*- エロチュウ -*
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#201 [亜夢]
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グラスを拭いていてもいつも来る【響皐月】はこなかった―…
こないだの話、
マスターと龍紀のはなし…
聞かなかったほうが幸せだったのかもしれない。
もし、龍紀の華っていう彼女さんが目を覚ましたら、あたしの存在がじゃまでたまらないだろうし…
優しすぎる龍紀はどうすることもできずに苦しむだろう…
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:10/06/07 18:37
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#202 [亜夢]
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どうしたいんだろ…
「亜夢ちゃん…?」
マスターは心配そうにあたしの顔をのぞき込む。
思わず言葉につまりそうになりながらもあたしは作り笑顔をする。
大丈夫、なにがあっても平凡に生きてきたあたしは平気だ。
「大丈夫ですよっ♪」
龍紀を失うことなんて、付き合ってから考えたこと…これっぽちもなかった。
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:10/06/07 18:40
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#203 [亜夢]
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〔今出勤したよ〜…俺さ今日華が寝てる病院にいってきた。〕
ドキン―…
そうなんだ。
やっぱり連絡がないと思ったからそんなことじゃないかと思ってた。
〔そっか…〕
あたしはそれしか言えなかった。
それ以外の言葉がみつからなかった。
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:10/06/07 18:48
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#204 [亜夢]
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そういう日に限って気を紛らわす出来事がないんだ。
珍しくノーゲストで閉店時間10分前。
あたしの返信には龍紀は返事をしてこなかった。
たぶん彼も何を言えばいいのかわからないんであろう。
複雑…
ただ目を覚まさないでほしいなんて不吉なことは考えなかった。
彼女は夢の中でしか龍紀にあえなかったのに…4年間も。
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:10/06/07 18:51
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#205 [亜夢]
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4年間思い続けて頭の中が彼でしかないひとから、取り上げてしまうことをあたしはできる?
ただでさえ【響皐月】という人物を"お客さん"たちから盗んでしまっているのに。
あたしは大事な彼女から、龍紀を奪ってしまう余裕なんて自信なんてある?…
「おいっ…亜夢っ…」
寝ていると龍紀が肩を揺らす。
「たつき…?」
「一緒にきて!!!!」
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:10/06/08 04:41
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#206 [亜夢]
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龍紀はあたしの右手を強くつないだままタクシーで病院に向かってる。
嫌な予感がしてる…
龍紀は無言でじっと右の窓から景色を眺めている。
ほんのり開いた窓からはいる涼しい風…
「龍紀…」
「着いたよ…」
病院をみれば顔もしらない華さんの存在があたしを恐縮させた。
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:10/06/08 04:43
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#207 [亜夢]
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「華…さん、目が覚めたの?」
こくり、と龍紀は頷く。
「あたしをつれてっちゃ駄目っ…龍紀…」
あたしは握られた右手をふりほどこうとする。
やだやだ…
「だめっ…」
龍紀はなんで華さんとあたしを会わせたいの?
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:10/06/08 04:45
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#208 [亜夢]
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3021号室…
笠屋華と書かれたネームプレート。
あたしは右手を未だにほどこうとしている…もう堪忍するしかないのだろうけれど。
「入る前に聞かせて…なんのために、あたしをつれてきたの?」
「華に会わせるため。」
それだけ言うと龍紀はそのドアを開けた。
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:10/06/08 04:47
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#209 [亜夢]
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「龍紀いらっしゃい!!!! あっ―…」
あたしはどうしていいか分からなかった。
華さんの両親であろうひと、友達、たくさんのひとで病室はいっぱいだった。
「龍紀の彼女さんね。 初めまして。」
え―…
「これからあたしが面倒みれないぶん、龍紀を宜しくね。 あたしは4年彼をみれなかったけど、彼女さんは龍紀と会うまでに10年以上会えなかったんだもんね… どう龍紀が変わったか知りたいから、仲良くなろうね!!!!」
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:10/06/08 04:50
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#210 [亜夢]
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あたしは華さんに龍紀をとられないということに安心したのか、ただ言われたことに感動したのか、…どんな感情だったかよくわからないけれど…
涙がこぼれて止めることができなかった。
華さんは病室で若い頃の龍紀や親友で亡くなったマナブさんのはなしをして大笑いしてた。
楽しい思い出ってずっと昔なんだね…て切なく遠い目をした華さんが気になったけれど、あたしは何も言えなかった。
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:10/06/08 04:53
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