その日が来る前に、
最新 最初 🆕
#1 [愛華]
辛かった。
苦しかった。
だから、生きたかった。
いつだって、願ったことは
ただひとつ。
「ただ一人、誰かの為に生きたい。」
それが君だったらいいな って
幼い心の中で思った。
まだ17才の春。

⏰:10/06/19 19:31 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#2 [愛華]
その時わたしは
まだ17才。
毎日が苦しかった。
見える景色は毎日同じ。
いつか。
って何度も願ったけど
その思いは音をたてて
その度くずれていった。

⏰:10/06/19 19:37 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#3 [愛華]
「だーかーら!!!
俺はなんもしてねぇっつってるだろがよ!!!」
「…お前いつもそういってるだろ……」
ここは病院。
そこに昨日入院した男
赤石隆則(あかいしたかのり)
19才。

⏰:10/06/19 19:44 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#4 [愛華]
「だからさぁ!!
俺はケンカ止めただけだって」
「止めただけ……?
ホントか?」
「……まぁ一発二発…」
「殴ってんじゃねーか!!」
そう隆則を追い詰めるのは
長谷充(はせみつる)
警察官であり、
今となっては隆則が起こす
事件の専門となりつつある
かわいそうな30才のオッサン。

⏰:10/06/19 19:53 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#5 [愛華]
「お前なぁ。
骨折で済んだからいーけど。
相手、ナイフ持ってんだぞ?
もし刺さってたらどーする?」
「刺さってねーからいーだろ」
「まぁそーだな。
結果オーライってことで♪


んなわけねーだろボケ!!!」

⏰:10/06/19 19:58 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#6 [愛華]
長谷の顔は疲れというか呆れ
というか怒りというか…
まぁそんなマイナスの感情が
たっぷり現れていた。
「そんなイライラすんなよ
ハゲつるつる」
「長谷充だ!!
おもしろくねーわ!!」

⏰:10/06/19 20:02 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#7 [愛華]
「お前なぁ、毎回
呼び出される俺の身にもなれ!
今回だってな。
俺、なんて呼び出された
と思う?」
「え…さぁ?」

「赤石がまたやらかした。
めんどくせーから長谷よろ〜

ふざけんな!!俺の
日曜日返せコラァ!!」


あー………
もう隆則にはどうしようも
なかった。

⏰:10/06/19 20:07 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#8 [愛華]
ひととおり、長谷の説教
&やつあたりが終わった
ところで、長谷は
帰ることになった。
「今回も先に手だしたの
向こうだし、ナイフも持って
たからお前は大丈夫だよ多分」
「おーわかった」
「…毎回、悪いのはあっち
だけどな。
あんま心配かけんな。
骨折だけじゃ済まなくなる事も
あるかもしれねーぞ」

⏰:10/06/19 20:14 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#9 [愛華]
毎回、長谷はこういう。
「じゃーな」
「長谷」
「…ん?」
「さんきゅな。…いつも」
「そー思うなら日曜に
ケンカすんな。
ただでさえ寝不足なんだぞ」
「おーわかった。」
少し胸が、温かかった。

⏰:10/06/19 20:18 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#10 [愛華]
〜隆則side〜

⏰:10/06/19 20:21 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#11 [愛華]
赤石隆則19才。
キンパツのせいで
必要以上にケンカに絡まれる。
昨日は道端でケンカしてたのを
止めようとして、
案の定絡まれ、階段から落下。
足首を骨折。
後に待ってたのは、いつもの
長谷の説教。

⏰:10/06/19 20:27 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#12 [愛華]
長谷はいーやつだ。
親のいない俺にとって
ただひとり信頼してる男でもある。
メーワクかけてるけど

その度ちゃんと後始末
してくれる。

⏰:10/06/19 20:30 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#13 [愛華]
その日もいつものように
長谷の説教を受け、
俺は暇だったので院内を
散歩することにした。

⏰:10/06/19 20:33 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#14 [愛華]
この日。君と出会ったんだ。
ケンカばっかだった俺に
光をくれた君。
でも君自身は闇を抱えて
今日という日を
苦しみの中、生きていた。

⏰:10/06/19 20:37 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#15 [愛華]
「うわ、足がちがち!
うごかねぇ!!」
散歩しようとしたのはいーが
骨折してたの忘れてたな。

うーん。絶対安静って
看護師言ってたけど。
…あ、トイレいきたくなった。

⏰:10/06/19 20:41 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#16 [愛華]
ビー

「赤石さん、呼びました?」
「あートイレいきたい
ですけどー…」
「じゃあ車椅子つかって
下さい」
俺はナースコールで看護師を
呼び、車椅子を借りた。

⏰:10/06/19 20:43 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#17 [愛華]
「よいしょ」
車椅子は思ったより小さく
なんか違和感があった。
廊下に出ると、さっきの
看護師がいた。
「さっき赤石さんと
しゃべっちゃった☆
あの人カッコイイよねー」

「えーうらやましい☆」


くだらねぇ。
俺は昔から女が苦手だった。

⏰:10/06/19 20:49 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#18 [愛華]
女は顔だけで男を判断する。
女のつけた香水の匂いを
嗅ぐと、具合が悪くなる。

なにがうらやましいだ…

気分が悪いまま廊下を
進んでいると、


ドンッッ!!!

誰かが俺にぶつかった。

⏰:10/06/19 21:30 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#19 [愛華]
「いってぇ……」
「いたた…あ、ごめんね!!
大丈夫!?」

俺にぶつかったのは女だった。

「こらぁー!!那佑ちゃん!
待ちなさい!!」

「げ!!」
女は後から追ってきた看護師に
捕まった。

⏰:10/06/19 21:34 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#20 [愛華]
「ほんっっとに
すいません!!
ほら、那佑ちゃんも!!」

「ごめんなさい…」

女は15才くらいに見えた。
しかし、廊下を走って怒られる
くらいに元気なのに…
どこが悪くて入院してんだ?

⏰:10/06/19 21:37 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#21 [愛華]
「那佑ちゃん、はやく
病室もどりましょ?」

「い や だ!!」

那佑とかいう女は、
病室に戻らないと駄々を
こねはじめた。


…俺、関係ねーし……
病室に戻ろうとすると、
那佑に腕を掴まれた。

⏰:10/06/19 21:41 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#22 [愛華]
「じゃあこの人の部屋に
遊びに行く!!
いいでしょ?隆則」

「なにいってんだよ!
ダメにきまって…って え!?
なんで俺の名前…」

「昨日から噂だよ?
カッコイイ人が入院したって。
あなたでしょ?赤石隆則さん」

コイツ……

⏰:10/06/19 21:46 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#23 [愛華]
「ガキがなにいってんだ!
俺関係ねーだろ!」

「ガキって…あたし17才
だよ??」

17!?
二つしか違わねぇじゃん…

「那佑ちゃん!!
赤石さんにメーワクかけないで
病室もどるわよ!!」

⏰:10/06/19 21:49 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#24 [愛華]
看護師もイライラしてるみたいだ。

やれやれ……
とんでもないとこに
巻き込まれた……
ケンカよりやっかいかも?

「…いいじゃん。


どーせそのうち死ぬんだし」

空気が凍った。

⏰:10/06/19 21:51 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#25 [愛華]
「那佑ちゃん、なに言って…」

「あれ?あたし
間違った事言った?」


そのうち死ぬ……?
なんで…
看護師、なんもいわねぇの?

「那佑ちゃん!!
違うよ!まだきまってな…」



ごんっっ!!

⏰:10/06/19 21:55 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#26 [愛華]
「いったぁ!!
なにすんの!!?」
俺は那佑にゲンコツした。

「ふざけて言うことじゃねえ。
なにが死ぬだ」

「ふざけて…?
ふざけてないよ」
那佑はそう言うと、
走ってどこかへ行った。

え…?あれ?
まだ話おわってねーし……

⏰:10/06/19 22:00 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#27 [愛華]
「赤石さん……」
看護師が申し訳なさそうに
言った。

「あーいーですよ、別に。
てか、いつもあんな
感じなんですか??」

「はい……」


なんだ??なんか…
様子が変??
俺の中で
ひとつの疑問が浮かんだ。

⏰:10/06/19 22:05 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#28 [愛華]
「さっきの……嘘ですよね?」


「……えと……」


なんで詰まるんだ?


「私から言うことじゃないです
仕事に戻りますね」


汗が流れた。

⏰:10/06/19 22:09 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#29 [愛華]
看護師の様子はあきらかに
おかしい。

もし、アイツの言ってる事が
本当だったら……?


「どうせそのうち…」

どんな気持ちで

「ふざけてないよ」

あの言葉を……

⏰:10/06/19 22:11 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#30 [愛華]
その夜は眠る気になれなかった

昼に出会った彼女は
まだ17才で……



もし本当だったら……

「ふざけて言うことじゃねえ」


俺は……最悪の言葉を……
彼女は今……
どんな気持ちで………

⏰:10/06/19 22:15 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#31 [愛華]
「な……ゆ……」
気がつくと声に出していた。



なに考えてんだよ、俺。
あんな女、俺には
関係ねーじゃん。
気にすることじゃない。
そう言い聞かせた。

⏰:10/06/19 22:17 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#32 [愛華]
ふと窓の外を見ると、桜が
咲いていた。
月明かりに照らされ、
花びら一枚一枚が宝石のように
輝いていた。


すげぇ…
俺の部屋は2階だから、
桜が近くで見れる。
窓から手を伸ばせば
枝に手が届きそうだ。

⏰:10/06/19 23:38 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#33 [愛華]
窓を開けてみた。
桜をよく見ようと顔を窓から
出すと………

人影が見えた。

え??こんな時間に誰だ?

どうやらそいつも桜を見ている
らしい。

目を凝らしてよく見ると……


「なゆ……?」

⏰:10/06/19 23:42 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#34 [愛華]
那佑は泣いていた。
声を押し殺して。


なぜかわからないけど
行かなくちゃって思った。
はやく、行かなきゃ って。

⏰:10/06/19 23:45 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#35 [愛華]
足をひきずって車椅子に乗り
部屋から出た。

絶対みつかるだろこんなの…

案の定、見つかった。

「赤石さん、こんなとこで
なにしてるんですか…?」

ほらな。だが、幸い。
その看護師は昼間
ナースコールで呼んだ
看護師だった。

⏰:10/06/19 23:54 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#36 [愛華]
しめた!!
「…すいません看護師さん。
実は昼間、姉がこの病院に
来てたんですけど。
外に忘れ物したらしくて。
すごい大事な物らしいので
取りにいきたいんですけど…」

「そーなの?でも無理よ。
あたしがとってきてあげる」

「いや、俺が!!
……お願いします」
今まで生きてきて一番の
作り笑顔。
「……だめです」


ちっっ

⏰:10/06/20 00:00 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#37 [愛華]
結局、その日は行けなかった。
部屋に戻って窓の外を見ると
アイツはもういなかった。

どうして……泣いてたんだ?

心がもやもやする。


……くそっっ

頭の中はアイツでいっぱい。
今日会ったばかりのアイツ。


明日……もう一度会いたい。

⏰:10/06/20 00:05 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#38 [まあ]
〜那佑side〜

⏰:10/06/20 11:42 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#39 [まあ]
「那佑、いい子にしてるのよ」

「うん…でもママ、
いつ帰ってくるの?パパも…
外国から帰ってこない…」

「那佑がいい子にしてたら
いつか帰ってくるから」

いつか?

いつかって………いつ?

⏰:10/06/20 11:45 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#40 [愛華]
すいません上のふたつは
名前間違ってました

⏰:10/06/20 11:46 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#41 [愛華]
私は、その いつか を信じて
待ち続けた。
寂しさに押し潰されそうな日も
悲しみに支配されそうな日も。

お母さんが言った「いつか」
を信じて。

⏰:10/06/20 11:49 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#42 [愛華]
毎月、膨大な生活費が
お母さんから送られてきた。

お父さんもお母さんも、
外国で大きな仕事をしていて
帰ってこれないらしい。


お金なんていらない。
私が欲しいのは……

⏰:10/06/20 11:51 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#43 [愛華]
温もりを忘れた私の心は
少しずつ…冷たくなっていった

でも、泣かなかった。
いつも笑って明るく過ごした。

いい子にしててねって……
言ってたから。

⏰:10/06/20 11:54 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#44 [愛華]
そんなある日。
確か……小学四年生の頃。
お母さんがいなくなって
ちょうど一年たった、春。

「ご両親…呼んでもらえる?」

「え……」


最近、体の調子がかなり悪く
風邪かな と思い病院へ行った。
そこで色々検査して……

たかが風邪で……と思ってた。

でも……違った。

⏰:10/06/20 11:59 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#45 [愛華]
「…両親は今、外国にいます。」

「旅行かなにか?」

「いえ…一年前から仕事で、
それから帰ってきません」

「君……ひとりを残して?」

改めて言われると…辛かった。

⏰:10/06/20 12:02 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#46 [愛華]
「ご両親と話がしたい。
呼んでもらえる?」

「…わかりました」

その夜、お母さんに電話した。

「お母さん…あのね。
お医者さんがね………」

私は全部話した。

「ただの風邪じゃないの?」

「違うみたい。だから
お医者さんが来てって。」

お母さんとお父さんは、すぐ
帰って来てくれた。

⏰:10/06/20 12:08 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#47 [愛華]
次の日の夜。
お母さんとお父さんは帰ってきた。
「那佑〜久しぶり!!」

「大きくなったなあ」

お父さんとお母さんは
私を抱きしめてくれた。
次の日、病院に行く事になった。

私はお母さんたちが
帰ってきてくれた事が
うれしくて………

まだこの時は、
未来を予測できなかった

⏰:10/06/20 12:14 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#48 [愛華]
「ご両親はこちらへ…」

お母さんたちは医者に呼ばれ
個室に入っていった。


……なんかこれ、見た事ある。

あれ??なんで…お父さんたち
帰ってきたんだっけ?

そうだ。私の為。
私、ただの風邪じゃないって…

ただの風邪じゃない……?


お母さんたちがいなくなった事で

さっきまで感じなかった
不安が広がってゆく。

⏰:10/06/20 12:19 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#49 [愛華]
怖い…怖い…

お母さん…お父さん…
はやく来て……

30分くらいして、二人と医者は
出てきた。


お母さん……なんで泣いてるの?

⏰:10/06/20 12:21 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#50 [愛華]
「お母さん…どしたの?」

「…なんでもっっない…の」

嘘。だって………
私だって馬鹿じゃない。

「私……なんの病気??」

「大した事ないって」

「じゃあなんでお母さんは
泣いてるの!!??」
私は叫んだ。

⏰:10/06/20 12:23 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#51 [愛華]
「もう子供じゃないの。
教えてよ」

「……ご両親にお任せします
遅かれ早かれわかりますが…
それは今ではなくとも
よいと思います」

「…ありがとうございました」


私たちは家へ帰った。
お母さんはずっと泣いたまま。
お父さんは黙っていた。

⏰:10/06/20 12:27 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#52 [愛華]
「私……なんの病気?」

「那佑……」
お父さんは覚悟を決めたようで
話し始めた。

そこからの事は、
あまりよく覚えてない。

覚えてるのは
私は心臓の病気で
25才まで生きられない

そう伝えられたって事だけ。

⏰:10/06/20 12:34 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#53 [愛華]
それから、毎日のように
お父さんとお母さんは
ケンカした。

「お前は那佑が心配じゃないのか!」

「そんな訳ないでしょ!!
でも仕事が……」

どうやら二人とも
仕事を残して帰国したようで…

⏰:10/06/20 12:39 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#54 [愛華]
「…二人とも戻っていーよ。
今すぐ、どーにかなる訳じゃ
ないし。
仕事かたしてから……
帰ってきて?」

「…だ、だめよ、そんなの!」
「無理に決まってるだろう!」

もう………いいよ
いいんだよ

⏰:10/06/20 12:41 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#55 [愛華]
心が冷えてゆく。
二人は……私よりも仕事?
私と仕事を比べて……
ケンカしないで。

「大丈夫だから。戻って。
私………大丈夫だから」

私は 大丈夫 としか言わなかった。

⏰:10/06/20 16:32 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#56 [愛華]
二人は結局、外国に戻った。

悲しくなんかない。
不思議と……
余命を告げられた事よりも
二人がいなくなった事の方が
私を苦しめた。

私ひとりだけの家。

「信じらんない…」
自分がお願いしたこととはいえ…
それでも、やっぱり
残って欲しかった。

⏰:10/06/20 16:36 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#57 [愛華]
その日、
私は数年かぶりに泣いた。
声を出さずに静かに。

二人への気持ちは、
やがて憎しみへと変わり、
二人は一年後、帰国したけど
「あなたたちは私の親なんか
じゃない」

と言ってやった。

もう誰も信じてなんかやらない。

⏰:10/06/20 20:33 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#58 [愛華]
それからは入退院の繰り返し。
退院する度、お母さんたちは
お祝いしてくれたけど…
嬉しくもなんともなかった。

病院の中が私の居場所。
たくさんの人と話をして…
私はいつも笑顔を忘れなかった。

⏰:10/06/20 22:31 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#59 [愛華]
どーせ、もうすぐ死ぬんだし…
なら、笑顔で生きようと思った。

私が死ぬその日が来るまで
長くてあと8年。

そんな17才の春、

あなたに出会ったんだよね。

⏰:10/06/20 22:35 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#60 [愛華]
出会いは最悪だった。
いきなりキンパの男に
ゲンコツされるんだもん。

でも、初めてみたときから
あたしは
他の人とは違うなにかを


あなたに感じていたのかも
しれないね。

⏰:10/06/20 22:37 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#61 [愛華]
ごんっっ!!

「いったぁ!!なにすんの!?」

「ふざけて言うことじゃねぇ。
何が死ぬだ」

ふざけて…?

違うよ。本当の事だもの。

⏰:10/06/20 22:40 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#62 [愛華]
あたしは、すぐ逃げ出した。

なによ…知ったよーな事……


でも……初めてだな、あんな人。

「那佑ちゃん……」

「純さん……何??」

純さんとは看護師さん。
純菜とゆーので、あたしは
そう呼んでる。

⏰:10/06/20 22:44 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#63 [愛華]
ベッドにねっころがりながら
あたしは純さんと話していた。

「…今日も……会わないの?」

「会うも会わないも……
あんな人たち、親でも
なんでもないよ。
面会なんてする必要なし」

「…ん。わかった」

純さんは私の家族の事情を
知ってる。

あたしは売店で買ったアイスを
食べながら外をながめた。

⏰:10/06/20 22:49 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#64 [愛華]
桜が咲いていた。
下にはたくさんの花びら。

この桜が咲いて…散るのを
何度も繰り返し見てきた。


なんか色々……しんどいなぁ…


人は生きる事に意味や価値を
見いだせなくなった時、

何を思うんだろう。

⏰:10/06/21 00:14 📱:840SH 🆔:mstfc2eg


#65 [愛華]
感想板たてました
来てくれたらうれしいです
bbs1.ryne.jp/t.php?b=novel

⏰:10/06/21 01:04 📱:840SH 🆔:mstfc2eg


#66 [愛華]
その夜遅く。
私はいつものように病室を
ぬけだし、
庭へ出た。
面会用の玄関は、夜は閉まる
のだけれど
その裏にある従業員用の玄関から
簡単にでることができる。

誰にもナイショ。
自分との秘密の時間。

⏰:10/06/21 20:27 📱:840SH 🆔:mstfc2eg


#67 [愛華]
今日も…気付かれなかったな。

よかった。

上を見上げると桜が咲いていた。

綺麗だ。宝石みたい。

桜も……散ってゆくんだよね

⏰:10/06/21 23:03 📱:840SH 🆔:mstfc2eg


#68 [愛華]
綺麗だけど……儚い。

ううん、違うね。

儚いから……綺麗なんだ。


私の命はきっと……
こんなに綺麗には散れない。

⏰:10/06/21 23:05 📱:840SH 🆔:mstfc2eg


#69 [愛華]
誰にも愛されず、ひとりで。

誰の記憶に残ることもなく。




切ない。 淋しい。

⏰:10/06/21 23:07 📱:840SH 🆔:mstfc2eg


#70 [愛華]
私は泣いた。

死への恐怖からじゃない。

私が消えたあとで

自分の存在がなくなったあとで


自分が何を思われるのか

すごく不安で。

⏰:10/06/21 23:10 📱:840SH 🆔:mstfc2eg


#71 [愛華]
忘れられちゃう。
存在が消える。

今までなんとも思わなかった

自分の死への道のり。


私はこの日はじめて

自分の死に、そして生に

光を 求めた。


25才まであと8年。

私は記憶に残りたいのです。

⏰:10/06/21 23:14 📱:840SH 🆔:mstfc2eg


#72 [愛華]
〜隆則side〜

⏰:10/06/23 02:27 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#73 [愛華]
あの日から三日。
病院内を意味もなく散歩したり
してるけど、いまだあの子とは
会えないまま。


あれからいろいろ看護師に聞いて
ちょっとだけあの子のことが
わかった。

⏰:10/06/23 19:08 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#74 [愛華]
白石那佑(しらいしなゆ)
17才。
9才の頃から入退院を繰り返し
現在は6回目の入院。

心臓の病気(詳しくは教えてくれなかった)
を小四の春に発症。


今のままだと余命は長くて8年。

⏰:10/06/23 19:13 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#75 [愛華]
でも、そのことに触れるのは
タブー。
しかし、那佑自身はそのことを
気にしていないようで
しょっちゅう、

「どーせもうすぐ死ぬ」

と口に出すらしい。

⏰:10/06/23 19:16 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#76 [愛華]
気にしていない…?
ほんとに?


じゃあ、あの夜の涙は??


あれから夜に那佑を見ることは
ない。

それどころか、あの日以来
一度も姿を見かけていない。

⏰:10/06/23 19:19 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#77 [愛華]
今日は会えるかなー……

あの日から。
なぜか那佑のことが
頭から離れない。

深入りするべきじゃない。
それは自分が一番わかってる。


でも、

もう一度あいたいって


思ったんだ。

⏰:10/06/23 19:23 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#78 [愛華]
車椅子で病院内をうろついていた。

喉が乾いたので、自販機で
ジュースを買うことにした。


が、届かない。

飲みたいジュースは一番上。
車椅子では届かない。

⏰:10/06/23 19:26 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#79 [愛華]
……立つか……

バランスをとりながら立とうと
すると、
ギプスのせいで、よろめいた。

やべっ……



がしっ

⏰:10/06/23 19:28 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#80 [愛華]
「あぶな〜てかばかじゃん?
車椅子から立とうとか(笑)」


「!!那……佑 」


支えてくれたのは那佑だった。

「名前…覚えてくれたんだ」

那佑は、にひっと笑った。

⏰:10/06/23 19:31 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#81 [愛華]
びっくりした……
数日前に会ったばっかなのに

なんか……久しぶりに感じる。


「この前はゲンコツをどーも」

「あ…どーいたしまして…」

なにを言ってんだ俺は。

上手くしゃべれねぇ……

⏰:10/06/23 21:20 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#82 [愛華]
俺たちは庭のベンチで少し話を
することにした。

「…この前…悪かったな」

「…ん?ふざけて言うことじゃねー
とかゆーやつ?
気にしてないよそんなの」

「…そか……」

「…そう言うってことは……
もう知ってるんだね?

……私のこと」

⏰:10/06/23 21:25 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#83 [愛華]
ドキっとした。

「なんか噂でね〜
誰かさんが、色々な看護師さんに
あたしのこと聞きまわってるって
あくまで噂ね?あくまで。」

……バレてんのかよ……

てか、コイツ情報網広いな。

それも長い間入院してるから
なのか… かもしんねーな。

⏰:10/06/23 21:29 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#84 [愛華]
「……別にいーんだよあたし」

何が……いいんだ?

だって泣いてたじゃねーかよ。

「…終わりが見えてるだけ。
それが、ちょっと人より
はやいってだけ。
……時々しんどいけどね」

「…しんどい?」

⏰:10/06/23 21:33 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#85 [愛華]
那佑は悲しそうにわらった。

「終わりが見えてると…
たまに生きるのがしんどくて。

でも、あたし不思議と
怖くないの。死ぬことが」

「…なんで?
フツー怖いだろ?」

⏰:10/06/23 21:37 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#86 [愛華]
「…んーなんてゆーか。
慣れちゃったからかな」

「慣れ…?え?なに?」

「……苦しいのとか
悲しいのとか。

そーゆー感情に」

頭をガツンとやられた気がした。

⏰:10/06/23 21:41 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#87 [愛華]
俺が出会った彼女は
まだ17才で。

その子は闇につつまれ
今日という日を生きていた。

苦しみや悲しみに慣れて
「恐怖」という感情を忘れて
しまうほどに

真っ暗な道を歩いていた。

⏰:10/06/23 21:45 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#88 [愛華]
「…しゃべりすぎちゃったな」

那佑は、白い歯を見せて笑った。


……もう戻れない。

深入りするべきじゃない…?

そんなの知るか。後悔はしてない

この子の闇に触れてしまったから

⏰:10/06/23 21:48 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#89 [愛華]
「……楽にすればいーよ」

俺はこの子の…

「…なんかあったら話きくし」

この子が抱えている闇を

…少しでも…減らしたい。

⏰:10/06/23 21:50 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#90 [愛華]
「…ありがと。…隆則」

「…隆則かぁ…。
じゃあ、俺も那佑でいい?」

「…いーけど…
隆則って何歳?本名は?」

⏰:10/06/23 21:53 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#91 [愛華]
そういえば……
俺のこと何も話してねーや。

「赤石隆則。19才。」

「えー!!二つしか
違わないんだ!
もっと上かと思ってた。
キンパだし」

「キンパ関係ねーだろ!
俺、そんな老けてっか?」

「赤石かー私、白石だよ!」

……人の話きけよ。
なにげ傷ついてんだぞ。
スルーすんな。

⏰:10/06/23 21:57 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#92 [愛華]
「赤と白!なんか対っぽくない?
赤と白が出会えたことに
かんぱーい!!」

そういうと那佑は缶ジュースを
カチンと当ててきた。

赤と白か……

出会ったことは
確かに運命だったかもな。

「……ガキ(笑)」

「なっ!ひど!!」

⏰:10/06/23 22:01 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#93 [愛華]
ただ俺は君の笑顔が見たくて。

それだけだった。

君の苦しみをわかってあげたい。

いつも思っていたから。

この気持ちが恋と気づくのに

さほど時間はかからなかった。

⏰:10/06/23 22:05 📱:840SH 🆔:JQjK9wkY


#94 [愛華]
〜那佑side〜

⏰:10/06/24 01:58 📱:840SH 🆔:WjcdUaN2


#95 [愛華]
初めて
たくさんの事を人に話した。

自分のこと。

なぜかは自分でも分からない。

でも、この人になら
ちょっとだけ自分を
ちょっとだけ私の心を

見せても大丈夫なんじゃないかな

って 思ったんだ。

⏰:10/06/25 20:39 📱:840SH 🆔:I/HA.bV2


#96 [愛華]
あの人が、私の事ききまわってる

って聞いた時、

ちょっと嬉しかった。

自分の事を知ろうと
してくれてる人がいる。

好奇心?同情?単なる気まぐれ?
暇つぶし?

そんなの、どーでもよかった。

…………よかったんだよ、隆則。

⏰:10/06/25 20:51 📱:840SH 🆔:I/HA.bV2


#97 [愛華]
「たーかーのーり!!」

「……またお前かよ(笑)」

あれから私は毎日のように
隆則に会いにいった。

看護師さんには怒られたけど
完全無視(笑)

隆則もメーワクではない
(…と思う)ようだった。

⏰:10/06/25 22:52 📱:840SH 🆔:I/HA.bV2


#98 [愛華]
「毎日きてていーわけ?」
「隆則はあたしが来たら
メーワクなの??」

「んな事いってねーだろ…」

あ、ちょっと顔が赤くなった。
なんだろ。変な感じ。

「ねー隆則、顔あかいよ?」

「え!!き、気のせいだろ!」

⏰:10/06/25 22:55 📱:840SH 🆔:I/HA.bV2


#99 [愛華]
赤くなる隆則はなんか
可愛かった。
照れてんのかな??

あたしと隆則は他愛もない
話をたくさんした。

「あたしねープリン食べたい」

「好きなの?プリン」

「うん。退院したら
バケツプリンってゆーの
食べてみたいなぁ」

「たべりゃいーじゃん」

⏰:10/06/25 23:00 📱:840SH 🆔:I/HA.bV2


#100 [愛華]
「退院…できるかなぁ」

「できるにきまってんだろ」

隆則はハッキリ言い切った。


無理しなくていーのに。
子供じゃないんだから
完全な退院なんて無理だって

知ってるのに。
私はここで一生を終えるのに。

⏰:10/06/25 23:03 📱:840SH 🆔:I/HA.bV2


#101 [愛華]
でも……隆則がいうと
もしかしたら…って思えた。

「…うん。がんばる」

隆則はニッコリ微笑んだ。

隆則が笑うと、胸がきゅってなる

なんだろう?
胸が温かくて、もっと
笑ってほしい。
あなたの為に笑いたいって
思うの。

⏰:10/06/26 18:52 📱:840SH 🆔:dev.iGAs


#102 [あい]
おもしろいです
頑張ってください

⏰:10/06/27 09:56 📱:P03A 🆔:☆☆☆


#103 [愛華]
>>102

ありがとうございます
つたない文章ではありますが
精一杯がんばります!!
最後まで読んでくれると
とても嬉しいですF

⏰:10/06/27 17:38 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#104 [愛華]
「那佑ちゃーん。
検査の時間だから病室もどって」

隆則と雑談していると、
純さんが、呼びにきた。

「えー…もう…?」

「またあとで来ればいーだろ。」

あ、また。
胸がきゅってなった。

⏰:10/06/27 21:07 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#105 [愛華]
「またくるね!!」

「おー…」

私はそう言って、病室に
純さんと戻った。


「なかいーんだねー
……赤石さんと」

突然、純さんがいった。

「はい??そーかなぁ」

「うん。なんか、
那佑ちゃんも赤石さんには
心ひらいてるかんじ。」

⏰:10/06/27 21:41 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#106 [愛華]
そんなつもりなかったけど…
でも。

「隆則と話してるとね。
なんか安心するの。
お腹のあたりが
ほわーってあったかくなるんだ」

「ほほう。恋ですなぁ」

「………!?」

⏰:10/06/27 22:04 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#107 [愛華]
こい……??



「…ええええ!?
そんなの!違うよ!
隆則は…隆則は……」

「赤石さんは……なに?」

純さんはニヤニヤしながら
聞いてくる。



私にとって隆則は……

⏰:10/06/27 22:18 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#108 [愛華]
私が答えに詰まっていると
純さんはニコッと笑った。

「最近の那佑ちゃん、楽しそう。
前までは…なんていうか
生きるのに疲れきってるかんじ
だったけど……
赤石さんと出会ってからかな?」


隆則と……会ってから?

⏰:10/06/27 22:21 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#109 [愛華]
「…うん。そーかも。
最近ちょっと……楽しい」

「そっかー那佑ちゃんも
恋かぁ……」

「だから違うってば!!」

「那佑ちゃん可愛い〜(笑) 」

⏰:10/06/27 22:29 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#110 [愛華]
確かにね。
最近、ちょっと
ちょっとだけ、毎日が
楽しいんだ。

自分のことを少しだけ
さらけだして、認めて。


……………隆則と出会ってから。

⏰:10/06/27 22:31 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#111 [愛華]
死ぬことへの恐怖なんて

いつだって感じなかった。


人間はいずれ死ぬ。

だからべつにいーんだって。

どこかで諦めてた。

⏰:10/06/27 22:45 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#112 [愛華]
それは今も変わらない。

だってどーしようもないでしょ?
どんなに願っても
どんなに祈っても
変えられない運命だから
運命を呪ったって意味はない。


ただね。どーせなら。
誰かの記憶に残って
楽しく生きて
潔く………死にたいなって。

⏰:10/06/27 22:53 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#113 [愛華]
小さい小さい私の存在。

17才の私はあまりに
ちっぽけだけれども

誰かの心に
私の存在を 残してから……。

⏰:10/06/27 22:57 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#114 [愛華]
「隆則ー!!
遊びにきたよー☆」

「…毎日きてんじゃん…(笑)」

隆則はベッドにねっころがって
タバコを吸っていた。

「……」
「……なした?」

「……タバコ。
未成年なのに。ダメじゃん」

「ばーか。余計なお世話
だっつの。今時みんな
吸ってるだろ」

⏰:10/06/27 23:01 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#115 [愛華]
そーなのかな??
そんなもんなのかなぁ??

「……純さんに
言い付けてやろー……」

「……お前、あの看護師と
なかいーよな」

「純さんのこと?
まぁね。家族みたいなもんだよ」

⏰:10/06/27 23:04 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#116 [愛華]
「…家族?」

「うん。あたしのとこの事情
いろいろ知ってて……
初めて入院したころから
お世話になってる。
お姉ちゃんみたいな存在。」


「へー……
てか、事情って?」

しくった。
またしゃべりすぎた。

なんだろ。隆則の前だと
スルスル言葉がでてくる。

⏰:10/06/27 23:31 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#117 [愛華]
「…あたしんとこは……
お父さんとお母さん
いないから……」


「ふーん……」


隆則はそれ以上きいて来なかった
もっと探られると思ってたのに。

⏰:10/06/27 23:34 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#118 [愛華]
「でね、隆則がねー」

「もー那佑ちゃん、
赤石さんの話ばっか(笑)」

「……べつにいーじゃーん
それより純さん!!
次の休みいつ??」

「私、多忙だからね〜
今週の日曜日だったかな?」

⏰:10/06/27 23:40 📱:840SH 🆔:hAwrbAMo


#119 [愛華]
「……そっか」

「どーしたの??
なんかあるの??」

「……純さん、日曜日さ
誕生日じゃん?
お祝いしてあげよーと思って…」

「……ありがとー!!
じゃあ月曜日!!
期待してるよ☆」

⏰:10/06/28 16:05 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#120 [愛華]
純さんはニコッと微笑んだ。



純さんとの出会いは……
入院したてのころ。

「えっとー……那佑ちゃん!
今日からよろしくね」

⏰:10/06/28 16:13 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#121 [愛華]
他の看護師は
いつもあたしに同情や冷たい目
ばかりむけていた。

病気のことや両親のことで
いつも可哀相だね って。


でも純さんだけは違った。
患者はみんな平等だって。

⏰:10/06/28 16:17 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#122 [愛華]
あたしは、純さんを姉のように
慕うようになった。
そんなあたしを純さんも
可愛がってくれた。


純さんは25才の若い女性。
未来に溢れている人。
そんな純さんが私は……
羨ましかったのかもしれない。

⏰:10/06/28 16:26 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#123 [我輩は匿名である]
「ふんふんふーん♪」

「………やけにご機嫌だな」

今日は土曜日。
明日は純さんの誕生日♪
プレゼントは腕時計。
壊れたって言ってたから。

「なんでもないよーだ」

「あっそ」

あれ??ちょっと怒った??
………怒った顔、かわいーな。

「隆則おこってる?」

「べつに………」

⏰:10/06/28 22:14 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#124 [我輩は匿名である]
じゃあなんで機嫌わるいんだよ…

私も張り合って機嫌を悪くした
ふりをして、そっぽ向いて

オレンジジュースを飲んだ。

残り少ないジュースは
ズコッという音をたてた。

⏰:10/06/28 22:18 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#125 [我輩は匿名である]
「……おこってないって。
純さんの誕生日なんだろ?
………知ってるよ」

そういうと隆則はあたしの頭を
くしゃくしゃなでた。
隆則の手は大きくてあったかい。


「………ちょっとやきもち
やいたんだよ。
うらやましーっつーの……」


ん??今なんて??

⏰:10/06/28 22:21 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#126 [我輩は匿名である]
「隆則、今なんて言ったの?
きこえなかったんだけど」


「きこえなくていーの!!」

隆則はまた頭をなでた。

あ、また。胸がきゅってなる。

純さんの言葉を思い出す。

⏰:10/06/28 22:24 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#127 [我輩は匿名である]
「那佑ちゃんも恋かぁー」

それはわかんない。

でも隆則の存在は確実にあたしの
中で大きくなっていた。

冷たかったあたしの心を
隆則が少しだけ溶かしてくれた。

どうして……隆則なんだろう

⏰:10/06/28 22:28 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#128 [愛華]
「那佑どした?顔赤いぞ」

ふいに隆則があたしの顔を
のぞきこんだ。

「わっ…… 」

自分でも顔が赤くなるのが
わかった。
顔覗きこまれただけで………
あたしって……子供(泣)

「がぁーき(笑)」

「うるさい!!
馬鹿隆則!!」

「そんな怒んなー
ほら、ゼリーやるから」

「やった♪」

ほんと………子供(笑)

⏰:10/06/28 22:33 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#129 [愛華]
隆則。
あたしね。
夢をみてた。幸せな夢。

隆則が側にいてくれて。
最近あまりにも楽しいから
忘れてたんだ。

ちょっとだけ期待もしてた。

もしも病気が治ったら……って。

あたしの運命が代わりはじめた
のはこの次の日。

⏰:10/06/28 22:38 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#130 [愛華]
その日は終わろうとしていた。

明日は純さんに会える。
一日遅れたけどプレゼント
渡すんだ。
……大好きな純さんに。


あたしは廊下を散歩していた。

「……うそ……純が!?」

「…そんな!!間違いじゃ…」

看護師たちが話してる。
純さんの話…?なんだろ?

⏰:10/06/28 22:43 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#131 [愛華]
「ねー純さんがなしたの?
今日やすみでしょ?純さん」

「…!那…佑ちゃん…!」


……なに?なんか……
様子が変。
「……純さん、どーしたの?」
看護師は泣いていた。

「那佑ちゃん、病室に戻…」

「純さんに……
なんかあったの?」

⏰:10/06/28 22:47 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#132 [愛華]
「…那佑ちゃん……
なんでもないの!!」

看護師は怒鳴るように言って
無理矢理あたしを
病室に戻した。

なに?なに?なんなの?
……嫌な予感がするよ。

帰りの廊下、看護師用のトイレで
話し声が聞こえてきた。

⏰:10/06/28 22:51 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#133 [愛華]
「…そじゃ……いんでしょ?」
「…かんない…どそく……って」

……なんだろ?よく聞こえない。

「……純が……死んだなんて…
信じたくないよ………」



「…………………え?」

⏰:10/06/28 22:54 📱:840SH 🆔:EX.tF6FY


#134 [愛華]
〜隆則Side〜

⏰:10/06/29 00:00 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#135 [愛華]
今日、那佑はすこぶる
機嫌がよかった。

どうやら、明日は純さんとかゆー
看護師の誕生日らしい。

那佑は純さんのことを
姉のように慕っている。

純さんが、那佑の支えに
なってることも、あるんだろう。

⏰:10/06/29 19:49 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#136 [愛華]
那佑は今まで
想像を絶する苦しみを
味わってきたんだろう。

そんな那佑が今ふつうに
笑っていられるのは……
純さんのおかげだったの
かもしれない。

⏰:10/06/29 19:52 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#137 [愛華]
それは知っているけど……


「やっぱムカつく!!」

「いてっ!!枕なげんなよ」


俺はイライラを
お見舞いにきていた長谷に
ぶちかましていた。
↑最悪(笑)

⏰:10/06/29 19:54 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#138 [愛華]
那佑の苦しみは……
俺はちょっとしか理解できない
のかもしれないけど。

それでも、俺だけが
わかってあげたい。

そーゆーもんじゃねーの?

「……うらやましーなぁ」

俺はつぶやいた。

あー情けな(泣)

⏰:10/06/29 19:58 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#139 [愛華]
「……そんなに悩むってことは…
女のことか?」

「……!!」
「図星かよ(笑)」


長谷にはなんでも
お見通しだ。

⏰:10/06/29 19:59 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#140 [愛華]
「そっかーお前の
女ギライも治ったか」

「そーゆー訳じゃねーけど…


……可愛い子なんだよ。すっげ。
守ってあげたくなるっつーか」

長谷は見透かしたように笑った。

⏰:10/06/29 20:02 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#141 [愛華]
「…でも、あと八年しかない」

長谷はつぶやいた。


「!?」

どうして長谷が……?

⏰:10/06/29 20:03 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#142 [愛華]
「……なんで知ってる?」

「…昨日もきたんだけどな。
病室はいったら、お前ねててな。

……あと八年……って
寝言でつぶやいてた」

俺……そんなことを?

⏰:10/06/29 20:06 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#143 [愛華]
「その言葉の意味は……
まぁなんとなく分かるけど。

………覚悟はできてんのか?」


覚悟??そんなのとっくのまに
できてる。


那佑に恋した……あの日から。

⏰:10/06/29 20:14 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#144 [愛華]
「あたりまえだろ。
後悔なんか、これっぽっちも
してねぇよ」


初めてなんだよ。こんなの。
誰かひとりのことを
こんなにも大事に思う。


君の苦しみごと全部抱きしめて
あげたいって……思うんだ。

⏰:10/06/29 20:26 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#145 [愛華]
「若いねぇ。
あぁ、それが原因でイライラ
してたのか」

「……ガキなもんで」


長谷はタバコに火をつけた。

「…覚悟きめたんなら
最期まで想ってやれ。
死んだあとなら思い出になる。」


……いわれねぇでも。
そのつもりだよ。ばーか。

⏰:10/06/29 20:37 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#146 [愛華]
できるかぎりの愛を君に。
できるかぎりの苦しみを君から。


クサいかもしんねぇけど。

これが俺にできるすべて。

⏰:10/06/29 20:39 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#147 [愛華]
あれから二日。
那佑はまだ病室に来ない。


……変だな。

昨日は純さんの誕生日だったはず

那佑なら、一目散に報告
してくるはずなのに……

⏰:10/06/29 20:45 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#148 [愛華]
……なんか……あったのか?

胸がざわつく。
嫌なかんじがする。


「スイマセン!!
聞きたいことあるんですけど」


俺は通りすがりの看護師の
腕をつかんだ。

⏰:10/06/29 20:48 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#149 [愛華]
那佑に出会って、
もうすぐ、一ヶ月。

いつのまに、こんなに
君のことを好きになったんだろ。


こんな時にも、桜は
綺麗に咲いていた。
それはそれは 綺麗に。

⏰:10/06/29 20:51 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#150 [愛華]
「……那佑」

今、なにを想ってる?


月が綺麗だった。

あの日も………こんなふうに
月と桜が綺麗な夜だったな。

なんとなく、那佑が泣いてる
ような気がした。

⏰:10/06/29 20:54 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#151 [愛華]
ふっと、窓の下をみた。

もしかしたら、また君が……

「……那佑」


俺は階段を下りていった。
松葉杖で、踏み外さないように
気をつけながら。
見つからないように
細心の注意を払って。

⏰:10/06/29 20:57 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#152 [愛華]
はやく、はやく行かなきゃ。
今度こそ。


近くに、従業員用の小さな
玄関があった。
その時、運よく近くには
誰もいなかった。
俺は迷わず、そこから出た。

⏰:10/06/29 21:01 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#153 [愛華]
こんなに簡単に抜け出せる
ものなのか
とか思いながら、
俺は中庭に急いだ。


「……那佑」


那佑は桜を見ていた。

………あの日のように。

⏰:10/06/29 21:18 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#154 [愛華]
「……あれ、隆則じゃん。
どーやってココに?」

那佑はゆっくり振り向いた。
目が少し赤かった。

「…泣いてんじゃないかって…
思って。」


「泣く……?私が?
……そっか、知ってるんだ。
……純さんが死んだこと」

⏰:10/06/29 21:30 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#155 [愛華]
「……」

俺は何も言わなかった。
…ううん。言えなかった。

那佑があまりにも悲しそうで
……美しかったから。

「……私……泣けなかった」

⏰:10/06/29 21:33 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#156 [愛華]
「純さんが死んだって知った時。
だって急すぎるよ。
この前まで……笑ってたのにさ」

「……うん」

「純さんには…私と違って
未来がいっぱいあったのに。

⏰:10/06/29 21:37 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#157 [愛華]
なのに。
神様はひどいよね、ほんと」

「…うん」

那佑は桜の木に手をあてた。

「この桜ね。あたしが入院
したてのころは、もう少し
低かったんだよ」

あ……ちょっと笑ってくれた。

⏰:10/06/29 21:40 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#158 [愛華]
「あたしより後に入院したのに
あたしより先に退院してく人を
………何人も見てきた。
ってゆーかほとんどそう
だったんだけどね」

那佑は…話し続けた。

「でも……あたしより先に
死んじゃう人もいて。
その度に
あたしもいつか、こうなるんだ
って思ってた。」

⏰:10/06/29 21:46 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#159 [愛華]
「……冷たい人間だよあたし。
死ぬことなんか、ちっとも
怖くなんかないって……
思ってた」

「……うん」

「……純さんね、
腕時計壊れてたの」

………腕時計??

⏰:10/06/29 21:49 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#160 [愛華]
「それを知ったのは、
一ヶ月くらい前。
考えてみればさ、
すぐ買えばよかったのに……
純さんは不便な生活で我慢して
一ヶ月過ごした」

那佑は……なにが言いたいんだ?

⏰:10/06/29 21:52 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#161 [愛華]
「…純さん知ってたんだよ。
あたしが誕生日プレゼントに
腕時計、買ってあげること。
だから一ヶ月ずっと
腕時計かわなかったんだよ」

那佑は一呼吸おいた。

「…ばかだよね。ほんと。
居眠りトラックなんかに……
ひかれちゃってさ……」

那佑はいつのまにか泣いていた。

⏰:10/06/29 21:55 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#162 [愛華]
「…あたし……
泣けなかったんだよ……」

大粒の涙が那佑の小さい瞳から
次々あふれていく。

「……あたしも……
いつか……死ぬ………」


もう……いいよ、那佑。

「あたしっ……」
「もういーよ」

俺は那佑を抱きしめた。

⏰:10/06/29 21:59 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#163 [愛華]
「……もういーんだよ。
お前は……優しいな」

「隆則っ……ばかじゃんっ…」

「……そーかもな」


「………あたしの事………
隆則も忘れちゃう?」

「……忘れねーよ。こんなばか」

⏰:10/06/29 22:03 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#164 [愛華]
「……出会ってちょっとしか
たってないのに……?」

「時間なんかどーでもいーよ。
お前のことは忘れない。
存在は絶対きえない。」


那佑は強く頷いた。

⏰:10/06/29 22:07 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#165 [愛華]
「……たかの……りっ…」

あれ、なんか頬っぺた熱いな。





ああ……俺が泣いてんのか。

⏰:10/06/29 22:12 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#166 [愛華]
「あたし…っっ………



………死にたくないよ……」


それは君が初めて見せた
『弱音』という名の『本音』。


生まれて初めて
誰かの為に 涙を流した。

⏰:10/06/29 22:14 📱:840SH 🆔:khB4iVoE


#167 [愛華]
〜那佑Side〜

⏰:10/06/30 00:10 📱:840SH 🆔:FZ/7f0dI


#168 [愛華]
私のすぐ近くで

その人の存在は消えた。


不思議と涙はでなくて。

襲ってくるのは喪失感だけ。


純さん…………なんで?

⏰:10/06/30 18:56 📱:840SH 🆔:FZ/7f0dI


#169 [愛華]
聞いたところによると
バスに乗るため急いで
道路を渡っているところを、
居眠り運転していたトラックに
正面衝突。

即死。


私は純さんを見ることは
できなかった。

⏰:10/06/30 21:47 📱:840SH 🆔:FZ/7f0dI


#170 [愛華]
人間ってなんて もろいんだろう。

昨日まで当たり前のように

存在していた命が

今日には、消えている。

悲しくて、儚くて。
だから、余計に辛くて。

⏰:10/06/30 21:52 📱:840SH 🆔:FZ/7f0dI


#171 [愛華]
死ぬのが怖くない なんて

ただの強がりだったんだ。

ほんとは、怖くて怖くて
たまらなかった。

毎日が恐怖の連続で。

そんな日々からの自己防衛。

「どうせ、そのうち死ぬ」

ってひたすら自分に言い聞かせた。

⏰:10/06/30 21:55 📱:840SH 🆔:FZ/7f0dI


#172 [愛華]
どーしようもないことなんだ。

そう言い聞かせて。

恐怖から自分を守っていた。


でもほんとは違ったんだよ。

ほんとは気付いて欲しかったんだ。


………私の気持ち。ちょっとでも。

⏰:10/06/30 21:59 📱:840SH 🆔:FZ/7f0dI


#173 [愛華]
自分で自分に嘘ついてたんだ。


ほんとは怖くてたまらないくせに

……あたし、ばかだね。

隆則。あたしね…………

死にたくないよ。やっぱり。

⏰:10/06/30 22:03 📱:840SH 🆔:FZ/7f0dI


#174 [愛華]
ぜいたく言わない。

百歳まで、なんて言わない。


ただ、普通に。

大切な人と一緒になって
お母さんになって
おばあちゃんになって。

それだけでいいの。


それは………
……………わがままでしょうか?

⏰:10/06/30 22:12 📱:840SH 🆔:FZ/7f0dI


#175 [愛華]
-----------------------------
どのくらい泣いただろう。

隆則の腕の中は安心して。

私はいつのまにか眠っていた。

⏰:10/07/01 08:19 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#176 [愛華]
夢をみた。
しあわせなゆめ。

純さんがいる。笑ってる。

あ、いやだよ。行かないでよ。

純さんはゆっくり振り向いて
なにかをつぶやいた。

でも、それがなにかは
聞こえなかった。

⏰:10/07/01 08:24 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#177 [愛華]
隆則の胸はあったかくて
心地好くて。

ずっと人の温もりを忘れていた
あたしに『安心』
をあたえてくれた。

隆則は……いろいろなものを
あたしにくれるね。

⏰:10/07/01 08:26 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#178 [愛華]
「………ん。」



「……お、起きた」

ここ…………まだ庭?


「…あたし……寝ちゃった?」

「……2時間くらいな。
今、夜中の3時。
さすがに松葉杖じゃお前
運べねーからさ。どーしよーか
悩んでたとこだった」

⏰:10/07/01 08:34 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#179 [愛華]
「……ありがとう」

「…ん?なにがだよ?」


そばにいてくれて…

その言葉は飲み込んだ。


ポケットに手を入れると、
ゴツッとした感触があった。

⏰:10/07/01 15:02 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#180 [愛華]
「……あ」

「………それって…」


純さんにあげるはずだった時計。
……もう必要なくなっちゃった。

私は時計を池に投げようと
振りかぶった。

⏰:10/07/01 15:06 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#181 [愛華]
「ちょっと!!待てって!!」

隆則は止めた。

「……それ、俺もらってい?」


「はぁ??なんで??」

「捨てるくらいなら、もらう」

隆則はあたしから時計を奪った。

⏰:10/07/01 15:08 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#182 [愛華]
「……似合うか?」


似合うわけないじゃん。
それ、女物だし。

「似合うわけないでしょ
ばーか!!」

「…んだと!?このやろ!」

さりげない、優しさ。
胸が苦しくなる。すっごく。

どうして…こんなに優しく
してくれるの?

⏰:10/07/01 15:12 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#183 [愛華]
私は出会ったばかりのこの人に
甘えてばかりだね。

「隆則あのさ、今日いったこと…
あまり……気にしないで?」

「なんで?
俺は嬉しかったけど?」


え?迷惑かけてるのに……

⏰:10/07/01 15:15 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#184 [愛華]
「会ったばっかの俺に
ほんとの事いってくれたし…

お前、いつも笑ってっけど
なんか違う気がしてたからさ」


隆則は……気付いてたんだね。

また胸が苦しくなる。

「明日もまた来いよ!!
元気ださねぇと純さんに
笑われっぞ!」

不器用な優しさでいっぱいの人。

⏰:10/07/01 15:20 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#185 [愛華]
隆則……
私にとってあなたは特別みたい。

それがなんていう名前の
気持ちなのかわかんないけど

あなたが笑って欲しいなら
あたし、笑うよ。いっぱい。

あなたの笑顔がみたいから。

⏰:10/07/01 15:23 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#186 [愛華]
次の日。
私はいつもどおりの朝を
迎えた。

その日は検査とかで色々
ドタバタしてて、隆則のところに
行くのは3時ごろになって
しまった。

⏰:10/07/01 15:26 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#187 [愛華]
はやく、隆則に会いたい。
子供みたいにはやる気持ち。

あたしはスキップで廊下を進んだ


「隆則ーきたよー!!」

ガラッと病室のドアを開けると、

そこには隆則がいて。
その隣には綺麗な女の人がいた。

⏰:10/07/01 15:29 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#188 [愛華]
…………誰?

「あ、はじめまして。
隆則の………友達ですよね?」

「…あ、えと……」

「速水梓(はやみあずさ)
といいます。もしかして…
あなたが那佑さんですか?」

⏰:10/07/01 15:33 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#189 [愛華]
「えと……そうですけど」

「私も同じ17才なの!
隆則からいつも話はきいてるよ」

いつも? ……いつも来てるの?
「自己紹介とかいーから、梓。
那佑、わりーな。コイツ、
幼なじみなんだ」

⏰:10/07/01 15:35 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#190 [愛華]
隆則が付け加えるように言った。

「あ、そなんだ。えと……
よろしくね、速水さん」

「あはは、梓でいーよー
タメなんだし。
それより、タカきいてよー」

一通りあいさつを終えると
梓は隆則と話し出した。

⏰:10/07/01 15:42 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#191 [愛華]
タカ……って呼んでるんだ。

あたしは意味のわからない
モヤモヤでいっぱいだった。

目の前で仲良さそうに話す
二人は……まるで恋人のようで。


ほんとに…ただの幼なじみ?

⏰:10/07/01 15:45 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#192 [愛華]
「……タカ、喉かわかない?
あたし、那佑ちゃんと
ジュース買ってくるね!!」

「「え?」」

あたしと隆則の声が重なった。

「じゃ、いってきまーす」

あたしは強引に梓に
連れてかれた。……なんで!?

⏰:10/07/01 15:48 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#193 [愛華]
「〜♪」
鼻歌を歌いながらジュースを
選ぶ梓。


……なんなの、いったい。


「ねー那佑ちゃん、コレでい?」

「あ、うん……」

⏰:10/07/01 15:50 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#194 [愛華]
「ねー那佑ちゃんとタカって
どーゆー関係?」

梓は小銭を入れながら聞いてきた

「どういうって……」


どーゆー関係なんだろう?

友達なんて大層なもんじゃない。
といって、知り合いってほど
薄い関係ではない。
………ましてや恋人なんかじゃ
絶対にない。

⏰:10/07/01 15:54 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#195 [愛華]
そんなあたしの気持ちを
知ってか知らずか。
梓は
「ふーん」 とだけ呟いた。


ジュースを買うと、梓は
近くのベンチに腰掛けた。

……あれ?病室もどらないの?

⏰:10/07/01 15:56 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#196 [愛華]
「…ほら、那佑ちゃんも座って!
ちょっと話さない?」

「…別に部屋もどってからで…
それじゃダメなの?」

あたしはあくまで、突っぱねた。

あたしの本能がいってる。

これは………『裏』の顔。

⏰:10/07/01 16:00 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#197 [愛華]
「…冷たいなぁ。
………そのためにわざわざ
二人になったのに」

この女………

「…いいよ、ちょっと話そうか」

あたしはあえて話にのった。

なに話すのか見当もつかない。
出会ってまだ1時間も
たっていない女と……
楽しくおしゃべりなんて事
あるはずがないのは
馬鹿でもわかる。

⏰:10/07/01 16:03 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#198 [愛華]
梓はジュースを一口飲むと、
ふぅ、と一息ついた。

「単刀直入に言うね。
もう、タカに関わらないで」

「……は?」

なにを言ってるの…この人。

⏰:10/07/01 16:06 📱:840SH 🆔:8QiiEpMI


#199 [愛華]
「……どーゆー意味?」

声が震える。
……なんであんたなんかに。

「まんまの意味だけど?
………目障りなんだよね。
タカとたいした関係もないくせに
つきまとってさ。
那佑ちゃんタカの事すきなの?」

「……えっ……」

「あたしはすきなの。タカが。
……小さいころからずっと。

⏰:10/07/02 00:24 📱:840SH 🆔:SveFRjbc


#200 [愛華]
「タカが見てくれなくたって
そばにいられればいい。

……ねぇ、那佑ちゃんにとって
タカはどんな存在なわけ?」

どんな存在……?
大切な人だよ。苦しい時、
そばにいてくれて。
気持ちを聞いてくれた。
隆則だから……本音を話せた。

でも、きっとそれは恋じゃない。

……ほんとうに?

自問自答して答えられずにいると
梓が言い捨てた。

⏰:10/07/02 00:30 📱:840SH 🆔:SveFRjbc


#201 [愛華]
「…その程度の気持ちなら
もう隆則に近づかないで。
……どーせ退屈しのぎくらい
の存在なんでしょ?

退院したら終わる関係なんだし」

退屈しのぎ?あたしにとっての
隆則は…ほんとにそうだったの?

あたしは…何も言えなかった。

⏰:10/07/02 00:35 📱:840SH 🆔:SveFRjbc


#202 [愛華]
「じゃ、あたしタカんとこ
戻るね、ばいばーい」


あたしは動けなかった。
頭の中では
「お前の存在はきえない」
と言ってくれた隆則の言葉が
こだましていた。

あたしには言い返す権利はない。

隆則の恋人でも友達でもないから

ふと沸いてきた孤独感。
……隆則。
そばにいたい。
それだけじゃダメなのかな。

⏰:10/07/02 00:40 📱:840SH 🆔:SveFRjbc


#203 [愛華]
ふ、とナースステーションの
方を見ると、
中に純さんの写真が
飾られていた。

「……純さん」

涙がでそうになる。
お葬式もいけなくてゴメンね。


ひとりぽっちはやだよ。
純さんも…隆則も離れていくの?

⏰:10/07/02 19:04 📱:840SH 🆔:SveFRjbc


#204 [愛華]
あたしは離れたくない。

……でも、あの人にとって
あたしは邪魔物。
梓は隆則が好きだから。
これからも隆則との未来が
あるから。……私にはない。


……なら……私が退くべきだ。
……梓と何より、隆則のために。

⏰:10/07/02 19:07 📱:840SH 🆔:SveFRjbc


#205 [愛華]
………なんだろ、これ。

胸がいたいよ。

退院したら終わる関係。

そう言われた時どうしようもなく

胸がきりきり痛んだ。


……私が隆則から離れれば
みんな幸せになる。

未来のない私がつきまとったら
みんな迷惑なんだから。

………それでいいんだ。

⏰:10/07/02 20:46 📱:840SH 🆔:SveFRjbc


#206 [愛華]
〜隆則Side〜

⏰:10/07/02 20:47 📱:840SH 🆔:SveFRjbc


#207 [愛華]
昨日は色々あったな。
でも、那佑が本音を
打ち明けてくれたことが
なによりも嬉しかった。

ガラじゃねぇけど……


もうすぐ昼。
そろそろ那佑がくるころか?

⏰:10/07/03 16:03 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#208 [愛華]
コンコン………

きたかー?

「那佑かー?はいっていーぞー」


…………ガラッ


「……え」

「タカ、久しぶり」

⏰:10/07/03 16:07 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#209 [愛華]
「……梓?なんでここに…」

「昨日アメリカから帰国したの。
入院してるって長谷さんから
聞いたから、
タカに会いたくて来ちゃった。」


………あんにゃろー……

「タカ、会いたかったんだよ」

そう言うと、梓は俺に
いきなりキスしてきた。

⏰:10/07/03 16:18 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#210 [愛華]
「ん……っなにす……」

いきなりのことで抵抗出来ず。

「アメリカじゃ挨拶だもん」

「ここはアメリカじゃねぇ!!」

梓は昔からこんな感じだった。

⏰:10/07/03 17:11 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#211 [愛華]
梓と出会ったのは小三のころ。
家が近いことで親ぐるみで
仲良くなった。

しかしその後、俺の両親が
事故で亡くなった。

その時から俺はケンカに
狂い始めた。

⏰:10/07/03 17:14 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#212 [愛華]
施設に行くことを堅く拒んだ俺は
祖父に引き取られる事になったが
祖父には引き取りたくない態度が見え見え。

食費だけを振り込んでもらう事を
条件に、俺は元の家に残り
一人暮らしを始めた。

⏰:10/07/03 17:17 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#213 [愛華]
毎日がケンカの繰り返し。
そんな俺を支えてくれたのは
梓だった。
晩御飯をもってきてくれたり
家にきて家事をしてくれたり。

梓のことは妹みたいに思ってた。

………梓は違ったみたいだけど。

⏰:10/07/03 17:20 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#214 [愛華]
梓はケンカばかりの俺を心配して
いつも注意してたが、俺は
まともに聞こうとしなかった。


そんな高二の夏。
梓がアメリカへ留学する事に
なった。

⏰:10/07/03 17:24 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#215 [愛華]
出発前日。
俺は梓に呼び出された。

「…気づいてるかもしんないけど
私、タカの事すきだよ」

「……やめとけ、こんな男」

「そんな事いわないで!
あたしはタカがいいの!
足りない分はあたしが支える。
だから………」

「俺はお前を妹にしか見れない」

「………わかった」

梓は旅立った。
あとで、もう少し優しく
してやればよかったと後悔した。

⏰:10/07/03 17:28 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#216 [愛華]
あれから2年。
梓が帰ってきた。


「…久しぶりだな」
「うん。二年ぶりだね!
元気にしてた?」

「してたけど……
手紙のひとつくらいよこせば
よかっただろ」

「……まぁそうなんだけど。
別れかたが別れかただったし…」

……そっか、そうだった。

⏰:10/07/03 17:33 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#217 [愛華]
「…あの時は悪かったな。
あーゆー言い方しちまって」

「……なんかタカ優しくなった。
なんかあった?」

やべ、そんな態度にでてんのか?

「…まぁな。
大事な人に……会ったんだ」

「……もしかして那佑…
とか言うひと?」

⏰:10/07/03 17:37 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#218 [愛華]
「…!?」

「さっきあたしと間違えたじゃん
その人の事……好きなの?」

うわ、なんでそんな簡単に
ばれんだよ!!かっこ悪……

「そーだよ!!」

……だせーな俺……

⏰:10/07/03 17:40 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#219 [愛華]
「ふーん……」

……あれ?驚くかと思った。

梓の表情が曇っていく。

「……私さ、まだ……
タカの事あきらめてないよ?」

「……え?」

「その那佑っていう人にも……
負けるつもりないし。
だから覚悟しといてね」

「………は????」

言ってる意味がわからなかった。

⏰:10/07/03 17:44 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#220 [愛華]
頭の中が?でいっぱいに
なっていると、那佑が
はいってきた。

当然、那佑は「誰やねん」
的な眼差しを梓に向け。

そんな那佑に対して梓は
「いつも聞いてます」
とか大嘘つきやがった。

今日初めてきいたんだろがぃ!

⏰:10/07/03 17:48 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#221 [愛華]
ちょっと話をしたあと、
梓は那佑と二人でジュースを
買いに行くと言って
部屋をでていった。

…あいつ昔から人見知りなのに。
何考えてんだ?

一人でゆっくりと
さっきの梓の言葉を思い出す。

……もし梓が言っていた事が
本当だとすると。

……梓は二年間ずっと
思ってくれてたんだ。

⏰:10/07/03 17:57 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#222 [愛華]
うーん、悪い事したな、
とか思っていると

梓がジュースを持って帰ってきた

「あれ、那佑は?」

「あー那佑ちゃんね。
病室もどるって言ってた」

「ふぅん?」

⏰:10/07/03 18:00 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#223 [愛華]
「…タカ。あたし本気だから。
ちゃんと真面目にあたしの事
考えてね」

ずぃっと顔を向けて梓が言った。

うっ迫力あるな……

「……でも俺は……」

「はぁ…那佑ちゃんでしょ?
さっき聞いたっつの!!
ってか那佑ちゃんの
どこがいーわけ!?
ちょっと顔かわいーだけじゃん」

⏰:10/07/03 18:04 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#224 [愛華]
俺は梓をにらんだ。

「…ごめん。今のはごめん。」


梓になら、いいか。


「……あいつさ、
今のままだと余命長くて
8年なんだよ」

「…………えっ」

⏰:10/07/03 18:07 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#225 [愛華]
「…心臓の病気でさ。
移植する手もあるけど
ドナーなんてないし。
……だから好きになったわけ
じゃない。同情なんかじゃない。
本気で……守りたいんだよ」


「………うそ」

「……このこと、那佑に
言うなよ。あいつも同情
されるのなんか望んでねぇと
思うし」

「………わかった」

⏰:10/07/03 18:10 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#226 [愛華]
「…ってかクサっ!!
何、本気で守りたいとか!
キャラ変わってんじゃんタカ!」

「うるせーな!悪いかよ!」

「…そか、そーなんだ…」

梓は一瞬、喜びとも悲しみとも
見れない笑みを見せた。

その意味を知るのは
もう少しあと。

⏰:10/07/03 18:14 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#227 [愛華]
あれから那佑はぷっつり
姿を見せなくなった。
その変わりに毎日のように
梓が病室に来るようになった。


「ねータカー聞いてる??」

「えー…うん……」

「………もぉっ!!」

…那佑……なんで来ねぇんだよ!

⏰:10/07/03 18:18 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#228 [愛華]
俺の頭の中はその事で
いっぱいだった。

「あーもう!!」

「ちょっとタカどーしたの!」

「別に……」

「もー八つ当たりしないでよ…」

⏰:10/07/03 18:27 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#229 [愛華]
イライラする。
あいつ、もしかして
まだ純さんのこと気にしてる
のか?………ありうる。

「…ねぇタカ、今、那佑ちゃんの
こと考えてたっしょ?」

「ちげぇし!!ばーか」

図星さされてまたイライラ…

会えないだけなのに…
いや、会えてないだけかも。

⏰:10/07/03 19:55 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#230 [愛華]
梓が帰ったあと
なんとなく那佑を探して
病院内をうろついた。

……キモいなぁ俺。
ガラにもねぇことやって。
ばかみてぇ。


馬鹿馬鹿しくなって
病室に戻ろうとした。…時。

⏰:10/07/03 20:00 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#231 [愛華]
那佑がいた。
看護師となんか話してる。
診察の帰りっぽい感じ。


「…那佑!!」

大きめの声で呼んでみた。

「……!…隆…則…」

「最近なしたんだよ?
なんでこねぇの?」

「…色々いそがしーんだよ、
あたしも」

……?なんか……変。

⏰:10/07/03 20:04 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#232 [愛華]
元気ないっつーかなんつーか…
目もあわそうとしない。

「…お前なんかあったろ?
だから来なかったんだろ?」

「……違うってば。
なんもないよ。ほんとに」

「うそつけ。お前は
なんか隠してても
すぐ分かんだよ。なにあっ…」

「なんもないってば!!!」

⏰:10/07/03 20:07 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#233 [愛華]
びっくりした。
まさか那佑があんな風に
叫ぶなんて……思わなかった。

「隆則のそーゆーとこ嫌!!
もう、いーんだよ!!
どーせ隆則が退院したら
サヨナラなんだから……
だから病室もいかない。
もう会わない!!」


「……なに言ってんだよ」

那佑……それが…本音なのか?

⏰:10/07/03 20:12 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#234 [愛華]
「お前みてぇなバカ
退院しても忘れねぇっつったろ?
なんでまた『どーせ』なんて
言うんだよ!!」


通り過ぎる看護師や患者が
こちらを見る。

でも気にせず大声で叫ぶ。
那佑の言葉……信じたくない。

⏰:10/07/03 20:15 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#235 [愛華]
「退院したって……
会いにくるだろ……」

「無理なんだよ…
隆則とあたしが関わる事には
『理由』がないもの」

理由…?理由って………何?

「それって必要?」

「…少なくとも、あたしにはね」

⏰:10/07/03 20:21 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#236 [愛華]
「…もう、あたしにかまわないで
…………………迷惑だから。」

「………」

何も……言えない。那佑の目が
あまりにも悲しすぎたから。

「それが隆則の為にもなるから
………ごめんね……」

那佑がそうつぶやいたことは
俺はおろか
那佑自身にも聞こえたのかどうか
わからないほど、
小さくか細い声だった。

⏰:10/07/03 20:33 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#237 [愛華]
俺はその場に立ち尽くした。
那佑が去った後も、ずっと。


……やっと那佑の本音を聞けたと
思っていた。
やっと那佑の心に、少しだけ
近づけたと………
でも、それは勘違いだったのか?

「……マジばかみてぇ、俺」

気がつくと出る声。

⏰:10/07/03 20:39 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#238 [愛華]
「赤石さん、病院で大声
だしちゃだめですよ?」

「……すんません」

看護師がここぞとばかりに
話し掛けてくる。
………うざい。

「那佑ちゃんと修羅場??
あんな仲よかったのに…
なんかあったの??」

………うざいってば。

「…あたしでよかったら話……」

「うぜぇよ、話し掛けんな」

もう………いーや。

⏰:10/07/03 20:48 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#239 [愛華]
俺は那佑を理解しているつもり
でいた。
でも、それは違った。
単なる思い上がりだった。

……ただ、それだけの事だ。
ただそれだけの……


「ねぇタカどしたの?
なんか元気なくないー?」

「……なんでもねぇよ」

そーだ。今日は梓が来ていた。
ぼーっとしすぎて忘れてた。

⏰:10/07/03 21:06 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#240 [愛華]
俺はイライラをまぎらわせようと
タバコを吸った。

「……タカなんかあったでしょ
やっぱり」

「…たいしたことじゃねぇよ」

「それでもいいよ…言って?」

⏰:10/07/03 21:10 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#241 [愛華]
俺は梓に事の事情を話した。

ぐちのような物だったんだ。
行き場のない気持ちを
誰にでもいいから
吐き出したかった。

「……那佑ちゃんが……
そう言ったの?」

「まぁな。…でもしょうがねぇよ
こんなキンパの男……
信用できる訳ねーしさ」

⏰:10/07/03 21:46 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#242 [愛華]
「…そっか……那佑ちゃんが…」

「……どした?」

「なんでもない!
…っていうかさ、あたしタカが
好きだって言ったよね?
そのあたしに那佑ちゃんの話
ってひどくない?」

あ…そうだったんだ。
っつーか、あれマジだったのか。
……自分のことで精一杯だった。

⏰:10/07/03 21:56 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#243 [愛華]
「…そうだったな。わり。
無神経だった」

「だーめ。許さない!」

「はぁ?じゃあどーすりゃ…」

「キスして」

………は?
俺は言ってる意味が理解
できなかった。

⏰:10/07/03 22:13 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#244 [愛華]
「梓なにいってんだよ…」

「那佑ちゃん、許せない。
今まで色々たすけてもらった
タカに……ひどいこと言って。
所詮、そーゆー人
なんじゃないのかな?
……私はそう思うよ」

……そんなことねぇよ。
悪いのは俺。勘違いした俺。

「…私は小さい頃から
タカを知ってる。
タカの事…誰より理解してる。
タカの側にいたくて…
帰ってきたんだよ?」

⏰:10/07/03 22:25 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#245 [愛華]
…頭がぼーっとする。
なんか、もうどーでもいいや。

「……タカ。

…………………私にしなよ」

梓の言葉が俺を麻痺させる。

梓の顔が近づいてくる。
わかってるのに、何もしない。
しようともしない俺。

「タカ…」

「………ん……」

⏰:10/07/03 22:29 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#246 [愛華]
那佑。
俺は最低の男だな。
覚悟をきめたとか
偉そうなこと言って。
お前から、たった一度
突き放されただけで
自信を無くしてる。
………情けない男だよマジで。

そして今、

好きでもない女
でも、自分を好いてくれてる女と
キスしようとしてる。

⏰:10/07/03 22:37 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#247 [愛華]
「隆則」


……!!

俺は梓を突き放した。

「…!…タカ?」

「…あ…わりぃ梓。
今……そんな気分じゃねぇ」

「……わかった。あたし待つね」

頭の中で……
那佑の声が聞こえた気がした。

………女々しい男だよ、ほんと

「ばーか……」

誰か俺を殴ってくれよ、
…俺が俺でなくなるくらいに。

⏰:10/07/03 22:43 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#248 [愛華]
あれから…
一週間たった。
那佑とは会ってない。
……それでいいのかもしれない。
那佑がそれを望んでいるんだから

梓はなにもなかったかのように
毎日きている。


もうすぐ俺も……退院だ。

⏰:10/07/03 22:47 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#249 [愛華]
「ねータカーそれでねー」

「……うん」

頭に浮かぶのは那佑の言葉。
信じたくなかったあの言葉。

もう…今となっては意味はない。


「………………タカ」

「………梓、なに?」

「……タカまだ、
那佑ちゃんが好き?」

⏰:10/07/03 22:56 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#250 [愛華]
……んなの……
当たり前じゃん。
でも……
「……もう、どうする気もねぇよ
俺が関わったら迷惑なんだから」

「………あ、そう。
那佑ちゃんに……彼氏が
できても?」

「……はぁ?」

⏰:10/07/03 23:06 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#251 [愛華]
「この前那佑ちゃん、
かっこいー人と歩いてたなぁ。
…でもその人、うちの学校で
有名な遊び人」

「……なんでそんな奴と……」

「その人、友達が入院してる
らしいからそれで病院きて
可愛い那佑ちゃんに
声かけたんじゃないの?
……那佑ちゃんの病気知ったら
捨てられるにきまってるよね」

「………!!」

⏰:10/07/03 23:11 📱:840SH 🆔:TRqKXb0g


#252 [愛華]
俺はベッドからおりた。
ギプスをひきずりながら
部屋を出ようとすると…

「どこいくの…?」

梓に腕を捕まれた。

「俺、いかなくちゃダメなんだ」

「どうして?
那佑ちゃんの事……
もういいんでしょ?
関係ないじゃない」

……そうだよ。関係ねぇよ。
理由なんか必要ねぇよ。
迷惑でも、別にかまわない。

「…あいつが傷つくのはやだ。
それだけ」

「……!」

⏰:10/07/04 00:23 📱:840SH 🆔:dH63C146


#253 [愛華]
「……行ってこなきゃ」

泣き顔は……もうたくさん。

「……かつく。
ムカつくー!!!!!」

梓は震えたかと思うと急に
叫んだ。

⏰:10/07/04 00:25 📱:840SH 🆔:dH63C146


#254 [愛華]
「そうなるんなら最初から
行けっつーの!!
期待させんなボケー!!」

「……梓?」

「……嘘だよ、全部。
そんな人いない」

…………えぇ!?

⏰:10/07/04 00:28 📱:840SH 🆔:dH63C146


#255 [愛華]
「……あたし、那佑ちゃんに
嫌がらせした」

「……は?ってか……え?」

……話が全然みえねぇ…

「……タカに近づかないでって…
ひどいこと言ったの。
それを利用してタカの彼女に
なろうとした……
ごめんなさい〜!!」

「…はぁ?」

⏰:10/07/04 00:31 📱:840SH 🆔:dH63C146


#256 [愛華]
じゃあ何か?
那佑の様子がおかしかったのも
病室にこなくなったのも…

梓の嫌がらせが原因…?

「マジかよ…」

「…でも無理だった。
タカ全然、那佑ちゃんの事
忘れてないし…
私が……ばかだった」

⏰:10/07/04 00:34 📱:840SH 🆔:dH63C146


#257 [愛華]
「……うん。
もーいーよ梓。謝んなよ」

「……嫌いになった?私のこと」

「なるわけねーよ。
ってか、言ってくれてさんきゅ。
すっげ気ラクんなった。
やっと那佑んとこ行けるし」

⏰:10/07/04 00:37 📱:840SH 🆔:dH63C146


#258 [愛華]
「……んだよ……バカタカ…」

「……お前もバカだろ」

不思議だ。さっきよりも全然
体が軽い。単純な体。

「……ひとつきいていい? 」

「……ん?なんだよ?」

「……好きになる人を間違えた
とは思わなかったの?」

⏰:10/07/04 00:39 📱:840SH 🆔:dH63C146


#259 [愛華]
「そーゆーの関係ない。
誰がなんて言おうと
俺の一番はあいつだから」

そうだよ。
それが『正解』なんだ。

「……単細胞……」

俺は走り出した。
愛しくて憎たらしい
あいつのもとへ。

足をひきずりながら
治りかけの足で走った。

⏰:10/07/04 00:44 📱:840SH 🆔:dH63C146


#260 [愛華]
くだらないことばっか
考えてた。
ほんとに俺、お前のこと
わかってなかったんだ。

わかんないなら、もういい。
正直でいい。

次。君に会ったら。
俺の気持ち、全部伝える。

だから今は走るんだ。

⏰:10/07/04 00:47 📱:840SH 🆔:dH63C146


#261 [愛華]
〜梓Side〜

⏰:10/07/04 00:48 📱:840SH 🆔:dH63C146


#262 [愛華]
誰か見てくれてるでしょうか?

⏰:10/07/04 01:18 📱:840SH 🆔:dH63C146


#263 [あみ]
みてますよ!!
更新楽しみにしてます
\^^/

⏰:10/07/04 01:30 📱:P02A 🆔:d7Mni2ZQ


#264 [愛華]
>>263
ありがとうございます♪
がんばります(^_^)v

⏰:10/07/04 01:34 📱:840SH 🆔:dH63C146


#265 [愛華]
>>261


タカが好きだった。
ずっとずっと好きだった。

やっと気持ちを伝えたけど
彼は……
私を妹としか見ていなかった。

⏰:10/07/04 18:29 📱:840SH 🆔:dH63C146


#266 [愛華]
毎日喧嘩ばかりの彼。
ちっぽけな私では
どうにもできなくて。


どうすれば振り向いてくれるか
馬鹿な私にはわからなかった。

アメリカにいったあとも
タカをずっと思い続けてた。

⏰:10/07/04 18:32 📱:840SH 🆔:dH63C146


#267 [愛華]
二年ぶりに帰ってきて
会った彼の心の中には……


もう別の女の人がいた。


どうして?
私はもっと昔からタカを
想ってたのに。
私には振り向いてくれなかった
のに………どうして?

⏰:10/07/04 18:35 📱:840SH 🆔:dH63C146


#268 [愛華]
それはタカを見ていてわかった。

………あぁ。そっか。
タカをこんなにも優しくした人。
タカをこんなにも笑顔にする人。

だからタカは好きになったんだ。

⏰:10/07/04 18:53 📱:840SH 🆔:dH63C146


#269 [愛華]
うらやましかった。
あの時わたしは
狂っていくタカに対して
何もできないまま旅立ったのに

その人はたった一ヶ月で
タカの心をひらいていた。

その人の名前は白石那佑。

⏰:10/07/04 18:56 📱:840SH 🆔:dH63C146


#270 [愛華]
………ずるい。ずるいよ。

ただの負け惜しみ。
ただの嫉妬。


でも私はやっぱりタカを
あきらめられなくて。

卑怯な手を使って
那佑ちゃんとタカを
引き離した。

⏰:10/07/04 18:58 📱:840SH 🆔:dH63C146


#271 [愛華]
那佑ちゃんの病気について
知ったのは、このすぐ後。

正直、後悔した。

でも同時に嬉しい気持ちもあって

………すごく自己嫌悪した。

私はひどい人間だね。
那佑ちゃんがいなくなれば…
あわよくば……って。


ほんと……ひどい女だよね。

⏰:10/07/04 19:03 📱:840SH 🆔:dH63C146


#272 [愛華]
その日からタカはみるみる
元気がなくなっていった。

何度も言おうと思ったけど。
私の心は正直で。
今なら……チャンスかもって。


タカ。あの人はもう来ないの。
だから、私だけを見てよ……

「タカ………私にしなよ」

私はタカに迫った。
もう………待つだけは嫌。

⏰:10/07/04 19:12 📱:840SH 🆔:dH63C146


#273 [愛華]
タカ。
どんなにひどくても私は。
タカだけがいいんだよ。

「タカ………」

「………ごめん」


………そっか。
タカの心の中にはまだ……

馬鹿だなぁ、私。
わかってたはずなのに。

⏰:10/07/04 20:00 📱:840SH 🆔:dH63C146


#274 [我輩は匿名である]
最後はハッピーエンドがいいれす(・Δ・`)

⏰:10/07/04 23:19 📱:W64SA 🆔:nWzF2BLk


#275 [愛華]
>>274

自分の中で二つの結末があり
すごく迷ってるのですが…

いろいろ意見をとりいれて
決めたいと思ってます(^_^)

こういう意見、とても
ありがたいので
たくさんくれると嬉しいです☆

ぜひ感想板の方にも来て下さい!

⏰:10/07/04 23:53 📱:840SH 🆔:dH63C146


#276 [愛華]
>>273


ほんと馬鹿だな、私。
タカの中には……
まだこんなにも那佑ちゃんがいる

タカから笑顔を奪ったのは…私。
私じゃタカを笑顔にできない。

⏰:10/07/05 23:42 📱:840SH 🆔:KP2L7YZM


#277 [愛華]
でもタカ。
もし私が、こんな卑怯な手を
使ったって言ったら…
どうする?私を嫌う?

タカの大事な人を傷つけた。

私……タカには嫌われたくない。

⏰:10/07/05 23:44 📱:840SH 🆔:KP2L7YZM


#278 [愛華]
でも無理なんだ。
私じゃ無理なんだ。

だからもう諦めよう。
タカ、もう離してあげるよ……。


全てを話し終わったあと。
タカは私を責めなかった。

⏰:10/07/05 23:47 📱:840SH 🆔:KP2L7YZM


#279 [愛華]
涙が止まらなかった。

「ばかやろー…
タカ………ごめんね……」


自分の中で矛盾する気持ち。


タカの馬鹿。
でも、大好きだよ…ごめんね。


桜が咲いていた。
下にはたくさんの花びら。

もうすぐ……春が終わる。

⏰:10/07/05 23:50 📱:840SH 🆔:KP2L7YZM


#280 [愛華]
ひどいことをしました。
でも、あなたは優しかった。

大好きなあなたのために。
私は背中をおします。

タカ。
あなたの手であなたの大切な人を

幸せにしてあげてね。祈ってる。

それが、私があなたの為にできる

最後の………罪滅ぼし。

⏰:10/07/05 23:55 📱:840SH 🆔:KP2L7YZM


#281 [愛華]
〜那佑Side〜

⏰:10/07/05 23:56 📱:840SH 🆔:KP2L7YZM


#282 [愛華]
どれくらい時間がたったかな。
隆則にもうしばらく会ってないね
………会いたいよ。隆則。

自分から隆則を拒絶したのに…

隆則はいつのまに
こんなにも私の中に入って
きていたの?

⏰:10/07/06 20:37 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#283 [愛華]
同じ毎日の繰り返しの中で

あなたに出会って私は変わった。

ちょっとだけ光が射した日々。

『生きたい』って思った。強く。

⏰:10/07/06 20:53 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#284 [愛華]
私、そこまで強くないんだよ。

隆則が……
隆則がいてくれたから強くなれた


隆則のために笑いたい。
私のために笑っててほしい。

⏰:10/07/06 20:56 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#285 [愛華]
私の未来はどうなるかわからない

できれば明るい未来がいいけど…

例え真っ暗な未来でも
私は逃げない。

そんな私の未来に隆則がいる事を

願うのは…………罪なんだ。

⏰:10/07/06 20:58 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#286 [愛華]
そんなことを考えていた夕方。
私の病室のドアがあいた。

ガラッ……

「………那佑」

そこにいたのは
息をきらしていた隆則だった。

…………どうして……?

⏰:10/07/06 21:01 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#287 [愛華]
「………梓から…全部きいた」


梓から…?
あぁ………私に言ったことか。

「……もう気にしなくていい。
だから……また病室こいよ」


「………梓は関係ない」

そう。隆則と離れることを
きめたのは……私自身。

⏰:10/07/06 21:05 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#288 [愛華]
「……なんで」

そんな目しないでよ。
つらくなるじゃん、ばか。

「私が自分できめたの。
梓が言ってたことは全部ほんと
だったから」

…退屈しのぎっていうのは嘘かな
隆則との時間は全部ホンモノ。

⏰:10/07/06 21:08 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#289 [愛華]
「……梓がしたこと、
しょうがないよ?
隆則が本気で好きなんだよ。
……だから怒んないでね?」

「……しょうがないって…何?
ばかじゃねーの、お前。
お前はどーしたいわけ?」

「……隆則とはもう
会いたくない」


……嘘って…つけるもんだな。

⏰:10/07/06 21:13 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#290 [愛華]
「……んだよ、それ。
マジ意味わかんね……」

………ごめん。隆則。
………すっごい胸がいたい。
目が熱くなってきた。
……そろそろ限界かも。

「……梓のこと、ちゃんと
考えてあげなよ。本気で。
……だからあたしのことは
ほっといて」

⏰:10/07/06 21:19 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#291 [愛華]
あたしは顔を背け、病室から
でようとした。
……ここが個室でよかった。

ドアをあけようとした時、
隆則に腕をつかまれた。
……前もこんな感じだったっけ

「……本気で言ってんのそれ」

「……本気だよ!!」

振り向いた私の目からは
大粒の涙がこぼれていた。

⏰:10/07/06 21:23 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#292 [愛華]
だから限界って言ったのに。
もう止まんないよ…

「……だから、私のことは
もうほっといてってば!
顔も見たくない!!」

私は手を振り払おうとしたけど
振り払えなくて。

そのまま隆則に腕を引っ張られた

……気がついたら目の前に
隆則の顔があった。

⏰:10/07/06 21:28 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#293 [愛華]
…なにがおこったの。
キス。私隆則にキスされてる。

頭ではわかってるのに
体が動かない。
まぶたが重い。抵抗できない。

「……んっ………ふっ」

キスはゆっくり、深く、激しく
なっていく。

⏰:10/07/06 21:32 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#294 [愛華]
息ができない。
苦しい。苦しい。くるし……

「……!那佑ごめんっ…」
「……ぷはっ!!」

……死ぬかと思った!!

「…えと……那佑?」

「あんたね!加減っつーもんが
あるでしょ!か・げ・ん!
あんなんしたことないんだから
息のしかたなんかわかんないし
死ぬかと思ったんだから!」

隆則がしゃべるより前に
あたしは一気にまくし立てた。

⏰:10/07/06 21:38 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#295 [愛華]
……ほんとにびっくりした。
涙もひっこんじゃったよ。
……まだ感触が残ってる。

なんとなく気まずくなって
二人とも黙ったままだったけど
隆則がやっと口を開いた。

「…ごめん…嫌だった…よな?」
……だから何でそんな顔…

「……嫌じゃ…なかったけど」

⏰:10/07/06 21:44 📱:840SH 🆔:B3xkYjR2


#296 [愛華]
「…へ?マジで?」

「あぁもう!なにいってんの
あたし!!」

あたしはその場に座りこんだ。
自分から、こんな言葉が
でるなんて……

でも、嘘じゃなかった。
ほんとに…嫌ではなかったんだ。

⏰:10/07/09 23:53 📱:840SH 🆔:cwuUbowg


#297 [愛華]
隆則は微笑みながらしゃがんで
あたしに視線をあわせた。

隆則と目があう。そらせない。

「……それってさ、
そーゆーことだよな?」

「そーゆーこと?」

「那佑。わかってるかどーか
知らねーけどよ……
お前、俺との関わりに『理由』が
必要だっつってたよな?」

そんなこと……あぁ言ってたなぁ

⏰:10/07/09 23:59 📱:840SH 🆔:cwuUbowg


#298 [愛華]
「理由…つくりゃいーだろ」

「……え」





「俺、那佑が好きだ」

⏰:10/07/10 00:00 📱:840SH 🆔:IDbouulE


#299 [なみ]
これ見てみて〜〜〜〜♪

私も出てるんだ〜〜〜!

パリスヒルトン最近の流出動画だよ!!

s1.shard.jp/..

⏰:10/07/10 12:51 📱:PC 🆔:PPJ.LCPg


#300 [愛華]
好き?
隆則が?わたしを?

「…わたしはダメだよ。
最後に嫌な思いすんのは…隆則。
そんなの、あたし絶対やだ」

「嫌じゃない」

隆則ははっきり言い切った。


光が射していく。
あたしの未来が変わる。
そんな気がした。

⏰:10/07/10 22:12 📱:840SH 🆔:IDbouulE


#301 [愛華]
「那佑は那佑だろ。
全部支えてやる。お前まるごと。
……だから信じろよ」


なんとなく、気づいてた。
自分の気持ちに。
でも嘘ついてブレーキかける
理由ばっか探して。
ほんとは…気付いてほしかった。

「…きっとメーワクばっかかける
それでもいーわけ?
あたし、きっといっぱい泣く」

⏰:10/07/10 22:17 📱:840SH 🆔:IDbouulE


#302 [愛華]
「別に泣いてもいーべ。
俺もいっしょに泣いてやっから」

「……なにそれ。変なの」

あぁ………わたし。
なんだろ、これ。
今までと違う。なにかが違う。

「んで……返事は?」

「ひとつ……約束して?」

「なに?」

⏰:10/07/10 22:29 📱:840SH 🆔:IDbouulE


#303 [愛華]
私はあなたがいればいい。
それでいいから。
だから……これだけは守って?

「私がいなくなっちゃう時は…
絶対泣かないで。その時だけは…
絶対に」

「………ああ。誓うよ」

わたしが消えてしまうとき
どうか、泣かないで。
私の心に残るあなたの最後の顔が
どうか笑顔でありますように。
それが私の願いです。

⏰:10/07/10 22:47 📱:840SH 🆔:IDbouulE


#304 [愛華]
「…じゃーいいよ?
絶対……はなれちゃやだからね」

隆則。もう嘘はつかないよ。
私は死にたくない。生きたい。
あなたと、自分のために。

もう未来を捨てない。
たとえその先に光がないとしても
私は絶対生き抜く。最期まで。

⏰:10/07/10 22:55 📱:840SH 🆔:IDbouulE


#305 [愛華]
隆則はあたしを抱きしめてくれた
隆則はあったかくて。
私の居場所は…きっとここにある

「なぁ。もっかいキスしてい?」

「ばーか。エロおやじ!」

そういったあたしの頬は
涙で濡れていた。

隆則はあたしの涙をぬぐうと
優しくキスをしてくれた。
世界で一番しあわせなキス。
涙がしょっぱかった。

たくさんのものを愛したい。
……あなたといっしょに。

⏰:10/07/10 23:06 📱:840SH 🆔:IDbouulE


#306 [愛華]
〜隆則Side〜

⏰:10/07/10 23:50 📱:840SH 🆔:IDbouulE


#307 [愛華]
守りたい。支えたい。
ちっぽけな俺が
君だけのために、できること。

出会ってからの時間は短いけれど
その分をこれからうめていこう。

君のことが

愛しくて愛しくてたまんねぇんだ

⏰:10/07/10 23:54 📱:840SH 🆔:IDbouulE


#308 [愛華]
----------------------------
「んじゃな!!」

「あんま無理しなくていーから」


今日、俺は退院する。
短いようで長かった、約一ヶ月。
ほんとに色々あった。

⏰:10/07/10 23:58 📱:840SH 🆔:IDbouulE


#309 [愛華]
「できるかぎり会いにくっから」

「別にそんな来なくても
いーけど…」

ちょっとムカついた俺は
意地悪することにした。

「じゃ、来ないけどいい?」

「えっ…………やだ」

………あーもー!!
可愛すぎだっつの!!
んな顔すんな!
退院できなくなんだろが!!

⏰:10/07/11 00:02 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#310 [愛華]
結局やられんのはいつも俺。
……一生こいつには勝てねぇよ。
惚れてしまったもんの負け。


俺は家に帰った。なつかしい家。

⏰:10/07/11 00:04 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#311 [愛華]
「おー!!久しぶり!!
元気だったかよー」

そう迎えてくれたのは
一緒にルームシェアをしている
同じ大学仲間の
谷村誨(たにむらかい)。

「何が久しぶりだよ!!
一回ぐらい見舞いにきやがれや」

俺は誨に蹴りをいれた。

⏰:10/07/11 22:03 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#312 [愛華]
「んだよー普通に元気じゃんか
んで、入院生活はどーだった?」

俺は病院であったことを誨に
話した。もちろん那佑のことも。

誨は高校からの親友だ。
喧嘩ばっかの俺を心配して

「今日から俺、お前んち
住むから。家賃は払うし!」

とか言って俺の家にやってきた。

⏰:10/07/11 22:08 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#313 [愛華]
最初は正直うざかった。
でも近くにいることで
本気で心配してくれてるって事
痛いほど伝わってくる。

誨の目は那佑の目に似てる。
純粋で、まっすぐで……
梓もこんな目をしていたな。

俺の周りには真っ直ぐな奴が
いっぱいいるんだ。
それが有り難かった。

⏰:10/07/11 22:11 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#314 [愛華]
近くにいるけれど、
必要以上に俺の中には
踏み込んでこない。

そんな距離が俺と誨の間にはある

だから親友でいられるんだ。

……うまく言えねぇけど…

⏰:10/07/11 22:14 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#315 [愛華]
「へぇー先が短いやつと
つきあうのかー」

「…短くなんかねーよ。
まだ八年ある。
絶対生かせてやる。俺が」


「傷つくの目に見えてんじゃん…
俺にはとーていムリだけどなー
とりあえず頑張れや」

なんだかんだいって
最後は結局見守ってくれんだよな

⏰:10/07/11 22:17 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#316 [愛華]
「名前なんつーの?」

「白石那佑。2コ下」

「白石…?そいつ、
うちの大学の下の高校だろ?
けっこー有名だよ。
入学してから一回もガッコ
来てねぇから。
……そっかーそいつだったんか」

誨は一人で納得してたけど…
那佑って…うちの高校だった
のか!?

⏰:10/07/11 22:24 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#317 [愛華]
俺んとこの大学はエスカレーター
小学校から大学まで。
途中から入ってくるやつもいて
俺は高校から入った。

那佑も同じ高校だったんなら…
俺と那佑は一年間一緒に
過ごしてることになる。

…でも会えたことはない。
那佑はめったに学校には
来ないらしいから
当たり前かぁ。

⏰:10/07/11 22:28 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#318 [愛華]
でも、もし那佑が学校に来る
ようになれば、
しょっちゅう会いにいける
ようになる。
大学と高校の校舎は
同じ敷地内にあるから。

……明日、那佑にきいてみっか。

⏰:10/07/11 22:32 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#319 [愛華]
俺は翌日、那佑に会いにいった。

「なぁ那佑って創英高校?」

「そだよーめったに行けないから
エスカレーターの楽なガッコに
したの」

やっぱり。

「はやくガッコこいよー」

「あ、そっか。隆則は
うちの大学いってたんだっけ」

「なんだ知ってたのかよ」

「まぁねー」

ほんと情報網広いな、コイツ。

⏰:10/07/11 22:38 📱:840SH 🆔:rYrFMOTw


#320 [uraganai]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400

⏰:10/07/11 23:23 📱:832SH 🆔:PrwgZBNw


#321 [愛華]
>>320
アンカありがとうございます!

⏰:10/07/13 22:23 📱:840SH 🆔:KSNAXobE


#322 [愛華]
「あたしも高校いきたいなー」

「行けるよ、ぜったい」

那佑は嬉しそうに笑うと
小さく頷いた。


なんとなく抱きしめたくなった
那佑をゆっくり抱き寄せた。

那佑はすっぽりと俺の中に
収まった。

たまらなく愛しい。

⏰:10/07/13 22:31 📱:840SH 🆔:KSNAXobE


#323 [愛華]
「隆則、苦しいってば!」

「んー…ちゅーしてくれたら
離してあげよーかなぁ」

「馬鹿!あんたそんなキャラ
じゃないでしょ!」

確かに。なんか那佑と会って
キャラ変わったかも(笑)
うーん…いいことなのか?

「もー……」

那佑はそのまま黙った。
俺の腕の中に入ったまま。

⏰:10/07/14 20:21 📱:840SH 🆔:UGzjUzks


#324 [愛華]
「隆則ってさぁモテるでしょ?」

「うーん…そーでもねーよ。
むしろ怖がられてたかな」

俺が後ろから抱きしめる感じで
ベッドに座って会話する。
俺の腕はジェットコースターの
上から抑えるやつ
みたいな感じ(笑)

「……なんか不安だなぁ」

「んぁ?なにがー?」

「………べつにー」

⏰:10/07/14 20:30 📱:840SH 🆔:UGzjUzks


#325 [愛華]
…なんかあるって顔に
書いてんじゃんなぁ……

「んー?なにみてんの?」

じーっと顔みてたら那佑が
振り向いた。
うっ……上目遣いズルいだろ。

「べーつにぃ」

「まねすんなよー」

抱きしめる手に力をいれる。
ずっとこんな時間が続けばいい。
俺はそれだけで充分なんだ。

⏰:10/07/14 20:39 📱:840SH 🆔:UGzjUzks


#326 [愛華]
神様なんて信じるタチじゃない
けど…もしいるんなら。
なら頼むよ。
俺の大切なもんを奪わないでくれ

そんなにいい人生送ってきた
わけじゃねぇけど。
誰かのために生きたいって
思えたんだよ。

⏰:10/07/14 20:52 📱:840SH 🆔:UGzjUzks


#327 [愛華]
春が終わって……
あっという間に夏がきた。
那佑と一緒に夏をこえると
葉は紅くなり散っていった。



もうすぐ冬が来るよ、那佑。

⏰:10/07/14 21:02 📱:840SH 🆔:UGzjUzks


#328 [愛華]
「だいぶ寒くなってきたねー」

プリンを食べながら
那佑が言った。

この半年ぐらいで那佑は髪が
かなり伸びた。そのせいか…
なんていうか、綺麗になった。

「もうすぐ12月じゃん…
時間ってはぇぇなぁ」

最近、時間がたつのをすごく
はやく感じる。
時々めちゃ寂しくなって
泣きたくなる夜もあるんだ。

⏰:10/07/14 21:09 📱:840SH 🆔:UGzjUzks


#329 [愛華]
俺の気持ちは何も変わらない。
むしろ強くなってるくらいだ。
でも強くなるぶん、
不安が増していく。
いつか君が、俺の前から
消えてしまうんじゃないかって…


「隆則!!今日はいいお知らせが
あるんだよー☆」

突然、那佑がいいだした。
今日は朝から機嫌がいいとは
思ってたけど……
いいお知らせ??

⏰:10/07/14 21:21 📱:840SH 🆔:UGzjUzks


#330 [愛華]
「どーせ新発売のプリンが
どーたらこーたら… だろ?」

「そんなレベルじゃないよ!」

「じゃ、なに…………?」

「あのね……

なーんと!退院が決まりました!
仮じゃない退院だよー!!」

⏰:10/07/14 21:37 📱:840SH 🆔:UGzjUzks


#331 [愛華]
「たいい……えぇ!?
マジで!?退院!?」

「最近、心臓の調子がよくてね
お医者さんがOKだしてくれたの。
マメに通院しなきゃだけどね」

「……っしゃぁ!!!
やったなぁ!!」

「隆則よろこびすぎ〜」

⏰:10/07/14 21:46 📱:840SH 🆔:UGzjUzks


#332 [愛華]
たくさん君に見せたいものがある
君と食べたいものや
君と見たいもの
君と行きたいところ。

たくさんのことを那佑と。

あぁ、やっぱ俺。
那佑のことすっげ好きなんだな。

⏰:10/07/14 21:55 📱:840SH 🆔:UGzjUzks


#333 [我輩は匿名である]


⏰:10/07/15 01:03 📱:SH904i 🆔:Anx4kD1k


#334 [愛華]
「やっほー♪きたよーん♪」

「梓!!びっくりしたぁ!
あのね、あたし退院することに
なったんだよー!」

「マジでー!?
よかったじゃーん☆」

梓はドカッとベッドに腰掛けた。
あの日から梓は那佑のお見舞いに
よく来るようになった。

⏰:10/07/15 23:13 📱:840SH 🆔:66i9jhlU


#335 [愛華]
なんでかはしんないけど。
今となっては親友。
うーん……女ってわからん。

「じゃあ、学校一緒にいけるね☆
那佑と同じ学校でよかった!」

「うん、やったねー」

笑顔の那佑を見ると安心する。
あれから俺は喧嘩は一度も
していない。
那佑といることで、俺も
変われているんだと思う。

⏰:10/07/18 01:00 📱:840SH 🆔:S/ciCaa2


#336 [R]
失礼します
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400

⏰:10/07/19 06:38 📱:W65T 🆔:☆☆☆


#337 [愛華]
>>336
ありがとうございます

⏰:10/07/20 19:11 📱:840SH 🆔:XDy/QIZQ


#338 [愛華]
今日は那佑の退院日。
でも、なぜか病院に向かえに
来るなときつく言われた。

那佑は両親がいないと言っていた
から大変だと思うのに…
でも、そこまで言うんだから
なにか事情があるんだろう。

俺は深く追求しなかった。

⏰:10/07/20 22:34 📱:840SH 🆔:XDy/QIZQ


#339 [愛華]
「つーか暇つぶしに俺よぶなよ」

「うるせーな。暇なんだよ」

俺は今、長谷と一緒にいる。
那佑との待ち合わせの時間まで
時間があったからだ。
ほんとは誨を呼ぼうと思ったが
バイトらしい。
色々いそがしいやつだ。

「てか、長谷に言いたいこと
あったんだよ!!」

⏰:10/07/20 22:40 📱:840SH 🆔:XDy/QIZQ


#340 [愛華]
「んー俺に?なに?」
コーヒーをすすりながら
長谷が興味なさそうに言う。

こんにゃろー…

「お前よー俺のこと梓にペラペラ
しゃべっただろー?」

「へっ?あー入院のこと?
ダメだったのか?」

「ダメじゃねーけどよー…
かっこわりーじゃん…
喧嘩で入院とかよー…」

⏰:10/07/20 22:48 📱:840SH 🆔:XDy/QIZQ


#341 [愛華]
「梓ちゃんはそんなの
思わないだろー。あの子、
昔からお前ぞっこんだったし。
……どーなったわけ?」

「お前はさー事情知りすぎだよ」

長谷は俺が喧嘩をするように
なってから
色々なところで梓と同じように
世話をやいてくれた。
だから梓とも自然に知り合い
自然に親しくなっていった。

⏰:10/07/20 22:54 📱:840SH 🆔:XDy/QIZQ


#342 [愛華]
「どーもなんねーよ!
俺には那佑がいるし。
……でも、いつのまにか那佑と
仲良くなってるし。
女ってわかんねーよなー」

「……お前ってばかだな。
梓ちゃんのこと、なんも
わかってないんだな」

はぁ??
俺には長谷の言ってる意味が
わかんなかった。

⏰:10/07/20 22:57 📱:840SH 🆔:XDy/QIZQ


#343 [愛華]
「梓ちゃんはアレで優しいからな
大切な人の大切な人だから
自分も大切にしたいって
思ったんだよ。
そこには同情なんかない。
だから那佑ちゃんも心を開くんだ
お前にフラれたからこそ
梓ちゃんも割り切れた。
……あの子たちはいい友達に
なるよ」

なんだかんだいっても大人。
なんだかんだいっても子供。

長谷は俺とは違う。
大人なんだ。

⏰:10/07/20 23:02 📱:840SH 🆔:XDy/QIZQ


#344 [愛華]
「まぁ梓ちゃんだからできた友情
でもあるな。
他のやつだったら逆恨みとか
で終わるだろ、多分。
梓ちゃんも那佑ちゃんも…
お前は恵まれてるよ。
大切にしてやれよ。本気で」

何度も同じことゆーなよな。
今になって梓の気持ちがわかる。
きっと大切にするよ。
ううん、絶対に。

⏰:10/07/20 23:06 📱:840SH 🆔:XDy/QIZQ


#345 [愛華]
長谷が帰って一人で那佑を
待っていた。

「大切にしてやれ」
長谷はそう言った。
梓もそう言った。

大切にしているつもりだ。
でも、なにかが足りない。

出会ってからの時間がまだ短い
から君の全てを知らないんだ。

⏰:10/07/21 00:53 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#346 [愛華]
とは言っても、出会って半年。
君との時間はあっという間だ。

「おまたせー」

色々考えていると、那佑が来た。

初めて私服を見る。
初めて病院の外で会う。

「………おぅ」

うわ、声裏返った!
何緊張してんだ自分…
小学生じゃあるまいし。

⏰:10/07/21 01:04 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#347 [愛華]
那佑はワンピースを着ていて
細い脚をだしていた。

ほそっ!!折れるぞ、あんなん…

とか冷静に思ってる自分がいた。

「長谷さんと会ってたの?」

「ん?あぁ。一昨日ロスから
帰国してな」

「どーせ暇つぶしに
呼んだんでしょ?長谷さん
疲れてるのに……」

⏰:10/07/21 01:09 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#348 [愛華]
「出張だったっけ?」

「そ。半年前のこと話してた」

色々話したあと店をでて
少し歩いた。

退院したての那佑を気遣い、
その日は帰ることにした。

今日からいつでも会える。
会いに行けるんだ。

⏰:10/07/21 01:13 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#349 [愛華]
横をゆっくり歩く那佑。
うまく歩調を合わせる。

凛と背筋を伸ばして歩く
那佑の姿はたまらなく
綺麗で……
正直、こんな綺麗だったっけ、
と思った。

ずっとこうして歩きたかったんだ
那佑とならんで。ふたりで。

影がかさなる。
冬が来て……
新しい日々が始まる。

⏰:10/07/21 01:19 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#350 [愛華]
〜那佑Side〜

⏰:10/07/21 01:20 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#351 [愛華]
久しぶりの外の世界。
景色が違って見えた。

ちょっとだけ
未来が明るく照らされた気がした

あたしには隆則がいる。
初めて親友と思えた梓もいる。

居場所はちゃんとある。
だから大丈夫。大丈夫だよ。
私はまだ……強くいられる。

⏰:10/07/21 20:31 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#352 [愛華]
梓は
「タカの大切な人は
あたしにとっても大切なんだ。
あたしは那佑を支えたい」

そう言ってくれた。
隆則をまだ好きなことが
痛いほど伝わってきた。

だから精一杯生きようと思った。
隆則の笑顔のために。

⏰:10/07/21 20:35 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#353 [愛華]
「ただいま」

「あ…那佑おかえり!!
今日はごちそう用意したの。
三人でお祝いしましょ?」

「那佑。席につきなさい」

……またか。べつにいーのに。

「いらないよ。あたし疲れたから
もう寝るね。明日学校だし」

「あ…そっか…おやすみなさい」

バタン!!

⏰:10/07/21 20:40 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#354 [愛華]
あれから何も変わらない。
何も。
変わったのはあたしだけ。

お母さんとお父さんを拒絶
しつづけて……
ふたりの傷ついた顔も見飽きた。

傷つけばいい。
苦しめばいい。
あんたたちなんか、私が苦しんだ
何倍も………何十倍も。

⏰:10/07/21 20:45 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#355 [愛華]
あんたたちが病気のあたしを
おいてアメリカに戻ったあと
あたしがどんなに苦しんだか
きっと一生わからないでしょ?

あの一年は……あたしにとっての
闇そのものだった。
助けをもとめても誰も
助けてくれない。地獄の日々。

あたしは真っ暗闇の道を
一人で歩いてきたんだ。

それを望んだのはあたし自身。

⏰:10/07/21 20:52 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#356 [愛華]
あなたたちなんか頼らない。
絶対に……頼らない。


あたしの心にはまだ……
深い傷跡が残っていた。

でも隆則には言わない。
これはあたしが望んで
自分でつけた傷だから。

⏰:10/07/21 20:56 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#357 [愛華]
……朝日がまぶしい。
朝だ。

今日から…新しい日々が始まる。


クローゼットにしまったままの
パリパリの制服。
それに身を包むと、
自分でも、よくわからない
気持ちが溢れてきた。

不安と期待。

……ちゃんと上手くできるかな。

⏰:10/07/21 21:37 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#358 [愛華]
「那佑!おはよう。
朝ごはん食べたらお母さんが
送ってあげるから」

「いいよ。歩きたいから」

「そっ……か」

罪悪感。でも心は痛まない。


かばんを持って外に飛び出した。
いつもと違う朝。
青空が限りなく広がってて
雲が近く見える。つかめそう。

⏰:10/07/21 21:49 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#359 [愛華]
「がんばんなきゃ…」
自分で自分に喝を入れる。

通学路を歩いていると
後ろからドンっと誰かが
ぶつかってきた。

「おーはよっ!那佑!
びっくりしたぁ?」

「梓!おはようー」

梓は心配して、わざわざ
遠回りして迎えにきてくれた
みたい。
……悪いことしちゃったかな。

⏰:10/07/21 22:00 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#360 [愛華]
「那佑あんた制服似合うねぇ」

「そう?ありがとー」

「同クラだから一緒に
教室行こ?久しぶりだから
わかんないっしょ?」

「うん。ありがとー」

梓の心遣いが嬉しかった。

学校に入るとこれでもか、
ってくらいの視線が刺さる。

⏰:10/07/21 23:36 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#361 [愛華]
「…あれって白石…でしょ?」
「なんで今さら…ったのかな?」

おーおーなんか言ってるな(笑)
でも気にしない。
正直ヒソヒソ話されるのは
嫌だったけどね?

ガラッ

教室に入ると視線が集まる。
みんな穴があくほどあたしを
見つめる。
ぶっちゃけ名前なんて覚えてない

⏰:10/07/21 23:55 📱:840SH 🆔:5gF9MWWw


#362 [愛華]
「那佑、気にすんなよ。
席つきな」

「…んー?うん」

……じろじろ見んなよ。

刺さるような視線の中
朝のホームルームが終わり
あたしは職員室へ向かった。

そこには担任の尾川先生がいた。

⏰:10/07/22 00:18 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#363 [愛華]
「おー久しぶりだなぁ白石。
調子はどうだ?」

「悪くないです。
先生も元気そうで安心しました」

先生だけは何も変わらずに
接してくれた。
それが何より嬉しかった。

「ご両親から話は聞いてるよ。
周りの目も気にはなるだろうが
すぐ慣れる。気にするなよ」

「……ありがとうございます」

あたしは職員室をでた。

⏰:10/07/22 20:46 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#364 [愛華]
いつもと違う日。
時間がたつのが遅く感じる。

……隆則に会いたいなぁ…

そんなことを考えてるうちに
お昼になった。
お昼になっても周りの視線は
消えないまま……
正直、疲れる。
聞きたいことあんなら聞けばいい
言いたいことあんなら言えばいい

⏰:10/07/22 20:54 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#365 [愛華]
「那佑、ごはん食べよーか?」

「あーうん。そうだね」

「疲れてるっぽいけど大丈夫?」

「大丈夫だよ!ほら食べよ」

梓に無理矢理笑顔を見せ
さっき購買で買ったパンと
お茶を取り出した。

⏰:10/07/22 21:00 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#366 [愛華]
二人でご飯を食べていると、
前から二人の女子が
近づいてきた。
見るからにケバい感じ。
化粧が濃くて、近くにくると
香水のキツイ臭いがした。


「白石……だっけ?
ちょっとどいてくんない?」

ひとりの女子が言った。
髪はロングで巻いてる。
猫みたいな感じ。

⏰:10/07/22 21:13 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#367 [愛華]
「はぁ?どーゆー意味?
ご飯食べてんじゃん?」

あたしが言うと、もうひとりの
女子が、

「あんたが何で速水と仲いい
のか知らないけど。
あんたに用ないから。
速水に用があんの。」

とイライラした様子で言った。
こっちの女子はショートのボブ。
ピアスの穴が5個くらい空いてる
これまたケバい。

⏰:10/07/22 21:20 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#368 [愛華]
あたしは、二人の態度と
周りの女子、男子の反応を見て、
この二人がこのクラスの
女子のリーダーだということが
わかった。

「…なに?あたし あんたらに
なんかしたっけ?」

あたしが何かを言う前に
梓が口を開いた。

その瞬間。

ガンッッ!!!

⏰:10/07/22 21:37 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#369 [愛華]
「とぼけてんじゃねーよ!!
あんた、あたしの彼氏に手ぇ
だしただろーがよ!!」

ショートの女子が机を
蹴っ飛ばし、怒鳴る。
あたしはビビったけど
梓は微動だにしない。

「……手ぇだす?
あたしは告られただけ。
んで振っただけ。
手なんか出すわけないじゃん。
自分の非を人のせいにしないで」

ガンッッ!!

⏰:10/07/22 21:41 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#370 [愛華]
梓の言葉が気に障ったのか
今度はロング女子が椅子を
思い切り蹴っ飛ばす。

……公共物〜大事にしてよ〜

「ここまで来て言い訳?
マジむかつくんだけど」

……ムカつくのはあんたたちだよ
あたしは心の中で呟いた。

あたしがどーにかできる
問題じゃないと悟った。

⏰:10/07/22 21:46 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#371 [愛華]
「今、那佑とご飯食べてるから。
話なら後にしてよ」

「んなわけねーだろ!!

それなら白石、どっかいけよ
邪魔なんだよ!!」

……はぁ!?
…………やば、限界くるぞー

⏰:10/07/22 21:53 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#372 [愛華]
「白石もさぁ、こんな奴と
つるむなよ。
久しぶりに来て無理矢理
友達にさせられた感じ?」

「病気の那佑ちゃんに
優しいフリしてるだけだって」

教室がざわつく。
…こいつら…どこまで知ってる?
なんで知ってる?

⏰:10/07/22 21:56 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#373 [愛華]
あたしは無言で二人を睨んだ。
……なんで?
ほとんど初対面のあんたらに
なんでそこまで言われなきゃ
ならないわけ?

「…那佑は関係ないでしょ?
てか、こんなとこで……
馬鹿なんじゃないの?」

パンッ!!

ショート女子が梓の頬を
ひっぱたいた。

教室は騒然。

⏰:10/07/22 22:20 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#374 [愛華]
あたしの病気のカミングアウト、
目の前での女子同士の喧嘩。
そこにあたしが何故か
加わってるっていうことも
クラスのみんなを混乱
させてるんだと思う。

「ムカつくんだよ!!」

ショート女子が梓に掴みかかって
取っ組み合いの喧嘩になる。

さすがにヤバいと、
あたしが止めようとすると…

⏰:10/07/22 22:26 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#375 [愛華]
ドカッ!!
ロング女子が
「黙って見てろ」的な目で睨み、
あたしを突き飛ばした。

クラスメートもどうにもできず
黙って見ているだけ。

…………なにこれ。
そんなにこの二人が怖いの?
あんたたち、あたま おかしいよ

⏰:10/07/22 22:31 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#376 [愛華]
あたしの中の何かがキレる。
それをこらえていると…

「あんたなんか死ねばいい!!」

ショート女子が叫んだ。


…………なんて言った?
シネバイイ?
誰が?
梓が?
………………シネバイイ?

⏰:10/07/22 22:34 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#377 [愛華]
「………ふざけんなよ!!」
あたしは気がつくと叫んでいた。

その場にあったお茶を
ショート女子の頭にぶちまけた。

「冷たっっ…なにすんのぉ!?」

「何も知らないくせに!!
梓とあたしのことなんか…
なにも知らないくせに!!」

こんなこと言うつもりなかった。
でも本当にムカついた。
ムカついたんだ。

⏰:10/07/22 22:53 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#378 [愛華]
「死ねばいい…?
そんな言葉カンタンに言うな!」

みんなが私を見る。梓も。
でも、今はどうでもいい。
どうでもいいんだよ。

「…こんなことして……
どうなるかわかってるわけ?」

ロング女子が冷めた目で
あたしを見る。

⏰:10/07/22 22:58 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#379 [愛華]
「なんでもすれば?
あたしはあんたたちの何十倍もの
地獄を味わってきたんだ。
本当の恐怖を知らない
あんたたちなんか…恐くない」

そうだよ、恐くなんかない。
あんたたちは知らないでしょ?

朝日を見ることが苦痛になる日々

明日が来ることへの恐怖。

そんな日々から救いだしてくれる
本当に大切な大切な人の存在。

⏰:10/07/22 23:04 📱:840SH 🆔:nv6xPfQQ


#380 [愛華]
あたしの後ろには隆則がいるの。
だから頑張れるの。


「……行こう」
ショート女子とロング女子は
教室からでていった。

緊迫の空気が解かれる。
クラスメートは何もなかったか
のようにお昼を再開した。

「………なんだよ、こいつら」

⏰:10/07/23 16:42 📱:840SH 🆔:viZu.MVU


#381 [愛華]
「那佑…ごめんね?
なんか巻き込んじゃって…」

「そんなの別にいーよ。
ってかさ。なんであいつら
あたしのこと知ってんの?」

「…あいつらだけじゃない。
学校の人ほとんどが
噂で那佑の病気のこと知ってる」

⏰:10/07/25 01:05 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#382 [愛華]
噂って怖いなって思った。

「あんま心配かけたくなくて
黙ってたの。……ごめん。」

「梓は悪くないよ。
……あたしの余命のことも?」

「それはみんな知らない。
噂も曖昧なもんでさ。
那佑がなんかの病気らしい…って
ことぐらいしか」

梓はひそひそと話した。

⏰:10/07/25 01:09 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#383 [愛華]
「さっきのあいつらは?」

「この学年の女子のリーダー。
ショートのほうが
相沢れな っていって、
ロングのほうが、
京極みさと ってゆーの」

学年の女子のリーダーか…
やっかいなやつらに
喧嘩売っちゃったなぁ…
久々の学校なのに(泣)

⏰:10/07/25 01:13 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#384 [愛華]
「二人の怒りは完璧
那佑のほうに向いちゃってる
と思う。…なにおこるか
あたしにもわかんない。
でも、あたしが那佑のそばに
いるから」

「……ありがとう。」

久々の学校初日。
これから一波乱おこりそうな
そんな予感がした。

人生って楽にいかないなぁ…

⏰:10/07/25 01:17 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#385 [愛華]
その日の放課後。
梓と校門でわかれ、
あたしは隆則と会うために
喫茶店へ向かった。

そこにいたのは…

「えーと……誰?」

「あ?なんだそのボケ」

隆則は髪を真っ黒に染めていた。

⏰:10/07/25 13:03 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#386 [愛華]
「な、なにがあったの?」

「金髪だと目立つし、不良どもに
絡まれっからさ。めんどいんだ。
これだと絡まれなくて済むだろ」

あたしは隆則の気遣いがわかった。
あたしが退院して、一緒に
いることが多くなると
絡まれるとことか、あたしに
見られちゃうから。

⏰:10/07/25 13:08 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#387 [愛華]
ケンカはしないけど
そーゆーの、あたしに
見られたくないんだよね。
………ありがとう。


それにしても……


「似合うね、黒。金髪より
全然いーよ!」

「マジ?」

⏰:10/07/25 13:11 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#388 [愛華]
そう。隆則は黒が似合う。
びっくりしたけど、ほんとに
似合っていた。
……つまり、かっこいいんです。

あたしが見とれていると、

「そんな見んな」と、
デコピンされた。
その時の隆則は顔が赤くて。

でもそれを言ったら、今度は
ゲンコツされそうだったので
やめておいた。

⏰:10/07/25 13:15 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#389 [愛華]
「久々の学校はどーだった?」

あ…そうだった。
すっかり忘れてた(泣)

でもあたしは。

「んー普通かな?周りの目は
多少痛かったけどねー」

隆則には黙っておく事にした。

⏰:10/07/25 18:18 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#390 [愛華]
心配かけたくなかった
っていうのもあるし。

なにより、隆則にばかり
甘えていたくなかったんだ。

隆則がいなくたって…
自分でまいた種なんだから。
自分でなんとかしなくちゃ。

梓には口止めしておいた。

⏰:10/07/25 18:21 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#391 [愛華]
隆則に黙ってることに対して
梓は反対したけど、
あたしの気持ちをわかって
くれたのか、
最後はしぶしぶ了解してくれた。

「明日学校まで迎えにいくか?」

「いーよ、恥ずかしいし。
また連絡するから」

そう言って、その日は別れる
ことにした。

⏰:10/07/25 18:26 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#392 [愛華]
バス停まで来ると、隆則が
いきなりぎゅっとしてきた。

「………隆則?
ひと、見てるよ?」

「んーうん……
……なんかあったら言えな?」

「………うん。」

隆則はわかってたんだね。
でも優しいから。
………優しすぎるから。
だから私はいつも甘えちゃうの。

⏰:10/07/25 18:36 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#393 [愛華]
次の日。

朝、学校に来ると、女子から
とてつもなく白い目で見られた。

下駄箱へ行くと、靴がなかった。

………予想はしてたけど。
でも、こんなもんで
終わるはずがないのが
高二の女子のイジメである。

⏰:10/07/25 23:13 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#394 [愛華]
誰か見てくれてますかー?

⏰:10/07/25 23:15 📱:840SH 🆔:fMnZyN5s


#395 [りぃ]
見てます\^^/

⏰:10/07/25 23:17 📱:W65T 🆔:ZJ1NuiSc


#396 [愛華]
>>395 りい様
ありがとうございます☆

⏰:10/07/26 16:33 📱:840SH 🆔:VJ1QiRnE


#397 [愛華]
教室に行くと、昨日のように
視線が集まる。
でも、昨日とは明らかに
違う冷たい視線。

あたしの机には…

『死ねドブス』『消えろや』
などの言葉。

⏰:10/07/26 16:37 📱:840SH 🆔:VJ1QiRnE


#398 [愛華]
相沢、京極のほうを見ると
ニヤニヤ笑っていた。
その目は
『まだ、こんなもんじゃないよ』
と言ってるようで
恐ろしかった。

人間って、ここまで冷たい目を
できるんだなぁって。

そんな恐怖を覚えた。

⏰:10/07/26 16:40 📱:840SH 🆔:VJ1QiRnE


#399 [愛華]
机の落書きを消していると
梓が息をきらして
教室にはいってきた。

「…っ那佑!!
なんで先行ったの!!」

「え…だって梓遠回りに
なっちゃうし……」

「ばか!!ほんとばか!!
これからは絶対ひとりに
なっちゃダメだからね!!」

⏰:10/07/26 16:44 📱:840SH 🆔:VJ1QiRnE


#400 [愛華]
梓は心配して、こんなにも
息をきらして駆け付けてくれた。
それは嬉しかったし
申し訳なかったけど……

この時、ちゃんと梓の言うこと
聞いていれば
あんなことにならなかったのかな


あたしはまだ相沢と京極の
本当の狂気に
気づいてなかったんだ。

⏰:10/07/26 16:48 📱:840SH 🆔:VJ1QiRnE


#401 [愛華]
それからは常に梓が一緒。
イジメは止まらず、だんだん
ひどくなってはいったけど
梓がいてくれたから
耐えていられたし、
トイレに連れ込まれる、なんて
漫画で出てくるような
陰湿なものもなかった。

隆則には黙ったまま。
これも……間違いだったんだ。

事件が起こったのは……
登校再開から二週間後。
寒い寒い冬のまんなかの日
それは起こった。

⏰:10/07/26 16:53 📱:840SH 🆔:VJ1QiRnE


#402 [愛華]
「えぇ!?風邪ひーたの?」

「うん…ごめんね。
だから今日は学校行かない方が
いいと……思うんだけど」

梓が風邪をひいた。
梓は学校には行かない方がいい
と言うけれど……

「大丈夫だよ?ひとりでも。
一日だけだし」

「違う!!あいつらは……
……どうしても行くならタカに
話してからにして。
話したくないなら行かないで」

⏰:10/07/27 23:34 📱:840SH 🆔:JLD/blEM


#403 [愛華]
「わかったから。
だから梓、今日はやすんで」

そう言って電話をきった。

……結局あたしは甘えっぱなし。
誰かがいないと何もできない。
頼らなくちゃ何ひとつ……

あたしはそんなのが嫌で。
梓のいったことを聞かずに…
隆則にも何も言わず
学校へ向かった。

相沢と京極は……
この瞬間を待っていたんだ。

⏰:10/07/27 23:38 📱:840SH 🆔:JLD/blEM


#404 [愛華]
教室に入ると、いつもと同じ
空気が流れた。

でも、そのすぐ後
梓がいないことに気づいた
クラスメイトたちが
ひそひそ話し出した。

……やなかんじ。
梓がいなきゃ学校に来れない
とでも思ってるの?
…あたしはそこまで弱くない。

⏰:10/08/01 00:16 📱:840SH 🆔:myjYJc7Q


#405 [愛華]
ふと隣を見ると、そこには
相沢と京極がいて、ばっちり
目が合った。
その時の二人の笑みがたまらなく
気持ち悪かった。


1時間目の授業はひどく
憂鬱なものだった。

梓がいないから……不安なんだ。
でも今日は。あたしひとりで
頑張らなきゃ。

⏰:10/08/05 11:12 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#406 [愛華]
ドカッ!!!


………何が起こったの。

あたしの机が吹っ飛ばされた。

「……来てよ、白石」


…………きた。

⏰:10/08/05 11:14 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#407 [愛華]
「この前のあれ、何??」

おなじみのトイレに連れ込まれ
京極と相沢の尋問が始まる。

トイレの中には他にも八人
くらいの女子がいた。

「何ってなにが??」

「あんた、あたしたちに
逆らったら…どうなるか
わかってる?……わかんないよね
退院したての那佑ちゃんは」

⏰:10/08/05 11:19 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#408 [愛華]
「友達が目の前でいじめられて
んのに黙ってろって?」


「ここではね。でもあんたは
あたしらに背いた。
どうなるか……わかるよね?」

「何いって……」

次の瞬間、腹部に重い痛みが
走って、あたしはうずくまった。

⏰:10/08/05 11:24 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#409 [愛華]
「げほ、げほっ」

「あはははははー」

笑い声。誰の?あたしじゃなくて
ほかのひと。ほかのひと?


あたしの周りにいる女子は
悪魔のような顔で笑ってた。

……ふざけんな。


あたしは京極の顔を殴った。
人を殴るのは初めてだった。

⏰:10/08/05 11:28 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#410 [りいさ]
いい話しですね!頑張って下さい☆

⏰:10/08/05 16:51 📱:SH004 🆔:☆☆☆


#411 [愛華]
>>410
りいささん、
ありがとうございますF
頑張ります

⏰:10/08/05 18:55 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#412 [愛華]
殴った手が痛い。
人はどうしてこんなに
冷たくなれるの。
こんなことをして今日が終わって
明日、もし自分が死んだら
あなたたちは後悔しないの?
しょうがない、で納得できるの?

「………なにすんのよ」

⏰:10/08/05 19:06 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#413 [愛華]
相沢と京極は鋭い目で睨む。

「先に手だしたのはそっち。
こんなくだらないことして…
恥ずかしくないわけ?
ガキじゃあるまいし」

「…なんだとこのアマ!!」


手を振り上げた京極を相沢が
制した。

⏰:10/08/05 19:45 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#414 [愛華]
「……よーくわかった。
ここでは、あたしらがルール。
本当は速水が先のつもり
だったけど……あんたでいーや」

相沢が見下すように言った。

あたしが……先?
なんの話?

あたしが疑問を抱いていると
女子たちはトイレから
ぞろぞろとでていった。

⏰:10/08/05 19:53 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#415 [愛華]
ピンと張り詰めていた空気が
解ける。
あたしはズルズルと
しゃがみ込んだ。
殴られたお腹がチリチリと痛む。


「……いったぁ…あんにゃろ…」

……よかった。…お腹で。

あたしは自分の胸に手を当てた。

⏰:10/08/05 21:39 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#416 [愛華]
トクン…トクン…

いつもより速い鼓動。
ちゃんと動いてる。
生きてる。あたしは生きてるんだ

自分のことは自分で守る。
この心臓は……今は絶対に
止めない。
絶対に絶対に動かし続ける。

⏰:10/08/05 21:52 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#417 [愛華]
今になって梓の言葉を
聞かなかったことを後悔した。


………長い長い一日が終わろうと
していた。


帰りに梓の家に行こうかな。
なんか持って行って、
今日のこと報告して
謝らなきゃ。

⏰:10/08/05 21:55 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#418 [愛華]
鞄をもって校門から出た。
少し歩くと、前に二つの
人影が見えた。


「…京極。相沢も…なんか用?」


「………」

相沢は何も言わずに近づいてきた


「なんのよ……」

バツンッッ

⏰:10/08/05 22:05 📱:840SH 🆔:dbuhEPfI


#419 [愛華]
〜梓side〜

⏰:10/08/06 00:13 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#420 [愛華]
久しぶりに大カゼをひいた。
ぶっちゃけ超きつい。

京極と相沢は、あたしと那佑が
バラバラになる時を狙ってる。
那佑が一人になるのを
狙って…


京極と相沢は、いじめたいから
誰かをいじめてるだけ。
彼氏をとったとかどーだとかは
いじめる為に必要な
ただの『理由』に過ぎなかった。

⏰:10/08/06 00:19 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#421 [愛華]
だから、あの日もあたしは
無視しようとした。
だけど、それを那佑がかばった。
……『理由』ができてしまった。

いじめの対象は那佑になった。
でも、今回はいつもの
京極と相沢のイジメと違った。

……なにか、とんでもないことを
企んでる。それがわかった。

でも、それを那佑に言うと
不安がると思った。

⏰:10/08/06 00:24 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#422 [愛華]
だから言わなかった。
久しぶりに手に入った自由。
那佑からそれを奪うのは…嫌。

今は、タカの大切な人だから…
とかじゃなくても
那佑が大切。

だから…那佑が黙っててって
言ったから。

タカにも言わなかった。

⏰:10/08/06 00:28 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#423 [愛華]
「……もうそろそろ放課後か」


あれだけ言ったんだから
学校には行ってないはず。
……京極、相沢はどこまで
那佑にやるつもりなんだろう。
頭に水をかけたぐらいで…
どこまでやる?


急に寒気がした。

……なに?なんか……やなかんじ
やな予感がする。

⏰:10/08/06 00:34 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#424 [あんちむ]
>>1-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:10/08/06 02:04 📱:SH903i 🆔:TlkjgAYE


#425 [愛華]
>>424
アンカありがとーございますF

⏰:10/08/06 09:17 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#426 [愛華]
プルルルル……


……お願いだから出て。
那佑………おねがいだよ。


プルルルル………


こんなにコールしてるのに出ない
……出られない?

⏰:10/08/06 09:19 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#427 [愛華]
あたしは那佑の家に電話した。

「ガチャッ……もしもし」

「白石さんのお宅ですか?
那佑ちゃんのクラスメイトの
速水梓といいますが、
今日、那佑ちゃんは?」

「那佑なら学校へ行って
まだ帰ってきてません…けど」

「………!!」

……学校へ……行ったんだ。

⏰:10/08/06 09:23 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#428 [愛華]
「那佑に……那佑になにか
あったんですか!?」

「違いますよ、ちょっとした
行き違いです。失礼しました」


ガチャン!!
あたしは電話を置くと
コートを着て、すぐに学校へ
向かった。

⏰:10/08/06 09:26 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#429 [愛華]
お願いだから……


学校へ着くとたくさんの人が
学校から出てきた。
みんなが私を見る。
そんなのどうでもいい。

必死に那佑を探していると、
クラスメイトの一人が
出てきた。京極と相沢には
なんにも関わっていない。

「……ねぇ!!」

「……梓!!そんなカッコで…
どうしたの…?」


「今日……那佑は?」

「………」

この顔。なにか知ってる。

⏰:10/08/06 09:33 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#430 [愛華]
「……お願い、教えて」

「さっき……京極と相沢と
車に乗ってどっかいったのを
教室から見てたけど」


頭が真っ白になった。
クラスメイトになにも言わずに
学校を飛び出した。
真冬のはずなのに
真夏のように体が熱い。

⏰:10/08/06 09:38 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#431 [愛華]
那佑……那佑……

どうしよう、あたしのせい。
那佑はどこに連れてかれた?
見当もつかない。

あたしが……あたしが……
こんなことなら、タカに
話していればよかった。
タカ……タカ…?

あたしはハッとして
携帯電話をとりだした。

⏰:10/08/06 11:44 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#432 [愛華]
〜那佑side〜

⏰:10/08/06 11:46 📱:840SH 🆔:JBnrBytI


#433 [我輩は匿名である]
>>344-500

⏰:10/08/07 01:00 📱:P03A 🆔:☆☆☆


#434 [愛華]
>>433
ありがとうございます

⏰:10/08/07 09:53 📱:840SH 🆔:IZUKH.O6


#435 [愛華]
…………何?
話し声がする。
誰の声だろう?男の人の声だ。
でも…………隆則じゃない。


「…………ん……」

「あ、起きたじゃん。
れなーみさとー起きたぞ」


れな…みさと…?
どこかで聞いた名前。
聞きたくもなかった名前。

⏰:10/08/07 10:06 📱:840SH 🆔:IZUKH.O6


#436 [愛華]
「ったく遅いっての」

目の前には京極と相沢、
4人の男の人がいた。

………なに、これ。

「京極……どういうこと?」

「あの学校ではね、あたしたちが
ルールなの。あんたたちは
それを破ったから。
ちょっと痛い目にあわせないと
いけないでしょ?」

⏰:10/08/07 10:11 📱:840SH 🆔:IZUKH.O6


#437 [愛華]
言っている意味がわからない。
理解できない。

この部屋には窓がなくて
ここがどこなのかさえ
わからない。

………怖い。怖い。怖い。
あたし……何されるの…?

⏰:10/08/07 10:14 📱:840SH 🆔:IZUKH.O6


#438 [愛華]
「…ちょっと痛い目みなよ」

男の人たちが近づいてくる。
あぁ…私、今から……

やっと、これからされる事を
理解できた。
不思議と心は冷静で。
でも、体は正直で。

「やだ!!来ないで!!やだ!」

敵わないってわかってる。
でも、やだ。やだよ。
隆則じゃなきゃやだよ。

⏰:10/08/07 10:23 📱:840SH 🆔:IZUKH.O6


#439 [愛華]
必死に暴れた。
隆則!隆則!たすけてよ!

「おとなしくしてねぇと
腹殴るぞ」

「………!!」

ドクン…ドクン…

やだ。やだ。やだ…………

⏰:10/08/07 11:34 📱:840SH 🆔:IZUKH.O6


#440 [愛華]
「じゃ、あと頼むね?
それなりにメチャメチャに
してあげて」

そういうと、京極と相沢は
部屋からでていってしまった。

「手加減できるかなぁ〜」

ひとりの男が不気味に笑い、
指をポキポキならした。

………気持ち悪い。

⏰:10/08/07 15:32 📱:840SH 🆔:IZUKH.O6


#441 [愛華]
ドクン…ドクン……
胸が痛い。苦しい。

「お願いだから…
やめて……ください……」

涙が勝手にこぼれる。

「ごめんねぇ、だめなんだー
…君かわいいね。なるべく
優しくしたげるよ、なるべくね」

ぎゃははは、と男たちが笑う。

⏰:10/08/08 12:29 📱:840SH 🆔:f7HhVWu6


#442 [愛華]
………もう、ダメか。

あたしの中で、ぷっつりと
何かが消えた。

「……なんでもすればいい」

「あー?なんか言った?」

「あんたたちなんか怖くない!!
どんなことしたって、あたしは
怖くない!!死なない!!」

どんなことがあったって、私は…
絶対生きてやる。
未来に絶望なんかしない。

⏰:10/08/08 12:34 📱:840SH 🆔:f7HhVWu6


#443 [愛華]
「あっそー」

ひとりの男が、あたしの上に
覆いかぶさってきた。
他の男たちは部屋から
でていった。

「終わったら呼べよー」

「はいはいー」

男は、あたしの涙をぺろっと
舐めた。寒気がした。

⏰:10/08/08 12:37 📱:840SH 🆔:f7HhVWu6


#444 [愛華]
……あたし、ヤられるんだ。


神様は意地悪だなぁ。
たった一つの願い。

『大好きな人と最期まで…』


たったひとつだけなのに。


私が汚れちゃっても………
隆則はそばにいてくれる?
そんな保証、ある?

頭がぼーっとする。
………ごめんね、隆則。

⏰:10/08/08 12:48 📱:840SH 🆔:f7HhVWu6


#445 [愛華]
「………なにしてんの」


男の後ろから声がした。
聞き慣れた声。
愛しい愛しい人の声。


「………なんだてめぇ」

「隆則………?」

⏰:10/08/09 11:23 📱:840SH 🆔:CX9fj47k


#446 [愛華]
「順番待てよな、まだ俺のば…」

男が話し終わる前に、
隆則が男を後ろに殴り倒した。


「……なっなにす………」

隆則はそのままあたしのところに
来て、ゆっくり立ち上がらせて
くれた。

⏰:10/08/09 11:27 📱:840SH 🆔:CX9fj47k


#447 [愛華]
「ごめんな」

隆則はそうつぶやいた。
震えた小さい声。

「お前なんなんだよ…」

「……あのさ、廊下にいる
男たち連れて早く逃げたほうが
いいよ」

「………んだと?
ざけてんじゃねーよコラ」

⏰:10/08/09 11:31 📱:840SH 🆔:CX9fj47k


#448 [愛華]
「言ってる意味、わかんない?
お前らコレ犯罪だからね?
あと10分もしないうちに
ケーサツ来るよ。いいの?」

男が焦ってるのがわかった。
隆則の手が温かくて、
あたしはぎゅーっと握った。

「下手な喧嘩はしたくないしさ
穏便にすまそうや。ダメ?」

「………わかったよ」

男は扉に走りだした。

⏰:10/08/09 11:35 📱:840SH 🆔:CX9fj47k


#449 [愛華]
「あ、忘れ物」

そう言うと、隆則は男の顔面を
思い切り殴った。

ドカッ!!!

鈍い音が響いた。
下には歯が2、3本
転がっていた。

男が声を出せずうめいていると、

「あと、コレ指示した女にも
言っとけ。次はねぇぞ。
女も………お前らも」

⏰:10/08/09 11:41 📱:840SH 🆔:CX9fj47k


#450 [愛華]
「………ふ……」

「わかる?わかんない?どっち」

隆則は男の頭を持ち上げた。

「わ……わかりまふ……」

「ん。じゃーいーよ。行け」

男は逃げるように部屋から
でていった。
そのあとの足音から
ほかの男も逃げていったのが
わかった。
……相沢と京極もいったのかな。

⏰:10/08/09 11:46 📱:840SH 🆔:CX9fj47k


#451 [愛華]
「那佑……へいきか?
ケガしてないよな?」

「うん……だいじょぶ」

隆則は悲しそうに笑うと、
あたしをおんぶしてくれた。

「………ごめんな」


……どうして隆則が謝るの

⏰:10/08/10 12:07 📱:840SH 🆔:0jw3vy/Y


#452 [愛華]
外に出ると、建物ぜんぶを
見ることができた。
あたし……こんなとこに
連れ込まれてたんだ。

そこは廃墟。もとがラブホだった
らしい。


少し歩くと、梓がいた。

⏰:10/08/10 12:09 📱:840SH 🆔:0jw3vy/Y


#453 [愛華]
「……梓!!」

「那佑………」

梓は泣きそうな顔で
あたしを抱きしめてくれた。


「馬鹿那佑!!ばかばかばか!」

「……ごめんね、梓」

あたしは何度も謝った。
それしか、できなかったから。

とめどなく、涙が溢れた。

⏰:10/08/10 12:13 📱:840SH 🆔:0jw3vy/Y


#454 [愛華]
わたしは何もわかってなかった。
わかったつもりでいただけ。

それが、どれだけ大切な人達を
傷つけることになるかも知らず…

ばかだね。ほんとうに……
ごめんね。ごめんね。ごめんね。
ごめんなさい。ごめんなさい。


この心臓は………
私のちからだけで動いてる
わけじゃないんだ。

⏰:10/08/12 01:46 📱:840SH 🆔:CxyxJVhM


#455 [愛華]
「梓、ありがとな。
風邪こじらせるといけねーから
お前はもう帰っていーよ」

「でも那佑は…」

「俺が送るから平気 なっ」

隆則はあたしのほうを見た。
久しぶりに隆則の笑顔を見た
気がして嬉しくなった。

「……うん。梓、ごめんね。
…………ありがとう」

⏰:10/08/12 14:06 📱:840SH 🆔:CxyxJVhM


#456 [愛華]
「もう、こんなことすんなよ」

梓はニヒッと笑って
あたしの頭をくしゃくしゃ
撫でてくれた。

……梓はパジャマのまま
あたしを探してくれてたんだ。

胸がきゅぅっとなる。

あたしは弱くない。
けど決して強くない。
強くないんだ。

⏰:10/08/12 14:09 📱:840SH 🆔:CxyxJVhM


#457 [愛華]
隆則とふたりきりの帰り道。

「隆則。ごめんね」

「……俺おこってんだよ。
わかってる?」

「……うん。馬鹿なことして
ごめんなさい」

「そんなことじゃねーよ!」

隆則が声を荒げた。
あたしはビクッとなった。
背中越しに伝わって
しまったかもしれない。

⏰:10/08/12 14:13 📱:840SH 🆔:CxyxJVhM


#458 [☆]
 
1-100
101-200
201-300
301-400
401-500

すいません

⏰:10/08/12 14:28 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#459 [☆]
 
ミスりました

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500

⏰:10/08/12 14:29 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#460 [愛華]
>>459
ありがとうございます

⏰:10/08/12 16:51 📱:840SH 🆔:CxyxJVhM


#461 [理沙]
更新楽しみにしてます
頑張って下さい(≧∀≦)

⏰:10/08/12 22:56 📱:N01B 🆔:3a3LJK8E


#462 [愛華]
>>461
理沙様ありがとうございます
更新がんばります

⏰:10/08/13 01:33 📱:840SH 🆔:ejxSeFPk


#463 [愛華]
>>457

「なんで黙ってた?
いじめられてること」

「……隆則に…甘えてちゃ
いけないって……」

ただそれだけだった。
信じてなかったわけじゃない。
でも、あたしだって人間。
強くなりたかったの。

「俺が行かなかったら
どうなってたか、わかるか?」

⏰:10/08/14 17:07 📱:840SH 🆔:nQzYEUQY


#464 [愛華]
……隆則が来なかったら。

きっと私は……
隆則のもとには戻れなかった
かもしれない。
深く消えない傷を負って……


「……頼むから。
どんな理由でもかまわない。
全部はなしてくれ。
お前の為とかそんなんじゃない。
俺の為に…隠し事なんてすんな」

⏰:10/08/17 01:22 📱:840SH 🆔:ARVVCuTQ


#465 [愛華]
隆則のために。

隆則の言葉は
私の心をきゅぅっと締めた。


「……俺の心臓がもたねぇ」



隆則はキスをした。

⏰:10/08/17 01:24 📱:840SH 🆔:ARVVCuTQ


#466 [愛華]
いつもみたいな
優しいキスじゃなくて。

心が痛くなるような
激しいキス。
「………んっ……ふ………」

息がもれるたび涙が出て。
でも抵抗すると、
隆則が離れてっちゃう気がして。
ただ黙って涙を流した。


こんなキスやだよ。
苦しいよ。
心がちぎれそうに痛いよ。

⏰:10/08/17 01:30 📱:840SH 🆔:ARVVCuTQ


#467 [愛華]
感想板です
のせれてなかったので


bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4782/


来てください

⏰:10/08/18 01:07 📱:840SH 🆔:24xqvK3A


#468 [愛華]
こんなに悲しいキスがあるなんて
知らなかったよ。
知りたくなかった。
隆則とするキスは
嬉しくてかけがえのないもので

その瞬間だけは
私は世界一しあわせだって
信じて疑わないの。

でも苦しかった。
隆則が苦しかったから
私も苦しかったんだ。

⏰:10/08/18 01:11 📱:840SH 🆔:24xqvK3A


#469 [愛華]
隆則

ごめんね

隠し事なんてしないから

離れちゃやだよ




でもそんな願いは崩れていく。
この日から
あたしと隆則の間には
ちょっとずつ
距離ができていった。

⏰:10/08/18 01:16 📱:840SH 🆔:24xqvK3A


#470 [愛華]
大好きだよ

きっとずっと……

あなたのために生きたいんだ。

私が願うのは

『私の未来に隆則がいること』。

ただそれだけ。

でももうひとつ願うのは

どうかあなたも

そうであってほしい。

私は星に祈るのです。

⏰:10/08/18 21:16 📱:840SH 🆔:24xqvK3A


#471 [愛華]
「えぇ!?会ってないの?」

「んー…まぁ……」

あれから5日。
隆則からの連絡はなく
一度も会っていない。
5日なんかたいした時間
じゃないかもしれないけど
胸が押し潰されそうな
そんな長い時間だった。

⏰:10/08/20 22:50 📱:840SH 🆔:6awY7GTY


#472 [愛華]
「梓にもメーワクかけて…
ごめんね?」

「もう謝んなくていい。
あたしにも責任あるし……
タカもさ、戸惑ってるだけだよ」

戸惑ってる?
そんなレベルかな?

「…あきれちゃったのかも」

「はぁ?タカが?那佑に?
それはありえないよ」

「なんで言い切れるの?」

⏰:10/08/20 22:55 📱:840SH 🆔:6awY7GTY


#473 [愛華]
「あたしは隆則と一緒にいたい。
例えどんなことがあったって
隆則にそばにいてほしい。
隆則も同じ気持ちであってほしい
そう思ってたよ、ずっと。
でも隆則があそこで来なかったら
あたしは……隆則のもとになんか
いつもどおり戻れなかった。

……隆則は同じ気持ちじゃない」

「ば…っっっかじゃないの!!」

⏰:10/08/20 22:59 📱:840SH 🆔:6awY7GTY


#474 [愛華]
一気に話したあと
梓が耳元で叫んだ。

「たった5日で何いってんの!!
もし那佑がタカの立場だったら?
タカにあきれて離れてく?
あたしが知ってる二人は
そんな人間なんかじゃない!!」

………梓……
何も言えなかった。
何が言えるっていうの?

「……タカは離れたりしない。
自分の大切な女を守れなかった
ことを悔いてる。
自分を責めて責めまくってる」

⏰:10/08/20 23:04 📱:840SH 🆔:6awY7GTY


#475 [愛華]
「………隆則は悪くないのに」

涙がぽろぽろこぼれた。
なんか、あたたかかった。

「タカを信じてあげてよ」

梓はあたしの頭をなでてくれた。
あたしが泣き止むまで
ずっと………

⏰:10/08/20 23:07 📱:840SH 🆔:6awY7GTY


#476 [愛華]
人のぬくもりをあまり知らない
人間は、そーいうことに
敏感になって臆病になる。

いつか自分から
離れてくんじゃないか……
だから甘えたくなくて
強くなろうと思う。

ちゃんと信じていないから。
でも違うね。
信じることも強さなんだね。

⏰:10/08/20 23:10 📱:840SH 🆔:6awY7GTY


#477 [愛華]
「そーいえば……
なんであたしがいる場所が
わかったの?」

落ち着いたころ、
気になっていたことを聞いた。

「あぁ、あそこはさ
元ラブホでベッドとかあるし
その…そーゆーことするのに
色々便利なので有名なんだよ。
タカには話をしただけで
どこに那佑がいるか
わかったみたいだね」

⏰:10/08/20 23:17 📱:840SH 🆔:6awY7GTY


#478 [愛華]
そうだったんだ……
隆則はすごいなぁ。
来てほしいって思ったら
すぐに来てくれる。
スーパーマンみたいだね。

「…すぐに来てくれるよ。
タカのやつ、那佑に
ベタボレだもん」

あたしの心を読んだように
梓が言った。


会いたい。
顔が見たいよ……

⏰:10/08/20 23:20 📱:840SH 🆔:6awY7GTY


#479 [愛華]
〜隆則side〜

⏰:10/08/20 23:21 📱:840SH 🆔:6awY7GTY


#480 [愛華]
梓から話をきいた時
本気で気が狂うかと思った。

男に連れ込まれる時の場所は
すぐに予想できたから
迷わず向かうことができた。

不思議なほど冷静だった。
那佑を見つけた時。
あぁ……俺。

⏰:10/08/21 23:26 📱:840SH 🆔:DOVW8oMw


#481 [愛華]
那佑と出会って、変われた。
そう思いこんでた。
でも違った。
俺の中には…黒い闇が残ってた。


殺してやろうと思った。
そんな自分に恐怖を感じて
拳をにぎりしめてこらえたんだ。

でも押さえられなくて。
気がついたら殴ってた。

⏰:10/08/21 23:29 📱:840SH 🆔:DOVW8oMw


#482 [愛華]
とまんねぇ………
さらに殴ろうとした時。
怯えた那佑が目に入った。


怯えさせてるのは誰?
こいつか?
それとも……俺か?




あぁ…………俺か。

⏰:10/08/21 23:32 📱:840SH 🆔:DOVW8oMw


#483 [愛華]
那佑をおんぶして帰るとき。
背中越しに震えているのが
わかった。

俺は冷静を保って那佑をしかった
怯えさせたくなかったから。

那佑は……泣いてた。


俺が守れなかった。
俺が那佑を泣かせた。
那佑に一生消えない傷を
負わせて………

⏰:10/08/21 23:35 📱:840SH 🆔:DOVW8oMw


#484 [愛華]
俺のせいなんだ。
那佑の一番そばにいたのに
気づいてやれなかった。
こんな俺が………
そばにいてもいいのか?
那佑には、ほかにもっと
いい男がいるかもしれねぇのに…
那佑は……こんな俺でいいのか?

俺は那佑にキスをした。

⏰:10/08/21 23:38 📱:840SH 🆔:DOVW8oMw


#485 [愛華]
優しくなんてできなかった。
ただ自分の中の
ぐちゃぐちゃの感情を
どうにかしたくて。
那佑にふれたくて。

今までとは全く違うキス。
那佑は苦しそうな顔して
涙を流していたけど
抵抗しようとはしなかった。

そんなに怯えんなよ。
泣くなよ。
あ、泣いてんのは俺のせいか。

⏰:10/08/22 12:42 📱:840SH 🆔:XZXcoG9I


#486 [愛華]
何やってんだよ、俺。
那佑を怖がらせて
泣かせて
守れなかったくせに
無理矢理キスして。






………………最低じゃんか

⏰:10/08/22 12:44 📱:840SH 🆔:XZXcoG9I


#487 [愛華]
あれから5日。
那佑とどんな顔で会えばいいか
わからず、連絡もとっていない。
向こうからも来なかった。


「そんな落ち込むなよー」
誨がコーヒーを入れてくれた。
コーヒーの香りが
俺の心をにごしていった。


「……独占欲つよいんだなー俺」

⏰:10/08/22 12:48 📱:840SH 🆔:XZXcoG9I


#488 [愛華]
「……んぁ?お前がか?」

「そーだよ。ってゆーか…
そんな可愛いもんじゃないかも
しんねぇなぁ…」

俺はコーヒーをすすった。
腹ん中があったかくなったけど
それは一瞬で消えた。


「……ってゆーかさ。
俺が見てる感じでは……
信用しなさすぎじゃね?
お互いのことをさ」

⏰:10/08/22 12:53 📱:840SH 🆔:XZXcoG9I


#489 [愛華]
俺が……那佑を?

「そんなことねぇよ」

「そーかなぁ…なんかさ
タイムリミットがある恋愛って
リミットが来る前に相手が
離れていったらどうしよう…
って不安があるわけじゃん?
でも裏返せば、それは相手を
信用しきれてないって事じゃん。
それが今回のことでわかったろ。
お互い信用しきれてないんだよ」

⏰:10/08/22 12:58 📱:840SH 🆔:XZXcoG9I


#490 [愛華]
「………」
何も言えなかった。
誨の言うことがもっともすぎて。
「だから俺は理解できねんだよな
こーゆー恋愛はさぁ……」

「……あのままだったら
那佑はヤられてた」

「そうなったらはお前の責任だ。
でも、たすけたろ?
それはお前のおかげじゃん」

⏰:10/08/22 13:06 📱:840SH 🆔:XZXcoG9I


#491 [愛華]
「どっちにしたってさ、
お前が助けたんだよ。
だから大丈夫だって」

「………うん」

「このままだったら誰かに
もってかれちまうぞ」

「………それはヤダ」

「だったら会え!!会って話せ!!」


もうすぐクリスマスだ

⏰:10/08/22 14:54 📱:840SH 🆔:XZXcoG9I


#492 [愛華]
〜那佑side〜

⏰:10/08/22 14:55 📱:840SH 🆔:XZXcoG9I


#493 [愛華]
長く息を吐き出す。
白い煙みたいになって
真冬だということを
改めて実感させる。

…………寒いなぁ。
隣に誰もいないって
こんなに寂しいものなんだ。


一人なんて慣れっこだった
はずなのになぁ………
とか思う。

⏰:10/08/24 16:38 📱:840SH 🆔:PXXfJ0OA


#494 [愛華]
温もりを知ってしまったから
だから寂しいんだなぁ。


放課後。
帰ろうとした時に京極と相沢と
ばっちり目があった。
あたしは思い切り睨んだけど
気まずそうにそらされてしまった


あの事件から京極と相沢は
怯えるようにあたしを見る。

⏰:10/08/24 16:45 📱:840SH 🆔:PXXfJ0OA


#495 [愛華]
やっぱり隆則の脅しが
効いたんだと思う。
どうやって二人に伝わったのか
知らないけれど
これで二人があたしに手を出して
くることは多分ない。

これによってクラスでも
ちょっとずつ友達ができてきた。

やっぱり嬉しい。すごく。

⏰:10/08/25 20:20 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#496 [愛華]
すごく嬉しいけど
すごく寂しい。

あなたが隣にいないから。




もうすぐクリスマスだよ、隆則。

⏰:10/08/25 20:22 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#497 [愛華]
「那佑、クリスマスどーすんの」

寒そうに手をすりあわせて
梓が心配そうに聞く。

「んー…どうなんだろ……
隆則から連絡ないしなぁ…」

「んなこといって……
あと4日だよ??会わないの?」

「………んー……」

「…………もうっっ!!」

⏰:10/08/25 21:55 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#498 [愛華]
「じゃあプレゼントだけでも
買おーよ。ね?」

「プレゼントかぁ。いーかもね」


あたしは梓につきあってもらい
プレゼントを買うことにした。

「これなんかいくない?
タカに似合いそーじゃん?」

「あ、ほんとだぁ。いいね」

「タカは黒が好きだから…」

⏰:10/08/25 21:58 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#499 [愛華]
梓は隆則のことを色々知ってる。
隆則が好きだったから。
ううん……好きだから。


「……いいなぁ梓は」

「んーなにが?」

「……隆則にすごく近い。
あたしは近いようで…遠いよ」

⏰:10/08/25 22:01 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#500 [愛華]
「あ…ねー梓、これも良くない?」

あたしは自分が言ったことを
ふっきるようにプレゼントを
選んで手にとった。

なにいってんだあたし……
いやがらせかっっ!!
あたし梓にいやがらせ
してんのか!!ばか!!

無我夢中に帽子やら
手袋やらを探す。

⏰:10/08/25 22:07 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#501 [愛華]
「お互い様だよ……」

「…ん?梓なんか言った?」

「なーんも!!それよりさ
はやく仲直りしなよ?
こんなケンカみたいなことして
クリスマスばらばらなんて
あたし許さないからね!!」

「ありがと!」


あたしと梓は色々見たけど
結局きまらないままだった。

⏰:10/08/25 22:13 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#502 [愛華]
「あんだけ見て結局なんも
買わなかったってどゆことー?」

梓がココアを飲みながら
文句を言う。
いつのまにか外はまっくらに
なっていた。

うう………申し訳ない(泣)

ふと横を見ると、
『クリスマスプレゼントに!
今、売れてます!!』
の文字と一緒にアクセの写真が
貼ってあった。

⏰:10/08/25 22:22 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#503 [愛華]
「………那佑?なしたの?」

「あ、ここちょっと見てい?」

「それは構わないけど…」

あたしが気になったのは
人気のアクセじゃなくって
それと一緒に写っていた
ブレスレットだった。

店に入って、手にとって見る。
ゴツゴツしすぎてなくて
シンプル。

⏰:10/08/25 22:30 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#504 [愛華]
「…あ、それ人気のやつと
一緒に写ってたやつ?
タカっぽいね、なんか」

みんな人気のあるほうを
買っていくようで、その
ブレスレットはけっこう
あまっていた。
でも、あたしとしては
断然コッチ!!

「きめた!あたしコレにする!」

「そっか、よかったね!」

値段も手頃で隆則に似合いそう。

⏰:10/08/25 22:39 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#505 [愛華]
プレゼントを買うと、
隆則の声をききたくなった。

あれから声きいてないしな…
ききたいな。

梓と別れたあと公園で
一人でぼーっとしていた。
寒いのに家に帰る気はしない。

……電話かけてみよう。

⏰:10/08/25 22:44 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#506 [愛華]
きめたのはいいものの
ボタンを押すのにはかなり
勇気が必要だった。

でもこのままでいいわけない。
あたしは番号をおしていく。


プルルルル……

隆則に繋がる番号。

⏰:10/08/25 22:50 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#507 [愛華]
「……もしもし」

わ、でた。
あたし緊張してる。
どーしよう。声がでない。

「……なんかしゃべれっつの」

黙ったままでいると
しびれをきらしたように
隆則が言った。

「あ、ごめん……久しぶりだね
一週間ぶりくらいかな」

「んーそだな。あれから
会ってなかったしな……」

⏰:10/08/25 22:56 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#508 [愛華]
隆則の言葉にドキっとする。
あれから……

「…あのときはごめんね。
ごめん。ほんとうに……」

「いや、俺がごめん。
無理矢理あんなことして…
泣かせて。俺のせいだ」

「隆則はなんも悪くない。
それに………



いやなんかじゃなかったよ」

⏰:10/08/25 22:59 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#509 [愛華]
「そっか……」

「隆則?」

「………なに」


「…………泣いてるの?」

「泣くわけねーだろばか」


嘘ばっか。声、震えてんじゃん。

⏰:10/08/25 23:02 📱:840SH 🆔:75bqmNoo


#510 [愛華]
電話の向こうから、
隆則が鼻をすすっているのが
聞こえる。

隆則ってこんな泣き虫だったの?
金髪だったくせにー…
なんか、かわいぃな。

愛しい人が泣いてる。
抱きしめたい。いますぐ。

「隆則。今あたしがなに
考えてるかわかる?」

⏰:10/08/26 02:58 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#511 [愛華]
「………なんとなく」

「あたし……隆則に会いたい。
会って話したい。いっぱい」

「………うん」

「あたし隆則がすきだよ」

「知ってるし………ばか」


なんだろう。
電話なのに
すぐそこに隆則がいるみたい。

言葉がつむがれて
心がつながっていく。

⏰:10/08/26 17:06 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#512 [愛華]
いっぱい話そうね。
いっぱい信じたいから。
傷ついて傷つけて。
傷の治しかたを知らなかったから
遠回りしちゃったね。


守ってくれてありがとう。


だいすきだからね。

⏰:10/08/26 17:09 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#513 [愛華]
「ただいま」

「那佑、おかえりなさい」

……なに?なんか様子がへん。

「なんかあったの?」

「この間の検査の結果……
病気が進行してるみたいでね。
薬がちょっと増えたの」


ドクン

⏰:10/08/26 17:13 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#514 [愛華]
病気の進行。

そっか……そうだったね。
でもショックは少なくて。
どうしてかわからなくて。

ふと顔をあげると
お母さんが泣いてた。

「……なんで泣いてんの」

「……ごめんなさい…ごめ…」

なんだろ。
涙って……人の心を溶かすのかも

⏰:10/08/26 17:18 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#515 [愛華]
憎くて憎くて仕方なかった。
傷つこうがなんだろーが
関係ないって。
それは変わったわけじゃないけど
でも。

私のために泣いてくれてる。

あぁ………そっか、同じだね。

傷ついて、また傷つけて。
同じだったんだね。
じゃあ間違っちゃダメだね。

⏰:10/08/26 17:21 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#516 [愛華]
「………お母さん」

「……!!」

やっぱり許せない。
あの時のことを思い出すと
それだけで心臓が止まるみたいに
苦しくなって、悲しくなる。
だけど。

「あたしはまだ許せないよ。
お母さんも、お父さんも。
でも、戻ってきてくれたから。
あたしのために泣いてくれたから
だから……あたし頑張る」

⏰:10/08/26 17:26 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#517 [愛華]
「……那佑……」

「時間はかかるかもしれない。
でもやっぱりお母さんだから」

あたしはお母さんの手をとって
ゆっくり自分の胸にあてる。
何年ぶりだろう、お母さんの手。
あたたかい。

「聞こえる?心臓の音」

「うん……聞こえる」

⏰:10/08/26 17:29 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#518 [愛華]
「この心臓はね、あたしの大切な
人が動かしてくれてるの。
その人のおかげで、あたしは
生きたいって思えたの。

あたしは死なない。絶対に。
だから泣かないで」

「………那佑っ……」

お母さんは泣き崩れた。
あたしも泣いてた。

あーぁ……こんな人のために
泣くなんて…あるわけないって
思ってたのにな。

⏰:10/08/26 17:34 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#519 [愛華]
いつか家族に戻れたら。
そんな風に思えたの。
自分の中に勝手に作った壁。
向こうには待ってくれてる人が
いるのに壊せなくて。

傷つけあうのは終わり。
壊すのに時間はかかるけど
ちょっとずつ。ちょっとずつ。


いつか笑顔で
「お母さんって」
呼べるように

⏰:10/08/26 17:45 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#520 [愛華]
「じゃあクリスマスは
タカとすごせるんだ!!」

「うん!ありがとね、梓」

「なんもしてないよ〜
でもよかった。いっぱい話しな」

明日はいよいよクリスマスイブ。

はやく隆則に会いたい。

⏰:10/08/26 17:51 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#521 [愛華]
その日の夜。

「え、那佑…明日いないの?」

「うん、でかけてくるから」

見るからに残念そうなお母さん。
はやめに言うべきだったなぁ…
そういえば、何年も家族と
クリスマスなんてやってない。
それが当たり前になっちゃって…

「お母さん、あたし彼氏いるの」

⏰:10/08/26 23:08 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#522 [愛華]
「へぇー……ってえぇ!?」

予想通り。でもいずれかは
ばれるだろうし……

「ど、どんな人?かっこいい?」

ん?

「まぁ……かっこいいよ」

「お母さんも会いたいなぁ」

あ、あれ?

⏰:10/08/26 23:11 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#523 [愛華]
「………反対しないの」

「ん?なんで?」

「だってあたし…病気…」

「関係ないでしょ。
那佑は普通の子なんだから。
好きな人と好きなように
つきあっていーんだよ」


なんだろ、これ。
今まで忘れてたこの温もり。
心地好いけどなんか恥ずかしい。

⏰:10/08/26 23:14 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#524 [愛華]
「……わかったようなこと
言わないでよ。言ったよね?
まだ許したわけじゃないって」

「あ……ごめんね」

………言い過ぎたかも。
こんなの慣れてないから、
突っぱねるクセがあるみたい…


なんとなく気まずくなる。
やっぱり、一度こじれたものは
簡単には戻らない。

⏰:10/08/26 23:18 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#525 [愛華]
「………明後日」

「ん?なに?」

「明後日なら大丈夫だから
クリスマスやろう。…三人で」

お母さんの顔がぱぁっと
明るくなる。

「お父さんもよろこぶね!!」



天使みたいだと思った。
一瞬だけ、
お母さんがお母さんでよかった
って 思った。

⏰:10/08/26 23:22 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#526 [愛華]
明日はきっと素敵な日になる。
やっとあなたに会えるね。

机の上に置いたプレゼント。

……よろこんでくれるかな。

わたしは…プレゼントなんて
いらないな。
隆則にぎゅってしてほしい。
頭をなでてほしい。
それだけで十分。


明日はイヴ。
一年に一度の素敵な奇跡の日。

⏰:10/08/26 23:27 📱:840SH 🆔:0wYw1oSI


#527 [愛華]
「〜♪」
赤鼻のトナカイを口ずさみながら
お気に入りの服を着る。
プレゼントをバックに入れて
ちょっとだけメイクをする。

入院してばっかだったので
自分でいうのもアレだけど
肌は真っ白。死人かってくらい。
あ、ちょっと縁起でもないな。
例えをまちがえた…

ひとりでツッコミをいれて
鏡の前に立つ。

⏰:10/08/27 23:32 📱:840SH 🆔:rtpMYb7w


#528 [愛華]
「………よしっ」
ニヒッと自分に笑いかける。
今日一日、素敵に笑えるように。


リビングへ行くとお父さんがいた

「あ、那佑おはよう」

明日のことを聞いたらしく
気分ルンルン。うーん…複雑。
でも悪くない。こんな感じも。

「今日は夜遅くなるかも。
夜ごはんいらないから」

⏰:10/08/27 23:37 📱:840SH 🆔:rtpMYb7w


#529 [愛華]
「友達と食べてくるのか?」

お父さんの質問に
お母さんとあたしはギクッとする
お母さんを見ると首をふった。
どうやら「言わないほうがいい」
の意味らしい。

……でもなぁ。隠しとくのも…
なんていうか…ねぇ?

的な視線をお母さんに送る。
お母さんはクスッと笑って
ぽけーっとしている。

⏰:10/08/27 23:43 📱:840SH 🆔:rtpMYb7w


#530 [愛華]
…なにぽけーっとしてんだ。
とか思ったけど
お母さんはにやけながら
ぽけーっとどっかの世界にワープ
したまま。

どうやら、あたしと
アイコンタクトできたことが
嬉しくてたまらないらしい。

……小学生か!

でも悪くない。こんな感じも…

⏰:10/08/27 23:49 📱:840SH 🆔:rtpMYb7w


#531 [愛華]
ワープしたままのお母さんは
ほっといて……

「誰となんだ?友達か?」

お父さんは引き下がらない。
しつこいなぁ……

「しつこいってば!!」

スクランブルエッグを食べながら
あたしは怒鳴る。

⏰:10/08/28 22:36 📱:840SH 🆔:BijV78wY


#532 [愛華]
「そうよ、お父さん。
しつこいのはダメよ。ねっ?」

といいながらアイコンタクトを
送ってくるお母さん。

……こっちもね(笑)

「彼氏とすごすんだよ」

「「!!」」

二人の表情が固まる。

⏰:10/08/28 22:44 📱:840SH 🆔:BijV78wY


#533 [愛華]
「なっばっ……なにをっ」

お父さんは驚きすぎて
言葉になっていない。

「なんで言っちゃうのー!!
那佑との秘密……
アイコンタクトが……」

言わないほうがいいって……
それが理由ですか?母よ。

あたしは呆れながら黙々と
朝ごはんを食べる。

⏰:10/08/29 01:38 📱:840SH 🆔:nVEg4Z9s


#534 [愛華]
「ごちそーさま」

あたしは病気の薬をザラッと
流し込む。もう慣れたこと。


「じゃーいってくんねー」

「あ、うんいってらっしゃい!」

「待ちなさい、那佑!
誰なんだ彼氏って!?
どこで知り合ったんだ!?
待ちなさ…ま、待って下さい!」

⏰:10/08/29 11:44 📱:840SH 🆔:nVEg4Z9s


#535 [愛華]
プライドもなにもない父。

「いってきまーす」

「那佑ー!!」

お母さんに押さえ付けられた
お父さんが叫ぶ。
あたしはそれを無視して家を出た

…朝から疲れたな…
でも、なんていうか
愛されているのかもって
ちょっとだけ思えたな。

ほんとはもっと前から、そう
だったのかもしれないけれど
気づいていなかったんだ。

⏰:10/08/29 11:50 📱:840SH 🆔:nVEg4Z9s


#536 [愛華]
幼さが原因でいっぱい傷つけた。
でもしょうがなかった、
なんて言えない。




いい天気だなぁ。

あたしは足早と
隆則との待ち合わせ場所に
向かった。

⏰:10/08/29 11:58 📱:840SH 🆔:nVEg4Z9s


#537 [愛華]
−隆則side−

⏰:10/08/29 18:39 📱:840SH 🆔:nVEg4Z9s


#538 [愛華]
那佑から電話がきた時。
ほんとうにびっくりした。

声がききたくてたまらなくて。
でも聞いたら会いたくなる。
合わせる顔なんてないのにな…
頭の中でぐるぐると同じ考えが
サイクルしていて
やっとのことで電話を決心。

そんな時、電話がきた。

那佑。おまえは俺の考えが
読めるのかよ?

⏰:10/08/29 18:43 📱:840SH 🆔:nVEg4Z9s


#539 [愛華]
那佑の声をきいていると
不思議と涙がでた。

……ばかかっつの。
俺は自分が思ってるよりも
ずっとずっと……弱い。


ごめんな、那佑。
いっぱい話そう。
思ってること全部。

そしたらきっとまた強くなれる。
また笑顔になれるからさ。

⏰:10/08/29 18:50 📱:840SH 🆔:nVEg4Z9s


#540 [愛華]
クリスマスは那佑と
すごすことになった。


となると………


「頼むよ、誨!!」

「ぜってぇやだ!!」

「そんなこと言うなよ!
親友だろ!?」

「なんで、てめぇの彼女の
クリスマスプレゼントなんか
選ばなきゃなんねんだよ!」

⏰:10/08/29 18:56 📱:840SH 🆔:nVEg4Z9s


#541 [愛華]
「長谷に言っても、断られた
からさぁ……」

「長谷さんに頼んだのか!?」

「うん、断られたけど…
長谷に頼むのはダメだった?」

「あたりめぇだろ!!
あんなオッサンに那佑ちゃんの
プレゼント選ばせてみろ!!
あのオッサン、股引きとか
腹巻き持ってくっぞ!!」

長谷さんざんに言われてんな…
ちょっと同情。ちょっとな。

⏰:10/08/30 00:18 📱:840SH 🆔:xOCwaBhc


#542 [愛華]
なんとか誨に頼みこんで
夕飯をおごるという条件で
ついてきてもらうことになった。

「で……那佑ちゃんには
なにあげようとしてんの?」

「んー…どうすっかなぁ…」

「………きめてねぇのかよ…」

あてもなく、とりあえず
ブラブラと店をまわる。
誨は隣であくびをしながら
見てるだけ。
……ちょっとは意見しろよ!!

⏰:10/08/30 00:23 📱:840SH 🆔:xOCwaBhc


#543 [愛華]
なにもきまらないまま
空は赤くなっていった。
冬は日が暮れるのが早い。

「なぁ〜腹減ったよぉ〜」

誨が文句を言いはじめたので
とりあえずメシを食うか…
と思っていた時。

「あれ、タカじゃん」

「………梓!!」

「ん?隆則、その子だれだよ?
お前まさか……」

「んなわけねーだろ!
幼なじみだよ、ただの!!」

⏰:10/08/31 17:45 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#544 [愛華]
隆則が、ただの を強調した時
梓が少し淋しそうな顔をしたのを
誨は見逃さなかった。

「はっじめまして!!
俺、隆則の親友の誨っす!」

「あ、タカの幼なじみの梓です。
えと……タカとルームシェア
してる方ですよね」

「そうだよ!てゆか幼なじみ
なのに、今まで会ったこと
なかったよな?」

⏰:10/08/31 17:49 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#545 [愛華]
「はい。私、ちょっと前まで
アメリカに留学してたので…」

………留学。なるほどね…

「そーなんだぁ。
ま、よろしくね。梓ちゃん」

「あ、はい……」

「おい誨。梓に変なちょっかい
かけてんじゃねーぞ」

「話してただけじゃーん☆」

「てゆかタカ、こんなとこで
なにやってんのー?」

⏰:10/08/31 17:53 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#546 [愛華]
「あ、あ〜ちょっとな……」

「………隆則、俺帰るわ。
もう遅いしさ、梓ちゃん送るよ。」
「……はぁ!?」

「か、誨さん。でも電車……」

「いーからいーから!!」

なんてやろうだ。第一、
俺との用事も済んでねぇのに。
しかも梓を送るだと?
そっちのほうが危険だボケ!!

「おま…なにいいだすんだ!?」

⏰:10/08/31 17:59 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#547 [愛華]
「夕食おごるの無しでいーから。
お前もまだ用事すんでねぇだろ」

グサッ

「……梓に変なことすんなよ」

「おっけー☆」

「え、ちょ、タカ!?」

⏰:10/08/31 18:03 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#548 [愛華]
確かに外は暗いし。
誰かに送ってもらったほうが
安全だ。
それに誨の夕食代も浮く。
正直、誨は役に立たなかったし。

そう隆則が思っていた一方。

一番意味がわからないのは
梓だった。
自分は買い物に来ただけなのに…
なぜこんな軽そうな男
(しかも5分前に知り合った)
に送ってもらわなければ
ならないのか。

⏰:10/08/31 18:08 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#549 [愛華]
「タカのばかーっっ!!」

「梓〜気ぃつけてな〜」

梓をズルズル引きずりながら
歩いていく誨。


さて。誨はいなくなったし
どうしようか……

考えていると、
横にアクセサリーショップが
見えた。

⏰:10/08/31 18:14 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#550 [愛華]
.





梓と誨は夜道を歩いていた。

「寒くなってきたねぇ梓ちゃん」

「………そーですね」

「息しろいよーホラ!」

「………そーですね」

さっきからずっとこんな調子だ。

⏰:10/08/31 18:17 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#551 [愛華]
「…梓ちゃんさぁ、
彼氏とかいないわけー?」

「……いませんけど」

「ほんとー?かわいいのにー!」


……なんなんだ、この男は。
さっきからふざけた感じで
ヘラヘラ関係ないこと聞いてきて
タカもなんでこんな男と……


梓はイライラしながら、
誨の前をずんずんと歩いていた。

⏰:10/08/31 18:23 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#552 [愛華]
「……じゃあさぁ……



好きなひととかはぁ?」


ピタ


誨の言葉で梓の足が止まる。


「……いませんよ」

「…ほんとかなぁーってねー」

誨がトテテテと無邪気そうに走り
前を歩いていた梓を追い越す。

⏰:10/08/31 18:29 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#553 [愛華]
「俺さぁ、わかっちゃうんだー
そーゆーの。才能みたいな?」

「………」

梓は黙ったまま。
見透かされてるみたいで
気持ち悪かった。


「……いつから隆則のこと、
好きだったの?」

誨は優しく、心を撫でるように
聞いた。

⏰:10/08/31 18:34 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#554 [愛華]
「……小さい頃からですよ。
それがなんですか?」

梓は、誨に嘘をつく気には
なれなかった。

だって嘘じゃないし。
ほんとうのことだし。


「ふーん…那佑ちゃんとのことは
知ってるの?」

梓はやっと理解できた。

⏰:10/08/31 19:54 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#555 [愛華]
誨さんは釘を刺しに来たんだ。
親友は今、大事な恋人がいる。
あたしが隆則を好きなのを知って

手をだすな。余計なことするな。

と。

でも、あたしは……


「…知ってます。那佑は…
あたしの親友です」

「親友?じゃ、病気のことも?」

「もちろん、です」

⏰:10/08/31 20:00 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#556 [愛華]
誨は驚いた顔をした。
てっきり、知らないとばかり。
知らなくて想いを寄せていると…

「……なのに、好きなの?」

「ダメなんですかね?」

「いや、ダメじゃないけど…」

面くらったかんじだ。
本当はもっと別のことを言う
つもりでいたのに……

「叶わないってわかってるのに、
好きでいるの?」

⏰:10/08/31 20:04 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#557 [愛華]
梓はにっこり微笑んだ。

「あたしは、隆則が幸せなら、
那佑が幸せならそれでいい。
どちらか一個なんて嫌です。
どっちとも幸せになってほしい。
想ってるだけでいいんですよ」

誨には理解できなかった。

だって傷つくじゃん、そんなの。
現に今、悲しそうな顔
してんじゃんか。


自分の中の、何かが
壊されたような。
でも心地好い痛み。

⏰:10/08/31 20:09 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#558 [愛華]
「……つらくないの?」

「さっきから聞いてばっか」

梓はふっと笑った。

「たまに辛いかな?ぐらい。
二人の笑ったとこみると、
安心するし。

あたしはそれで充分。
充分すぎるくらいですよ?」

「君はしあわせに……」

なりたいと、思わないの?

でも言葉が出てこなかった。

⏰:10/08/31 20:38 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#559 [愛華]
誨の中に一瞬だけ、ひとつの
想いがめぐっていった。

「ん?なんですか?」

「あ、いや……」

なんだ?今の…?

いつのまにか梓の家に着いていた

「電車のほうが早かったのにー」

そういって笑った彼女。
女神みたいな。
なんか、そーゆー系の。
すっごい綺麗な笑顔だった。

⏰:10/08/31 20:42 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#560 [愛華]
「送ってくれて、ありがと。
一応いっときますね?一応」

「なんかムカつくなー」

「……」

ん?急に黙った。

「……大丈夫ですからね!
あたし、タカをとる気なんか
砂粒ほどもないですから!!」

「……うん、わかったってば。
てか、寒いから部屋はいんな」

「はい。……さよならっ」

⏰:10/08/31 20:47 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#561 [愛華]
カチャン


家の中から
「さっぶかった〜」
などと、梓の声が聞こえ、
たまらず誨は吹き出す。


……オッサンかよ。



あの時、頭にめぐったひとつの
一瞬の、想い。

⏰:10/08/31 20:49 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#562 [愛華]
誰だって幸せになりたいと思う。
そんなの当たり前。
でも、そんな想いが叶わない時
だってある。

なら……
俺が 君を しあわせに。


「……ばかみてぇ、俺」

傷つくの、わかってるし。
もう傷つくのはうんざりだ。

痛みから逃げて、逃げすぎて。
とうの昔に、恋の仕方なんて
忘れちまった。

⏰:10/08/31 20:53 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#563 [愛華]
ってゆーか
これは恋じゃないだろ。

なんつーか
同情?みたいな?

うん。傷ついてんのに
痛みに我慢しちゃってさ。

なんか、かわいそーだなって。
俺には絶対無理だもん。


それだけ。
ただ、それだけ。


雪が降ってきた。

世間は恋人達のクリスマス。

⏰:10/08/31 20:57 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#564 [愛華]




………やっと買えた。
ほんとに疲れた。
人生でベスト3に入るくらい。
あーそれは大袈裟かなぁ。

しかし、人にプレゼント買うの
って、こんな大変なんだな。
サンタさんは大変だろーに。
あ、でもサンタさんは
プレゼント届けるだけか。
ん?プレゼント買う専門の
サンタさんがいるのか?
したら、ラッピング専門の
サンタさんと、
トナカイの世話するサンタさん…

⏰:10/08/31 21:15 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#565 [愛華]
「なにブツブツ言ってんの、
隆則!!おーい!!」

「あ……誨?なんでここに?」

「ちゃんと買えたのか心配でさ…
ってかお前、なんか痩せた?」

「気のせいだろー…」

「そっか?ならいーけど。
お、ちゃんと買えたんだな」

淡いピンクの小さい箱。
最後は直感で選んだ。

⏰:10/08/31 21:19 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#566 [愛華]
「超つかれた……精神的に」

「うん、見ればわかるわ。
まぁよかった。んじゃ帰るか」


そういえば……


「梓、ちゃんと送ってくれた?」

「んぁ?あーうん」

「変なことしてねーよな?」

⏰:10/08/31 22:58 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#567 [愛華]
「うん。てゆーか、なんで
そんなに心配するわけ?」

「梓は妹みたいな存在だから」

「ふーん……そりゃ無理だわな」

「ん?なにが?」

「いや、こっちの話」

…?全くわけがわからない。
でも誨の顔を見ると……
いや、なんかあったなこりゃ。
気になるけど
聞くのはまた今度にしよう。

⏰:10/08/31 23:01 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#568 [愛華]
いつも読んで下さって、
ありがとうございます

ここで、ちょっと
読んで下さってるみなさんに
伺いたいことがあります。

この小説は、自分として
アイディアが出た時に
ばーっと書いちゃう感じで
けっこう速いペースで更新
してるのですが
みなさんから見ると、
どうなんでしょうか?

ペース的にもう少しゆっくり
または、もう少しはやく!でも
なんでもいいのですが

更新するペースについて
参考にしたいので
意見を書いてほしいです

よろしくお願いします

⏰:10/08/31 23:42 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#569 [我輩は匿名である]
いつも楽しく読ませて頂いてます^^

私的には、少しずつでもいいのであまり日を空けないで更新してほしいです(^O^)
なんだか図々しくてすみません;;

あと、意見はココでよかったでしょうか?もし感想板の方がよかったなら申し訳ないです(;_;)

では、これからも頑張ってください(*^o^*)

⏰:10/08/31 23:51 📱:SH004 🆔:tsCioqDQ


#570 [愛華]
>>569
ご意見ありがとうございます
参考にしますね!

ここに書いてもらっても
全然かまいません
感想板のほうにもぜひ
きてくださいねテ


意見、感想まっています。

⏰:10/09/01 20:08 📱:840SH 🆔:t33.xaf2


#571 [愛華]
>>567


そんなこんなでイヴがきた。
いつもとなにも変わらない日。
だけどなんとなく違う。

「誨〜出かけてくっからなぁ?」

「ん〜眠いんだから寝かせろよ」

「……ったく。残りもん勝手に
食べてろよ?」

「……夜は俺いねーよ」

⏰:10/09/01 20:15 📱:840SH 🆔:t33.xaf2


#572 [愛華]
「ん?誰かと遊ぶのか?」

「………内緒〜」

? 全く謎なやつだ。

「じゃーなぁ」

俺は家を出た。
雪がかなり積もっていて
思うように歩けない。

雪かきぐらい誰かしろよ〜


駅まで歩いていくため
かなりきつい。

⏰:10/09/01 20:19 📱:840SH 🆔:t33.xaf2


#573 [愛華]
足で雪をどかして歩く。
クリスマスなのでそれなりに
人通りも多いとこまで来た。
でもまだ駅までは距離がある。

人も多くて歩きずれぇな……

しょうがないので、
いったん道を外れて
人通りの少ない道を通って
近道することにした。

雪は残っているけれど
さっきよりは歩きやすい。

⏰:10/09/01 20:24 📱:840SH 🆔:t33.xaf2


#574 [愛華]
ザクザクザク………

雪を踏み込む音が響く。


………………ピタ


なんだ?……誰か、いる?

根拠はない。でも視線を感じた。

………気のせいか?

ザクザクザク……

また歩きだす。

⏰:10/09/01 20:26 📱:840SH 🆔:t33.xaf2


#575 [愛華]
………!!

俺ら振り向いた。

間違いじゃない。
視線を感じた。
でも誰もいない。

……なんなんだよ。

時計を見ると、かなり時間が
ヤバかった。
急がなきゃいけない。
早く行かなきゃ。

⏰:10/09/01 20:28 📱:840SH 🆔:t33.xaf2


#576 [愛華]
俺は足をはやめて歩いた。


ザクザクザク……


ザク



今、足音が二重に……


ドカッ!!



早く、行かなきゃ。
那佑のところへ。

⏰:10/09/01 20:31 📱:840SH 🆔:t33.xaf2


#577 [愛華]
-那佑side-

⏰:10/09/01 20:33 📱:840SH 🆔:t33.xaf2


#578 [愛華]
約束の時間から20分。


隆則は………まだ来ない。


……どうしたんだろう。
言いようのない不安。

携帯へ電話しても繋がらない。
メールの返事もない。

なにかあったのかもしれない。
でも、ここを動くわけには……


待ってよう。隆則は来る。
絶対に……来る。

⏰:10/09/01 20:38 📱:840SH 🆔:t33.xaf2


#579 [愛華]
-隆則side-

⏰:10/09/01 23:35 📱:840SH 🆔:t33.xaf2


#580 [愛華]
ポタッ……

真っ赤な血が、真っ白な雪を
深紅に染めていく。

「………ってぇな……」

頭を触ると、手が血でべっとりと
濡れていた。

頭割られた……
なぜかわからないけど
不思議なほど冷静で。

⏰:10/09/02 16:42 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#581 [愛華]
ふ、と後ろを見ると、
そこにはバットやらなんやらを
持った男たちが5人。

よく見たら……


「てめぇら那佑の時の……」

「覚えてたのか」

そいつらは、那佑を拉致った
男たちだった。
あの時の報復だろう。


「頭割っただけじゃすまねぇ。
痛い目にあわせねぇとさ。
これの分」

⏰:10/09/02 16:49 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#582 [愛華]
そう言って笑った男は、
那佑をヤろうとしたやつで
歯が二本なかった。

「あの時のやつか。
三本折ったと思ったのになぁ…
で、どーしよーってわけ?」

「言うまでもねぇだろーがよ」

男たちは俺を囲みはじめた。
人通りが少ない道なので
誰も来ない。

⏰:10/09/02 16:54 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#583 [愛華]
………さて、どうする。

那佑と出会って……
もう人を傷つけるのはやめた。
ケンカはもうしない…って。

でも。

「こーゆーやつは口で言っても
わかんねんだよなぁ……」

「あぁ?なんか言ったかよ?」

「お互いのためにさ。
こんなことやめとかない?
無駄な血みたくないし。
ケンカしたいわけでもねぇし」

⏰:10/09/02 16:58 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#584 [愛華]
「それ…俺たちが聞くとでも?」

男たちはジリジリ近づいてくる。


「………言ってみただけだよ」


那佑。あと一応、イエス様にも。

ごめんなさい。

「クリスマスにケンカかぁ…」


ごめん。ちょっと遅れるよ。

⏰:10/09/02 17:03 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#585 [愛華]
ブンッッ!!

振り下ろされたバットを軽く避け
みぞおちに一発。

「がはっ!!」


ひるむ隙を与えず、弁慶に蹴りを
二発。これでもう立てない。


「いてぇぇぇ!いてぇよぉ」

「骨、検査したほうがいーよ」

手加減しなかったし。

⏰:10/09/02 22:43 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#586 [愛華]
「てめぇ!」

何人かがいっぺんに来る。

俺は倒れたやつのバットを取って
さらに弁慶を叩く。
ちなみに、金属。
痛いだろーなー


ビギッッ!!


嫌な音が響いた。

さらに顔面に強めの一発。
バットはまずいから拳で。

⏰:10/09/02 22:48 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#587 [愛華]
「うぎゃぁぁ!!」

この声に誰か気づいて
来てくんねぇかなー…


そんなことを思っていると。


ドガッッ!!


後ろからやられた。

さらに血が吹き飛ぶ。


何かが、 壊れる。

⏰:10/09/02 22:52 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#588 [愛華]
「ぎゃはははは」

笑いながら殴られつづける。


………やべ、死ぬかも。



戻っていく。 あの頃に。
狂っていく。 あの頃みたいに。


なんてことねぇ。
なんてことねんだよ。

⏰:10/09/02 22:55 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#589 [愛華]
「…………がばっっ!!」


俺は、殴っていた男の首を掴み
壁に打ち付けた。

「ちょ……マジ……死…」

ギリギリと容赦なく首を絞める。

「言ったよな?次はねぇって。
こうなるの覚悟で来てんだろ?
もう、止める気ねぇから」

「か…は……」

⏰:10/09/02 22:59 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#590 [愛華]
自分で自分がコントロール
できない。
今の俺は……過去の俺そのもの。


「…………!!」

さらに拳で殴ろうとした時。




「…………タカ!!!?」

⏰:10/09/02 23:01 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#591 [愛華]
「………梓」

なんでここに?
いや、そんなのいいや。

ドカッ!!

俺は殴っていた。

「タカ!!タカ、やめてよ!」

梓が俺の腕を掴み、離さない。

「離せよ、梓。こいつはな…」

「…………那佑が待ってる!!」

⏰:10/09/02 23:05 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#592 [愛華]
那佑………?

「那佑……待ってる?」

「那佑、きっと待ってるよ。
いってあげなきゃダメだよ。
こんなとこで…こんな日に。
那佑が喜ぶと思うの!?」

那佑。那佑が待ってる。



引き戻される。一瞬で。

⏰:10/09/02 23:08 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#593 [愛華]
「……梓わりぃ……俺……」

「話は帰ってきてからでいいよ。
今は那佑のとこに行ってあげて。
その血、拭いてからね」


「わかった……さんきゅな」



俺は走った。ただひたすら。

⏰:10/09/02 23:11 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#594 [愛華]
………さて。
この後始末はどうしようか。

あたしは男たちに近づいた。


「……だいじょうぶ?」

あたしは血をハンカチで優しく
拭いて、言った。

「今日はクリスマスイヴだよ?
くだらないことしちゃダメだよ。

あとね、これ、ここだけでね。
警察とか言ったら、あんたらも
ダメージくらうからね?」

⏰:10/09/02 23:15 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#595 [愛華]
「………」

悔しそうな顔をする男。

「あんたらも運わるいよ。
ほんとに……死んでたかもよ?
感謝しなよね」

あたしは立ち上がった。

「……あ、それからね」

「……まだなんかあんのか」

「次。最後だよ?多分。
タカがほんとに本気になっちゃう
のは。これに懲りたら
プライドとかそんなものより
自分だいじにしなよ」

⏰:10/09/02 23:20 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#596 [愛華]
あたしはそれだけ行って、
そこを出た。


ザクザク………


街を歩くと、楽しそうに笑う
人たちとすれ違う。


……なんだろう、この気持ち。


今日はなんとなく嫌な予感がして
なんとなく出歩いていた。

⏰:10/09/02 23:24 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#597 [愛華]
今ごろ、タカと那佑は……
そんなことを考えながら。

そしたら予感が当たってしまった



………ほら。
あたしの方がタカをわかってる。
あたしの方が助けられる。
あたしのほうが……


「こーんにーちわっっ!!」

⏰:10/09/02 23:27 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#598 [愛華]
「………誨……さん」

「なーにやってんの?
今日イヴだよ?遊ばないの?」

誨さんはあたしの家の前にいた。

………待ってたの?なんのため?


「……あたし友達少ないんで」

「そーなの?ふーん……」


あたしは家に帰る気になれず、
そのまま家を通り過ぎ、歩いた。

⏰:10/09/02 23:31 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#599 [愛華]
ザクザク……

「……なんでついてくんですか」

「俺もこっちに行きたいだけー」

「……あ、そーですか」


ザクザク……


無言のまま歩き続ける。

何か話すつもりもなかったし。
誨さんもそれはわかってたん
だと思う。

⏰:10/09/02 23:34 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#600 [愛華]
ザクザク……


「寒いねぇー」

「……そうですか?」

「うん。てゆかさ隣、来ない?」

「………は?」

「あ、嘘。うそでーす」

「…………」


あたしは黙って、歩調を合わせ
誨さんの隣に来た。

⏰:10/09/02 23:36 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#601 [愛華]
「へ……あ…」

「…なんですか?隣に来いって
誨さんが言ったんですよ?」

「あ、そーでしたね……はい…」



ザクザク…………



「………誨さん」

「んー?なに?」

⏰:10/09/02 23:39 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#602 [愛華]
あたしは自分が誨さんを呼んだ
ことに驚いた。
知らないうちに…呼んでた。


「……タカの中学時代
知ってます?」

「え……知らねぇけど」

「………ひどかったんですよ」

「ひどい……?」

⏰:10/09/02 23:42 📱:840SH 🆔:DaCdVZQA


#603 [愛華]
「毎晩血だらけで帰ってきて。
お父さんとお母さん亡くした
ショックからなのかな?
わかってたのに……
あたしはなんもできなかった。
なにひとつ」

「んなこと……」

誨さんも言葉が見つからない
みたいだった。

「毎晩ケンカに狂って。
髪も染めて。…どんどん離れて…
それが怖くてなにもできなくて。
そのままアメリカに留学」

⏰:10/09/03 01:45 📱:840SH 🆔:0qduYiP6


#604 [愛華]
「あたし逃げたんです、タカから
なにもできない自分がいやで
でも、帰ってきたらもしかしたら
前のタカに戻ってるかも…って」

何が言いたいんだろ、あたし。
でも……とまんない。
吐き出さなきゃ、潰れちゃうよ。


「………ダメでしたけどね」

⏰:10/09/03 01:48 📱:840SH 🆔:0qduYiP6


#605 [愛華]
「……梓ちゃん」

「……あたしは何もできなかった
のに……今は那佑のことを話す
だけでタカを止められる。
タカの心を動かせるのは
これからも那佑だけなんです」


そう。わかってた。
そして納得もしてた。
だから笑ってられた。
だから、よかったねって言えた。

でも………でもね。

⏰:10/09/03 01:52 📱:840SH 🆔:0qduYiP6


#606 [愛華]
「たまに思っちゃうんです。
自分のほうが……って。
そんな自分が………たまらなく
嫌になるんです……」

ずっとずっと溜めてた想い。
今さらなのに、こんなの。



「幸せだとか嘘ばっかついて…
自業自得でしょーそんなの。
自分で自分傷つけてんじゃん」

「うるさいですねっ!!
言っただけですよ!!
吐き出すために!全部!」

⏰:10/09/03 01:56 📱:840SH 🆔:0qduYiP6


#607 [愛華]
「俺には無理だねー
そんなボロボロの恋愛」

「……ボロボロで悪いですか」

「…………」


だまんないでよ!
なんか言えよばーか!!



「………悪くないんじゃん?」

「え…?」

⏰:10/09/03 01:59 📱:840SH 🆔:0qduYiP6


#608 [愛華]
「傷ついてばっかも悪くないよ。
うん。今そー思った」

「……なんですか、それ」

「さぁ?どーゆー意味でしょ?」


……意味わかんない。


でもさ、いいんだよね、まだ。
ボロボロでも、傷だらけでも
大切な人の幸せをひたすら願う
そんな形の恋愛があっても。

⏰:10/09/03 02:03 📱:840SH 🆔:0qduYiP6


#609 [愛華]
そのおまけとして、
………私も幸せになりたい。


「なんかお腹すいたなー」

「そだなーなんか食いに行くか。
おにーさんがおごっちゃるよ」

「いいですね〜……ってか
なんで誨さん、あたしの家の前に
いたんですか?」

「細かいことはいーの!!」


いつか、私も誰かと。

⏰:10/09/03 02:07 📱:840SH 🆔:0qduYiP6


#610 [理沙]
失礼します

<<1-100
<<101-200
<<201-300
<<301-400
<<401-500
<<501-600
<<601-700
<<701-800
<<801-900
<<901-1000

⏰:10/09/03 20:54 📱:N01B 🆔:kH1/GW5I


#611 [理沙]
アンカー失敗しました
ゴメンなさい

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:10/09/03 21:04 📱:N01B 🆔:kH1/GW5I


#612 [愛華]
理沙様
アンカーありがとうございます

⏰:10/09/04 00:54 📱:840SH 🆔:O1wN.WdE


#613 [愛華]
>>609





俺は走った。ひたすらに。
那佑が待ってる。急がなきゃ。

頭の傷が痛む。
血の味がする。

でも今はどうでもいいんだ。

⏰:10/09/04 00:59 📱:840SH 🆔:O1wN.WdE


#614 [愛華]
約束の時間から1時間半
たっていた。
もう那佑はいないかもしれない。
それでもいかなくちゃいけない。




那佑。俺は弱いんだ。
弱いから自分を抑えるすべを
知らなくて。
自分を守るために自分に支配され
そして人をまた傷つけてしまった

⏰:10/09/04 02:38 📱:840SH 🆔:O1wN.WdE


#615 [愛華]
お前は許してくれるだろうか。
こんな弱い俺を。でもダメなんだ。

俺は……那佑がいなきゃ
ダメなんだ。




みちゆく人が俺を見る。

額に流れていた血は固まって
カサブタのようになっていた。

ぱっと見、なにかの映画の
撮影みたいに見えなくもない。

⏰:10/09/04 02:43 📱:840SH 🆔:O1wN.WdE


#616 [愛華]
足がもつれても構わず走った。
明日は筋肉痛だ。
とか思いながらも走る。
汗が傷にしみて痛い。





「はぁはぁはぁ……」


待ち合わせ場所に着いて、
那佑を探す。




「…………那佑っっ!!」

⏰:10/09/04 13:40 📱:840SH 🆔:O1wN.WdE


#617 [愛華]





那佑はいた。
寒そうに身を縮めていて
耳、頬は真っ赤になっていた。


那佑は俺の方を見た。
ボロボロの俺を見て
一瞬驚いた顔をしたけど
すぐに真顔に戻った。

⏰:10/09/04 13:55 📱:840SH 🆔:O1wN.WdE


#618 [愛華]
那佑のもとに走る。



「…………ごめんっっ!!
その……ちょっと色々あって。
説明するから、とりあえず……」

「…………血。」

「………え?」

「血、出てる。」

那佑が俺の頭を指差す。

「あ、これは……だから説明する
から、どっか入ろう?」

⏰:10/09/04 14:46 📱:840SH 🆔:O1wN.WdE


#619 [愛華]
「服にも………ついてる」

那佑に言われて、見てみると
上着に血が点々とついていた。

「あ……これは俺じゃないんだ」

「………そうなんだ」


沈黙が流れる。


「………ごめんな?
寒かったよな?……ごめん」

⏰:10/09/04 14:51 📱:840SH 🆔:O1wN.WdE


#620 [愛華]
「……………」

那佑は黙ったまま俯いてる。
やっぱり怒ってるのか?
いや、当たり前だろ……
でも、どうすればいい?
謝るだけじゃダメなのか?


「隆則……?」

「あ、え……何?」

「ちょっとこっちむいて?」

「え?あ、うん……」

俺は那佑のほうに向き直った。
次の瞬間。


バシンッッ

⏰:10/09/04 14:58 📱:840SH 🆔:O1wN.WdE


#621 [愛華]
………え?

ビンタ?俺、ビンタされた。




「………ばか。ばか隆則」


頬が赤くなりジンジン痛む。
それよりももっともっと
心がジンジン痛くなった。

那佑が泣いていたから。

⏰:10/09/05 01:36 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#622 [愛華]
俺のせいで涙を流す那佑を
何回みてきただろう。

泣き顔なんて見たくないのに。
ほんとに人生うまくいかない。


「那佑………ごめん。ごめんな」

「ばかぁ……どんだけ心配したと
思ってんのー…?ばかばか!!」

ポカポカ俺の頭を殴る那佑。
その目から涙が次々あふれる。

⏰:10/09/05 01:40 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#623 [愛華]
「うん………ごめん」

「クリスマスになぁ!!
ケンカなんかすんなぁ!!」

「うん………ごめん」

「マリア様とイエス様も
いい迷惑だっつの!!」

「うん………ごめん」

「あ……あと長谷さんもか」

「うん………あとで謝るよ」

「…………ばか」

⏰:10/09/05 01:46 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#624 [愛華]
那佑はそう言うと、ぽすっと
俺の胸に頭をくっつけた。


いつのまにか、人はいなくなって
いて、俺と那佑だけになった。

さっきまであんなに人が
いたのに?

という疑問はもはやなかった。

今日はイヴ。
きっと不思議なことが起こるんだ

⏰:10/09/05 01:50 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#625 [愛華]
「隆則。約束覚えてる?」

頭をつけ下を向いたまま
那佑が言う。

「……覚えてるよ」


那佑と心が通じたあの日。
病院で那佑と交わした『約束』。


それは那佑がいなくなる時
ぜったいに泣かないこと。

⏰:10/09/05 02:19 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#626 [愛華]
『私がいなくなっちゃう時は…
絶対泣かないで。その時だけは…
絶対に。』


お前はそう言ったな。


俺はそれがいつになるのかなんて
わからないけれど。
それが
那佑が25になるまえに訪れる
なんて認めるつもりはない。

⏰:10/09/05 02:25 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#627 [愛華]
「約束ね、もう一個」

「……うん?」

「もう一個、ふやしてもいい?」

そう行って那佑は顔をあげた。
潤んでいる瞳は赤かった。


「………なに?」

⏰:10/09/05 12:10 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#628 [愛華]
那佑はもう一度、頭を俺の胸に
つけた。震えていた。


「……ケンカしたっていい。
血だらけになったって
足が折れたって、別にいい」


別にいいのかよ……




「…ボロボロになってもいい。
でも……ぜったいに帰ってきて。
最後は私のとこに帰ってきてね」

⏰:10/09/05 17:47 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#629 [愛華]
「…………」


「置いてかれるのはもう嫌。
置いてかないで。一人はやだ。
だから帰ってきてね」


泣きながら言う那佑。

俺の目の前で
『置いてかないで』
といった17歳の女の子は

とても幼く見えて。
とても愛しく見えた。

⏰:10/09/05 17:52 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#630 [愛華]
その言葉を聞いただけで

今までの彼女の孤独とか

悲しみとか痛みとか。

彼女の心についた無数の

傷をつけたものの正体が

すべてわかった気がして。


目の前の彼女が

ひどく小さく見えて。

⏰:10/09/05 17:59 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#631 [愛華]
心の傷は治せないから。

だから。

君の前で、今誓う。



「あたりまえじゃん。
那佑のとこに帰るから。
帰ってくるから」

「………うん。うん……」

一生懸命うなずく那佑。


俺の帰る場所は………ここ。

⏰:10/09/05 18:03 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#632 [愛華]
「………那佑。手、だして」

「……なんかくれるの?」

「まぁそんなとこ。目つぶって」


静かな時間。
やさしくて、あったかい。


「………なんかしてる?
指、冷たい感じするんだけど…」

「………目、あけていーよ」

⏰:10/09/05 18:14 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#633 [愛華]
「わ…………」

那佑の指には小さな小さな
指輪がはめられていた。
ハートのモチーフの
キラキラ輝く指輪。


「…………」

「なんか………言えよ」

わ、俺ぜってぇ顔赤い。
はずっっ……
頼むからなんか言ってくれ……

⏰:10/09/05 18:17 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#634 [愛華]
「すごい………かわいい。
すごいすごい………かわいい」

「あ、えと………よかった」

「隆則………ありがとう。
大好き。大好きだからね」

「あ、うん」

「嘘じゃないよ。嘘じゃない」

「なんで2回ずつ言うんだよ」

俺はふっと笑った。

⏰:10/09/05 18:25 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#635 [愛華]
「うー……」

「わっっなんで泣くの!」

「や、嬉しすぎて…とまんない」

「ばかじゃねーの……」

そういって那佑を抱きしめる。



「寒いから……帰ろっか」

「…帰んの?クリスマスだよ?」

⏰:10/09/05 18:30 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#636 [愛華]
「だって隆則、血だらけだし。
あたしもう満足だし」

「え〜いいのかよ……」

そう言って、手をつなぎ
那佑と歩きだす。



…………まぁいっか。

⏰:10/09/05 18:32 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#637 [愛華]
嬉しい時も涙って出るのか。
流したことないからわかんないな
でも、よろこんでくれるなら…
そんな涙もいいかもしれない。
素直にそう思った。



「……さっきさ、人めっちゃ
いたのに、急にいなくなったよね
なんでかなぁ?」

「ほら、イヴだからさ
不思議なことが起こるんだよ。

⏰:10/09/05 18:41 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#638 [愛華]
「そっかぁ。そーかもね」

はぁーっと息をはく那佑。
……寒そうだ。


「………なんでケンカしたの」

うっ…いきなりキター…

「や、あの……絡まれてさ」

「誰に」

「いや…わる〜い人にさ」

⏰:10/09/05 18:48 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#639 [愛華]
「…今の隆則は絡まれたぐらいで
ケンカなんかしないよ。なんで」

………全部おみとおしかよ。


「………あの時のヤローがさ。
逆恨みしてやりかえしにきた。
こーゆーやつは本気で痛い目に
あわせないとわかんないから
しょーがないからやっただけ」

「……ほんとは怖かったくせに」

⏰:10/09/05 18:55 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#640 [愛華]
那佑には……全部ばれてしまう。

「………うん。超こわかった」

「………ほらね」

「でも……俺がにげて
また那佑のとこに行くかもって
思ったら……そっちのほうが
何倍もこわかったから」

那佑は俺の手を少しだけ
強く握りなおした。

⏰:10/09/05 18:59 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#641 [愛華]
「……指輪くれたから許す」

「うん。ありがと」


てゆか俺、頭割られてて本当は
こんなことしてらんないけどな…
とか思うけど……
でも今日は。今だけは。


ちょっとだけこのままで……

⏰:10/09/05 22:51 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#642 [愛華]
-那佑side-

⏰:10/09/06 15:45 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#643 [愛華]
心がひきちぎれそうな。

そんな長い時間だった。

もしかしたら来ないかもしれない

事故にでもあったのかもしれない

不安と恐怖。

心が闇に押し潰されそうで。

⏰:10/09/06 15:53 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#644 [愛華]
こんな気持ち、前にもあった。


お父さんとお母さんに
置いていかれた、あの春。

辛くて、苦しくて。
そこから抜けだせなくて。


隆則。はやくきて。
わたしはここにいるよ。
ひとりはやなんだよ。


待つことしかできなかったの。

⏰:10/09/06 15:57 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#645 [愛華]
嫌な不安がつのって……
それは当たってしまって。


やっと来た隆則は血だらけだった

すぐにケンカだってわかった。


ほっとしたのと同時に湧いた…
ひとつの不安。



隆則はあたしを一人にしない?

⏰:10/09/06 16:00 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#646 [愛華]
今日みたいに
突然に
あたしを置いていかない?


………もう置いてかれたくない。




あたしは隆則と『約束』をした。

あたしたちだけの、約束。
わがままかもしれないけど…
でも……約束だからね?

⏰:10/09/06 16:04 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#647 [愛華]
あたしは隆則のところに帰る。
ぜったいに帰ってくるから。


だから隆則も………


あたしのところに帰ってきてね。


約束だよ、隆則。

⏰:10/09/06 16:11 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#648 [愛華]
人はひとりじゃ生きていけない。

いつも孤独と隣り合わせなんだ。

だから、その不安から

抜け出すために、形を。

つながりを求める。

それは『結婚』とか『束縛』とか。

……『約束』とか。

⏰:10/09/06 20:52 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#649 [愛華]
形は人それぞれだけど

自分がひとりじゃないという

ひとつの証明の形なんだよ。



神様。

どうかあたしのつながりを

たったひとつのつながりを

………奪わないでください。

あたしが消えるその日まで

………強く、生きられるように。

⏰:10/09/06 21:00 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#650 [愛華]
-隆則side-

⏰:10/09/06 21:04 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#651 [愛華]
冷たい空気が身にしみる。
でもそんな寒さも気にならない。


「たっだいまぁー」

「おー隆則ーおはへひー」

ソファの上でフライドチキンを
食べながら、目も向けずに
誨が言った。

相変わらずムカつく……

⏰:10/09/06 21:08 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#652 [愛華]
「………てかお前はやくね?
まだ4時だぞ?
那佑ちゃんはどうし……」

誨が振り向き、俺の頭に巻かれた
包帯を見て固まった。

「……あ、えとな、いろいろ
あってな。三針縫いました、頭」

「………はぁぁぁ?
お前イヴにケンカしたのか?
ばかじゃねーの?
なんでよりによって今日!!」

⏰:10/09/06 21:17 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#653 [愛華]
どうして那佑もこいつも
俺のケガ=ケンカになるんだ?

いや、間違ってないけどさ。
間違ってねぇけど……
俺+ケガ=どーせまたケンカだろ
みたいな公式、勝手に
たてないでほしいよな………

「そいで?こんなはやくに?」

「あ、うん。病院行けって。
でもプレゼントは渡せた♪」

「渡せた♪ じゃねーよばか。
馬鹿なことして心配かけんなよ」

⏰:10/09/06 21:26 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#654 [愛華]
ほんとに容赦ない誨の言葉。
グサグサくるぜ……くそぅ。


「あ……そっか。
梓ちゃんが言ってたのって…」

「ん?なに?」

「あ、やー…もしかしてさ
ケンカ止めにきたのって
梓ちゃんだったりする…?」

「え、なんで知ってんの?
てゆか…梓に会ったの?」

「んーまぁ……」

⏰:10/09/06 21:31 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#655 [愛華]
「お前、まさか夜の予定って…」

「あ、や、なくなったから。
昼一緒にいってきちゃったから」

……ちょっとまて。
頭の中で状況を整理。
そうした結果……

「…てめぇ梓に手だしたんか!?」

「手ぇ出すとはなんだ!!
俺は純粋な気持ちで……」

⏰:10/09/06 21:40 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#656 [愛華]
「純粋!?よく言うぜてめぇ!
高校時代、街中で俺の写真
売った金で彼女とデートしてた
くせに!!悪の極みだろ!!」

「うるせー!!
てめぇの取り柄は顔だろーが!
それを親友が利用して
何がわりぃんだよ!!
ムカつくんだよお前、
カッコイイ顔しやがって!!」


いや、最後のは褒め言葉…

というのは頭に血がのぼった
二人は気づくはずもなく。

⏰:10/09/06 21:47 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#657 [愛華]
ぎゃーぎゃー騒いだ末……

「………腹へった」

「………へったな」

しょーがないので男ふたりで
クリスマスパーティーを
することに。情けな……

酒を買ってきて騒ぎまくる。

誨はかなり酒には弱い。
なのに今日はいつもの倍以上
飲んでいた。

あ、お酒は20歳からね。
良い子のみんなは
真似しないよーにね。

⏰:10/09/06 21:55 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#658 [愛華]
夜も更けてゆき
俺はほろ酔い、誨は泥酔。


「うぅ……気持ち悪いよぅ…
苦しいよぅ……しくしく」

「泣くな!しくしくとか言うな!
ってゆーか飲み過ぎだろ…」

「でけぇ声だすなよ…うー…」

……全く。困ったやつだな。
ほんとにしょーもない……

⏰:10/09/06 21:59 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#659 [愛華]
「………なぁ隆則ぃ」

「ん?なんだよ」

「…那佑ちゃんのことさぁ
大事にすれよーちゃんとさ」

「いきなり何いってんだよ?」

俺はぐぃっと酒を飲み込む。


「や、あーゆー女の子はさ。
流されやすいじゃん?
だから油断するとカーンタンに
持ってかれちまうわけよ」

……油断なんか、してないけど。

⏰:10/09/06 22:03 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#660 [愛華]
「だからちゃんとつかまえとけ」

つかまえとく…?どーやって?
でも誰かにやるつもりなんか
全くない。絶対やだ。

「……結婚、したい」

口からとっさに出た言葉。
言った瞬間、どうしようもない
恥ずかしさに襲われて
クッションに顔を埋めた。

「あ、そーゆーのはよくない。
それは逃げ、だろ?ただの」

⏰:10/09/06 22:14 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#661 [愛華]
「誰かにとられなくて済むから
結婚するってのは違うだろ?
もっと違う方法あるだろ」

「違う方法……て何?」

「そりゃぁ………フフ」

おい、なんだ今の笑い。
めちゃくちゃ嫌な予感。

「まずはだね、那佑ちゃんの
服のボタンをひとつひと…」

「あー俺コンビニいってくるわ」

逃げるが勝ち。

⏰:10/09/06 22:22 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#662 [愛華]
「隆則ぃー酒よろしくー
氷もなー酒にいれてなー」

「あーハイハイ」

ぐでぐでのくせに何いってんだ。
氷のかわりにドライアイス
いれてやる。



外はいいかんじに涼しくて
酒でほてった体を冷ました。

足元がふらふらする。
………俺もけっこう酔ったな。

⏰:10/09/06 22:26 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#663 [愛華]
コンビニは、深夜ということも
あって人は少なかった。

酒を買い終えて帰ろうとした時。

突然誨の言葉が浮かんだ。

「違う方法あるだろ?」


ガラガラガラ!!

やらかした……
酒を地面にぶちまけてしまった。

⏰:10/09/06 22:33 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#664 [愛華]
あんにゃろー……

誨に恨みごとを言いながら
酒をひとつひとつ拾う。

最後のひとつを拾おうと
しゃがんだ時。


「………はい、どーぞ」

目の前には男が立ってた。
176くらいある。高校生か?

「あー……ども」

酒を受け取り、袋に戻す。

⏰:10/09/06 22:38 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#665 [愛華]
「滑るので気をつけて下さい」

そういってにこっと男は笑った。

去っていく男の後ろ姿を
黙って見ていた。

………なんだ?この感じ……

頭の中ではまた誨の言葉が
ゆっくりとこだましていた。



「カーンタンに持ってちまうぞ」

⏰:10/09/06 22:43 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#666 [愛華]
ミスです

「持ってかれちまうぞ」

です

⏰:10/09/06 22:53 📱:840SH 🆔:MHBXlxoo


#667 [愛]
>>400ー1000

⏰:10/09/06 23:24 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#668 [愛]
>>400ー700

⏰:10/09/06 23:26 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#669 [愛]
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:10/09/06 23:28 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#670 [愛華]
>>669 愛様
アンカーありがとうございます

⏰:10/09/07 00:19 📱:840SH 🆔:Tqqz7u3s


#671 [愛華]
-那佑side-

⏰:10/09/07 16:29 📱:840SH 🆔:Tqqz7u3s


#672 [愛華]
新学期です。

寒さはまだまだ深いし

楽しい行事は全部終わった

1月の半ば。

なんとなく気分がダラダラ…

人はそれを正月ボケと呼んだ。


………あー……しんどい……

⏰:10/09/07 16:33 📱:840SH 🆔:Tqqz7u3s


#673 [愛華]
「じゃーお正月は家族で??」

「うん。久しぶりにね」

今はお昼休み。
梓と久しぶりの学校での昼食。


「…てゆかさ、なんで
両親いないなんて嘘、タカに
ついてたの?」

「え…………あー!!」


そうだ…隆則と出会いたての頃、
あたしは両親がいないって嘘
ついてたんだっけ。
両親との関係いいたくなくて…

⏰:10/09/07 16:45 📱:840SH 🆔:Tqqz7u3s


#674 [愛華]
「ていうか梓がなんで?え?」

「タカがけっこう前にさ
『那佑はなんでかしらないけど
両親いないとか嘘ついてる。
でも隠すってことはなにかしら
理由があるだろーから
知らないふりしとけよ』ってさ」


隆則は気づいてたんだ…
ずーっと前から。

「まぁ、今ならべつにいーか、
と思ってさ。ダメだった?」

⏰:10/09/07 21:30 📱:840SH 🆔:Tqqz7u3s


#675 [愛華]
「ううん。今はもういいんだ。
ありがとね、梓」

「べーつにぃ」

梓はめんどくさそうに伸びをして
大きなあくびをした。



「…梓はクリスマスどうしたの」

「んー特に…誨さんとご飯した」

⏰:10/09/07 21:44 📱:840SH 🆔:Tqqz7u3s


#676 [愛華]
「誨さんて………えと…
隆則の友達だっていう…」

「そう、それ」


えぇ!?
あたしも何度か会ったことは
あるけれど、なんていうか……
軽い。中身がない。淡泊。

そんな感じの人で、
初対面でニガテを感じた。


「……案外いい人だよ、あの人」

「へ、へぇ……」

⏰:10/09/07 21:56 📱:840SH 🆔:Tqqz7u3s


#677 [愛華]
まぁ梓が言うんなら……
実はそうなのかもしれないな。



「それよりさー、噂だけど
うちのクラスに転校生くる
らしいね。男の」

「転校生?男の?」

「うん。部活に来てた人が
見たらしい。けっこうイケメン」


ふーん…や、特に
興味もないけど。

⏰:10/09/07 22:03 📱:840SH 🆔:Tqqz7u3s


#678 [愛華]
「そーなんだーへー」



この日のあなたとの出会い。

それは私の運命を大きく変えて

周りを巻き込みながら大きくなり

あなたの運命も変えてしまった。

まるで嵐のように

あなたは私のもとへやってきた。

⏰:10/09/07 22:24 📱:840SH 🆔:Tqqz7u3s


#679 [愛華]
「……てゆか転校生ってフツー
朝にくるでしょ?今昼だけど」

あたしは不思議に思い、
ジュースをすすりながら梓に聞く

「あー…なんでだろーね?」

「嘘なんじゃないのかなぁ…」

そんなことを話しながら廊下を
歩いていると。


「………あ」

⏰:10/09/08 00:18 📱:840SH 🆔:lLLUK/aw


#680 [愛華]
突然、梓が声をあげた。

「なに?梓」

「………あれだよ、転校生」

前を見ると、向こうから
見たことのない制服をきた男子が
歩いてくるのが見えた。


……へー確かにかっこいいけど…


「…あ、同じクラスの子だよな?
よろしくなー」

⏰:10/09/08 00:21 📱:840SH 🆔:lLLUK/aw


#681 [愛華]
「…………はい!?」

まさか話しかけられるとは
思っていなかったし
何このフレンドリー感!!
まるで当たり前かのように
彼はあたしたちに挨拶をした。


「品野直純(しなのなおずみ)
ってゆーの。
あとでまた会うと思うけどさ」

「あ…はぁ。よろしくね」

梓とあたしもとりあえず挨拶。

⏰:10/09/08 00:27 📱:840SH 🆔:lLLUK/aw


#682 [愛華]
………なんだこの展開。


「あ、んじゃまたあとでねー」

そう言うと、転校生はどこかへ
行ってしまった。


………へんな人。すっごい。

それが第一印象だった。

なんていうか、うん。
今までにいないタイプだな。

⏰:10/09/08 00:30 📱:840SH 🆔:lLLUK/aw


#683 [愛華]
「なんつーか…フ、フレンドリー
な人だね……」

「うん……びっくりした…」


でも結局その日、彼がクラスに
やってくることはなかった。


………よくわからん。
別のクラスだったのかな?
うーん………謎だ。

⏰:10/09/08 03:24 📱:840SH 🆔:lLLUK/aw


#684 [愛華]
変だなぁとは思ったけども
そこまで興味もなかったし…
まぁ人間そんなものである。



「くぁっっ」

「………え、なにそのあくび」

「眠いんだよねーすっごい…
最近、夜更かししてるからかな」

「夜更かしぃ?なんでまた」

「ん?テレビ」

⏰:10/09/09 18:44 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#685 [愛華]
現在、隆則宅にてダラダラ中。
今、お父さんとお母さんは仕事で
いないので寂しかったり……


「お前な、体こわすぞ。だめ。
つーか病院いってんのか?」

「いってるよーちゃんと」

といっても、行ったって診察して
終わり。特になにも言われない。
運動は控えてね、くらい。

⏰:10/09/09 20:10 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#686 [愛華]
なにも変わらない毎日。
変わらなすぎて、自分が本当に
死んじゃうなんて
嘘なんじゃないかって思う。
嘘なんだって思いたいんだ。


「あんま無理すんなよ」

「わかってるよーだ。
薬だってちゃんと飲んでるもん」

隆則はゆっくり立ち上がって
あたしの隣にすわると
頭をナデナデしてくれた。

⏰:10/09/09 20:17 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#687 [愛華]
……おっきい手の平。
隆則の手は魔法の手。
すごく安心する……

隆則を間近で見上げると、
視線に気づいたのか目が合って
隆則はにっこり微笑んだ。

………ずるい。ずるいよ。


「…隆則ってさーなんでそんな
かっこいーの?」

「……はぁ?熱でもあんの?」

⏰:10/09/09 20:25 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#688 [愛華]
あれ、けっこう真面目に
言ったつもりだったんだけどな。

でも本当に隆則は、芸能人並に
かっこいい。
でも私が隆則を好きになったのは
そんなのが理由じゃないよ。

上手く言い表せない何かに
私は惹かれていったんだ。


「…隆則って何人くらいの人と
付き合ったの?」

⏰:10/09/09 20:35 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#689 [愛華]
「んーえーと…いない、よ?」

「うそ。今つまったじゃんけ」

「じゃんけ て何。どこの言葉」


……そっか。私ははじめてだった
ことも隆則ははじめてじゃない。
私以外の誰かと……

ん?それ、なんかやだな。

⏰:10/09/09 21:45 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#690 [愛華]
なんだこれ。胸がちくちくする…
針でつっつかれてるみたいな。


「………あっそ。別にいーけど」

あたしはぷぃっと後ろを向いた。
隆則が笑いをこらえてるのが
見てもいないのにわかった。

………ムカつくっっ!!

⏰:10/09/09 23:36 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#691 [愛華]
「那佑ーなにおこってんの」

「うるさい、ばか隆則」

隆則はくっくっと笑いながら
あたしの頭をわしゃわしゃした。

「……那佑が初めてだけど。
つきあうのも、本気なのも」

「………うそだ」

「ほんとほんと。女が苦手
だったからさ。あ、那佑は平気」

⏰:10/09/09 23:40 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#692 [愛華]
「………ほんと?」

あたしはちょっとだけ振り向いた

「ほんとほんと!!」

ニコニコしながら隆則がいう。

あたしはくるっと振り向いて
隆則によしかかった。

「……ネコみたいだな、那佑」

「え、どこらへんが?」

⏰:10/09/09 23:44 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#693 [愛華]
「んーやきもち妬くとことか
こーゆー人懐っこいとことか」

……そっか。あたしさっき…
やきもち妬いてたんだ。
妬いたことないからなぁ……


「じゃー隆則だけの
ネコになるにゃ☆」

「にゃ☆ じゃねーよ。
バカなのばれるからやめなさい」

「隆則が!隆則が言ったのに!」

⏰:10/09/09 23:51 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#694 [愛華]
「俺は、似てるなって言っただけ
ネコの声出せなんて言ってない」

「なんだよー!恥かいたじゃんー
あたしバカみたいじゃんー」

「ばかとはつきあえませーん」

「すいませんー!!
もう にゃ☆ とか言いませんー」

⏰:10/09/09 23:58 📱:840SH 🆔:upRrJ//M


#695 [愛華]
くだらないことで笑いあって

ささいなことがうれしくって

そんな毎日に溢れてる小さな幸せ

それが少しずつ重なり合って

いつのまにかあたしにとっての

大きな大きな幸せになっていた。

ただ、それがすべてだった。

⏰:10/09/10 00:10 📱:840SH 🆔:bCLeNTMk


#696 [愛華]
この時は思ってなかった。

予想なんかもしてなかった。

こんな幸せな日々は

神様の意地悪で簡単に

いとも簡単に

崩れ去っていくこと。

隆則。

あなたはわかっていたのかな?

⏰:10/09/10 20:11 📱:840SH 🆔:bCLeNTMk


#697 [愛華]
次の日、クラスでは。


「うちのクラスに来るって!」

「転校生でしょ!?
かっこいーらしいじゃん!!」

……そう言って昨日も
来なかったじゃん。
ま、別にいーけどさ…

………あー眠い。


「おっはよ、那佑!!」

「あ、梓おはよー…ふぁ〜」

⏰:10/09/10 20:22 📱:840SH 🆔:bCLeNTMk


#698 [愛華]
「なに、眠そうな顔して〜
てゆか噂すごくない?昨日より」

「あー…別に興味ないけどさ。
てゆかなんで今日?
昨日学校いたのに来なかったし」

なんだかんだ話してるうちに
朝のホームルームになった。

クラスのみんなの視線が
自然と教壇に集まっていく。

⏰:10/09/10 20:29 📱:840SH 🆔:bCLeNTMk


#699 [愛華]
「……………わぁ」

………ほんとに来た。

先生と一緒に昨日会った
転校生がはいってきた。
改めて見るとやっぱりイケメン。


「えーと…今日からうちの
クラスメイトになる
品野直純くんだ。自己紹介して」

「品野直純です。よろしく」

女子の目がハートになる。
漫画みたいなかんじ。

⏰:10/09/10 20:35 📱:840SH 🆔:bCLeNTMk


#700 [愛華]
自己紹介のとちゅうで
目があったので軽く会釈。すると
返事なのかウインクされた。

「今ウインクされたぁー」

などと一部の女子が騒ぐ。

………はーぁ……眠い。


あたしはうとうとし始めた。

⏰:10/09/10 20:44 📱:840SH 🆔:bCLeNTMk


#701 [愛華]
ホームルームが終わり、
品野くんの周りには女子が集まる


「……すげ。品野くんすげ」

梓が人事のように呟く。
てゆーか人事なんだけど。

「……てゆかさっきさ、
那佑にむけてウインクしてた?」

「んー……さぁ?わかんない」

あたしは、というと
眠くてそれどころではない。

⏰:10/09/10 23:49 📱:840SH 🆔:bCLeNTMk


#702 [愛華]
………ダメだ。


「……梓、ごめん眠い。
一時間目サボる。寝てくる」

「えぇ!?どこで!?」

「天気いーからおくじょー」

あたしはそれだけ言うと、
ひざかけを手にとって
教室を出ていった。


屋上までゆっくりと上がる。

⏰:10/09/10 23:53 📱:840SH 🆔:bCLeNTMk


#703 [愛華]
…今日ははやく寝なきゃなぁ…


屋上に雪はつもってなかったけど
やっぱり寒い。
でも持ってきたひざかけは
けっこう大きめ。ひざかけと
いうよりは大きい毛布。

あたしは毛布を広げ、中に入り
ぱたんっと毛布をたたんだ。
オムレツの要領で毛布に包まる。


………あったかいなー……
日差しが気持ちいいや……

⏰:10/09/10 23:58 📱:840SH 🆔:bCLeNTMk


#704 [愛華]
あたしは少しずつウトウトとなり
夢の世界に入っていった。




夢を見ていた。
悲しい夢。


心が引き裂かれるような…

⏰:10/09/11 00:00 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#705 [愛華]
夢の中であたしは泣いてる。

泣き叫んでいる。

でもなんで泣いてるの?

なんで止まらないの?

あ、隆則がいる。

隆則、どこ行くの?

一人にしないって言ったじゃん

帰ってくるってゆったじゃん。

隆則………どこに行くの

どうして隆則も泣いているの

⏰:10/09/11 00:03 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#706 [愛華]
隆則はゆっくりと歩く。

あたしから離れていく。

やだ、行かないで

行かないで

置いていかないでよ

約束したじゃんか

だって隆則も泣いてるじゃんか

「………ごめんな、那佑」

どうして、 謝るの

⏰:10/09/11 00:06 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#707 [愛華]
「………行かなっ…………」

あたしは飛びおきた。

なに、今のゆめ。


呼吸が乱れる。
頬をさわると涙が流れてた。
止まらない。止まらないの。


「はっ……はぁっはぁっ…」


涙が止まらない。
あたし、どうしちゃったの?

⏰:10/09/11 00:10 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#708 [愛華]
「………だいじょうぶ?」

声のするほうを振り向いた。


「………品……野くん…」

そこには転校生の品野くんが。

「サボろうとして屋上
きたんだけど……ごめんな?」

品野くんの言葉は耳にはいらない
だって涙が止まらないから。
呼吸の乱れもおさまらない。
息がくるしい。

⏰:10/09/11 01:37 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#709 [愛華]
「はっはっ……はぁっ」

品野くんはゆっくりとあたしに
近づいてきて背中をさすった。

「……怖い夢みたのか?
だいじょうぶだよ、怖くない」

優しい声………
初めて見た時から感じてた何か。

このひと………


隆則に似てるんだ。

⏰:10/09/11 01:40 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#710 [愛華]
「……うっうぇ……うぁぁん…」

あたしは泣き崩れた。

なんで泣いてるんだろう。

さっきの夢はなんだったの?

見えない何かに押し潰されそうで

ただ怖くて怖くて

まるでさっきの夢は

これからの未来を

私の未来を暗示しているようで。

⏰:10/09/11 01:43 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#711 [愛華]
あたしが泣き止むまで
品野くんは側にいてくれた。


「………落ち着いた?」

「……うん。だいじょーぶ…
ごめん、なんか変なとこ見せて」

「別にそれはいーけどさ…
どんなこわい夢みたの?」


あたしは夢を思いだそうとする。
でも、その行為を脳が拒否した。

⏰:10/09/11 01:47 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#712 [海]
>>700ー800

⏰:10/09/11 04:47 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#713 [海]
すみません失敗しました
次はどうだ!>>700-800
できたかな?

⏰:10/09/11 04:58 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#714 [海]
ごめんなさい

>>700-800

⏰:10/09/11 04:59 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#715 [愛華]
>>714海様

気にしないでください
アンカーありがとうございます

⏰:10/09/11 09:10 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#716 [愛華]
思い出そうとすると涙が溢れる。
心が破かれるみたいに痛い。
襲ってくる孤独感。絶望。


「……ごめん。言いたく、ない」

「……そっか。うんわかった。
気にしなくていーから」

あたしはコクンと頷くと
毛布に顔をうずめた。

⏰:10/09/11 09:15 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#717 [愛華]
「……名前、なんてゆーの?」

「んと……白石那佑、だよ」

あたしは下を向いたままじゃ
失礼なので、ちょっとだけ
顔をあげて答えた。


「なゆ?かわいー名前だね」

「そう?でも直純ってゆーのも
武将みたいでかっこいいじゃん」

「あはは、そんなことねーよ」

⏰:10/09/11 09:20 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#718 [愛華]
あぁ……やっぱり。
このひと隆則に似てる。
なんてゆーか…笑い方とか。
喋り方とか雰囲気とか。

なんとなく………似てる。


「品野くんてさ……」

「あ、直純でいーよ」

「じゃ、直純くんて呼ぶね」

「うん。なんかいーね」

⏰:10/09/11 09:38 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#719 [愛華]
ニコッと直純くんは笑った。
すごくキレイな笑顔だった。


「…転校初日からサボり?」

「あは、まーね。いい天気だし。
昨日もめんどくさくなって結局
いかなかったんだよな。」

………なんだ、そりゃ。

「自、自由人だね……」

「いいことでしょ。人生さ
自由に生きなきゃダメじゃん」

⏰:10/09/11 19:40 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#720 [愛華]
「じゆう……?」

「うん、そう。
今は幸せでも明日は幸せ
じゃなくなってるかもしれない。
もしかしたら明日は
来ないかもしれないだろ?
だから、今好きなことをして
好きなもの食べて…

好きなものを手にいれる。」


……自由ってそういうことなの?

⏰:10/09/11 19:48 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#721 [愛華]
「あたしは…違うと思う」

「…ん?」

「自由になりたくたって
そうなれない人もいるんだよ。
毎日恐怖と戦ってる人もいる。
でも、そんな人たちは……

自分が自由か?なんて考えない。
考えたら前に進めないじゃない」

「……白石?」

⏰:10/09/11 19:52 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#722 [愛華]
「あたしは…自分が何かのために
自分から動けた時とかに
あぁ…自分は自由なんだなって」

「白石……どうしたの?」


あたしはハッとする。

なにいってんだろ……あたし。


「ごめん…なんでもない」

「………白石って変だな」

⏰:10/09/11 19:59 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#723 [愛華]
そういって直純くんは笑った。

「…ごめん、気にしないで」

「別にいーって。気にしてない。

……ね、白石って彼氏いる?」

「な、なにいきなり……」

「いる?いない?」

な、なんか答えは決まってるのに
答えるの恥ずかしいな……
慣れてないからかな?

⏰:10/09/11 21:59 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#724 [愛華]
「いるよ?……2個上だけどね」

「ふーん…2個上…大学生?」

「うん。すぐそこの大学生」

直純くんは複雑そうな顔をして
ちょっとだけ笑った。
私に見えないくらいの
小さい笑みだった。

「好きなの?彼氏のこと」

「なななななんで!?」

好きじゃなかったら
つきあうわけないじゃんか!!

⏰:10/09/11 22:14 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#725 [愛華]
「あーごめん、聞き方悪いね。
んーと…どれくらい好きなの?」

どれくらい………好き?


「えーとえーと……


大好き、よりもっと好き、だよ」

あたしは顔が赤くなっていくのが
わかった。 ひゃー…

⏰:10/09/11 23:35 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#726 [愛華]
「……白石、顔まっか」

「え、ほんと!?うわ、はず…」

あたしは顔をあおぐように
毛布で顔をパタパタ。

「ふぅーん。大好きなんだ」

「う、うんまぁね」




「…俺も負けてないと思うけど」

⏰:10/09/11 23:38 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#727 [愛華]
「それってどういうこと……」

ガタン!!



「こーゆーこと?」


……なにがおこったの?
目の前には直純くんの顔。
下にはあたしの毛布。

あたし……押し倒された!?

⏰:10/09/11 23:53 📱:840SH 🆔:1ddPhulE


#728 [愛華]
「な……おずみくん?
なんかの……冗談?」

「冗談じゃないよ。本気。

俺さ……白石のこと好きだよ」

「……なにいってるの…?」

かすれた声しか出ない。
だって昨日会ったばっかじゃん。


「白石はさ……一目惚れって
どう思う?やっぱムリ?」

⏰:10/09/12 00:28 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#729 [愛華]
「ムリってゆーか……え?
なに?どーいうこと?」

頭の中はパニック。
この状況と直純くんのセリフ。


「俺、一目見て白石が好きに
なった。本気だよ。
彼氏がいても関係ないよ。
…好きになるのに時間なんて
関係ないと思わない?」

「え……だって……その…」

なに!?なにいってんのこの人!
全く理解できない!!

⏰:10/09/12 00:33 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#730 [愛華]
直純くんは鼻がくっつくくらいの
距離で囁く。

「白石さぁ……俺にしない?」


頭がクラクラする。
こんなかっこいい男の子に
色っぽい声でこんなこと…
まるで麻酔みたいにぼーっとする


「ひ…一目惚れなんて
顔が好きになったって事じゃん!
よく知りもしない相手を好きに
なるなんてありえない!
あたしはそんなのムリ!
わかったらどいて!はやく!」

⏰:10/09/12 00:38 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#731 [愛華]
第一、あたしには隆則がいるし!

そう言おうとしたら、
直純くんとあたしの鼻が
くっついた。ち…近すぎっ…


「……べつにいーじゃん…」

直純くんはフッとあたしの
首筋に息を吹き掛ける。


「ひっ……」

「あれ、なれてないの?
……俺が色々教えてあげよっか」

⏰:10/09/12 00:42 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#732 [愛華]
「なっっ………」

直純くんの唇が首に落ちる。

………やだ!やだやだ!

次の瞬間。


どかっっ!!


「なにすんのよ!!
こんのスケベやろー!!」


あたしは言葉よりも先に
手と足がでていた。

⏰:10/09/12 00:48 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#733 [愛華]
「いってぇ……」

直純が(もはやくんづけナシ)
痛がって頭をさすっているけど
そんなことはどうでもいい!!


「さいっってい!!
ちょっとでも心ゆるしたあたしが
馬鹿だった!二度と近づくな!」


あたしはそれだけ言うと
屋上を飛び出した。

⏰:10/09/12 00:52 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#734 [愛華]
さいていさいていさいてい!!
隆則にちょっと似てるかも、
とか思ったあたしが馬鹿!!
超ばか!!
あんなやつ、隆則になんか
ぜんっぜん似てない!!


「似てねんだよ、このやろー!」

あたしは叫んだ。

あんなやつ大っっきらいだ!!

⏰:10/09/12 00:55 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#735 [愛華]





「あー……いたたた」

あの女、思い切り殴りやがって…

でもやっぱ、そう簡単には
いかねぇか……

「…あんな顔すんだもんなぁ…」

あんな真っ赤になるくらい
好きなんだろう。

⏰:10/09/12 00:57 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#736 [愛華]
知らない男にホイホイ
ついていくほど馬鹿じゃねぇか。

……めんどくせぇなぁ……

でも俺は白石を手にいれる。
それでも手にいれる。


あの男から………
大事なものを奪ってやる。

「……白石……那佑だっけか」

⏰:10/09/12 01:01 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#737 [愛華]
顔はかわいいけど、キレっぽいし
たいした女じゃない。でも……

あいつが好きそうなタイプだな。

……絶対手にいれる。
欲しいものは絶対に
奪いとってやる。

あんたが……そうしたように。


「そうだろ…………?



  ………………………隆兄」

⏰:10/09/12 01:06 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#738 [愛華]




「………あー!!ムカつく!!」

あたしはばんっと教室の戸をあけ
机にどかっと座った。

「わ、那佑どーしたの?」

「なんでもないっっ!!」

教室のみんなが
「いや、絶対なんかあったやろ」
的な視線を送ってくる。

⏰:10/09/12 11:52 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#739 [愛華]
そんな視線の中、直純くんが
教室の中にはいってきた。

「品野くん、どこいってたの?」

「あーちょっとね」

直純くんは女子たちにそう言うと
あたしのところに歩いてきた。


「…………なんか用」

「これ、忘れてっただろ」

直純くんの手にはあたしの毛布。

⏰:10/09/12 13:21 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#740 [愛華]
「………あ、忘れてた」

「ごめんな、あんなことして…
痛かっただろ?」


…………はぁ!?
教室がざわつく。
梓は口があいたまま。

「ちょっ!あんたなにいって…」

「もうあんなことしないから」

な、なにいってんのコイツ!!


教室は騒然。

⏰:10/09/12 13:25 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#741 [愛華]
「だから!あんたなにいって…」

「あ、じゃあね。那 佑」


……あンのやろ!
名前強調しやがった!!


ぱたん。教室のドアがしまる。


 ………………………………… 

訪れる沈黙

⏰:10/09/12 13:28 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#742 [愛華]
「ちょ……………那佑!!
今のなに!?どーゆーこと!!」

「白石さん!いつから品野くんと
あんなこんな関係に!?」

「1時間目に品野くんと
なにしてたの!?ねぇ!!」


女子からの質問攻め。
男子は見て見ぬフリ。
俺ら、なんも知りません…マジで
みたいな目。

⏰:10/09/12 13:32 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#743 [愛華]
「いや……なんもなかった!!
………わけじゃないんだけど
あんなこととかこんなことは
しなかった!!ほんとに!!」

「うそだ!!だって品野くん、
痛かっただろ……って!!
…………うわぁぁぁん!!」

「ミキ泣かないで!!
白石さんひどいよ!!ミキは
品野くんに一目惚れしたのに!
品野くんとあんなこと……」

「するかー!!隆則とだって
まだしてないのにー!!」

⏰:10/09/12 13:35 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#744 [愛華]
「………たか……のり??」

あたしは、しまった! という顔。
梓は頭をかかえている。


「ちょ…たかのりさんて誰!!
まさか二股!?白石さん、
品野くんとその隆則さんて人と
二股かけてるの!!」

「白石さん、ひどいよー!!
隆則さんがかわいそーだよ!!」

⏰:10/09/12 13:39 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#745 [愛華]
「だから!!直純くんとは…」

「名前で呼んでるぅー!!
どっち!?どっちが本命なの!」

「いや、だから名前は……


…もういいかげんにしてー!!」


アア……女子ってコワイ……

あ、あたしも女子だ……ハハ

⏰:10/09/12 13:45 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#746 [愛華]
「………疲れた……」

女子の誤解をとくのにかなりの
時間がかかった。
押し倒されたことはさすがに
言えなかったけど……


「ほんとびっくりさせないでよ、
二股なんて知ったら、隆則
気絶しちゃうよ、多分」

「かけてないからね!二股!」

「わかったってば……」

⏰:10/09/12 18:37 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#747 [愛華]
「………ね、品野くんと
本当はなにがあったの?」

ぎくっっ

「な…なにも……」

「隠すんだ?親友のあたしに?
タカに言っちゃおっかなー…
那佑が浮気してるって……」

「ちょ、梓!!わかったから!」


……くそぅ。

⏰:10/09/12 18:49 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#748 [愛華]
「………ま、マジで?」

「うん………。
隆則にちょっと似てるかもって
油断してた……不覚」

「タカに……似てる?
いや………でも…………うん」

「梓?」

「あ、いや…なんも
されなかったんだよね?」

「うん、まだね…逃げたし」

「そっか……」

⏰:10/09/12 19:30 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#749 [愛華]
「梓…なしたの?」

「……実はあたしもちょい前から
タカに似てるな、とは思ってて。
ね、直純って珍しい名前かな?」

「そうでも…ないと思うよ?
頑張って捜せばいそうな名前
だと思うけど……」

「そう……だよね、うん。
苗字もちがうし……うん」

⏰:10/09/12 19:35 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#750 [愛華]
「え、なに?ごめん、
よくわかんないんだけど」

「あ、いや知り合いに似てた
ってゆーかなんてゆーか。
でも苗字ちがうし多分ちがうよ」

「知り合いって……?」

「ん、ちょっと……タカと
あたしの……」

……なんか歯切れわるいな。
なんなんだろ?

⏰:10/09/12 19:46 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#751 [愛華]
「でも今、那佑も同じこと
思ってたからもしかして…って
思ったんだけどさ」

「?????」

全くわけがわからない。
でも、いいずらいこと
なんだろうな……

「じゃあ聞いてみれば?」

「え?あ、うん。そだね。
それがてっとりばやいか」

⏰:10/09/12 19:53 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#752 [愛華]
ちょうど直純くんが教室に
戻ってきていたので、
梓は直純くんの席に近づいた。



「し、品野くん」

「ん?えっと……速水さん…
だったかな?ごめんね、まだ
覚えてなくて……」

「あ、うん。速水であってる。
でさ……品野くん。
隆則…赤石隆則ってわかる?」

⏰:10/09/12 20:03 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#753 [愛華]
「たか……のり?」

「うん。あたし、速水梓。
覚えて……るかな?」

「覚えてるってゆーか…え?
速水さんとは昨日初めて
会ったよな?あと……ごめん、
隆則って人も俺の知り合いには
いないよ?」

「あ……そっか。ごめんね。
人ちがいだったみたい」

「そう?よかったよ」

⏰:10/09/12 20:07 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#754 [愛華]
「うん、それじゃあ」


梓が席から離れる瞬間。


「知り合いにはね……」


直純くんがそうつぶやいたこと。

この時のあたしには

知るはずもなかったのです。

⏰:10/09/12 20:15 📱:840SH 🆔:VI0xE8fM


#755 [愛華]





「………………なんなの?」

「え、なにが?」

目の前にはニコニコ微笑む
直純くん。………ムカつく。


「なんでずーっとあたしに
つきまとうのって聞いてんの!」

「好きだからっていったじゃん」

⏰:10/09/13 00:07 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#756 [愛華]
あれから一週間。
毎日のように直純くんは
あたしにつきまとう。

女子たちも次第に
好意は直純くんからの一方的な
ものと気づき始めたみたいで
直純くんが好きならしょーがない
的な感じで、直純くんを
応援する流れになりつつある。


「……あたし彼氏いるって
いったよね?直純くんに」

「うん。言ったね」

⏰:10/09/13 00:13 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#757 [愛華]
「二度と近づくな、とも言った」

「うん、言われたね」

「一目惚れなんてありえない…
とも言ったよね?」

「うん、ばっちり言われた」


「………じゃあ、なんで?」

何度このセリフを言っただろう…
あぁ………疲れた。

⏰:10/09/13 00:16 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#758 [愛華]
「那佑のこともっと知りたい。
だから那佑に近づきたいんだ。」

「やめて。あんたキライだから」

「あはは、そゆとこ好き〜」

直純くんはあたしに抱き着く。

……はぁ。だめだこりゃ。

あたしはぺしっと軽く
直純くんを払いよける。

抱き着かれてたまるか!!

⏰:10/09/13 00:20 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#759 [愛華]
「あんたらまたやってんの?」

「梓〜たすけてよー(泣)」

梓は呆れ顔で席についた。

「品野くん。この子はダメ。
だーいじな彼氏がいるから。」

「知ってる。でも好きでいる
ぶんには別にいーだろ?」

「……まぁ、気持ちは
どーしようもないけどさ……」

⏰:10/09/13 00:24 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#760 [愛華]
「梓!!納得しないでよ!」

「あ、ごめんごめん。
まぁ大丈夫でしょ、那佑なら。
隆則がいるしね〜」

梓は妙に能天気。

多分、直純くんの告白を本気だと
思っていないらしい。
まぁ、あたしもそうだけど…

いつかは飽きるだろうと思っても
それまでつきまとわれると思うと
やっぱり気が重い……

⏰:10/09/13 00:27 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#761 [愛華]
「……直純くんさぁ、
あたしのどこが好きなの?」

「最初は顔。今は全部?」

「………あ、そ」

ばかみたい。はぁ……


最近はお昼の時もべったりなので
必然的に、梓と三人でのお昼。

でも今日は梓が委員会でいない。
よって二人きりのお昼……

⏰:10/09/13 20:03 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#762 [愛華]
ひどく憂鬱な昼ごはんだ。

はっきり言っちゃうと、
あたしは直純くんのことが嫌い。

嫌いな人につきまとわれる事ほど
嫌なことはない。

かかわらないでほしい。
ほうっておいてほしい。

でもそう言ったって、
聞いてなんかもらえない。

どうすればわかってもらえる?

⏰:10/09/13 20:06 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#763 [愛華]
自分の気持ちを言っただけじゃ
わかってもらえないのかな。


昼。あたしは直純くんから
逃げるために中庭にいた。


すると知らないアドレスから
一通のメールが届いた。


『いい天気だね』

あたしは、それが直純くんから
だとわかったので当然無視。

⏰:10/09/13 20:10 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#764 [愛華]
するとまたメールが。

『上』


上?あたしは上を見上げた。

すると屋上から直純くんが
手をふっているのが見えた。

その直後にメール。

『天気いい日は屋上へカモン!』

ぶっっ!!
あたしは思わず笑ってしまった。
カモンって……

⏰:10/09/13 21:30 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#765 [愛華]
『なんでアドレス知ってるの』

あたしは直純くんにメールを
送った。

『速水から教えてもらった』

……梓のやろー…

屋上から直純くんが見えなく
なったので、あたしは
お昼を再開。

3分後。


「よかったーまだいた!!」

⏰:10/09/13 22:38 📱:840SH 🆔:nHthB5Cw


#766 [愛華]
直純くんが息をきらしながら
走ってきた。

屋上から…わざわざ来たの?


「お昼たべよー!!」

「……別にいーけど」

なんか直純くんって……弟?
人懐っこくて仔犬みたいな。

なんかそんなイメージ。

でもやっぱり男の子としては
見ることはできない。

⏰:10/09/14 18:52 📱:840SH 🆔:BRO8ELOY


#767 [愛華]
「〜♪」

お昼を直純くんと食べていると
あたしの携帯に電話が。
画面には『隆則』の文字。

わっ……めずらしいな。
少し緊張しながら電話に出る。


「もしもしー?」

「おー出た出た。何してた?」

「お昼ご飯食べてたよー。
てゆかなんか用?」

⏰:10/09/14 18:58 📱:840SH 🆔:BRO8ELOY


#768 [愛華]
「…用なきゃ電話しちゃダメ?」

「え?あ、いや…………ぷっ」

「オイ、なに笑ってんだよ?」

「ん?いーや。…ありがとう」


隆則かわいいな。
電話の声はいつもと違って新鮮。


となりでは直純くんが
じーって見つめてくる。

⏰:10/09/14 19:03 📱:840SH 🆔:BRO8ELOY


#769 [愛華]
「………かれし?」

直純くんがヒソヒソと聞いてくる

「………そこ、誰かいる?」

「え?あ、友達だよ」

「ふぅん?ま、いーけど。
んじゃ、切るな。またあとでー」

「うん、ばいばい」


プツッ

⏰:10/09/14 19:08 📱:840SH 🆔:BRO8ELOY


#770 [愛華]
「隆則……だとかいう名前の」

「うん。大事な人。すごく。
………多分、いちばん」

「ふぅん………」

あ、あたしのろけてた…?
いや、今のはなんてゆーか……

「……ね、さっき友達って。
あれ、ほんとう??」

「え?あ、さっきの?」

とっさに友達って言ったけど。
てゆーか、隆則に直純くんの事
話してないしなー…

⏰:10/09/14 21:08 📱:840SH 🆔:BRO8ELOY


#771 [愛華]
直純くんは満面の笑顔で。

「…すっげぇ嬉しかった!
嫌われてると思ってたし。
今は友達でも全然うれしい!」

いや、嫌いなんだけど……
なんてこの流れで言えるわけない

だってこんな笑顔で……

あぁやっぱり……隆則に似てる。

とか言ったら怒るんだろうな。

⏰:10/09/14 21:11 📱:840SH 🆔:BRO8ELOY


#772 [愛華]
隆則に直純くんのこと話した
ほうがいいのかな?

隠し事するなって言われたけど。

でも、押し倒されたなんて
言った日には……

次の日、直純くんは多分
学校には来ないだろう。

まぁ本人も反省(?)してるし…


友達ってことで……いっか。

⏰:10/09/14 21:15 📱:840SH 🆔:BRO8ELOY


#773 [我輩は匿名である]
失礼します...
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500
>>501-550
>>551-600
>>601-650
>>651-700
>>701-750
>>751-800

⏰:10/09/15 12:25 📱:W65T 🆔:☆☆☆


#774 [愛華]
>>773
アンカーありがとう
ございます

⏰:10/09/15 18:18 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#775 [愛華]
「…あたし、直純くんあんま
好きじゃない。むしろキライ」

「……はっきり言うね」

「でも友達でいいなら…いいよ」

「………うん!!」

「名前で呼ばないで」

「……えー」

「いやなら友達やめる?」

「OKです!!白石!!」

⏰:10/09/15 21:10 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#776 [愛華]
「あとベタベタしないで」

「……はい」

「スキンシップ禁止」

「………」

「やめる?」

「……スイマセン」

あたしは笑った。

なんだかんだ言って……
この人もふつーの人なんだな。

⏰:10/09/15 21:40 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#777 [愛華]
「卒業生送別会??」

「うん。プチ学園祭?みたいな」

いつものように梓とお昼ご飯。
あれから直純くんはあまり
ベタベタしてこなくなった。
まぁ馴れ馴れしいけどさ。

「各クラスで出し物して。
まぁちっさいもんだから学校の中
だけのもんだけらしいけどー」

「ふーん……」

⏰:10/09/15 23:05 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#778 [愛華]
クラスでの出し物。
みんなでやるおまつり。

生まれてはじめてだな、こんなの


「うちのクラスなにやんの?」

「え、さぁ?まだ話でてないし」

喫茶店とかかな?
プリン食べれたりするかな?

なにげにちょっと楽しみだな。

⏰:10/09/15 23:08 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#779 [愛華]
「なーにしてんの?」

ひょこっと直純くんが現れた。

「あ、送別会の話だよー」

「あー来月あるってゆーやつね」

なんだ知ってんだ……
あたしだけ?知らなかったの。

「…そだ、那佑。タカ呼べば?」

「「え!」」

直純くんとハモった。

⏰:10/09/15 23:11 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#780 [愛華]
「卒業っていっても上にあがる
人がほとんどじゃん?
トナリの大学から歓迎会的な
意味で何人か手伝いに来る
んだって。
回る人もいるみたいだから
タカ呼んで一緒にまわれば?」

「え、いーのかな…」

「……………」

チラっと隣を見ると、
直純くんが気難しそうな顔を
していた。

……なしたんだろ??

⏰:10/09/15 23:16 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#781 [愛華]
「直純くん……なしたの?」

「え、あーいや……」

なんか顔色わるそうだなー…
風邪ひいたのかなぁ?

あたしは直純くんのおでこに
手の平を当てた。

「……あれ、むしろ冷たい」

「……えっ…あ……」


「…なーんだ!風邪じゃないよ」

⏰:10/09/15 23:20 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#782 [愛華]
「へ……あ、うん」

直純くんは真っ赤になって
教室から出ていった。
……?

「……意外と……本気…かな?」

「え、梓なんか言った?」

「いや…てゆか那佑、品野くん
キライっつってなかった??」

「うーん。普通?よく考えたら
あそこまでしてあげる
必要なかったな。」

⏰:10/09/15 23:24 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#783 [愛華]
まぁ前はキライだったけど。
自分を好いてくれてる人を
邪険にするのって……
好きとかそーゆーの抜きにして
なんかダメなことなのかなって。
自分を否定してるみたいで。


「今はふつーの友達?くらい」

「そっか?ならいーけど」

あたしは食べかけだったプリンを
食べ終えて、ゴミ箱に投げた。


あ、外れた。ちくしょ。

⏰:10/09/15 23:28 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#784 [愛華]





白石の手の平がふれた時。
今までに感じたことがない
感覚が全身に走った。


あったかい。心地好い。

そっか、俺……
今まで冷たいところにいたから
人の手の平がこんなに
あったかいって知らなかったな。

⏰:10/09/15 23:31 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#785 [愛華]
あいつは……
このあたたかさに惹かれたのか。

だとしたら好都合だな。

俺が冷たいところまで

引きずりおとしてやるよ。

痛みも感じないところまで。


「……そろそろ、動き時かな」

⏰:10/09/15 23:35 📱:840SH 🆔:HE8GW.p6


#786 [愛華]
利用するものは全て利用する。

自分の目的のためなら

平気で人だって傷つける。

嘘だってつく。

笑いたくもないのに笑ってやる。

傷つけて傷つけて

ボロボロにして

あんたの目の前で捨て去ってやる

⏰:10/09/16 00:30 📱:840SH 🆔:tCwo9UR.


#787 [愛華]
-隆則side-

⏰:10/09/16 18:27 📱:840SH 🆔:tCwo9UR.


#788 [愛華]
『…………かれし??』


確かにそう聞こえた。
男の声。思ったより高い。

ただ………それだけのこと。


友達だと那佑は言ったけど…

でもやっぱり気になるもんは
気になってしまうんだ。

うーん……俺って……

⏰:10/09/17 21:21 📱:840SH 🆔:arJ9BkW6


#789 [愛華]
「やっぱり………独占欲
つぇえんかなぁ……」

独り言のようにつぶやく。

いつからだっけ。
那佑と出会ってからだっけ?


いや、違う。もっともっと前。

あのころ俺はなにもかもを

自分のものにしたくて

欲しいものも食べたいものも

自由さえも

⏰:10/09/17 21:31 📱:840SH 🆔:arJ9BkW6


#790 [愛華]
「………隆則??」

「え……わっっ!!
なに、いつ来てた!?」

「今さっき…ピンポン鳴らしても
出ないからさ。鍵あいてたから
入っちゃった。 誨さんは??」
「誨?レポート終わってねぇって
残ってるらしいけど……」

あ、あせった……
すげ、ぼーっとしてたんだな俺。

⏰:10/09/17 23:15 📱:840SH 🆔:arJ9BkW6


#791 [愛華]
「うん、そぃでね。隆則さー
今度の送別会くる??」

「あー…文化祭みたいなやつか。
そういえば俺のとこの大学からも
けっこう手伝いにいったり
回るやつもいるみたいだな」

「隆則てつだいに来るの?」

「んー多分。どこのクラスかは
わかんねぇけどな」

てつだいに行くやつらは
手伝うクラスが割り当てられる。
誰が決めたわけでもないけど
いつのまにかそういう決まり。

⏰:10/09/18 01:06 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#792 [愛華]
「じゃあさ、時間あったら
一緒にまわろーよ」

那佑はそういいながら
俺の隣にポスッと腰をおろした。

「那佑のクラスなにやんの?」

「まだきまってないんだー。
喫茶店とかそーゆーのじゃん?」

………喫茶店?
この流れは…………

⏰:10/09/18 01:09 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#793 [愛華]
「メイド喫茶とかでは………
ないよなぁ?」

「はぁ!?メイド!?
んなの女子が反対するよー」

「こーゆー催しではメイド喫茶が
なんとなくお約束になってんの!
絶対やめろよ!!」

那佑のそんなカッコは
他の男子には見せたくない!!

那佑はフツーにかわいいし……

⏰:10/09/18 01:13 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#794 [愛華]
「メイド喫茶ってきまった
わけじゃないじゃんー
隆則ばかだなぁー」

那佑はそういうと俺の頭を
ヨシヨシと撫でた。

いつもなら俺がやることなのに。

ガキみてぇだな…俺……

俺は那佑の手を掴んだ。

⏰:10/09/18 01:16 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#795 [愛華]
「隆則……?」

那佑は不思議そうな顔で
俺を見上げる。 かわいい……


「………んっ……」

俺は無意識のうちに
那佑にキスをしていた。

最初は優しく。
だんだん深く。

那佑は苦しそうな顔をする。

⏰:10/09/18 01:20 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#796 [愛華]
でも、やめられない。
理性がきかない。

俺は唇をはなすと
ゆっくりと那佑のシャツの
ボタンに手をのばした。
ひとつボタンを外す。


「ちょ………隆則?」



ハッ!!
那佑の声で我に返る。

⏰:10/09/18 01:22 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#797 [愛華]
「わり、ごめん俺……」

「え、いやそうじゃなくて…
なんかいつもと違ったから……」


なにしてた?俺、今。
なんか知らないあいだにこう…
勝手に体が動くっつーか……

……那佑を傷つけるとこだった。


「……隆則?」

「え、あ、ごめんな?
もうしないから。嫌だったよな」

⏰:10/09/18 01:25 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#798 [愛華]
「………」

あれ?なんで悲しそうな顔?
だって……怖かっただろ?

「嫌なんかじゃ…ないもん」

「……へ?」

「隆則あたしといても、あんま
手ださないじゃん。
大事にしてくれてるのは
わかるけど……でもさ……」

那佑はそう言うと、赤くなり
俯いたままになってしまった。

⏰:10/09/18 01:28 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#799 [愛華]
「嫌じゃない………の?」

「あたりまえ、じゃん……」


理性が飛ぶって、こういうことを言うのかもしれない。


俺は那佑をソファに押し倒す。

那佑は驚くほど素直に倒れた。


首にゆっくりキスをする。
何度も、何度も。

⏰:10/09/18 10:48 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#800 [愛華]
顔をあげて那佑を見る。

那佑は潤んだ目で俺を見ていた。

う……やべーかわいい……


制服をちょっとずつ脱がせると
那佑の白い肌がだんだんと
見えてくる。

「隆則……ちょ、はずかしい…」

そんな那佑の声も聞こえない。

⏰:10/09/18 10:52 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#801 [愛華]
でも、脱がせていくとき、
あることに気づいた。


「……この傷……なに?」

那佑の胸には大きな傷が。


「あ、これは…小さいころに
手術して……その傷なんだ」


手術。心臓の。


那佑は……普通の女の子じゃない

⏰:10/09/18 10:55 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#802 [愛華]
俺は傷跡にキスを落とす。

「隆則……くすぐったい…」

那佑は悲しそうに笑う。


那佑は普通の女の子じゃ、ない。
普通には生きてゆけない。





守りたい。愛したい。

⏰:10/09/18 10:59 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#803 [愛華]
なんとなく、これが
一生の最初で最後の恋になると
わかっていたから。

愛したい。ゆっくりでいい。
守りたい。俺の命に懸けて。


本当に本当に愛しいひとだから。



俺は那佑の服のボタンを
閉めていった。

⏰:10/09/18 11:29 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#804 [愛華]
「……隆則………?」

「………やめよっか」

那佑が見てわかるほどに
落ち込んだ顔をした。



「傷が……あるから?」

まずい!!泣くパターンだ!!


「ちげぇよ!!んなわけねぇ!
俺だって男だし色々したいに
決まってんだろ!!」

⏰:10/09/18 11:32 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#805 [愛華]
「じゃあなんで……?」


……そんな顔すんなってば…
せっかく我慢できたのに
また理性とんじゃうから。


「……ゆっくりでいいよ。
一緒にいれるだけで俺はいい。
なんか、こんななんとなーくで
那佑とするのは……嫌なんだ」


嘘です。本当はしたいです。

⏰:10/09/18 11:35 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#806 [愛華]
「大事にしたいの。多分俺さ
那佑が思ってるよりもっともっと
那佑のこと好きだから。
こーゆーのも……大事にしたい」


やべ、言ってから照れた。
言わなきゃよかった……
や、本当のことなんだけどな?


那佑は顔を赤く染めて、
こてんと俺に倒れ込む。

………それはまずいっすよ。

⏰:10/09/18 11:39 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#807 [愛華]
「あの、さ、那佑?今日は…
帰ってくんねぇかな?」

「………なんでー?」

「……あの、我慢がね……
俺もね、自信ないわけ」


那佑は、わけわからんという
顔をして、やっと意味がわかった
のか真っ赤になって俺から離れた

……ホッ ちょっとガクッ……

⏰:10/09/18 11:43 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#808 [愛華]
「じゃ、きょ 今日は帰るよ」

「うん。またメールする、な」

上手く話せない……
ダサいなぁ俺………はぁ……



カチャン。


ドアのしまった音を確認する。


「………っっぶなかった…」

⏰:10/09/18 11:55 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#809 [愛華]
マジあぶなかった。
あんなことやこんなことで
終わらなくなるとこだった…



…俺なんで今まで我慢して
いられたんだろう………

焦ってんのかな?俺。
だとしたら なにに?

見えないなにかに焦ってる。




ひとりじめしたい。那佑を……

⏰:10/09/18 11:59 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#810 [愛華]
-那佑side-

⏰:10/09/18 12:06 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#811 [愛華]
びっくりして
ちょっと悲しくて
すごく嬉しかった。

隆則。ありがとう。
あたし、大事にされてる。


あたしが病気じゃなかったら
あなたはあの時どうしたかな

どっちにしても同じだったかな


ありがとうね、隆則。

⏰:10/09/18 12:08 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#812 [愛華]




「ぜっったい反対!!!」

「賛成賛成!!」

男子vs女子のバトル。


くっそー!!なぜお約束!!


隆則の言うことは当たった。

⏰:10/09/18 12:11 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#813 [愛華]
黒板には

『メイド&ホストカフェ』
『和風喫茶』 の文字。


「じゃ、多数決とりまーす」

男子と女子真っ二つに分かれる
でもこのクラスは男子が多い。
つまり……


「2−5はメイド&ホスト喫茶に
決定しましたー!」

…………お約束。

⏰:10/09/18 12:17 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#814 [愛華]
「他のクラスやればいいのに…」

「ばかだねー那佑。
男子たちは那佑のメイド姿を
見たいんだよー似合うよ多分」

……隆則になんて言おう……

「あ、でもタカは喜ばないかな」

はぁ……
でもきまったものはしかたがない

⏰:10/09/18 12:20 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#815 [愛華]
「おーい女子ーサイズはかるよー
男子は隣でスーツはかってー」

どうやらメイド服やスーツは
演劇部で使っていたのを
使うらしい。


「あんま数ないねー。
残りの人は裏にまわろっか」

「あたし裏!!」

「あたしも!!」

⏰:10/09/18 21:18 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#816 [愛華]
メイド服なんか着てたまるか!
とばかりに女子が裏を希望。

正直このヒラヒラのメイド服を
見ると、あたしも…着たくない。

「あたしも裏がい……」

「白石はダメ!メイド!!
料理とかできねぇだろ!な!」

男子が猛烈なる反対。

「那佑のメイド、男子どもが
楽しみにしてるんだってさ!!
那佑………どうするぅ?」

⏰:10/09/18 22:37 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#817 [愛華]
梓の期待の目。
周りの目がこれでもかってほど
強く突き刺さる。…イタい。

「……あたし…は……」

「白石は………??」



「う…あ、…メイドでいっ…
…………かな?」



「「………っしゃぁぁ!!」」

⏰:10/09/18 23:07 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#818 [愛華]
男子の歓声。

「白石さん、ありがとぉぉ!」

女子が涙ながらの感謝。



………もういーや…メイドで…


「楽しみだねー白石のメイド」

「あ、そ……あたしは別に
楽しみじゃないよ。
直純くんのホスト姿なんか」

⏰:10/09/18 23:13 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#819 [愛華]
「あはは、ズバっと言うねー」

「隆則がくるのに……ハァ」

その言葉にピクッと直純くんが
反応する。
 …………………なに?


「なに?なんか言いたそうな顔」

「そんな顔してねーよ!!」

「ふぅん?へんなのー」

なんだろ?隆則のことを話した時
直純くんに感じる違和感。

⏰:10/09/18 23:26 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#820 [愛華]
このときあなたは

何を考えていたんだろう

このとき気づいていたら

あんなに傷つけなくて済んだ?

あんなに傷つかなくて済んだ?

それはわがままでしかないけれど

私に未来を予知できる能力が

あればよかったのにって。

子供みたいに夢に見るんだ。

⏰:10/09/18 23:41 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#821 [愛華]
読んでくださってる読者の皆様
いつもありがとうございます
愛華です


実は、携帯の都合で1週間と
ちょっとの間更新できません
待っていてくださったら
うれしいです

応援よろしくお願いします

⏰:10/09/18 23:49 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#822 [愛華]
明日から更新できるので
頑張っていきたいと思います
待ってて下さった方
いるでしょうか??

⏰:10/09/24 22:42 📱:840SH 🆔:N7TUsSno


#823 [ゆん]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900

失礼しました(´・ω・`)

⏰:10/09/24 23:31 📱:F906i 🆔:sj89jz/k


#824 [美華]
まってましたイ
いつも楽しみにしてます。
頑張って下さい(^w^)

⏰:10/09/24 23:32 📱:W65T 🆔:mA9DDT6c


#825 [我輩は匿名である]
待ってました

⏰:10/09/25 08:51 📱:SH004 🆔:iH665fM2


#826 [愛華]
ゆん様
アンカーありがとうございます

美華様
楽しみにしてくださってて
嬉しいですがんばりますね

>>825

待たせてしまってスイマセン
更新がんばります

⏰:10/09/25 14:24 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#827 [愛華]
>>820


「……結局お約束かよ……」

「あたしのせいじゃないもん!」

隆則は思ったとおり嫌そうな顔。
だってしょうがないじゃんか。
あたしだって嫌だもん
あんなフリフリスカート……

「あ、てかさ、俺手伝い
行けなくなっちゃったから」

「え、なんかあるの?」

⏰:10/09/25 14:40 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#828 [愛華]
「課題おわってないのと、
あとバイト。ごめんな」

「バイト始めたの?」

「うん。誨と同じとこなんだ。
時給いいし生活費かせぐのに」

そっか……隆則は誨さんと
二人暮らしなんだっけ。
両親が亡くなって、おじいさんが
一人いるのは聞いたことある。
どうしておじいさんと暮らさない
のか……
なんか事情があったんだろうな。

⏰:10/09/25 14:46 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#829 [愛華]
「そっかー当日は来れる??」

「うん。来週だよな?」


いろいろ隆則と話したあと
あたしは家に帰った。
帰る途中、メールが来た。


『明日の準備にリボン使うから
買ってきて。By速水』

………直純くんだ。
あれ?まだ続きがある。

⏰:10/09/25 14:58 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#830 [愛華]
『……言い忘れたけど
メイド、ホストのそれぞれの
代表が、俺と白石になった。
明日から準備がいろいろある。
よろしく』

………はぁ!?なんで!?
てか代表ってなんやねん!!
まぁ、たいした仕事ないと
思うけど……勘弁してよね〜

あたしはトボトボと帰宅した。



リボン……家にあったっけ……

⏰:10/09/25 15:04 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#831 [愛華]
次の日から本格的に準備が
始まった。
小規模の学園祭みたいなもの
だけど準備はやっぱり大変。


「リボンたりないよ〜」

「テーブルってここでいいのー」

「メニューの値段ってさー」

あっちこちで声が飛ぶ。
あたしもメニューを考えてる
真っ最中。

⏰:10/09/25 15:09 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#832 [愛華]
「那佑と品野くんさー
そっちもういいから
演劇部から余ったいらない衣装
もらってきてー!!」

「えー!なにに使うの!?」

「メイド服やっぱ足りない。
衣装リメイクしてメイド服に
見えるようにするの!」

なるほど。たしかに時間ないし
それはいい考えかもしれない。

「直純くーん!!行くよー!」

「わかった!ちょっと待ってー」

⏰:10/09/25 15:17 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#833 [愛華]
私たちは演劇部の部室に走った。

「すいません、リメイクしても
いいようないらない衣装
ありますか?何着かでいいので」

「あるにはあるけど汚いよ?
なににリメイクするの?」

「メ……メイド服です……」

くそぅ!!恥ずかしい!!
横では直純くんが笑ってる。

⏰:10/09/25 15:22 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#834 [愛華]
「メイドかーなんとかなるかなー
その部屋の中にかけてある衣装
勝手に持っていっていーよ。
終わったあと戻しといてー」

「ありがとうございます!!」

部長からOKをもらえたので
あたしたちは衣装部屋らしき
部屋にはいった。

………ほこりくさっっ!!

こりゃけっこうキツイ……

⏰:10/09/25 15:26 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#835 [愛華]
「直純くん、そっちのほう
探してくれる?あたしコッチ」

「んー、うん。ほこりヤベー…」

あたしたちはクローゼット、
ダンボールの中から衣装を
次々に引っ張りだしていく。

あー…ほこりまみれじゃん…
こりゃ一回洗濯しないと……

黙々と作業を進めてゆく。

⏰:10/09/25 16:51 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#836 [愛華]
「……ねぇ白石」

突然、直純くんが私を呼んだ。

「ん?なに?」

「あのさー…彼氏どんなひと?」

「……え?なに突然に!
てか、前もそんなこと
聞かなかったっけ??」

「…そうだっけ。や、別に…」

⏰:10/09/25 17:04 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#837 [愛華]
……どうして直純くんは
こんなに私の彼氏のことを
気にするんだろうか?

………あ!!


「そーだ!!直純くんって
あたしのこと好きなんだった!」

「………えぇ!?」


言ったあとにハッとした。
しまった……これは自分で
言うことじゃなかったんだ…

⏰:10/09/25 17:18 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#838 [愛華]
「あ、うんまぁね。
好きなやつの彼氏だし……
気になるの当然だろ?」

「ふぅん…でも本気じゃない
でしょう?」

「……なんでそう思うの」

なんでって……

「本気であたしのことを、
好きでいてくれてる人を……
ちゃーんと知ってるから」

そうでしょう?隆則。

⏰:10/09/25 17:22 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#839 [愛華]
「……そんなのわかんないよ?
もしかしたら陰で……」

「隆則はそんな器用なことは
できないよ。
絶対……そんなことしない」


わかる。わかるんだよ。
通じ合う言葉なんかなくたって
今なら信じられるんだよ。

直純くんは目を私から反らした。

「……なんで、わかるの?」

⏰:10/09/25 17:44 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#840 [愛華]
直純くんは弱くつぶやいた。

「自分が好かれてるって…
愛されてるって……
どうやったらわかるの?
理解できない自分がおかしい?」

直純くんは急に言い出した。
感情をむきだしにしている。
見つめられたその瞳の奥に
深い闇が見えた気がした。


「……ど……うしたの?」

⏰:10/09/25 17:50 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#841 [愛華]
「………」


沈黙が流れる。
自分でもびっくりするほど
かすれた声しか出なかった。

怖い。怖いよ。
このひとは……愛を知らない?


目をそらせない。
まるで催眠術みたいに
瞳の闇に吸い込まれてゆく。
逃げられない。
闇がすぐそこに迫ってるのに…

⏰:10/09/25 17:54 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#842 [愛華]
「………なんのつもり」

「ち……ダメだったか」


気がついたら、目の前に直純君の
顔があり、あたしは壁に
追い詰められていた。


「あとちょっとでちゅー
できたのになぁ……」

「甘くみないでよね。
てゆーかさっきのセリフなに?」

⏰:10/09/25 17:58 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#843 [愛華]
「あ、それはコレコレ!!」

直純くんの手には
『愛の蜘蛛の巣』と書かれた
劇の台本。演劇部のものだろう。
愛の蜘蛛の巣って……

しかし危ない。直純くんの演技に
つられてしまうところだった。

でも……

理解できない自分がおかしい?


あの言葉は演技じゃない。
なぜかそんな気がしたんだ。

⏰:10/09/25 18:03 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#844 [愛華]
「じゃあ直純くんは?」

「え、なにが?」

「どういう時に……
自分は好かれてるって
愛されてるって感じるの?」

「だからそれセリフ……」

「いいから答えてよ」


自分でもわかんない。
なんでこんなことを聞いたのか
でもこのひとの瞳の奥の闇。
あれは………わたしと似てる。
小さいころの私の目そっくり。

⏰:10/09/25 18:28 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#845 [愛華]
「………そうだなぁ……」

ただ黙って直純くんの言葉を待つ






「……女の子とベッドにいる時
………かな」


……………はいぃぃぃ!?

⏰:10/09/25 20:15 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#846 [愛華]
「な、なにそれっっ!!」

「えー?そのまんまだよー?
女の子ってあったかいしさー」


はぁ……深く考えすぎたな…
単なる気のせいかぁ……


「あれ?白石顔赤いよ?
……もしかしてまだ彼氏とは…」

「関係ないでしょ馬鹿っっ!!
結局スケベやろーじゃんか!」

あたしは衣装を手当たり次第
直純くんに投げつける。

⏰:10/09/25 20:29 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#847 [愛華]
「ケホケホッ!!
だって愛の感じかたなんて
人それぞれでしょー」

「……真面目に答えてよー…」


確かにそうかもしんないけど
でも…やっぱり違うんだ。
これは直純くんの本音じゃない。
それは直感でわかるんだ。

あたしだって直純くんに本音は
見せない。
自分の中の弱いところなんか
大事な人にしか見せれないよ。

⏰:10/09/25 20:44 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#848 [愛華]
だって直純くんと私は
そこまで深い関係じゃない。
あたしだって望んでない。

でも……なんだろう。
人が自分にたいして線をひいてる
ことに気づいた時。
その人との間の壁に気づいた時。
自分と同じものを持っている
ことに気づいた時。


ちかづきたい って思う。
それは恋という形じゃなくって。

⏰:10/09/25 20:51 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#849 [愛華]
ただ純粋に。


隆則も、あたしにたいして
こんな気持ちだったのかな。



あたしは使えそうな衣装を
袋に詰めていった。


「……白石おこった?」

怒ってなんかない。
だってわかってるのに。
この人は過去の自分と同じ闇を
持ってるって。わかるのに。

⏰:10/09/25 20:56 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#850 [愛華]
あたしは本音をきけるほど
深くかかわれていないから。

そんな関係を望んでるわけじゃ
ないけど。でも。
なんか悔しいんだ。

あたし……矛盾しまくりじゃん…


もやもやをごまかすように
作業に没頭した。

⏰:10/09/25 21:02 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#851 [愛華]
「………おこってないよ。
気にしなくていいから。
ほら、はやく終わらせよう」

「……うん」



二人で沈黙の中作業を進める。

沈黙を破ったのは直純くんだった



「……愛されてるって感じた時
なんか、もう覚えてないよ」

⏰:10/09/26 00:07 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#852 [愛華]
「………え」

「好かれてるって実感も。
もう忘れちゃったかなー…


俺、両親いないしさ」

両親が、いない。

「それからは、じいちゃんと
住んでんだけど……
そんな実感少しもなかったし」

昔のあたしと……同じ。

⏰:10/09/26 00:11 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#853 [愛華]
「………今だけだよ、そんなの」

「……なに、それ」

「今はそう感じなくても
絶対に『自分は愛されてる』って
感じる時がくるんだよ。
じゃないと生きていけないから。
直純くんにも絶対に……
そう感じる瞬間が来るから。」

「…………」

直純くんは黙ってうつむいた。

⏰:10/09/26 00:17 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#854 [愛華]
「…それも『愛の蜘蛛の巣』?」

「ち、ちがうよ!!………
ごめん、偉そうなこと言って」

「あはは、別にいーよ。
………うん、ありがとな。」

そう言って直純くんは笑った。


笑った感じが……隆則にそっくり

つられてあたしも笑顔になった。

⏰:10/09/26 00:22 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#855 [愛華]
「……なんで、あたしに
こんなこと話してくれたの?」

「んー……さぁ?わかんね。
同情してもらいたかったのかな」


これでよかったのかな?
過去の自分そっくりな直純くんが
あたしに本音を話す。
あたしはそれに応えた。

なんか……嬉しかったんだ。

自分にもなにかできるのかもって

⏰:10/09/26 00:27 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#856 [愛華]
ただの自己満足だ。
自分は自分のこと何も
話さないくせに……

これは同情なのかな?

でも、自分は抜け出せたから。
闇から抜け出せたから。

だからあなたもきっと大丈夫って
伝えたかった。
それだけだったんだ。

⏰:10/09/26 00:31 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#857 [愛華]
-直純side-

⏰:10/09/26 00:35 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#858 [愛華]
なんだよ。

なんでそんな顔するんだよ。

自分はなんも話さないくせに

人の心を見透かすような

そんな目で見るなよ。


でも、なんとなくわかるんだ。


白石は……俺の傷に気づいてる。

⏰:10/09/26 13:13 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#859 [愛華]
気がついたら、話してた。

自分の心の傷の…根元。

正直、ばれるかと思った。

ここでばれるわけにはいかない。

なのに、話してしまった。


俺はなにしてる?

俺の目的はなんだ?

同情を買うことなんかじゃねぇ。

⏰:10/09/26 13:17 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#860 [愛華]
「今だけだよ、そんなの」


……なんだよ、それ。

俺にも『愛されてる』って

感じる時が来るっていうのか?

そんなのただの気休めだろ。



いや、違う。

白石は………俺と同じだ。

⏰:10/09/26 13:21 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#861 [愛華]
俺と同じ傷を持っていて……

そこから抜け出したんだ。

それを助けたのは……

多分、あの男。


ずるいよ。

なんであんただけ幸せに……

憎んでも憎みきれねぇよ。

⏰:10/09/26 13:23 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#862 [愛華]
目の前にいる女の子は……

女神みたいに笑っている。


……この子なら。

俺を救ってくれるだろ?


奪ってやる。奪ってやる。


あの男に 制裁を。

あいつだけ幸せになるなんて

絶対に許さない。

⏰:10/09/26 13:26 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#863 [愛華]
この子の笑顔は俺を癒す。

今まで感じたことのない

落ち着いた気分になれる。

でもその笑顔は

あの男によって守られている。

そう思うと気分が悪くなる。

はらわたが煮え繰り返るほどに。

なにが『罪』でなにが『正義』か

それさえもわからない世界。

そんな世界で俺は生きてんだよ。

⏰:10/09/26 18:59 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#864 [愛華]
もうすぐあんたに会えるよ。

ちゃんと白黒つけようよ。

あんたが正しくて

俺が間違っていたのか。

………あるいは、その逆か。

誰が罪をつぐなうべきか。



なにもかもが……これでわかる。

⏰:10/09/26 19:15 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#865 [愛華]
-隆則side-

⏰:10/09/27 00:08 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#866 [愛華]
最近よく夢を見る。

同じ夢。

見たことのある風景が広がり

懐かしいにおいがする。

でも心はからっぽで。

何も考えられない。


なにか大切なものを失ったような

喪失感。

⏰:10/09/27 18:37 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#867 [愛華]
そのうち泣き声が聞こえてくる。

誰だ?なんで泣いてる?

『うぁああん……うぁあん』

泣くなよ。泣かないでくれ。

泣きたいのは俺だって同じだ。


でも泣き声は収まらない。


『助けてよぉ……うぁああん』

⏰:10/09/27 18:40 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#868 [愛華]
誰に助けを求めてるんだ?

なんで泣いてるんだよ。


やがて姿が見えてくる。


小さい………男の子。

見たこともない男の子。


いや、ある。

俺はこの男の子を知ってる。

誰だっけ……わからない。

⏰:10/09/27 18:46 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#869 [愛華]
『助けてよぉ………』

誰だ?君は誰だ?

どうして泣いてるんだ?


誰を………呼んでいるんだ?


『助けて…………

  隆兄……』


……………俺?……………………

⏰:10/09/27 18:49 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#870 [愛華]
「………隆則、大丈夫か?」


「………誨……か?」



同じところで目が覚める。
最近、ほぼ毎日のように。


夢の中のあいつは……


ちくしょう……なんで今さら
こんな夢を?

⏰:10/09/27 18:52 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#871 [愛華]
「すげぇ汗かいてるぞ。バイト
無理しすぎてんじゃないか?」

「いや、なんでもねぇよ。
最近あんま寝れなくてさ…
シャワー浴びてくるな」

俺はタオルを手にとり
バスルームへ向かった。

「……明日は送別祭だろ?
メシつくっといてやるから。
あんま無理すんじゃねぇぞ」

「ん。さんきゅな」

頭がガンガンする。
多分あの夢のせいだ。

⏰:10/09/27 18:58 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#872 [愛華]
熱いお湯を浴びると
少しは気が楽になった。

…大丈夫。ただの夢だろう?


俺は頭をブンブンと振り
夢の余韻を消す。

でもあの男の子の声は
いつまでも消えずに俺の頭に

深く、深く刻み込まれた。

⏰:10/09/27 20:00 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#873 [愛華]
-那佑side-

⏰:10/09/27 20:01 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#874 [愛華]
「那佑ー!!カップ足りない!」

「はぃはーい!!」

「誰か絵の具とテープ!!」

「はぃはーい!!」


あぁ……忙しい(泣)


送別祭が明日に迫る中
あたしたちは準備に追われていた

⏰:10/09/27 20:35 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#875 [愛華]
限られた時間の中で、
凝って凝りまくったため
準備が全然おわらない!!

代表であるあたしと直純くんは
本当に辛かった……


「梓!!あとメイド服何着!?」

「今2着終わったー!!」

猫の手を借りたいとはこのこと。

⏰:10/09/27 20:50 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#876 [愛華]
準備がだいたい終わり、
ちらほらと人が帰りだす。

「あとの準備は明日やろっか。
那佑!!まだ残る?」

「あ、あたし自分の分やってから
帰るね。先帰ってて」

「了解〜」


………ふぅ。
あたしはチクチクとメイド服を
慣れない手つきで縫っていく。

⏰:10/09/27 20:54 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#877 [愛華]
静かな教室の中で、
時計の針の音だけが響く。




……あの日から、直純くんへの
見方はガラリと変わった。
見かけだけで人の全てを判断
してしまっていたけれど
それは間違いだったね。

あなたは私と同じ傷を持ってた。
同情なんかじゃないよ。

⏰:10/09/27 21:00 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#878 [愛華]
「おーつーかれ!!」

急に後ろから声がした。
びくっとなり振り返ると…

「直純くん!帰ってなかったの」

「白石残ってたしさ。差し入れ」

直純くんはポイッとプリンを
あたしのほうへ投げた。

…プリンが好きって知ってたんだ

⏰:10/09/27 21:05 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#879 [愛華]
「……ありがとう」

あたしはプリンを食べ始めた。

「メイド服おわったの?」

「うん。あたしの分はねー」

「そっかー…よかったね」

「うん」


チクチク……


時計の音が響く。

⏰:10/09/27 21:17 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#880 [愛華]
「……明日、彼氏くるの?」

「え?あ、うん……」

なんとなく気まずくなる。
正直あたしは直純くんの告白を
本気だとは思っていない。

でも……なんでそんな顔するの?


「白石の彼氏かぁ………
会うの楽しみだねぇ」

そう言って笑った直純くんは
何かを決心したように見えた。

⏰:10/09/27 21:35 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#881 [愛華]
--------------送別祭当日------


午前中は授業で、午後から
翌日まで送別祭は続く。


なんとなくその日の朝は、
いつもと違った気がしたよ。


キーンコーンカーンコーン…

午前の授業終了のチャイム。

⏰:10/09/27 22:54 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#882 [愛華]
「那佑ータカはいつ来るの?」

「えーとね。多分1時くらい」

「じゃあもうすぐじゃん!!
はやく着替えといで。
あたしらテーブルセッティング
しとくから!」

「はぁーい」

あたしは昨日仕上げたばかりの
メイド服に身を包む。

最初のヒラヒラに比べると
全然マシになり可愛くなった。

⏰:10/09/28 00:08 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#883 [愛華]
「白石ー!!……わ!!
着替えたんだ?」

「あ、直純くんもスーツじゃん。
へーカッコイイねー」

特に深い意味はなくって。
ただ単純にもてそー…みたいな。
なのに。

「え、あ……ありがとう…」

直純くんは真っ赤になった。

⏰:10/09/28 17:56 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#884 [愛華]
「白石も似合ってるねー。
男子が喜びそうなスカートの丈」

「え、そんな短い??」

「ん、ちょっと待って」

直純くんはあたしの腰に目線を
合わせてリボンをゆるめて
スカートの長さを調節した。

「あ、こうすると長くなるんだ」

「俺は短いほうがよかったけど…
男子どもに見られんのは嫌だし」

⏰:10/09/28 18:00 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#885 [愛華]
……え。
なんか直純くんて…
どこからが本気なのかわかんない

「…直純くんて子犬みたいだね」

「……犬ぅ??」

「うん。前も思っ……」

あたしはそれ以上声を出せず。

直純くんがあたしに抱き着いて
きたから。

⏰:10/09/28 18:06 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#886 [愛華]
「ちょ、なにすんの!!
ヘンタイ!!ヘンタイ!!」

「犬とかゆーからじゃん。
犬は甘えるんだよー」

「……え、甘えてんのコレ」

「うん♪」

………なるほど……。

「……だからいいってわけ
ないだろーがぁ!!」

あたしは直純くんを殴り飛ばした

⏰:10/09/28 18:09 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#887 [愛華]
「あー…いたたた」

「スキンシップ禁止だって
言ったでしょーが!ばか!!」

あたしは熱くなった顔をパタパタ
あおぎながら教室へ向かった。




「……気づけよ、ばーか……」

⏰:10/09/28 18:12 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#888 [愛華]
「え?なんか言った直純くん?」

「なーんも!ほらはやくいこ!
多分もう始まってるよ!」

あたしと直純くんは走って
教室に戻った。戻るとちゅう
大勢の三年生とすれ違ったので
多分もう開店してる。


「梓ごめん遅れたぁ!!」

「遅いー!!はやく手伝って!」

⏰:10/09/28 23:07 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#889 [愛華]
送別祭はなんとなーく始まる。
開祭式とかめんどくさいものは
ないので、授業終了とともに
祭は開催される。


「おかえりなさいませご主人様」

「かわいいねー君!名前は?」

「なゆりんです♪」

「彼氏とかいるのー?」

「あはは内緒でーすよ♪♪」

あぁ………顔から火がでる!!

⏰:10/09/28 23:12 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#890 [愛華]
2−4 メイドあんどホストカフェ
〜とびっきりの夢をプレゼント〜
での絶対のルール。

1.スキンシップ禁止!
2.夢はこの場限りだけ♪
ナンパ厳禁!!
3.笑顔がメイド(ホスト)の
パワーの源デス☆


看板に書かれた文を読み、ため息

三番目のルールなにあれ…
ルールでもなんでもないじゃん…

⏰:10/09/28 23:20 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#891 [愛華]
「那佑ー!はやくー!」

「はぁーい!」

あたしは気合いを入れて教室に
戻る。 指名されたっぽいな。

「お待たせしましたご主人様」

「あーやっぱかわいいじゃん!
なゆりん……だっけ?」

「なゆりんかわいいねぇ〜♪」

三年生男子のグループ。
うわ……苦手だなこーゆーの。

⏰:10/09/28 23:25 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#892 [愛華]
注文をとり席に座る。

「なゆりん彼氏とかいるー?」

「んーどうでしょうねー?」

いるともいないとも言わない。
上手く会話をすりぬける。

少し話をして、裏に戻ろうと
した時。一人に腕をつかまれた。

「まだいいじゃーん♪」

あー…これタチ悪いやつだなぁ…

⏰:10/09/28 23:29 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#893 [愛華]
「でもまだ仕事が……」

「ジュースに魔法かけて♪
したら帰っていいから!」

ぎゃはははと仲間たちが笑う。

完全からかわれてる……
でも三年生だし逆らえない。
だからメイドなんて嫌なんだ!

「わっかりましたぁ〜♪」

あたしはその場にあるスプーンを
サイダーの中に突っ込み、
思いっきり掻き混ぜた。

⏰:10/09/28 23:33 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#894 [愛華]
当然のごとく泡を出し、
サイダーは溢れ出す。

「ちょ、なゆりん!?」

「……はい♪おいしくなりました
なゆりん炭酸苦手なんです…」

あーすっきり。
砂糖水でも飲んでれば。

あたしは戻ろうとした。…が。

「なゆりん〜制服汚れた〜」

⏰:10/09/28 23:39 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#895 [愛華]
……はぁ?

確かに三年生の制服にポツンと
ジュースが飛んでいた。
……汚れたっていう?コレ。

「……メアドおしえて♪
したら本当に終わり!ねっ!」

「……そーゆーことは禁止です」

「ばれないよー大丈夫!!」


……どーしよ。
今さらながら焦ってきちゃった。

⏰:10/09/28 23:42 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#896 [愛華]
「汚したおわびってことでさ!」

男の手があたしの肩にのびる。
その瞬間。


「……すいませんお客様。
スキンシップ禁止ですし
情報交換も禁じられてますので」

三年生の手が力強くつかまれた。

⏰:10/09/28 23:45 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#897 [愛華]
「誰だよ、てめぇ!!」

「ナオ(仮名)といいます。
めんどうごとは避けましょう?
せっかくの送別祭ですしね」

にっこり微笑みながらも
ぎりぎりとつかんだ手を離そうと
しない直純くん。


「……はなせよ」

「あ、これは失礼」

直純くんが手を離すと、
三年生は足早に教室を出ていった

⏰:10/09/28 23:49 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#898 [愛華]
「おー…すごいね直純くん。
ありがと、助かったよー」

「……白石は自覚持ちなよ。
毎回なんて助けれないからね」

「うん。ありがとう」

あたしはニコッと笑った。

直純くんはぷいと目を反らすと
あかくなり「別に」と呟いた。

……照れてんのかな?

⏰:10/09/28 23:53 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#899 [愛華]
「あ、お礼にこれあげるよ」

あたしはラムネを二つ直純くんの
ポケットに入れた。

「なにいれたの?」

「休憩時間に食べて!」

「俺、今休憩時間だから食べる」

入れた瞬間に出された。
なんだろ、この屈辱感。

⏰:10/09/28 23:56 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#900 [愛華]
直純くんは見たとたんに
「……ラムネ。ガキくさー…」

「失礼な!おいしいじゃん!」

「まぁ、ありがと。それじゃ
休憩いってくるわ。あとでな」

嬉しそうに微笑んだあと
直純くんはネクタイをゆるめ
教室から出ていった。

……よし!がんばるぞ!

⏰:10/09/29 00:00 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#901 [愛華]





ラムネみたいなちっぽけなもの。
それがこんなにも嬉しいなんて。
あぁ……俺……

あいつの笑った顔、好きだな。

でも認めちゃいけない。

目的を達成するまでは。

俺の目的を……忘れちゃダメだ。

⏰:10/09/29 00:03 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#902 [愛華]





「………隆則!!誨さん!!」

「那佑!!よかったぁ……」

「いやーなんか勇気なくてさー
ここ入るの…那佑ちゃんが
来てくれてよかったよー」

「あはは、どーぞー」

あたしは奥の席に二人を誘導した

⏰:10/09/29 00:23 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#903 [愛華]
飲み物を持って戻ると、
誨さんの姿がなかった。

「あれ、誨さんは?」

「トイレだってよー」

「……魔法かけたほうがいい?」

あたしは飲み物を指さす。

隆則は一瞬迷って「いい」
と言った。

迷うのかよ、こら。

⏰:10/09/29 00:26 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#904 [愛華]
「うちのクラスよくわかったね」

「あー適当に回ってたらな。
……てゆか……短くね?」

隆則はあたしのスカートを指す。

「えー?長くしたんだけど…」

「よくないの!俺が嫌なの!」

隆則はそっぽを向いた。
その姿がかわいくて笑っちゃった

「……あとで長くするね!!」

⏰:10/09/29 00:29 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#905 [愛華]
学校の中で隆則と会う。
普段会わないからかな?
なんか変な感じするな。

「学校どんな感じなの?」

「んー普通かなぁ。
友達もいっぱいできたよー。
ひとり変な人いるけどね?」

「へ?なにそれ?」

「転校生なんだけど……」


あれ?あたし……あんま
直純くんのこと知らないや。

⏰:10/09/29 00:33 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#906 [愛華]
「……隆則。友達とさ、
もっと近づきたいって思うのって
変なことなのかなぁ?」

「……うーん……
俺は別に男女間の友情ってナシ
じゃないと思うけど……
それが男女間だったら
なんか変なかんじだよな。
同性だったら友情だけどさ。
………男なの?それ」

「え、あ、うん……でもね!
好きとかそんなんじゃ……」

⏰:10/09/29 00:37 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#907 [愛華]
「わかってるよ。そんなこと」

隆則はあたしの頭をなでた。

「…その人ね、両親亡くしてて…
なんかあたしと同じだったの」

「自分と同じものを感じると
共感しあいたくなるもんだよ。
同情にもとられるかもしれない。
俺は深入りするべきじゃないと
思うぞ。なにより……
俺が面白くねぇ」

隆則は下を向いた。

⏰:10/09/29 00:41 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#908 [愛華]
「……わがままでゴメン」

隆則は小さな声で言った。

「ぜーんぜん!!
ありがとう。嬉しかったよ」

あたしはニカッと笑った。


隆則は間違ってない。
でもきっとあたしの思いも
間違いじゃない。

人と人との想いが交差すると…
難しくなっちゃうのは世の常。

⏰:10/09/29 00:47 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#909 [愛華]
いつまで経っても誨さんは
戻ってこない。
どうやら気をつかわれたらしい。

あたしは丁度、休憩にはいる
ところだったので隆則と
回ることにした。


「梓ー!!回ってくるねー!」

「あれ、タカ来てたんだ!
わかったー!楽しんできてー!」

梓は裏でホットケーキを焼く係。
かなり忙しそうだ。

⏰:10/09/29 00:51 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#910 [愛華]
もう少ししたら、直純くんが
帰ってくるので、梓を
手伝ってくれるだろう。

あたしたちは教室から出た。


色んなクラスを回りながら
三年生にあいさつをする。
「お似合いですね」
と言われたのが嬉しかった。


久しぶりに隆則と歩いたので
ちょっと緊張したり……

⏰:10/09/29 00:54 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#911 [愛華]
「隆則ー!わたあめ食べたいー」

「どんだけ食うんだよ…」

そういいながら買ってきてくれる
隆則。ちゃんと自分の分も(笑)

隆則と回るお祭りは楽しかった。

でも『再会』は刻一刻と


迫っていた。

⏰:10/09/29 00:58 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#912 [愛華]
「なんか飲み物買ってくる」

急に隆則が言った。

「でも並んでるし、いーよ」

「いや、俺の喉が限界。那佑は
ここで待ってろ」

隆則はそう言って、列の中に
消えていった。
よほど喉が渇いてたんだろう。


あたしは一人ぽけーっと
わたあめを食べながら立っていた

⏰:10/09/29 01:02 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#913 [愛華]
「……なにしてんの白石」

「え、あ、直純くん!
休憩もう少しで終わるよ?」

「今、教室もどるとこ。
………彼氏ときてんの?」

「うん。今待ってるの」

「……ふーん」

……なぜかはわからない。
急に悪寒が走った。
なにかが起こる。
そんな気がしたんだ。

⏰:10/09/29 01:06 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#914 [愛華]
「……彼氏に、会いたいな」

「え………」

「ダメ?」

「いや別にいーよ?紹介するよ」

あたしは直純くんと二人で
隆則を待つ。

「……気になってたんだけど」

「ん?なに?」

⏰:10/09/29 01:09 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#915 [愛華]
「なんで隆則に会いたがるの?」

「……好きな人の彼氏だから」

「ほんとにそれだけ?」

ずっと気になってたこと。
隆則の話を直純くんにした時の…
違和感。まるで……


隆則を知っているみたいな。


「……今にわかるよ、全部」

⏰:10/09/29 01:11 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#916 [愛華]
わかる?なにが?

「直純くん。それって……」


ガシャン!!


あたしの言葉は遮られた。
隆則のジュースを落とした音で。


隆則は……固まっていた。





「…………なお……ず、み?」

⏰:10/09/29 01:14 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#917 [愛華]
今日の更新は終わりです

>>882-916

⏰:10/09/29 01:25 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#918 [愛華]






6年前の夏。

俺が13歳

直純が11歳。


ひとつの別れの始まりの物語。

⏰:10/09/29 23:02 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


#919 [愛華]
SideStory-その日がきたあとに、-

⏰:10/09/30 22:06 📱:840SH 🆔:ZSLVI95U


#920 [愛華]
「……隆兄……」

……声がする。聞き慣れた声。



「………隆兄!!おきろよ!!」

「うぎゃあ!!」

頭に鈍い痛みが走る。
ベッドから落ちたと気づくのに
少し時間がかかった。


赤石隆則 13歳
いつもの朝をむかえている。

⏰:10/09/30 22:11 📱:840SH 🆔:ZSLVI95U


#921 [愛華]
「隆則、おはよう」

「おはよ母さん。父さんは?」

俺はトーストを食べながら聞く。

「父さん会議で早いんだって」

最近ずっとだな……
朝くらいしか顔見れないのに。

「隆兄、さみしいんだろ?」

「ちげーよばーか!」

俺は2つ下の弟、直純の頭を
軽く叩いた。

⏰:10/09/30 22:15 📱:840SH 🆔:ZSLVI95U


#922 [愛華]
直純は俺のことを『隆兄』と呼ぶ
最初は呼び捨てだったが、
そのうち『兄ちゃん』と呼ぶ
ようになり、いつからか
『隆兄』になっていた。

直純は人懐こく、小さい頃から
俺に懐いていた。
俺もそんな直純がかわいくて
仕方がなかった。

直純がいじめられていた時は
倍にして返してやった。

⏰:10/09/30 22:21 📱:840SH 🆔:ZSLVI95U


#923 [愛華]
「隆兄遅刻するよー!!」

「おー!!」

俺はリュックを背負って、
靴を靴箱から引っ張り出す。

「あ、母さん!!」

「なに?忘れ物?」

「父さんにさ、日曜日一緒に
キャッチボールしようって
言っといて!!」

「うん、言っておくね!」

俺はニカッと笑い、家を出た。

⏰:10/09/30 22:27 📱:840SH 🆔:ZSLVI95U


#924 [愛華]
「直純わりぃな!」

「遅いよー!俺が遅刻するよ!」

俺は直純と歩き始めた。

「宿泊研修土曜日までだっけ?」

「おぅ!土産買ってきてやるよ」

俺は今日から中学始めての行事
宿泊研修に二泊三日で行く。

ワクワクしないわけがない。

⏰:10/09/30 22:32 📱:840SH 🆔:ZSLVI95U


#925 [愛華]
「隆兄さーモテるのに好きな子
とかいないよねー なんで?」

直純が石を蹴飛ばしながら言う。

「……苦手なんだよ女子が」

いつからかはわからないけど
あまり女子と話さない俺。
目が合うと、黄色い声で騒がれる
それが耳障りで、気が付けば
女子は苦手の対象になっていた。

「ふぅん、もったいないのー」

⏰:10/09/30 22:37 📱:840SH 🆔:ZSLVI95U


#926 [愛華]
「べつにんなことねぇよ」

「隆兄らしいっちゃらしいけど」

兄としてのひいき目とかなしに、
直純はカッコイイと思う。
本人は全く思ってないみたいだ。


「じゃあ土産よろしくねー!」

「おーう!」

別れ道で直純と別れ学校へ向かう

いつもどおり。
どこにでもありそうな朝。

⏰:10/09/30 23:26 📱:840SH 🆔:ZSLVI95U


#927 [愛華]
しばらく歩くと、後ろから
ドンッとぶつかられた。

「いでっっ!!」

「おっはよタカ!!」

「おまえ背中いてぇよ……」

ぶつかってきたのは梓。
直純と同い年で、幼なじみ。
小さい頃から一緒にいるので
一部のやつからは、付き合ってる
と思われてるけど、実際
そんなことは全くない。

⏰:10/10/01 23:00 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#928 [愛華]
「直純もう行ったぞ?」

「今から追いかける!!
タカお土産よろしくね〜
ばいばーい」

そう言うと、梓は俺が歩いてきた
道を走っていった。
朝から騒がしいやつだな……


なんだかんだしてるうちに
学校へつき、宿へ出発。

⏰:10/10/01 23:03 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#929 [愛華]
バスの中では、友達である
達也(たつや)と話していた。

「俺、今回の研修で告るわ」

スルメを食べながら達也が言う。

「え、もう好きなやつできたの」

「うん。真理菜ちゃん。
めちゃかわいいだろ?」

かわいい?うーん。普通?
まぁ中の上くらい?
……って俺はどこの立場から
言ってんだ。ばかか俺。

⏰:10/10/01 23:08 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#930 [愛華]
「まぁ頑張れよ。」

「ムフフ。見とけ俺の勇姿」

べつにお前の勇姿に期待は
してないけど………。



一日目は登山やらなんやらを
やった。疲れたぁ……


「隆則ー風呂いくぞ風呂ー」

「おー行くかぁ」

⏰:10/10/01 23:15 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#931 [愛華]
ここの宿は温泉で有名。
かなり広い露天風呂があり
学年全員の男子が入れる。


「隆則……お前デカイな」

「え?普通じゃね?」

「イヤ、だって……(省略)」

……………お約束な話。


風呂からあがると廊下で女子
たちが固まっていた。

⏰:10/10/01 23:19 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#932 [愛華]
きゃっきゃしながらアイスを
食べていた。
お、なんか近づいてきた。


「あの、隆則くん……
ちょっと……いいかな?」

見たこともない女子。
違うクラスだな。知らないもん。


俺たちはテラスへ移動した。
ひんやりした風が心地よかった

⏰:10/10/01 23:23 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#933 [愛華]
なんとなーく雰囲気でわかった
けど……

「あのね……好きなの。」


えと……はい。
何回言われてもやっぱ慣れない。
なんて言えばいーのか詰まる。

「あのな……うれしんだけど…
名前も知らないしさ。俺あんま
女子好きじゃないし…わりぃな」

俺、こんなんでいいんだろうか

⏰:10/10/01 23:26 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#934 [愛華]
年頃の男子が、女子が苦手。
そりゃまぁ男だから
色々したい、て思ったりもする。
でも実際の女の子を見ると、
やっぱり無理だなって思う。


……こんなんで大丈夫か、俺。
将来、結婚とかできんのかな。
ちゃんと好きな人とかできんの?


結局この日は、知らない女子
3人に告られた。

⏰:10/10/01 23:31 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#935 [愛華]
なんとなーく将来に不安を覚え、
部屋に戻った。


「ただいまぁー」

「おー隆則!どーだった?」

「どーもこーもねぇよ。だって
知らねぇやつだし。断った」

「またかよ〜もったいねぇ〜」

達也はそういって、スルメを
リュックからドサッと出した。

どんだけ持ってきてんだ、スルメ

⏰:10/10/01 23:36 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#936 [愛華]
夜は部屋の男子たちで輪になり
先生が来るかもしれないスリル
の中で話したりする。
これ、鉄則。

んで怪談とかを……

「…でさ、俺が生まれたのは…」

……話さなかった。
え?違うの? 怪談は違うの?


達也は輪の中心で『命の神秘』
について話していた。

え、なにこの展開。

⏰:10/10/01 23:52 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#937 [愛華]
みんな、聞いたこともない話
だからか聴き入っていた。
かくいう俺も達也の話のおもしろさに引き込まれていった。

途中、「生まれてきてよかった」
と涙を流しそうになったりもした

ていうか話してる達也が泣いてた

なんだコレ。どういう状況?
泣きながら命について語る男子達

多分、俺達だけだろう。

⏰:10/10/01 23:56 📱:840SH 🆔:8kcPpCes


#938 [愛華]
「じゃあ俺達が生まれたのは
奇跡なんだよな……ズズッ」

スルメ食べながら鼻すするな。

「まぁな。親がいての、俺等
だからな。感謝だよな」

「俺達もいつか親になんのかぁ」

みんなでしみじみと想像する。
未来の自分。

俺はいつか……出会えるかな?
自分の全てを捧げられる
命をその人に懸けてもいいって
そう思えるような人に。

⏰:10/10/02 00:03 📱:840SH 🆔:RaeIpkp6


#939 [愛華]
「……てかさ、親になるためには
子供を作るだろ?
子供を作るためには……」

「あぁ……まぁそうなるよな…」

お?

「じ、実際どんなかんじ
なんだろうなぁ…そういうの」

なんか話が180度変わるぞ。
どこいった、命の神秘。

⏰:10/10/02 00:35 📱:840SH 🆔:RaeIpkp6


#940 [愛華]
「でも俺達の両親も、それを
やってるわけじゃん?」

「あぁ…………」

「……お前今、キモチワル…って思っただろ?」

「そりゃ、ちょっとは……」

まぁ所詮、中一の男子。
この辺の知識はあまりない。

俺の父さんと母さんも……
そう思うと急に恥ずかしくなった

⏰:10/10/02 00:39 📱:840SH 🆔:RaeIpkp6


#941 [愛華]
父さんと母さんは大学で出会い
すぐに恋に落ちた。
父さんがベタボレだったらしい。しかし、つきあい始めて3ヶ月で
俺を腹に授かってしまった。

父さんは母さんに結婚を
申しこんだ。
母さんはそれを受けて、母さんの
両親も納得したらしいが、
父さんの方の両親は納得しなかった。父さんには婚約者がいた。

⏰:10/10/02 00:44 📱:840SH 🆔:RaeIpkp6


#942 [愛華]
といっても漫画でよくあるような
親同士が決めた婚約者。
実際、父さんは一度も会ったことがなく顔も知らなかったらしい。

父さんと母さんは駆け落ちした。
今の土地で俺を産み、
直純も産んだ。母さんの方の
じいちゃん、ばあちゃんは
昔からよくしてくれたけど
父さんの方のじいちゃん、ばあちゃんには一度も会ったことはない。

⏰:10/10/02 00:50 📱:840SH 🆔:RaeIpkp6


#943 [愛華]
父さんはじいちゃんを憎み、
じいちゃんも父さんを憎んでいたからだ。

やがて、父さんの方のばあちゃんが亡くなったことを知った。
俺が7歳の時だった。

父さんと母さんは葬式に行ったが
じいちゃんに追い返されたらしい

それからも父さんはじいちゃんを憎み続けて、俺と直純もじいちゃんに会うことはなかった。

⏰:10/10/02 00:53 📱:840SH 🆔:RaeIpkp6


#944 [愛華]
今こそ、二人は当時のことを笑って話すが、本当はかなり
辛かったんだと思う。

それでも乗り越えられたのは
『二人』だったからだ。
互いに支えあっていたから
乗り越えられたんだと思う。

一度だけ、父さんに
「どれくらいじいちゃんが憎たらしい?」って聞いたことがある。父さんは笑顔で
「崖から突き落としたいくらい」
って言った。冗談か本気か
わからなくて怖かったのを
今でも覚えている。

⏰:10/10/02 01:28 📱:840SH 🆔:RaeIpkp6


#945 [愛華]
父さんとじいちゃんの間に
どんなことがあったのかは知らないけれど、父さんいわく
「あの男から俺が生まれたという事実を消してしまいたい」
らしい。相当憎んでるんだろう。

それでも俺は父さんを尊敬してる

いつか、父さんと母さんのような
夫婦になれたらいい。


俺はみんなが寝静まった部屋の
布団の中で思った。

⏰:10/10/02 01:33 📱:840SH 🆔:RaeIpkp6


#946 [愛華]
>>927-946

今日の更新分です
感想待ってます

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4782/

⏰:10/10/02 01:38 📱:840SH 🆔:RaeIpkp6


#947 [我輩は匿名である]
次の日も何事もなく終わり。
風呂から上がった俺は達也と
土産屋で土産を買うことにした


店が小さい割には品揃えは豊富。
手作り感あふれる木でできた
ペン立てやオルゴールは
ぬくもりが伝わってくるようだ。

「隆則、これよくね?」

達也の手にはネックレス。
しかも女物。

「え、これ誰にあげんの……」

⏰:10/10/03 20:02 📱:840SH 🆔:GxsBU8xE


#948 [我輩は匿名である]
「もち、真理菜ちゃん!」
自信たっぷり気に達也は言った。

えー……
真理菜ちゃんにお土産?
真理菜ちゃんもここ来てんのに?

「ばーか、プレゼントだよ!」

あ、心の中読まれた。

「ふーん。なんで?」

「これ渡して、告るんだ!」

「あ、今日告るんだっけね」

⏰:10/10/03 21:14 📱:840SH 🆔:GxsBU8xE


#949 [我輩は匿名である]
「うん。仲良くなれたしさー
けっこうイケると思うんだ♪」

「マジかー頑張れよ!」

「うん。でさーお願いが……」

「うん?」


その日の夜遅く。消灯直前。
俺は真理菜ちゃんの部屋の前に
いた。

ぴんぽーん。

「はーい、先生かなぁー」

がちゃ

⏰:10/10/03 22:42 📱:840SH 🆔:GxsBU8xE


#950 [我輩は匿名である]
「あー…サキちゃん…あのさ」
「たたた、隆則くん!!
どうしたの、なに、え、なんで
まさか、よ、よよよ」

「いや、違う、違うから
落ち着いてくんないかな?」

「え、あ、うん、はい!!」

だめだこりゃ。
なにを隠そう、クラスの人気者の
サキちゃん。
一週間前に俺が振った子なのだ。

⏰:10/10/03 22:45 📱:840SH 🆔:GxsBU8xE


#951 [愛華]
ったく。なんで真理菜ちゃんを
呼び出す役を俺がやらねば
ならんのだ。達也のやつ……

「それで……隆則くん何の用?」

目を輝かせながらサキちゃんが言う。うわ、なんか期待してる。何かを求めてる。

「あ…と。真理菜ちゃんいる?」

「え、ま、真理菜?」

「うん。真理菜ちゃん呼んで…
くれたりしちゃったり?」

⏰:10/10/03 22:52 📱:840SH 🆔:GxsBU8xE


#952 [愛華]
「うん………いい、よ?」

サキちゃん。声裏返ってるよ。
がっかりしてんのバレバレだよ。ごめんな、サキちゃん。

「ま、真理菜ー!」

「サキ呼んだー?って…わっ!
隆則くん!!なんで!?」

真理菜ちゃんはトランプの途中
だったみたいで片手にトランプ
片手にジュースを持っていた。

「……ちょっといい?」

⏰:10/10/03 22:57 📱:840SH 🆔:GxsBU8xE


#953 [愛華]
「え…うん、いいけど……」

真理菜ちゃんはパーカを羽織ると
急いで部屋を出てきた。
サキちゃんはその様子を
呪い殺しそうな目で見ていた。
あー…勘違いしてるな、多分。
まぁシチュエーション的に無理もない。告るのは
俺じゃねんだけどな………


俺は達也に言われた通りに
昨日、俺が告られたテラスに
真理菜ちゃんを連れて来た。

⏰:10/10/03 23:05 📱:840SH 🆔:GxsBU8xE


#954 [愛華]
風呂から上がって、かなり
時間が経っていたため、肌寒かった。達也はまだ来ていない。

…早くしないと先生が部屋に見回りに来ちまう。
なにやってんだよ、達也……

俺たちはとりあえず、
ベンチに座ることにした。

「……それで、何の用?」

「え、えーとね……」

真理菜ちゃんがいきなり本題に
入った。どーすりゃいんだ。

⏰:10/10/03 23:09 📱:840SH 🆔:GxsBU8xE


#955 [愛華]
まさかこんなとこに一人、
真理菜ちゃんを置いてくわけにもいかないしなぁ……
俺は本当の事を話すことにした。

「……真理菜ちゃん、ごめん。
俺さ、達也にここに真理菜ちゃんをつれてくるように言われたんだけどさ……」

「え、隆則くんが用があった
わけじゃないの?」

「うん。多分もう少しで
達也来ると思うんだけどさ…」

⏰:10/10/03 23:13 📱:840SH 🆔:GxsBU8xE


#956 [愛華]
「そっか…隆則くんじゃないんだ……」

「ごめんな?だから俺、
もう行くわ。達也呼んでくるから
ここで真理菜ちゃん待っ……」

そう言って、テラスから俺が
出ようとした時。
後ろからクンッと引っ張られる
感じがした。振り向くと真理菜ちゃんが俺の服のすそをつかんでいた。

「……隆則くん。あたしが好きなのは……」

嫌な予感がした。
なにかが壊れる。

⏰:10/10/03 23:19 📱:840SH 🆔:GxsBU8xE


#957 [愛華]
>>947-956

⏰:10/10/04 00:22 📱:840SH 🆔:Od1S5U.w


#958 [ゆん]
>>801-900
>>901-1000

失礼しました(´・ω・`)

⏰:10/10/04 07:25 📱:F906i 🆔:hxQZhwCE


#959 [我輩は匿名である]
更新楽しみ

毎日愛読してます

⏰:10/10/04 08:05 📱:P03A 🆔:gXULFW3I


#960 [愛華]
>>958 ゆん様
アンカーありがとうございます

⏰:10/10/04 17:49 📱:840SH 🆔:Od1S5U.w


#961 [愛華]
>>959

ありがとうございます
やる気めちゃ出てきます!!
がんばりますね

⏰:10/10/04 17:50 📱:840SH 🆔:Od1S5U.w


#962 [愛華]
「隆則くん。あたしね……」

「さ、さむくない!?」

俺はサキちゃんの言葉を消した。
なにやってんだ?
ただ、なんか嫌な予感がして。
自意識過剰かもしれないけど…

「え…さむくないよ…」

「そう!?なんか飲み物買って
くるから待っててな!」

俺はとにかく逃げたくて。
逃げたくて逃げたくて。

⏰:10/10/05 00:53 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#963 [愛華]
「あ、隆則くん…待って!」

「達也もついでに呼んでくるか…」

俺は言葉を発せなかった。



……なに?
なんか唇にやわらかいもの…
湿ったシャンプーのにおい。
女の子ってこんなにおいするんだ
こんな近くに女の子がいる。



俺はサキちゃんにキスされた。
俺のファーストキスは中一だった

⏰:10/10/05 00:58 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#964 [我輩は匿名である]
サキじゃなくて真理菜の間違いですよね?

⏰:10/10/05 02:45 📱:T001 🆔:iTiRbAGU


#965 [愛華]
>>964

ほ、ほんとですね!!G
>>962
>>963 は間違えてますね

大変申し訳ありませんでした!
教えて下さってありがとう
ございます

⏰:10/10/05 09:44 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#966 [愛華]





なに、がどうなって……


その時間は一瞬にも数時間にも
感じられた。
心地好い、優しい時間。

唇が離れると淋しさを感じた。


俺、どうなっちゃったんだ?

⏰:10/10/05 19:50 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#967 [愛華]
真理菜ちゃんの顔が見れなかった
俺今……どんな顔してる?


「…あの、隆則くん……ごめ…」

「………飲み物買ってくるよ」


俺はそれだけ言って、ドアの方へ歩きだした。


「……私!隆則くんが好き!」

⏰:10/10/05 20:27 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#968 [愛華]
知ってるよ。
好きでもないやつにキスなんか
普通はしないだろ。
なんとなくわかってたよ。

俺は後ろからの声を無視して
テラスを出た。



俺は部屋に帰る気になれず
自動販売機の前に座り込んだ。



さっき俺は……なにを考えた?

⏰:10/10/05 20:38 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#969 [愛華]
一瞬の出来事が心地好かった。

俺は………男なんだ。
女が苦手とかなんだかんだ言っても………男。



気持ち悪い。気持ち悪い。

達也はテラスに行ったんだろうか
どんな顔して会えばいいんだ
どうやって接すればいいんだ


頭の中は真っ白だ。

⏰:10/10/05 20:46 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#970 [愛華]
俺は何も考えられないまま
部屋に戻った。


「……ただいま」

「隆則!おせぇよお前!!
先生ごまかすの大変だったし…
達也も帰ってこねぇし……」

達也……まだ帰ってないのか

「……わりぃな。寝るわ」

俺は布団に潜って目をつむる。

⏰:10/10/05 20:55 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#971 [愛華]
離れない感触。心地好い。
そんな自分が気持ち悪い。

たかがキスだろ。
自分がこんなに女々しいなんて
知らなかったな。だせぇ。


眠れない夜。
結局、朝まで達也は戻っては
来なかった。



一睡もできなかった夜が明けた。

⏰:10/10/05 21:10 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#972 [愛華]
「班員確認して移動しろー」

長い宿泊研修も終わる。
ふと真理菜ちゃんのほうを見ると目が合ったが、俺から反らした

「よっ!たーかのり!!」

後ろからの衝撃。

「た、達也……」

「おぃ、なんだその反応!」

⏰:10/10/05 23:33 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#973 [愛華]
ちょうどバスにのるところ。

「お前今までどこに……」

「昨日見事にふられてさ!!
部屋に戻ろうとしたら先生いたから階段の後ろのスペースで寝てたんだ!ばれなくてさー!
今まで寝ちまってて……」

「ば、かじゃねぇの……」

フラれた。真理菜ちゃんに。
あのあと行ったんだ…テラスに。

⏰:10/10/05 23:41 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#974 [愛華]
「スルメくせぇ部屋よりは全然
ねやすかったぜ!!」

「スルメはお前がもってきたんだろーがよ……」

達也の空元気は見ててもわかった
どう言えばいい?
わからない。わからない。


「……でさ、なんてフラれたんだと思う?」

「え………」

⏰:10/10/05 23:47 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#975 [愛華]
達也は視線を真理菜ちゃんに
移して、言った。

「真理菜ちゃんさ……
お前が好きなんだってさ!」


ドクン


「でも俺、だからってお前に
遠慮なんかしねぇよ?壁なんかも作りたくねぇしさ。
でも……ちょっと考えてみろよ」

考える?なにを?

⏰:10/10/05 23:51 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#976 [愛華]
「真理菜ちゃんとのこと……
好きじゃなくてもいーからさ
ちょっと考えてみてくれよ」


お前……ばかじゃねぇのか
フラれた相手気遣ったり
してんじゃねーよ。
最低なのは俺だ。この俺。

昨日のことを言うか、言わないか

罪を打ち明けるか打ち明けないか

「………ああ」

友情を信じることにも……
強い友情が必要だった。

⏰:10/10/05 23:55 📱:840SH 🆔:I4HAW/vM


#977 [愛華]
「おう!俺らの友情はそんな
簡単には壊れねぇからな!」


幼い俺は罪による罰を恐れた。
達也との関係が壊れるのが
怖くて怖くてたまらなかった。

俺にとっての初めての罪。


そんなものに気づくはずもなく
俺は胸に思いをしまったまま
宿泊研修を終えた。

⏰:10/10/06 00:00 📱:840SH 🆔:ZQKECwM.


#978 [愛華]
………だいじょうぶ。

ばれない。ばれていない。

黙ったままでいれば達也とは

友達のままでいられる

こんなにもイイヤツを

傷つけたくはない、これ以上。

だから黙っておくんだ。

達也のために黙っておくんだ。

達也のために……

⏰:10/10/06 00:03 📱:840SH 🆔:ZQKECwM.


#979 [愛華]





「………ただいま」

「隆兄!おかえりー!」

家に帰ると、直純が笑顔で
迎えてくれた。

「隆則、おかえりなさい」

「母さん……父さんは?」

「リビングにいるわよ!」

⏰:10/10/06 00:07 📱:840SH 🆔:ZQKECwM.


#980 [愛華]
リビングに行くと、父さんがソファに座っていた。

「お、隆則おかえり」

「ただいま父さん。久しぶり」

父さんと会うのは本当に
久しぶりだった。

「隆則、日曜日キャッチボールでもするか?直純と3人で」

「直純とじゃキャッチボールになんねぇからなぁ……」

「俺だって上手くなったよーだ」

⏰:10/10/06 00:25 📱:840SH 🆔:ZQKECwM.


#981 [愛華]
俺は久しぶりの父さんとの会話が
嬉しくて、その間だけは
達也のことを忘れていた。


その次の日に起こることなんて
これっぽっちも知らずに。



人は過去には戻れない。
未来を知ることもできない。
人間は『今』にのみ存在する
後悔することをやめない動物。
そんなもの望んでいないのに。

俺の運命が動き出す。

⏰:10/10/06 00:35 📱:840SH 🆔:ZQKECwM.


#982 [愛華]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:10/10/06 00:48 📱:840SH 🆔:ZQKECwM.


#983 [愛華]
新しいスレたてました

その日が来る前に、2
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/11871/


次からはそこに更新します
よろしくお願いします!

⏰:10/10/06 00:50 📱:840SH 🆔:ZQKECwM.


#984 [我輩は匿名である]
あげます

⏰:11/04/19 18:54 📱:N08A3 🆔:8FIe8G8o


#985 [我輩は匿名である]
あげ〜

⏰:12/12/14 23:41 📱:iPhone 🆔:eDUlyS2U


#986 [ネタ民]
暇人必見(`・ω・)
 
こんにちはーネタ民です!
 
早速ですが、ネタ板にネタがないという非常事態!!!あなたの隠し持っている爆笑ネタを打ち明けてはどうですか!?内気な引っ込み思案な方でも、その独特な個性が魅力的☆ゲイもいるので仲間もできちゃう?!☆
ネタ板にはイケメンやセクシーな女ネタ民が勢揃いだよ・+(*゜∀゜*)+・
 
みんなでネタ板を盛り上げていきましょーう♪真面目キャラのコメンツも最高ですねー気楽にお越しくださいましー+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚:.。+゚
 
あなたという人材が必要です
bbs2.ryne.jp/t.php?b=zzz 

⏰:12/12/27 13:36 📱:SH003 🆔:UnG2ZYlM


#987 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/19 20:14 📱:Android 🆔:A4ZzuHng


#988 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>1-30

⏰:22/10/19 20:14 📱:Android 🆔:A4ZzuHng


#989 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>950-980

⏰:22/10/19 20:14 📱:Android 🆔:A4ZzuHng


#990 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>30-60

⏰:22/10/19 20:22 📱:Android 🆔:A4ZzuHng


#991 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>60-90

⏰:22/10/19 20:22 📱:Android 🆔:A4ZzuHng


#992 [○○&◆.x/9qDRof2]
 彼は洗面台に手をつき頭を垂れ、盛大にため息を吐き出す。ゆっくりと顔を上げ、目の前のやさぐれた顔の男に告げた。

⏰:22/10/20 06:35 📱:Android 🆔:nvDpRiyU


#993 [○○&◆.x/9qDRof2]
「まずは誕生日おめでとう。そして、早速だが本題に入る。お前が目指してきたのは小説家だったな? もう何年もありとあらゆる賞に送りまくっている。結果は……言わなくても分かるな。散々だ。お前が他の全てにおいて無能でも今まで生きてこれたのは、ひとえに小説があったおかげだ。しかしその小説が通じないとわかった今、お前の存在価値なんてどこにもありはしない。そうだろう?……とまぁ、以上の理由から」

⏰:22/10/20 06:35 📱:Android 🆔:nvDpRiyU


#994 [○○&◆.x/9qDRof2]
言葉を切り、再びため息をひとつ。


「お前の人生を失敗と認定する。おめでとう」


 目の前の男はうなだれていた。今まで何となくではあるが気付いていた事を、こうして真正面からはっきりと言われたのだから、当然と言えば当然だった。彼…太郎もまた、その事を告げるのには相当に悩み苦しんだことだろう。だが、もう誤魔化すことなどできなかった。

⏰:22/10/20 06:35 📱:Android 🆔:nvDpRiyU


#995 [○○&◆.x/9qDRof2]
「失敗だ。何もかも失敗だったんだよ」

目の前の男は、太郎だった。要するに太郎は洗面台で、鏡に写った自分自身に話しかけていたのだ。

「それじゃ、行くか」

⏰:22/10/20 06:36 📱:Android 🆔:nvDpRiyU


#996 [○○&◆.x/9qDRof2]
一次選考落選の通知をゴミ箱に捨てて、辺りを見回す。こういう時は、身の回りの整理をすればいいのだろうか。ぼんやりと色々考えた結果、太郎は1本の万年筆だけ持っていくことにした。とある賞の一次選考通過者全員にプレゼントされた品だ。それが唯一、太郎が一次選考を通過できた賞だった。

⏰:22/10/20 06:36 📱:Android 🆔:nvDpRiyU


#997 [○○&◆.x/9qDRof2]
安っぽい作りだが、太郎にとっては宝物だった。それをポケットに入れて、財布を持って家を出る。家の鍵はもう要らないし、かける必要もない。家を出ると、季節外れの涼しい風が顔を撫で上げた。半袖では少し肌寒いが、気にする程でもないし気にする必要もなかった。どこを見ても灰色しかない、コンクリートに塗り固められた住宅街に1歩踏み出す。

⏰:22/10/20 06:36 📱:Android 🆔:nvDpRiyU


#998 [○○&◆.x/9qDRof2]
足がやけに重く感じた。周囲の家を見渡すと、どこか物悲しくなった。カラッとよく晴れた過ごしやすい天気だったが、太郎の胸はコンクリートを詰め込んだように重かった。

「この風景も見納めか…」

⏰:22/10/20 06:36 📱:Android 🆔:nvDpRiyU


#999 [○○&◆.x/9qDRof2]
向かった先は、ショッピングモールにあるスポーツ用品店。
入ってすぐに、愛想のよい女性店員が笑顔を見せた。

「いらっしゃいませ」

「ロッククライミングをするんだ。命綱になるロープはあるかい?」

「それでしたらこちらに。何メーターほどご入用なさいますか?」

⏰:22/10/20 06:36 📱:Android 🆔:nvDpRiyU


#1000 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>90-120

⏰:22/10/20 06:37 📱:Android 🆔:nvDpRiyU


#1001 [我輩は匿名である]
このスレッドは 1000 を超えました。
もう書けないので新しいスレッドを建ててください。

⏰:22/10/20 06:37 📱: 🆔:Thread}


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194