その日が来る前に、
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#301 [愛華]
「那佑は那佑だろ。
全部支えてやる。お前まるごと。
……だから信じろよ」
なんとなく、気づいてた。
自分の気持ちに。
でも嘘ついてブレーキかける
理由ばっか探して。
ほんとは…気付いてほしかった。
「…きっとメーワクばっかかける
それでもいーわけ?
あたし、きっといっぱい泣く」
:10/07/10 22:17
:840SH
:IDbouulE
#302 [愛華]
「別に泣いてもいーべ。
俺もいっしょに泣いてやっから」
「……なにそれ。変なの」
あぁ………わたし。
なんだろ、これ。
今までと違う。なにかが違う。
「んで……返事は?」
「ひとつ……約束して?」
「なに?」
:10/07/10 22:29
:840SH
:IDbouulE
#303 [愛華]
私はあなたがいればいい。
それでいいから。
だから……これだけは守って?
「私がいなくなっちゃう時は…
絶対泣かないで。その時だけは…
絶対に」
「………ああ。誓うよ」
わたしが消えてしまうとき
どうか、泣かないで。
私の心に残るあなたの最後の顔が
どうか笑顔でありますように。
それが私の願いです。
:10/07/10 22:47
:840SH
:IDbouulE
#304 [愛華]
「…じゃーいいよ?
絶対……はなれちゃやだからね」
隆則。もう嘘はつかないよ。
私は死にたくない。生きたい。
あなたと、自分のために。
もう未来を捨てない。
たとえその先に光がないとしても
私は絶対生き抜く。最期まで。
:10/07/10 22:55
:840SH
:IDbouulE
#305 [愛華]
隆則はあたしを抱きしめてくれた
隆則はあったかくて。
私の居場所は…きっとここにある
「なぁ。もっかいキスしてい?」
「ばーか。エロおやじ!」
そういったあたしの頬は
涙で濡れていた。
隆則はあたしの涙をぬぐうと
優しくキスをしてくれた。
世界で一番しあわせなキス。
涙がしょっぱかった。
たくさんのものを愛したい。
……あなたといっしょに。
:10/07/10 23:06
:840SH
:IDbouulE
#306 [愛華]
〜隆則Side〜
:10/07/10 23:50
:840SH
:IDbouulE
#307 [愛華]
守りたい。支えたい。
ちっぽけな俺が
君だけのために、できること。
出会ってからの時間は短いけれど
その分をこれからうめていこう。
君のことが
愛しくて愛しくてたまんねぇんだ
:10/07/10 23:54
:840SH
:IDbouulE
#308 [愛華]
----------------------------
「んじゃな!!」
「あんま無理しなくていーから」
今日、俺は退院する。
短いようで長かった、約一ヶ月。
ほんとに色々あった。
:10/07/10 23:58
:840SH
:IDbouulE
#309 [愛華]
「できるかぎり会いにくっから」
「別にそんな来なくても
いーけど…」
ちょっとムカついた俺は
意地悪することにした。
「じゃ、来ないけどいい?」
「えっ…………やだ」
………あーもー!!
可愛すぎだっつの!!
んな顔すんな!
退院できなくなんだろが!!
:10/07/11 00:02
:840SH
:rYrFMOTw
#310 [愛華]
結局やられんのはいつも俺。
……一生こいつには勝てねぇよ。
惚れてしまったもんの負け。
俺は家に帰った。なつかしい家。
:10/07/11 00:04
:840SH
:rYrFMOTw
#311 [愛華]
「おー!!久しぶり!!
元気だったかよー」
そう迎えてくれたのは
一緒にルームシェアをしている
同じ大学仲間の
谷村誨(たにむらかい)。
「何が久しぶりだよ!!
一回ぐらい見舞いにきやがれや」
俺は誨に蹴りをいれた。
:10/07/11 22:03
:840SH
:rYrFMOTw
#312 [愛華]
「んだよー普通に元気じゃんか
んで、入院生活はどーだった?」
俺は病院であったことを誨に
話した。もちろん那佑のことも。
誨は高校からの親友だ。
喧嘩ばっかの俺を心配して
「今日から俺、お前んち
住むから。家賃は払うし!」
とか言って俺の家にやってきた。
:10/07/11 22:08
:840SH
:rYrFMOTw
#313 [愛華]
最初は正直うざかった。
でも近くにいることで
本気で心配してくれてるって事
痛いほど伝わってくる。
誨の目は那佑の目に似てる。
純粋で、まっすぐで……
梓もこんな目をしていたな。
俺の周りには真っ直ぐな奴が
いっぱいいるんだ。
それが有り難かった。
:10/07/11 22:11
:840SH
:rYrFMOTw
#314 [愛華]
近くにいるけれど、
必要以上に俺の中には
踏み込んでこない。
そんな距離が俺と誨の間にはある
だから親友でいられるんだ。
……うまく言えねぇけど…
:10/07/11 22:14
:840SH
:rYrFMOTw
#315 [愛華]
「へぇー先が短いやつと
つきあうのかー」
「…短くなんかねーよ。
まだ八年ある。
絶対生かせてやる。俺が」
「傷つくの目に見えてんじゃん…
俺にはとーていムリだけどなー
とりあえず頑張れや」
なんだかんだいって
最後は結局見守ってくれんだよな
:10/07/11 22:17
:840SH
:rYrFMOTw
#316 [愛華]
「名前なんつーの?」
「白石那佑。2コ下」
「白石…?そいつ、
うちの大学の下の高校だろ?
けっこー有名だよ。
入学してから一回もガッコ
来てねぇから。
……そっかーそいつだったんか」
誨は一人で納得してたけど…
那佑って…うちの高校だった
のか!?
:10/07/11 22:24
:840SH
:rYrFMOTw
#317 [愛華]
俺んとこの大学はエスカレーター
小学校から大学まで。
途中から入ってくるやつもいて
俺は高校から入った。
那佑も同じ高校だったんなら…
俺と那佑は一年間一緒に
過ごしてることになる。
…でも会えたことはない。
那佑はめったに学校には
来ないらしいから
当たり前かぁ。
:10/07/11 22:28
:840SH
:rYrFMOTw
#318 [愛華]
でも、もし那佑が学校に来る
ようになれば、
しょっちゅう会いにいける
ようになる。
大学と高校の校舎は
同じ敷地内にあるから。
……明日、那佑にきいてみっか。
:10/07/11 22:32
:840SH
:rYrFMOTw
#319 [愛華]
俺は翌日、那佑に会いにいった。
「なぁ那佑って創英高校?」
「そだよーめったに行けないから
エスカレーターの楽なガッコに
したの」
やっぱり。
「はやくガッコこいよー」
「あ、そっか。隆則は
うちの大学いってたんだっけ」
「なんだ知ってたのかよ」
「まぁねー」
ほんと情報網広いな、コイツ。
:10/07/11 22:38
:840SH
:rYrFMOTw
#320 [uraganai]
:10/07/11 23:23
:832SH
:PrwgZBNw
#321 [愛華]
:10/07/13 22:23
:840SH
:KSNAXobE
#322 [愛華]
「あたしも高校いきたいなー」
「行けるよ、ぜったい」
那佑は嬉しそうに笑うと
小さく頷いた。
なんとなく抱きしめたくなった
那佑をゆっくり抱き寄せた。
那佑はすっぽりと俺の中に
収まった。
たまらなく愛しい。
:10/07/13 22:31
:840SH
:KSNAXobE
#323 [愛華]
「隆則、苦しいってば!」
「んー…ちゅーしてくれたら
離してあげよーかなぁ」
「馬鹿!あんたそんなキャラ
じゃないでしょ!」
確かに。なんか那佑と会って
キャラ変わったかも(笑)
うーん…いいことなのか?
「もー……」
那佑はそのまま黙った。
俺の腕の中に入ったまま。
:10/07/14 20:21
:840SH
:UGzjUzks
#324 [愛華]
「隆則ってさぁモテるでしょ?」
「うーん…そーでもねーよ。
むしろ怖がられてたかな」
俺が後ろから抱きしめる感じで
ベッドに座って会話する。
俺の腕はジェットコースターの
上から抑えるやつ
みたいな感じ(笑)
「……なんか不安だなぁ」
「んぁ?なにがー?」
「………べつにー」
:10/07/14 20:30
:840SH
:UGzjUzks
#325 [愛華]
…なんかあるって顔に
書いてんじゃんなぁ……
「んー?なにみてんの?」
じーっと顔みてたら那佑が
振り向いた。
うっ……上目遣いズルいだろ。
「べーつにぃ」
「まねすんなよー」
抱きしめる手に力をいれる。
ずっとこんな時間が続けばいい。
俺はそれだけで充分なんだ。
:10/07/14 20:39
:840SH
:UGzjUzks
#326 [愛華]
神様なんて信じるタチじゃない
けど…もしいるんなら。
なら頼むよ。
俺の大切なもんを奪わないでくれ
そんなにいい人生送ってきた
わけじゃねぇけど。
誰かのために生きたいって
思えたんだよ。
:10/07/14 20:52
:840SH
:UGzjUzks
#327 [愛華]
春が終わって……
あっという間に夏がきた。
那佑と一緒に夏をこえると
葉は紅くなり散っていった。
もうすぐ冬が来るよ、那佑。
:10/07/14 21:02
:840SH
:UGzjUzks
#328 [愛華]
「だいぶ寒くなってきたねー」
プリンを食べながら
那佑が言った。
この半年ぐらいで那佑は髪が
かなり伸びた。そのせいか…
なんていうか、綺麗になった。
「もうすぐ12月じゃん…
時間ってはぇぇなぁ」
最近、時間がたつのをすごく
はやく感じる。
時々めちゃ寂しくなって
泣きたくなる夜もあるんだ。
:10/07/14 21:09
:840SH
:UGzjUzks
#329 [愛華]
俺の気持ちは何も変わらない。
むしろ強くなってるくらいだ。
でも強くなるぶん、
不安が増していく。
いつか君が、俺の前から
消えてしまうんじゃないかって…
「隆則!!今日はいいお知らせが
あるんだよー☆」
突然、那佑がいいだした。
今日は朝から機嫌がいいとは
思ってたけど……
いいお知らせ??
:10/07/14 21:21
:840SH
:UGzjUzks
#330 [愛華]
「どーせ新発売のプリンが
どーたらこーたら… だろ?」
「そんなレベルじゃないよ!」
「じゃ、なに…………?」
「あのね……
なーんと!退院が決まりました!
仮じゃない退院だよー!!」
:10/07/14 21:37
:840SH
:UGzjUzks
#331 [愛華]
「たいい……えぇ!?
マジで!?退院!?」
「最近、心臓の調子がよくてね
お医者さんがOKだしてくれたの。
マメに通院しなきゃだけどね」
「……っしゃぁ!!!
やったなぁ!!」
「隆則よろこびすぎ〜」
:10/07/14 21:46
:840SH
:UGzjUzks
#332 [愛華]
たくさん君に見せたいものがある
君と食べたいものや
君と見たいもの
君と行きたいところ。
たくさんのことを那佑と。
あぁ、やっぱ俺。
那佑のことすっげ好きなんだな。
:10/07/14 21:55
:840SH
:UGzjUzks
#333 [我輩は匿名である]
3
3
3
:10/07/15 01:03
:SH904i
:Anx4kD1k
#334 [愛華]
「やっほー♪きたよーん♪」
「梓!!びっくりしたぁ!
あのね、あたし退院することに
なったんだよー!」
「マジでー!?
よかったじゃーん☆」
梓はドカッとベッドに腰掛けた。
あの日から梓は那佑のお見舞いに
よく来るようになった。
:10/07/15 23:13
:840SH
:66i9jhlU
#335 [愛華]
なんでかはしんないけど。
今となっては親友。
うーん……女ってわからん。
「じゃあ、学校一緒にいけるね☆
那佑と同じ学校でよかった!」
「うん、やったねー」
笑顔の那佑を見ると安心する。
あれから俺は喧嘩は一度も
していない。
那佑といることで、俺も
変われているんだと思う。
:10/07/18 01:00
:840SH
:S/ciCaa2
#336 [R]
:10/07/19 06:38
:W65T
:☆☆☆
#337 [愛華]
:10/07/20 19:11
:840SH
:XDy/QIZQ
#338 [愛華]
今日は那佑の退院日。
でも、なぜか病院に向かえに
来るなときつく言われた。
那佑は両親がいないと言っていた
から大変だと思うのに…
でも、そこまで言うんだから
なにか事情があるんだろう。
俺は深く追求しなかった。
:10/07/20 22:34
:840SH
:XDy/QIZQ
#339 [愛華]
「つーか暇つぶしに俺よぶなよ」
「うるせーな。暇なんだよ」
俺は今、長谷と一緒にいる。
那佑との待ち合わせの時間まで
時間があったからだ。
ほんとは誨を呼ぼうと思ったが
バイトらしい。
色々いそがしいやつだ。
「てか、長谷に言いたいこと
あったんだよ!!」
:10/07/20 22:40
:840SH
:XDy/QIZQ
#340 [愛華]
「んー俺に?なに?」
コーヒーをすすりながら
長谷が興味なさそうに言う。
こんにゃろー…
「お前よー俺のこと梓にペラペラ
しゃべっただろー?」
「へっ?あー入院のこと?
ダメだったのか?」
「ダメじゃねーけどよー…
かっこわりーじゃん…
喧嘩で入院とかよー…」
:10/07/20 22:48
:840SH
:XDy/QIZQ
#341 [愛華]
「梓ちゃんはそんなの
思わないだろー。あの子、
昔からお前ぞっこんだったし。
……どーなったわけ?」
「お前はさー事情知りすぎだよ」
長谷は俺が喧嘩をするように
なってから
色々なところで梓と同じように
世話をやいてくれた。
だから梓とも自然に知り合い
自然に親しくなっていった。
:10/07/20 22:54
:840SH
:XDy/QIZQ
#342 [愛華]
「どーもなんねーよ!
俺には那佑がいるし。
……でも、いつのまにか那佑と
仲良くなってるし。
女ってわかんねーよなー」
「……お前ってばかだな。
梓ちゃんのこと、なんも
わかってないんだな」
はぁ??
俺には長谷の言ってる意味が
わかんなかった。
:10/07/20 22:57
:840SH
:XDy/QIZQ
#343 [愛華]
「梓ちゃんはアレで優しいからな
大切な人の大切な人だから
自分も大切にしたいって
思ったんだよ。
そこには同情なんかない。
だから那佑ちゃんも心を開くんだ
お前にフラれたからこそ
梓ちゃんも割り切れた。
……あの子たちはいい友達に
なるよ」
なんだかんだいっても大人。
なんだかんだいっても子供。
長谷は俺とは違う。
大人なんだ。
:10/07/20 23:02
:840SH
:XDy/QIZQ
#344 [愛華]
「まぁ梓ちゃんだからできた友情
でもあるな。
他のやつだったら逆恨みとか
で終わるだろ、多分。
梓ちゃんも那佑ちゃんも…
お前は恵まれてるよ。
大切にしてやれよ。本気で」
何度も同じことゆーなよな。
今になって梓の気持ちがわかる。
きっと大切にするよ。
ううん、絶対に。
:10/07/20 23:06
:840SH
:XDy/QIZQ
#345 [愛華]
長谷が帰って一人で那佑を
待っていた。
「大切にしてやれ」
長谷はそう言った。
梓もそう言った。
大切にしているつもりだ。
でも、なにかが足りない。
出会ってからの時間がまだ短い
から君の全てを知らないんだ。
:10/07/21 00:53
:840SH
:5gF9MWWw
#346 [愛華]
とは言っても、出会って半年。
君との時間はあっという間だ。
「おまたせー」
色々考えていると、那佑が来た。
初めて私服を見る。
初めて病院の外で会う。
「………おぅ」
うわ、声裏返った!
何緊張してんだ自分…
小学生じゃあるまいし。
:10/07/21 01:04
:840SH
:5gF9MWWw
#347 [愛華]
那佑はワンピースを着ていて
細い脚をだしていた。
ほそっ!!折れるぞ、あんなん…
とか冷静に思ってる自分がいた。
「長谷さんと会ってたの?」
「ん?あぁ。一昨日ロスから
帰国してな」
「どーせ暇つぶしに
呼んだんでしょ?長谷さん
疲れてるのに……」
:10/07/21 01:09
:840SH
:5gF9MWWw
#348 [愛華]
「出張だったっけ?」
「そ。半年前のこと話してた」
色々話したあと店をでて
少し歩いた。
退院したての那佑を気遣い、
その日は帰ることにした。
今日からいつでも会える。
会いに行けるんだ。
:10/07/21 01:13
:840SH
:5gF9MWWw
#349 [愛華]
横をゆっくり歩く那佑。
うまく歩調を合わせる。
凛と背筋を伸ばして歩く
那佑の姿はたまらなく
綺麗で……
正直、こんな綺麗だったっけ、
と思った。
ずっとこうして歩きたかったんだ
那佑とならんで。ふたりで。
影がかさなる。
冬が来て……
新しい日々が始まる。
:10/07/21 01:19
:840SH
:5gF9MWWw
#350 [愛華]
〜那佑Side〜
:10/07/21 01:20
:840SH
:5gF9MWWw
#351 [愛華]
久しぶりの外の世界。
景色が違って見えた。
ちょっとだけ
未来が明るく照らされた気がした
あたしには隆則がいる。
初めて親友と思えた梓もいる。
居場所はちゃんとある。
だから大丈夫。大丈夫だよ。
私はまだ……強くいられる。
:10/07/21 20:31
:840SH
:5gF9MWWw
#352 [愛華]
梓は
「タカの大切な人は
あたしにとっても大切なんだ。
あたしは那佑を支えたい」
そう言ってくれた。
隆則をまだ好きなことが
痛いほど伝わってきた。
だから精一杯生きようと思った。
隆則の笑顔のために。
:10/07/21 20:35
:840SH
:5gF9MWWw
#353 [愛華]
「ただいま」
「あ…那佑おかえり!!
今日はごちそう用意したの。
三人でお祝いしましょ?」
「那佑。席につきなさい」
……またか。べつにいーのに。
「いらないよ。あたし疲れたから
もう寝るね。明日学校だし」
「あ…そっか…おやすみなさい」
バタン!!
:10/07/21 20:40
:840SH
:5gF9MWWw
#354 [愛華]
あれから何も変わらない。
何も。
変わったのはあたしだけ。
お母さんとお父さんを拒絶
しつづけて……
ふたりの傷ついた顔も見飽きた。
傷つけばいい。
苦しめばいい。
あんたたちなんか、私が苦しんだ
何倍も………何十倍も。
:10/07/21 20:45
:840SH
:5gF9MWWw
#355 [愛華]
あんたたちが病気のあたしを
おいてアメリカに戻ったあと
あたしがどんなに苦しんだか
きっと一生わからないでしょ?
あの一年は……あたしにとっての
闇そのものだった。
助けをもとめても誰も
助けてくれない。地獄の日々。
あたしは真っ暗闇の道を
一人で歩いてきたんだ。
それを望んだのはあたし自身。
:10/07/21 20:52
:840SH
:5gF9MWWw
#356 [愛華]
あなたたちなんか頼らない。
絶対に……頼らない。
あたしの心にはまだ……
深い傷跡が残っていた。
でも隆則には言わない。
これはあたしが望んで
自分でつけた傷だから。
:10/07/21 20:56
:840SH
:5gF9MWWw
#357 [愛華]
……朝日がまぶしい。
朝だ。
今日から…新しい日々が始まる。
クローゼットにしまったままの
パリパリの制服。
それに身を包むと、
自分でも、よくわからない
気持ちが溢れてきた。
不安と期待。
……ちゃんと上手くできるかな。
:10/07/21 21:37
:840SH
:5gF9MWWw
#358 [愛華]
「那佑!おはよう。
朝ごはん食べたらお母さんが
送ってあげるから」
「いいよ。歩きたいから」
「そっ……か」
罪悪感。でも心は痛まない。
かばんを持って外に飛び出した。
いつもと違う朝。
青空が限りなく広がってて
雲が近く見える。つかめそう。
:10/07/21 21:49
:840SH
:5gF9MWWw
#359 [愛華]
「がんばんなきゃ…」
自分で自分に喝を入れる。
通学路を歩いていると
後ろからドンっと誰かが
ぶつかってきた。
「おーはよっ!那佑!
びっくりしたぁ?」
「梓!おはようー」
梓は心配して、わざわざ
遠回りして迎えにきてくれた
みたい。
……悪いことしちゃったかな。
:10/07/21 22:00
:840SH
:5gF9MWWw
#360 [愛華]
「那佑あんた制服似合うねぇ」
「そう?ありがとー」
「同クラだから一緒に
教室行こ?久しぶりだから
わかんないっしょ?」
「うん。ありがとー」
梓の心遣いが嬉しかった。
学校に入るとこれでもか、
ってくらいの視線が刺さる。
:10/07/21 23:36
:840SH
:5gF9MWWw
#361 [愛華]
「…あれって白石…でしょ?」
「なんで今さら…ったのかな?」
おーおーなんか言ってるな(笑)
でも気にしない。
正直ヒソヒソ話されるのは
嫌だったけどね?
ガラッ
教室に入ると視線が集まる。
みんな穴があくほどあたしを
見つめる。
ぶっちゃけ名前なんて覚えてない
:10/07/21 23:55
:840SH
:5gF9MWWw
#362 [愛華]
「那佑、気にすんなよ。
席つきな」
「…んー?うん」
……じろじろ見んなよ。
刺さるような視線の中
朝のホームルームが終わり
あたしは職員室へ向かった。
そこには担任の尾川先生がいた。
:10/07/22 00:18
:840SH
:nv6xPfQQ
#363 [愛華]
「おー久しぶりだなぁ白石。
調子はどうだ?」
「悪くないです。
先生も元気そうで安心しました」
先生だけは何も変わらずに
接してくれた。
それが何より嬉しかった。
「ご両親から話は聞いてるよ。
周りの目も気にはなるだろうが
すぐ慣れる。気にするなよ」
「……ありがとうございます」
あたしは職員室をでた。
:10/07/22 20:46
:840SH
:nv6xPfQQ
#364 [愛華]
いつもと違う日。
時間がたつのが遅く感じる。
……隆則に会いたいなぁ…
そんなことを考えてるうちに
お昼になった。
お昼になっても周りの視線は
消えないまま……
正直、疲れる。
聞きたいことあんなら聞けばいい
言いたいことあんなら言えばいい
:10/07/22 20:54
:840SH
:nv6xPfQQ
#365 [愛華]
「那佑、ごはん食べよーか?」
「あーうん。そうだね」
「疲れてるっぽいけど大丈夫?」
「大丈夫だよ!ほら食べよ」
梓に無理矢理笑顔を見せ
さっき購買で買ったパンと
お茶を取り出した。
:10/07/22 21:00
:840SH
:nv6xPfQQ
#366 [愛華]
二人でご飯を食べていると、
前から二人の女子が
近づいてきた。
見るからにケバい感じ。
化粧が濃くて、近くにくると
香水のキツイ臭いがした。
「白石……だっけ?
ちょっとどいてくんない?」
ひとりの女子が言った。
髪はロングで巻いてる。
猫みたいな感じ。
:10/07/22 21:13
:840SH
:nv6xPfQQ
#367 [愛華]
「はぁ?どーゆー意味?
ご飯食べてんじゃん?」
あたしが言うと、もうひとりの
女子が、
「あんたが何で速水と仲いい
のか知らないけど。
あんたに用ないから。
速水に用があんの。」
とイライラした様子で言った。
こっちの女子はショートのボブ。
ピアスの穴が5個くらい空いてる
これまたケバい。
:10/07/22 21:20
:840SH
:nv6xPfQQ
#368 [愛華]
あたしは、二人の態度と
周りの女子、男子の反応を見て、
この二人がこのクラスの
女子のリーダーだということが
わかった。
「…なに?あたし あんたらに
なんかしたっけ?」
あたしが何かを言う前に
梓が口を開いた。
その瞬間。
ガンッッ!!!
:10/07/22 21:37
:840SH
:nv6xPfQQ
#369 [愛華]
「とぼけてんじゃねーよ!!
あんた、あたしの彼氏に手ぇ
だしただろーがよ!!」
ショートの女子が机を
蹴っ飛ばし、怒鳴る。
あたしはビビったけど
梓は微動だにしない。
「……手ぇだす?
あたしは告られただけ。
んで振っただけ。
手なんか出すわけないじゃん。
自分の非を人のせいにしないで」
ガンッッ!!
:10/07/22 21:41
:840SH
:nv6xPfQQ
#370 [愛華]
梓の言葉が気に障ったのか
今度はロング女子が椅子を
思い切り蹴っ飛ばす。
……公共物〜大事にしてよ〜
「ここまで来て言い訳?
マジむかつくんだけど」
……ムカつくのはあんたたちだよ
あたしは心の中で呟いた。
あたしがどーにかできる
問題じゃないと悟った。
:10/07/22 21:46
:840SH
:nv6xPfQQ
#371 [愛華]
「今、那佑とご飯食べてるから。
話なら後にしてよ」
「んなわけねーだろ!!
それなら白石、どっかいけよ
邪魔なんだよ!!」
……はぁ!?
…………やば、限界くるぞー
:10/07/22 21:53
:840SH
:nv6xPfQQ
#372 [愛華]
「白石もさぁ、こんな奴と
つるむなよ。
久しぶりに来て無理矢理
友達にさせられた感じ?」
「病気の那佑ちゃんに
優しいフリしてるだけだって」
教室がざわつく。
…こいつら…どこまで知ってる?
なんで知ってる?
:10/07/22 21:56
:840SH
:nv6xPfQQ
#373 [愛華]
あたしは無言で二人を睨んだ。
……なんで?
ほとんど初対面のあんたらに
なんでそこまで言われなきゃ
ならないわけ?
「…那佑は関係ないでしょ?
てか、こんなとこで……
馬鹿なんじゃないの?」
パンッ!!
ショート女子が梓の頬を
ひっぱたいた。
教室は騒然。
:10/07/22 22:20
:840SH
:nv6xPfQQ
#374 [愛華]
あたしの病気のカミングアウト、
目の前での女子同士の喧嘩。
そこにあたしが何故か
加わってるっていうことも
クラスのみんなを混乱
させてるんだと思う。
「ムカつくんだよ!!」
ショート女子が梓に掴みかかって
取っ組み合いの喧嘩になる。
さすがにヤバいと、
あたしが止めようとすると…
:10/07/22 22:26
:840SH
:nv6xPfQQ
#375 [愛華]
ドカッ!!
ロング女子が
「黙って見てろ」的な目で睨み、
あたしを突き飛ばした。
クラスメートもどうにもできず
黙って見ているだけ。
…………なにこれ。
そんなにこの二人が怖いの?
あんたたち、あたま おかしいよ
:10/07/22 22:31
:840SH
:nv6xPfQQ
#376 [愛華]
あたしの中の何かがキレる。
それをこらえていると…
「あんたなんか死ねばいい!!」
ショート女子が叫んだ。
…………なんて言った?
シネバイイ?
誰が?
梓が?
………………シネバイイ?
:10/07/22 22:34
:840SH
:nv6xPfQQ
#377 [愛華]
「………ふざけんなよ!!」
あたしは気がつくと叫んでいた。
その場にあったお茶を
ショート女子の頭にぶちまけた。
「冷たっっ…なにすんのぉ!?」
「何も知らないくせに!!
梓とあたしのことなんか…
なにも知らないくせに!!」
こんなこと言うつもりなかった。
でも本当にムカついた。
ムカついたんだ。
:10/07/22 22:53
:840SH
:nv6xPfQQ
#378 [愛華]
「死ねばいい…?
そんな言葉カンタンに言うな!」
みんなが私を見る。梓も。
でも、今はどうでもいい。
どうでもいいんだよ。
「…こんなことして……
どうなるかわかってるわけ?」
ロング女子が冷めた目で
あたしを見る。
:10/07/22 22:58
:840SH
:nv6xPfQQ
#379 [愛華]
「なんでもすれば?
あたしはあんたたちの何十倍もの
地獄を味わってきたんだ。
本当の恐怖を知らない
あんたたちなんか…恐くない」
そうだよ、恐くなんかない。
あんたたちは知らないでしょ?
朝日を見ることが苦痛になる日々
明日が来ることへの恐怖。
そんな日々から救いだしてくれる
本当に大切な大切な人の存在。
:10/07/22 23:04
:840SH
:nv6xPfQQ
#380 [愛華]
あたしの後ろには隆則がいるの。
だから頑張れるの。
「……行こう」
ショート女子とロング女子は
教室からでていった。
緊迫の空気が解かれる。
クラスメートは何もなかったか
のようにお昼を再開した。
「………なんだよ、こいつら」
:10/07/23 16:42
:840SH
:viZu.MVU
#381 [愛華]
「那佑…ごめんね?
なんか巻き込んじゃって…」
「そんなの別にいーよ。
ってかさ。なんであいつら
あたしのこと知ってんの?」
「…あいつらだけじゃない。
学校の人ほとんどが
噂で那佑の病気のこと知ってる」
:10/07/25 01:05
:840SH
:fMnZyN5s
#382 [愛華]
噂って怖いなって思った。
「あんま心配かけたくなくて
黙ってたの。……ごめん。」
「梓は悪くないよ。
……あたしの余命のことも?」
「それはみんな知らない。
噂も曖昧なもんでさ。
那佑がなんかの病気らしい…って
ことぐらいしか」
梓はひそひそと話した。
:10/07/25 01:09
:840SH
:fMnZyN5s
#383 [愛華]
「さっきのあいつらは?」
「この学年の女子のリーダー。
ショートのほうが
相沢れな っていって、
ロングのほうが、
京極みさと ってゆーの」
学年の女子のリーダーか…
やっかいなやつらに
喧嘩売っちゃったなぁ…
久々の学校なのに(泣)
:10/07/25 01:13
:840SH
:fMnZyN5s
#384 [愛華]
「二人の怒りは完璧
那佑のほうに向いちゃってる
と思う。…なにおこるか
あたしにもわかんない。
でも、あたしが那佑のそばに
いるから」
「……ありがとう。」
久々の学校初日。
これから一波乱おこりそうな
そんな予感がした。
人生って楽にいかないなぁ…
:10/07/25 01:17
:840SH
:fMnZyN5s
#385 [愛華]
その日の放課後。
梓と校門でわかれ、
あたしは隆則と会うために
喫茶店へ向かった。
そこにいたのは…
「えーと……誰?」
「あ?なんだそのボケ」
隆則は髪を真っ黒に染めていた。
:10/07/25 13:03
:840SH
:fMnZyN5s
#386 [愛華]
「な、なにがあったの?」
「金髪だと目立つし、不良どもに
絡まれっからさ。めんどいんだ。
これだと絡まれなくて済むだろ」
あたしは隆則の気遣いがわかった。
あたしが退院して、一緒に
いることが多くなると
絡まれるとことか、あたしに
見られちゃうから。
:10/07/25 13:08
:840SH
:fMnZyN5s
#387 [愛華]
ケンカはしないけど
そーゆーの、あたしに
見られたくないんだよね。
………ありがとう。
それにしても……
「似合うね、黒。金髪より
全然いーよ!」
「マジ?」
:10/07/25 13:11
:840SH
:fMnZyN5s
#388 [愛華]
そう。隆則は黒が似合う。
びっくりしたけど、ほんとに
似合っていた。
……つまり、かっこいいんです。
あたしが見とれていると、
「そんな見んな」と、
デコピンされた。
その時の隆則は顔が赤くて。
でもそれを言ったら、今度は
ゲンコツされそうだったので
やめておいた。
:10/07/25 13:15
:840SH
:fMnZyN5s
#389 [愛華]
「久々の学校はどーだった?」
あ…そうだった。
すっかり忘れてた(泣)
でもあたしは。
「んー普通かな?周りの目は
多少痛かったけどねー」
隆則には黙っておく事にした。
:10/07/25 18:18
:840SH
:fMnZyN5s
#390 [愛華]
心配かけたくなかった
っていうのもあるし。
なにより、隆則にばかり
甘えていたくなかったんだ。
隆則がいなくたって…
自分でまいた種なんだから。
自分でなんとかしなくちゃ。
梓には口止めしておいた。
:10/07/25 18:21
:840SH
:fMnZyN5s
#391 [愛華]
隆則に黙ってることに対して
梓は反対したけど、
あたしの気持ちをわかって
くれたのか、
最後はしぶしぶ了解してくれた。
「明日学校まで迎えにいくか?」
「いーよ、恥ずかしいし。
また連絡するから」
そう言って、その日は別れる
ことにした。
:10/07/25 18:26
:840SH
:fMnZyN5s
#392 [愛華]
バス停まで来ると、隆則が
いきなりぎゅっとしてきた。
「………隆則?
ひと、見てるよ?」
「んーうん……
……なんかあったら言えな?」
「………うん。」
隆則はわかってたんだね。
でも優しいから。
………優しすぎるから。
だから私はいつも甘えちゃうの。
:10/07/25 18:36
:840SH
:fMnZyN5s
#393 [愛華]
次の日。
朝、学校に来ると、女子から
とてつもなく白い目で見られた。
下駄箱へ行くと、靴がなかった。
………予想はしてたけど。
でも、こんなもんで
終わるはずがないのが
高二の女子のイジメである。
:10/07/25 23:13
:840SH
:fMnZyN5s
#394 [愛華]
誰か見てくれてますかー?


:10/07/25 23:15
:840SH
:fMnZyN5s
#395 [りぃ]
見てます\^^/
:10/07/25 23:17
:W65T
:ZJ1NuiSc
#396 [愛華]
:10/07/26 16:33
:840SH
:VJ1QiRnE
#397 [愛華]
教室に行くと、昨日のように
視線が集まる。
でも、昨日とは明らかに
違う冷たい視線。
あたしの机には…
『死ねドブス』『消えろや』
などの言葉。
:10/07/26 16:37
:840SH
:VJ1QiRnE
#398 [愛華]
相沢、京極のほうを見ると
ニヤニヤ笑っていた。
その目は
『まだ、こんなもんじゃないよ』
と言ってるようで
恐ろしかった。
人間って、ここまで冷たい目を
できるんだなぁって。
そんな恐怖を覚えた。
:10/07/26 16:40
:840SH
:VJ1QiRnE
#399 [愛華]
机の落書きを消していると
梓が息をきらして
教室にはいってきた。
「…っ那佑!!
なんで先行ったの!!」
「え…だって梓遠回りに
なっちゃうし……」
「ばか!!ほんとばか!!
これからは絶対ひとりに
なっちゃダメだからね!!」
:10/07/26 16:44
:840SH
:VJ1QiRnE
#400 [愛華]
梓は心配して、こんなにも
息をきらして駆け付けてくれた。
それは嬉しかったし
申し訳なかったけど……
この時、ちゃんと梓の言うこと
聞いていれば
あんなことにならなかったのかな
あたしはまだ相沢と京極の
本当の狂気に
気づいてなかったんだ。
:10/07/26 16:48
:840SH
:VJ1QiRnE
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