その日が来る前に、
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#201 [愛華]
「…その程度の気持ちなら
もう隆則に近づかないで。
……どーせ退屈しのぎくらい
の存在なんでしょ?
退院したら終わる関係なんだし」
退屈しのぎ?あたしにとっての
隆則は…ほんとにそうだったの?
あたしは…何も言えなかった。
:10/07/02 00:35
:840SH
:SveFRjbc
#202 [愛華]
「じゃ、あたしタカんとこ
戻るね、ばいばーい」
あたしは動けなかった。
頭の中では
「お前の存在はきえない」
と言ってくれた隆則の言葉が
こだましていた。
あたしには言い返す権利はない。
隆則の恋人でも友達でもないから
ふと沸いてきた孤独感。
……隆則。
そばにいたい。
それだけじゃダメなのかな。
:10/07/02 00:40
:840SH
:SveFRjbc
#203 [愛華]
ふ、とナースステーションの
方を見ると、
中に純さんの写真が
飾られていた。
「……純さん」
涙がでそうになる。
お葬式もいけなくてゴメンね。
ひとりぽっちはやだよ。
純さんも…隆則も離れていくの?
:10/07/02 19:04
:840SH
:SveFRjbc
#204 [愛華]
あたしは離れたくない。
……でも、あの人にとって
あたしは邪魔物。
梓は隆則が好きだから。
これからも隆則との未来が
あるから。……私にはない。
……なら……私が退くべきだ。
……梓と何より、隆則のために。
:10/07/02 19:07
:840SH
:SveFRjbc
#205 [愛華]
………なんだろ、これ。
胸がいたいよ。
退院したら終わる関係。
そう言われた時どうしようもなく
胸がきりきり痛んだ。
……私が隆則から離れれば
みんな幸せになる。
未来のない私がつきまとったら
みんな迷惑なんだから。
………それでいいんだ。
:10/07/02 20:46
:840SH
:SveFRjbc
#206 [愛華]
〜隆則Side〜
:10/07/02 20:47
:840SH
:SveFRjbc
#207 [愛華]
昨日は色々あったな。
でも、那佑が本音を
打ち明けてくれたことが
なによりも嬉しかった。
ガラじゃねぇけど……
もうすぐ昼。
そろそろ那佑がくるころか?
:10/07/03 16:03
:840SH
:TRqKXb0g
#208 [愛華]
コンコン………
きたかー?
「那佑かー?はいっていーぞー」
…………ガラッ
「……え」
「タカ、久しぶり」
:10/07/03 16:07
:840SH
:TRqKXb0g
#209 [愛華]
「……梓?なんでここに…」
「昨日アメリカから帰国したの。
入院してるって長谷さんから
聞いたから、
タカに会いたくて来ちゃった。」
………あんにゃろー……
「タカ、会いたかったんだよ」
そう言うと、梓は俺に
いきなりキスしてきた。
:10/07/03 16:18
:840SH
:TRqKXb0g
#210 [愛華]
「ん……っなにす……」
いきなりのことで抵抗出来ず。
「アメリカじゃ挨拶だもん」
「ここはアメリカじゃねぇ!!」
梓は昔からこんな感じだった。
:10/07/03 17:11
:840SH
:TRqKXb0g
#211 [愛華]
梓と出会ったのは小三のころ。
家が近いことで親ぐるみで
仲良くなった。
しかしその後、俺の両親が
事故で亡くなった。
その時から俺はケンカに
狂い始めた。
:10/07/03 17:14
:840SH
:TRqKXb0g
#212 [愛華]
施設に行くことを堅く拒んだ俺は
祖父に引き取られる事になったが
祖父には引き取りたくない態度が見え見え。
食費だけを振り込んでもらう事を
条件に、俺は元の家に残り
一人暮らしを始めた。
:10/07/03 17:17
:840SH
:TRqKXb0g
#213 [愛華]
毎日がケンカの繰り返し。
そんな俺を支えてくれたのは
梓だった。
晩御飯をもってきてくれたり
家にきて家事をしてくれたり。
梓のことは妹みたいに思ってた。
………梓は違ったみたいだけど。
:10/07/03 17:20
:840SH
:TRqKXb0g
#214 [愛華]
梓はケンカばかりの俺を心配して
いつも注意してたが、俺は
まともに聞こうとしなかった。
そんな高二の夏。
梓がアメリカへ留学する事に
なった。
:10/07/03 17:24
:840SH
:TRqKXb0g
#215 [愛華]
出発前日。
俺は梓に呼び出された。
「…気づいてるかもしんないけど
私、タカの事すきだよ」
「……やめとけ、こんな男」
「そんな事いわないで!
あたしはタカがいいの!
足りない分はあたしが支える。
だから………」
「俺はお前を妹にしか見れない」
「………わかった」
梓は旅立った。
あとで、もう少し優しく
してやればよかったと後悔した。
:10/07/03 17:28
:840SH
:TRqKXb0g
#216 [愛華]
あれから2年。
梓が帰ってきた。
「…久しぶりだな」
「うん。二年ぶりだね!
元気にしてた?」
「してたけど……
手紙のひとつくらいよこせば
よかっただろ」
「……まぁそうなんだけど。
別れかたが別れかただったし…」
……そっか、そうだった。
:10/07/03 17:33
:840SH
:TRqKXb0g
#217 [愛華]
「…あの時は悪かったな。
あーゆー言い方しちまって」
「……なんかタカ優しくなった。
なんかあった?」
やべ、そんな態度にでてんのか?
「…まぁな。
大事な人に……会ったんだ」
「……もしかして那佑…
とか言うひと?」
:10/07/03 17:37
:840SH
:TRqKXb0g
#218 [愛華]
「…!?」
「さっきあたしと間違えたじゃん
その人の事……好きなの?」
うわ、なんでそんな簡単に
ばれんだよ!!かっこ悪……
「そーだよ!!」
……だせーな俺……
:10/07/03 17:40
:840SH
:TRqKXb0g
#219 [愛華]
「ふーん……」
……あれ?驚くかと思った。
梓の表情が曇っていく。
「……私さ、まだ……
タカの事あきらめてないよ?」
「……え?」
「その那佑っていう人にも……
負けるつもりないし。
だから覚悟しといてね」
「………は????」
言ってる意味がわからなかった。
:10/07/03 17:44
:840SH
:TRqKXb0g
#220 [愛華]
頭の中が?でいっぱいに
なっていると、那佑が
はいってきた。
当然、那佑は「誰やねん」
的な眼差しを梓に向け。
そんな那佑に対して梓は
「いつも聞いてます」
とか大嘘つきやがった。
今日初めてきいたんだろがぃ!
:10/07/03 17:48
:840SH
:TRqKXb0g
#221 [愛華]
ちょっと話をしたあと、
梓は那佑と二人でジュースを
買いに行くと言って
部屋をでていった。
…あいつ昔から人見知りなのに。
何考えてんだ?
一人でゆっくりと
さっきの梓の言葉を思い出す。
……もし梓が言っていた事が
本当だとすると。
……梓は二年間ずっと
思ってくれてたんだ。
:10/07/03 17:57
:840SH
:TRqKXb0g
#222 [愛華]
うーん、悪い事したな、
とか思っていると
梓がジュースを持って帰ってきた
「あれ、那佑は?」
「あー那佑ちゃんね。
病室もどるって言ってた」
「ふぅん?」
:10/07/03 18:00
:840SH
:TRqKXb0g
#223 [愛華]
「…タカ。あたし本気だから。
ちゃんと真面目にあたしの事
考えてね」
ずぃっと顔を向けて梓が言った。
うっ迫力あるな……
「……でも俺は……」
「はぁ…那佑ちゃんでしょ?
さっき聞いたっつの!!
ってか那佑ちゃんの
どこがいーわけ!?
ちょっと顔かわいーだけじゃん」
:10/07/03 18:04
:840SH
:TRqKXb0g
#224 [愛華]
俺は梓をにらんだ。
「…ごめん。今のはごめん。」
梓になら、いいか。
「……あいつさ、
今のままだと余命長くて
8年なんだよ」
「…………えっ」
:10/07/03 18:07
:840SH
:TRqKXb0g
#225 [愛華]
「…心臓の病気でさ。
移植する手もあるけど
ドナーなんてないし。
……だから好きになったわけ
じゃない。同情なんかじゃない。
本気で……守りたいんだよ」
「………うそ」
「……このこと、那佑に
言うなよ。あいつも同情
されるのなんか望んでねぇと
思うし」
「………わかった」
:10/07/03 18:10
:840SH
:TRqKXb0g
#226 [愛華]
「…ってかクサっ!!
何、本気で守りたいとか!
キャラ変わってんじゃんタカ!」
「うるせーな!悪いかよ!」
「…そか、そーなんだ…」
梓は一瞬、喜びとも悲しみとも
見れない笑みを見せた。
その意味を知るのは
もう少しあと。
:10/07/03 18:14
:840SH
:TRqKXb0g
#227 [愛華]
あれから那佑はぷっつり
姿を見せなくなった。
その変わりに毎日のように
梓が病室に来るようになった。
「ねータカー聞いてる??」
「えー…うん……」
「………もぉっ!!」
…那佑……なんで来ねぇんだよ!
:10/07/03 18:18
:840SH
:TRqKXb0g
#228 [愛華]
俺の頭の中はその事で
いっぱいだった。
「あーもう!!」
「ちょっとタカどーしたの!」
「別に……」
「もー八つ当たりしないでよ…」
:10/07/03 18:27
:840SH
:TRqKXb0g
#229 [愛華]
イライラする。
あいつ、もしかして
まだ純さんのこと気にしてる
のか?………ありうる。
「…ねぇタカ、今、那佑ちゃんの
こと考えてたっしょ?」
「ちげぇし!!ばーか」
図星さされてまたイライラ…
会えないだけなのに…
いや、会えてないだけかも。
:10/07/03 19:55
:840SH
:TRqKXb0g
#230 [愛華]
梓が帰ったあと
なんとなく那佑を探して
病院内をうろついた。
……キモいなぁ俺。
ガラにもねぇことやって。
ばかみてぇ。
馬鹿馬鹿しくなって
病室に戻ろうとした。…時。
:10/07/03 20:00
:840SH
:TRqKXb0g
#231 [愛華]
那佑がいた。
看護師となんか話してる。
診察の帰りっぽい感じ。
「…那佑!!」
大きめの声で呼んでみた。
「……!…隆…則…」
「最近なしたんだよ?
なんでこねぇの?」
「…色々いそがしーんだよ、
あたしも」
……?なんか……変。
:10/07/03 20:04
:840SH
:TRqKXb0g
#232 [愛華]
元気ないっつーかなんつーか…
目もあわそうとしない。
「…お前なんかあったろ?
だから来なかったんだろ?」
「……違うってば。
なんもないよ。ほんとに」
「うそつけ。お前は
なんか隠してても
すぐ分かんだよ。なにあっ…」
「なんもないってば!!!」
:10/07/03 20:07
:840SH
:TRqKXb0g
#233 [愛華]
びっくりした。
まさか那佑があんな風に
叫ぶなんて……思わなかった。
「隆則のそーゆーとこ嫌!!
もう、いーんだよ!!
どーせ隆則が退院したら
サヨナラなんだから……
だから病室もいかない。
もう会わない!!」
「……なに言ってんだよ」
那佑……それが…本音なのか?
:10/07/03 20:12
:840SH
:TRqKXb0g
#234 [愛華]
「お前みてぇなバカ
退院しても忘れねぇっつったろ?
なんでまた『どーせ』なんて
言うんだよ!!」
通り過ぎる看護師や患者が
こちらを見る。
でも気にせず大声で叫ぶ。
那佑の言葉……信じたくない。
:10/07/03 20:15
:840SH
:TRqKXb0g
#235 [愛華]
「退院したって……
会いにくるだろ……」
「無理なんだよ…
隆則とあたしが関わる事には
『理由』がないもの」
理由…?理由って………何?
「それって必要?」
「…少なくとも、あたしにはね」
:10/07/03 20:21
:840SH
:TRqKXb0g
#236 [愛華]
「…もう、あたしにかまわないで
…………………迷惑だから。」
「………」
何も……言えない。那佑の目が
あまりにも悲しすぎたから。
「それが隆則の為にもなるから
………ごめんね……」
那佑がそうつぶやいたことは
俺はおろか
那佑自身にも聞こえたのかどうか
わからないほど、
小さくか細い声だった。
:10/07/03 20:33
:840SH
:TRqKXb0g
#237 [愛華]
俺はその場に立ち尽くした。
那佑が去った後も、ずっと。
……やっと那佑の本音を聞けたと
思っていた。
やっと那佑の心に、少しだけ
近づけたと………
でも、それは勘違いだったのか?
「……マジばかみてぇ、俺」
気がつくと出る声。
:10/07/03 20:39
:840SH
:TRqKXb0g
#238 [愛華]
「赤石さん、病院で大声
だしちゃだめですよ?」
「……すんません」
看護師がここぞとばかりに
話し掛けてくる。
………うざい。
「那佑ちゃんと修羅場??
あんな仲よかったのに…
なんかあったの??」
………うざいってば。
「…あたしでよかったら話……」
「うぜぇよ、話し掛けんな」
もう………いーや。
:10/07/03 20:48
:840SH
:TRqKXb0g
#239 [愛華]
俺は那佑を理解しているつもり
でいた。
でも、それは違った。
単なる思い上がりだった。
……ただ、それだけの事だ。
ただそれだけの……
「ねぇタカどしたの?
なんか元気なくないー?」
「……なんでもねぇよ」
そーだ。今日は梓が来ていた。
ぼーっとしすぎて忘れてた。
:10/07/03 21:06
:840SH
:TRqKXb0g
#240 [愛華]
俺はイライラをまぎらわせようと
タバコを吸った。
「……タカなんかあったでしょ
やっぱり」
「…たいしたことじゃねぇよ」
「それでもいいよ…言って?」
:10/07/03 21:10
:840SH
:TRqKXb0g
#241 [愛華]
俺は梓に事の事情を話した。
ぐちのような物だったんだ。
行き場のない気持ちを
誰にでもいいから
吐き出したかった。
「……那佑ちゃんが……
そう言ったの?」
「まぁな。…でもしょうがねぇよ
こんなキンパの男……
信用できる訳ねーしさ」
:10/07/03 21:46
:840SH
:TRqKXb0g
#242 [愛華]
「…そっか……那佑ちゃんが…」
「……どした?」
「なんでもない!
…っていうかさ、あたしタカが
好きだって言ったよね?
そのあたしに那佑ちゃんの話
ってひどくない?」
あ…そうだったんだ。
っつーか、あれマジだったのか。
……自分のことで精一杯だった。
:10/07/03 21:56
:840SH
:TRqKXb0g
#243 [愛華]
「…そうだったな。わり。
無神経だった」
「だーめ。許さない!」
「はぁ?じゃあどーすりゃ…」
「キスして」
………は?
俺は言ってる意味が理解
できなかった。
:10/07/03 22:13
:840SH
:TRqKXb0g
#244 [愛華]
「梓なにいってんだよ…」
「那佑ちゃん、許せない。
今まで色々たすけてもらった
タカに……ひどいこと言って。
所詮、そーゆー人
なんじゃないのかな?
……私はそう思うよ」
……そんなことねぇよ。
悪いのは俺。勘違いした俺。
「…私は小さい頃から
タカを知ってる。
タカの事…誰より理解してる。
タカの側にいたくて…
帰ってきたんだよ?」
:10/07/03 22:25
:840SH
:TRqKXb0g
#245 [愛華]
…頭がぼーっとする。
なんか、もうどーでもいいや。
「……タカ。
…………………私にしなよ」
梓の言葉が俺を麻痺させる。
梓の顔が近づいてくる。
わかってるのに、何もしない。
しようともしない俺。
「タカ…」
「………ん……」
:10/07/03 22:29
:840SH
:TRqKXb0g
#246 [愛華]
那佑。
俺は最低の男だな。
覚悟をきめたとか
偉そうなこと言って。
お前から、たった一度
突き放されただけで
自信を無くしてる。
………情けない男だよマジで。
そして今、
好きでもない女
でも、自分を好いてくれてる女と
キスしようとしてる。
:10/07/03 22:37
:840SH
:TRqKXb0g
#247 [愛華]
「隆則」
……!!
俺は梓を突き放した。
「…!…タカ?」
「…あ…わりぃ梓。
今……そんな気分じゃねぇ」
「……わかった。あたし待つね」
頭の中で……
那佑の声が聞こえた気がした。
………女々しい男だよ、ほんと
「ばーか……」
誰か俺を殴ってくれよ、
…俺が俺でなくなるくらいに。
:10/07/03 22:43
:840SH
:TRqKXb0g
#248 [愛華]
あれから…
一週間たった。
那佑とは会ってない。
……それでいいのかもしれない。
那佑がそれを望んでいるんだから
梓はなにもなかったかのように
毎日きている。
もうすぐ俺も……退院だ。
:10/07/03 22:47
:840SH
:TRqKXb0g
#249 [愛華]
「ねータカーそれでねー」
「……うん」
頭に浮かぶのは那佑の言葉。
信じたくなかったあの言葉。
もう…今となっては意味はない。
「………………タカ」
「………梓、なに?」
「……タカまだ、
那佑ちゃんが好き?」
:10/07/03 22:56
:840SH
:TRqKXb0g
#250 [愛華]
……んなの……
当たり前じゃん。
でも……
「……もう、どうする気もねぇよ
俺が関わったら迷惑なんだから」
「………あ、そう。
那佑ちゃんに……彼氏が
できても?」
「……はぁ?」
:10/07/03 23:06
:840SH
:TRqKXb0g
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