その日が来る前に、
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#517 [愛華]
「……那佑……」
「時間はかかるかもしれない。
でもやっぱりお母さんだから」
あたしはお母さんの手をとって
ゆっくり自分の胸にあてる。
何年ぶりだろう、お母さんの手。
あたたかい。
「聞こえる?心臓の音」
「うん……聞こえる」
:10/08/26 17:29
:840SH
:0wYw1oSI
#518 [愛華]
「この心臓はね、あたしの大切な
人が動かしてくれてるの。
その人のおかげで、あたしは
生きたいって思えたの。
あたしは死なない。絶対に。
だから泣かないで」
「………那佑っ……」
お母さんは泣き崩れた。
あたしも泣いてた。
あーぁ……こんな人のために
泣くなんて…あるわけないって
思ってたのにな。
:10/08/26 17:34
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#519 [愛華]
いつか家族に戻れたら。
そんな風に思えたの。
自分の中に勝手に作った壁。
向こうには待ってくれてる人が
いるのに壊せなくて。
傷つけあうのは終わり。
壊すのに時間はかかるけど
ちょっとずつ。ちょっとずつ。
いつか笑顔で
「お母さんって」
呼べるように
:10/08/26 17:45
:840SH
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#520 [愛華]
「じゃあクリスマスは
タカとすごせるんだ!!」
「うん!ありがとね、梓」
「なんもしてないよ〜
でもよかった。いっぱい話しな」
明日はいよいよクリスマスイブ。
はやく隆則に会いたい。
:10/08/26 17:51
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#521 [愛華]
その日の夜。
「え、那佑…明日いないの?」
「うん、でかけてくるから」
見るからに残念そうなお母さん。
はやめに言うべきだったなぁ…
そういえば、何年も家族と
クリスマスなんてやってない。
それが当たり前になっちゃって…
「お母さん、あたし彼氏いるの」
:10/08/26 23:08
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#522 [愛華]
「へぇー……ってえぇ!?」
予想通り。でもいずれかは
ばれるだろうし……
「ど、どんな人?かっこいい?」
ん?
「まぁ……かっこいいよ」
「お母さんも会いたいなぁ」
あ、あれ?
:10/08/26 23:11
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#523 [愛華]
「………反対しないの」
「ん?なんで?」
「だってあたし…病気…」
「関係ないでしょ。
那佑は普通の子なんだから。
好きな人と好きなように
つきあっていーんだよ」
なんだろ、これ。
今まで忘れてたこの温もり。
心地好いけどなんか恥ずかしい。
:10/08/26 23:14
:840SH
:0wYw1oSI
#524 [愛華]
「……わかったようなこと
言わないでよ。言ったよね?
まだ許したわけじゃないって」
「あ……ごめんね」
………言い過ぎたかも。
こんなの慣れてないから、
突っぱねるクセがあるみたい…
なんとなく気まずくなる。
やっぱり、一度こじれたものは
簡単には戻らない。
:10/08/26 23:18
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#525 [愛華]
「………明後日」
「ん?なに?」
「明後日なら大丈夫だから
クリスマスやろう。…三人で」
お母さんの顔がぱぁっと
明るくなる。
「お父さんもよろこぶね!!」
天使みたいだと思った。
一瞬だけ、
お母さんがお母さんでよかった
って 思った。
:10/08/26 23:22
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#526 [愛華]
明日はきっと素敵な日になる。
やっとあなたに会えるね。
机の上に置いたプレゼント。
……よろこんでくれるかな。
わたしは…プレゼントなんて
いらないな。
隆則にぎゅってしてほしい。
頭をなでてほしい。
それだけで十分。
明日はイヴ。
一年に一度の素敵な奇跡の日。
:10/08/26 23:27
:840SH
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