俺冗談の固まりだから〜☆」

クスリとほほえむと時計で時間を確認する響皐月。

「あやの、同伴してくれんの?」

「だからココにきたんでしょ」

アタシは蚊帳の外―…

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⏰:10/05/18 05:31 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#50 [亜夢]
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お会計を済ませると、あやのって女の人は響皐月の腕に自分の腕を絡めてでていった。

【俺冗談の固まりだから☆】

【からかってるだけ…】

響皐月のいった言葉がアタシの胸をチクチク突き刺す。

また、泣いてしまいそう。

裕也もアリサも2時すぎには店をでて酔っぱらったまま自転車を押してかえっていった。

裏方でカチャカチャ洗い物をしてるマスター。

こっそりトイレに入るとまた涙が溢れてきた―…

「もお〜…亜夢のばかあ…」

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⏰:10/05/18 05:35 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#51 [亜夢]
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コンコン。

「うわっ…ごめんなさいっ…」

お客さんはいないから、マスターが心配してノックしてくれたんだろう。 アタシはちゃんと涙をふいてアイラインを整えてトイレの扉をあける。

「なんで―…また泣いてるの?…」

数十分前に出ていった響皐月が悲しそうにアタシをみて言った。

そのまま又、トイレに押し込まれる。

「…なんで泣いてんの?」

「泣いてなんかっ…」

そのまま響皐月の胸の中にすっぽりおさまる。 あったかさに涙がまた滲む。

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⏰:10/05/18 05:39 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#52 [亜夢]
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「俺…亜夢が泣いてるとこ、見るの嫌い―…」

ドキン―…

アタシを亜夢って呼ぶ響皐月。

アタシを大きな腕で包み込んでる響皐月。

「泣かないから離して…っ」///

突然照れくさくなる。

すうっと、右手がアタシの左の頬に触れる。 とても自然に響皐月の顔がまた、近くになる。

「亜夢。」

ああ、たぶんこれは好きにさせるための呪文か魔法だ。

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⏰:10/05/18 05:43 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#53 [亜夢]
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―…

「もう行かなきゃ…」

あったかいものを唇に残して響皐月はそう言った。

「あ、これ…ココに載ってるの俺の番号とメアドだから…気がむいたら連絡頂戴よ☆」

な?とほほえみながらアタシの頭をクシャクシャとするとトイレを出ていった。

まだ―…胸がはずんでる―…

***

()今日の更新は
>>24からここまででした

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⏰:10/05/18 05:48 📱:F02B 🆔:2tMYvgRI


#54 [亜夢]
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>>003-053

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華の金曜は終わってお休みの日がきた。 4連勤のあとのこの週末は結構好きだったりする。

メリハリがつけれるしね。

でも―…今日はどうも考え過ぎて何もできない気がする。

響皐月から貰った彼の名刺。

アドレスと電話番号それから、いつもと雰囲気が違う響皐月の写真が名刺にのってある。

「はあ―…」

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⏰:10/05/19 07:46 📱:F02B 🆔:aOzGAOJ.


#55 [亜夢]
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かけるか…

かけないか…

携帯の画面を開いたまま、アタシは何度か携帯と名刺をみた。

一度番号をいれてみても、すぐに消した。

携帯に登録する?

…あ〜、わかんない…

「はあ〜…」

何回ため息をついただろう。

気づいてたらベッドでそのまま眠りについてた。

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⏰:10/05/19 15:58 📱:F02B 🆔:aOzGAOJ.


#56 [亜夢]
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せっかくの土曜日は、自宅で携帯と奴の名刺だけで終わってしまった。

目をさましたのは日曜の昼。

「あ…やば…」

アタシは2時に高校の同級生で仲良しの桜に会う約束してたんだった―…

時計は12時半。

「よかった…」

お風呂に急いではいって、そそくさと化粧をする。 ちょうどいい時間だ。

アタシは待ち合わせ場所にむかう。

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⏰:10/05/19 16:01 📱:F02B 🆔:aOzGAOJ.


#57 [亜夢]
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響皐月のこと考えずにすむ…

アタシはいつも待ち合わせにしてる、スタバにひとり座ってチャイを飲んだ。

(あっま〜…)

またカプチーノじゃない。

今回はアリサに言われなくても気づく。

「亜夢〜!!!」

夜の仕事をしてる桜は、キラキラしたアクセ達を身にまとい、長い爪…ばさばさなまつげに綺麗にセットされた髪の毛。

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⏰:10/05/19 16:05 📱:F02B 🆔:aOzGAOJ.


#58 [亜夢]
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ひさびさの再会だから、色んな話が次から次ぎとでてくる。

「てゆうか〜…アタシ彼氏できたんだっ♪」

桜は薬指に輝く指輪をこちらにみせてニコニコとほほえんだ。

「…よかったじゃん!!!」

でも内心不安になった。

桜の言う彼氏とは、ホストのことだ。

彼女が夜を始めた理由も、最近風俗にいこうか悩んでる理由も遊ぶお金だった。

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⏰:10/05/19 23:16 📱:F02B 🆔:aOzGAOJ.


#59 [亜夢]
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きっかけはある雑誌のモデルさんだった。 そのモデルの職業がホストだったため、会えるから―…という理由でホストクラブに足を運んだらしい。

容姿も頭もいい桜は、男で困ったことはなかった。

でも何か埋められない寂しさがあったんだろう。

それを埋めてくれる居心地のいい空間がホストクラブだったんだろう。

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⏰:10/05/20 06:02 📱:F02B 🆔:uEyPQx6s


#60 [亜夢]
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>>003-060

***

アタシは行ったこともない空間だからだいぶ客観視してる。

別に響皐月を知ってるからといって、ホストという職業がどんなものかはわかってない。

でも…アタシは偏見してる。

それは知らないからだと思うけれど。

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⏰:10/05/20 06:07 📱:F02B 🆔:uEyPQx6s


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